グリードくんのイルミナ学園奮闘日誌【完結】   作:マイマイ

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焦りを見せるレシラムに強引に連れて行かれてしまう。
当然ながら事情を訊こうとしたのだが、そんな俺達の前にゼクロムが現れる。

レシラムと協力して戦ったんだけど、ゼクロムのクロスサンダーを受けて俺はレシラムの身体から落ちてしまい………。


第111話 〜レシラム、ゼクロム、新たなる英雄伝説!!〜4

――身体が冷たい

 

俺は……死んだのだろうか。

けど、僅かに聞こえる水の流れる音が、現実であると教えてくれる。

目を開けようとするが、全身に力が入らずゆっくりと開ける事もできやしない。

 

「っ」

頬に、生暖かい感触が襲った。

それも一度だけではない、ペロペロと俺の顔を舐め回す……。

………舐め回す?

 

「……んