何だろう……この寒気は。
今日も平和なイルミナシティ……なのだが。
何やら、空からイルミナを眺めるポケモンが一体。
キョロキョロと辺りを眺めている、どうやら何かを捜しているようだ。
「っ、やはり……この街に居たのか。あの子の力を感じたからもしやと思ったが……」
そのポケモンの口から放たれたのは、人間の言葉。
本来話せないはずの人間の言葉を放つそのポケモンは、捜し物を見つけたのかある場所に視線を向けていた。
「待ってろ妹よ……お兄ちゃんが今行くからなぁぁぁぁぁっ!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「っ」
「? ティア、どうかしたのか?」
急にビクリと身体を震わせたティア、寒い……わけじゃないよな。今日はいい陽気だし。
「おいグリード、どうかしたのか?」
アオイの声で我に返る、そういえばバトルをしようとしてたんだった。
「グリード〜、頑張ってね〜」
「お、おぅ……」
ニコニコと手を振って応援してくるサクラに、俺は曖昧な返事を返す。
……あれから数日。
どうしよう、顔を合わせづらい……と思っていたのだが。
『おはよう、グリード』
次の日、まったくいつも通りの様子で挨拶してきたので、すっかり毒気を抜かれてしまった。
つい、あの時の事を気にしてないのかと訊いてみたら。
『……いつまでも反省ばかりしていても仕方ないしね、それに僕としてはいつまでも君と話せないのは嫌なんだ』
と、そう言って笑ったものだから、俺だけが気にしても仕方ないと思い、こうしてすぐにいつも通りに戻った俺達。
けど……前よりも積極的に俺に絡んでくるから、ドキドキする回数が増えたのはちょっぴり困ってたりする。
「……グリード、早くバトルやるぞ!!」
「お、おぅ」
あちゃー、アオイの奴怒っちゃった。
サクラとばかり話しているから、拗ねちゃったのかな。
俺もさすがに朴念仁のままではないが、それを指摘したらアオイの奴全力で否定するからなー。
とはいえバトルの相手になってくれるんだ、真剣にやらせてもらう……!
「キュウコン、君に決めた!!」
「ボスゴドラ、バトルオン!!」
「こーん!!」
「ガァァァァッ!!」
同時にボールからポケモンを繰り出す俺とアオイ。
「お前、キュウコンをゲットしていたのか」
「ああ。でもまだコイツはバトル慣れしてないんだ」
「なる程、だからバトルの相手を頼んだのか。だが、いくら慣れてないからといっても手加減しないぞ!!」
「手加減なんかしたら許さないからな、いくぞキュウコン!!」
「きゅーん!!」
よっしゃ、バトル開始……と思いきや。
「おわぁっ!?」
キュウコンはいきなりこちらへと振り返り、俺に覆い被さってペロペロと顔を舐めてきた。
「お、おいキュウコン……バトルをするんだからやめてくれよ〜」
「きゅん、きゅ〜ん♪」
懐いてくれるのは嬉しいのだが、バトルをするのにこれでは困る。
「タジャ、タージャ!!」
「クォォゥッ!!」
「………きゅ〜ん」
ツタージャとティアに怒られ、キュウコンは不満そうに俺から離れる。
うぅ……顔がベトベトだ、それに服にキュウコンの毛が……。
「ごめん、アオイ」
「いや、それはいいが……大丈夫か?」
ああ、と答えつつハンカチで顔を拭く。
さて、今度こそバトル開始だ。
「俺からいかせてもらうぜアオイ! キュウコン、かえんほうしゃ!!」
「きゅ、こーん!!」
口を開き、ボスゴドラに向かってかえんほうしゃを放つキュウコン。
ボスゴドラは動かない、だが。
「弾いてしまえ!!」
「ボガァァァッ!!」
両手を組み、迫るかえんほうしゃをなんとアームハンマーのように腕を振るってかき消してしまうボスゴドラ。
さすがにやるな……ならこれでどうだ!!
「ほのおのうず!!」
「きゅぅぅぅん!!」
今度は渦巻状の炎を放つキュウコン、それをボスゴドラは。
「アイアンヘッド!!」
「ボガァァァッ!!」
硬質化させた頭を前に持っていき、自らほのおのうずの中に飛び込んでいった。
「こーん!?」
ボスゴドラの攻撃は、ほのおのうずをあっさりとかき消しただけでは留まらず、更にキュウコンの身体まで吹き飛ばしてしまった。
地面に倒れるキュウコン、立ち上がるが……脚が僅かに震えている。
「パワー不足だな。やはりまだ仲間にしたてだから仕方ないかもしれんが、そんな攻撃ではわたしのボスゴドラに勝つ事など不可能だ」
「くっ……」
凄いパワーだ、確かにキュウコンは俺の手持ちの中でパワータイプのオノノクスより劣るけど、それにしたってボスゴドラのパワーと防御力は凄まじい。
最初のかえんほうしゃを破った時だって、てっぺきのような強化技を用いらずに弾いたのだ。
それは、ボスゴドラの防御力が凄まじいなによりの証拠である。
「今度はこちらからいかせてもらうぞ! ボスゴドラ、もろはのずつき!!」
「ゴラァァァァッ!!」
全身を高エネルギーで纏いながら、全速力でキュウコンに突撃するボスゴドラ。
「アイアンテールで迎え撃て!!」
「きゅぅぅぅぅ……こーん!!」
跳躍し、硬質化させた9本の尻尾でボスゴドラを叩くキュウコン。――しかし
「きゅぅぅん!!」
「キュウコン!!」
呆気なく弾かれ、地面に叩きつけられてしまったキュウコン。
「……きゅぅ〜……」
それきり動かない、戦闘不能だ……。
「そこまでだボスゴドラ。……先程のかえんほうしゃで、ダメージを受けたか?」
ボスゴドラに労いの言葉を掛けつつ、問いかけるアオイ。
ボスゴドラは、そんなアオイに首を横に振って問いに答えた。
「よし。どうやら防御力の底上げには成功したようだな、次もこの調子でいくぞ」
よく頑張った、そう言ってアオイはボスゴドラをボールに戻した。
その間に、俺はキュウコンに対してきずぐすりを振りかけてやる。
「キュウコン、よく頑張ったな」
「きゅ〜ん……」
「気にするなよ。負けても次頑張ればいいんだから」
「けどグリード、アオイの言った通りそのキュウコンは少し力不足だね」
「仕方ないさ。まだ進化したてなんだから」
それに、あの過保護トゲキッスの話だと、この子は争うのが嫌いな優しい子らしい。だからバトル経験が無いのも原因だろう。
「せめてフレアドライプかオーバーヒート……そのどちらかを身につけないと、決定力不足だな」
「……だよなぁ」
炎技はかえんほうしゃやほのおのうず止まり、他だってじんつうりきやエナジーボール。
補助技はいくつか覚えているけど、なにか大技がないと厳しいかもしれない。
「まあ、気長にやっていけばいいさキュウコン、まだまだお前は強くなれるし時間だってある。
ゆっくり、確実に強くなれれば俺も嬉しいから」
「きゅーん♪」
「わぁっ!? ってキュウコン、くすぐったいからやめてくれ〜」
またも俺に覆い被さってペロペロと顔を舐めてくるキュウコン。
やばい、またツタージャとティアが怒り出す……。
「タジャー!!!」
「きゅ〜ん……」
ほらやっぱり……。
「………あれ?」
ツタージャは予想通り怒ったけど……ティアの声が聞こえない。
不思議に思い、ティアに視線を向けてみると……。
「ティア……?」
彼女は、何故か明後日の方向をじっと見つめていた。
それに、なんだか表情が変だ。なんていうか……例えるなら、「まさか……そんなはず……」みたいな顔になってる。
「なあ、ティア――」
本当にどうしたんだ、そう訊こうとした時だった。
「サクラー、大変だよぉぉっ!!!」
「アリア……?」
突然、アリアが血相変えて俺達の所へと走ってきた。
その表情は真剣そのもの、どうやらマジで大変な事が起こったらしい。
「どうしたんだい?」
「はぁ…た、大変…はぁ……大変だよぉ!!」
「大変なのはわかったから、一体何が起きたのさ?」
アリアのこの慌てぶりは相当なものだ、後ろに居る俺達も自然と表情を強ばらせる。
すると、アリアはとんでもない事を口にした。
「ラ、ラティオスが……ラティオスがいきなり学園の中に現れて、人間の言葉でわけわかんない事言いながら暴れてるの!!」
『はぁっ!?』
その言葉に、俺達3人の言葉が見事にハモる。
ラティオスって……まさか、あのラティオス!?
ラティアスと同じく、ホウエンに居る伝説のポケモンの一体だ。
「今アヤトが抑えてるけどそいつめっちゃ強くて……みんな来て!!」
「わ、わかった。キュウコンとティアは戻――」
ボールをキュウコンとティアに向ける、が……。
「あれ!?」
ティアの姿がない、あいつ一体どこに……。
「何してんのさグリード、早く早く!!」
「お、おぅ!!」
仕方ない、今はラティオスを止めるのが先だ。そう思い俺はキュウコンをボールに戻しツタージャを肩に乗せ、走り出す。
でも……ティアの奴、一体どこに行ったんだ?
「こっちこっち!!」
ついていった先は、生徒達の憩いの場である中庭。
そこを取り囲むように、中庭から逃げてきたであろう生徒達の波をかき分けながら前に進む。
「アヤ………ト?」
戦っているアヤトに加勢しよう、そう思って声を掛けるが……おもわずその場で立ち止まってしまった。
「あ、あれ……?」
「何だ、アレは?」
サクラ達もまた俺と同じように立ち止まり、ぽかんと視線をある方向に向ける。
視線の先には、問題のラティオスとアヤトとリース。
そして――何故かティアの姿もあった。
あいついなくなったと思ったら、何してんだ?
「おぉ妹よ。よかった無事なようだな、お兄ちゃんは心配したぞ!」
あっ、本当にラティオスが人間の言葉を喋ってる。
レシラムみたいにテレパシーで会話するポケモンとは会った事があるけど、普通に喋れるポケモンに会ったのは初めてだ。
あれ? でも今ラティオス……ティアを「妹」って……それに自分の事を「お兄ちゃん」って……。
もしかして、ティアとあのラティオスって兄妹なのかな?
「さあ妹よ、お兄ちゃんと一緒に帰ろう。お前がいない間お兄ちゃんはそれはそれは寂し――ごはぁっ!!?」
あっ、ティアがはがねのつばさでラティオスの顔面を殴った。
「な、何をするんだ妹よ。お兄ちゃんはお前が心配で今まで――ぐふっ!?」
あっ、今度は腹部にドラゴンクローを突き刺した。
「ね、ねぇ……もしかしなくてもさ、ティアってば怒ってない?」
無言でラティオスを攻撃するティアに若干引きながら、アリアが躊躇いがちにそう尋ねてきた。
「うん、めっちゃ怒ってるねあれは。前に俺がファンクラブに追いかけられた時ぐらい怒ってるね」
それでも、俺の指示がなければりゅうせいぐんを撃っちゃダメだという約束を守ってくれているのは、嬉しい。
まあ、だからって別の技で攻撃していいわけじゃないけど……。
「だから――ぶふっ!? ちょ――ぐへっ!? お兄ちゃんの話を――ごはっ!?」
無言でドラゴンクローやら、はがねのつばさやら、しねんのずつきやらを繰り出すティア。
しかも心底冷たい目でそれを行っているから、かなり恐い。
「………おい、あれは何なんだ?」
リースをボールに戻し、呆れた表情でアヤトがこっちにやってきた。
遠巻きに見ていた生徒達も、今の光景にポカンとしている。
「アヤト、大丈夫だったか?」
「ああ。オレもリースも特に怪我を負ったわけじゃないが……一体何がどうなっている?」
「えっと……」
俺も返答に困る、ていうかこっちもよく状況が理解できていないのだ。
先程の、ラティオスがティアに掛けた言葉が真実だとするならば、ラティオスはティアの兄という事になる。
でも多分それは事実だろう、ティアがまったく知らない他者にあそこまで容赦なく攻撃をする事はない。
だとしても、ティアはどうしてラティオスを攻撃してるんだろう、それも執拗に。
「や、やめてくれ妹よ。一体お兄ちゃんが何をしたというんだ!?」
「……クォォゥ」
「えっ、周りの人間に迷惑を掛けたからだって? 何を言ってるんだ、お前はここに居る人間達に捕まったからこそここにいるんだろう?」
「…………」
「むっ? 妹よ、何故無言で口を開くのだ?」
……あっ、ヤバい。
ティアの奴、りゅうせいぐんが使えないからってアレをやる気か!?
「ラティオス、早くティアから離れ――」
「クォォォ……クォォゥッ!!」
「へっ――ぎゃぁぁぁぁっす!?」
爆音を辺りに響かせ、ぶっ飛んでいくラティオス。
そのまま壁にめり込み……気絶してしまった。
「……ティア、はかいこうせんはやり過ぎ」
手加減したみたいだけど、それにしたって……ねえ?
……とりあえず、目を回しているラティオスを助けてやろう。
そう思い、俺は壁にめり込んだままのラティオスへと向かって歩を進めたのだった。
To.Be.Continued...
【ツタージャ】♀ 【ムクホーク】♂ 【ミロカロス】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・つるのムチ ・はがねのつばさ ・たつまき
・リーフブレード ・かぜおこし ・アイアンテール
・真・リーンフォースブレード ・でんこうせっか ・ハイドロポンプ
・かげぶんしん ・つばさでうつ ・れいとうビーム
・へびにらみ ・つばめがえし ・じこさいせい
・リーフストーム ・ブレイブバード ・ふぶき
・リーフブレード二段斬り ・インファイト ・アクアリング
・エナジーボール ・かげぶんしん ・アクアテール
・はかいこうせん ・みずのはどう
【オノノクス】♂ 【コジョンド】♀ 【グライオン】♂
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・ダブルチョップ ・みきり ・シザークロス
・シャドークロー ・はっけい ・れんぞくぎり
・りゅうのいかり ・とびひざげり ・ほのおのキバ
・ドラゴンクロー ・はどうだん ・クロスポイズン
・りゅうのいぶき ・おうふくビンタ ・ギガインパクト
・りゅうせいぐん ・ギガインパクト ・はがねのつばさ
・あなをほる ・ドレインパンチ
・りゅうのはどう ・ストーンエッジ
・はかいこうせん ・きあいパンチ
・かみなりパンチ
【クチート】♀ 【ラティアス(ティア)】♀ 【ゴチミル】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・てっぺき ・ラスターカノン ・ねんりき
・アイアンヘッド ・じこさいせい ・ひかりのかべ
・かえんほうしゃ ・はかいこうせん ・サイケこうせん
・ねごと ・りゅうのはどう
・ラスターカノン ・りゅうせいぐん
・かみくだく ・れいとうビーム
・ドラゴンクロー
・はがねのつばさ
【ピカチュウ】♂ 【キュウコン】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】
・10まんボルト ・かえんほうしゃ
・アイアンテール ・ほのおのうず
・ボルテッカー ・じんつうりき
・でんこうせっか ・エナジーボール
・かみなり ・アイアンテール
・ボルテッカー・アイアンテール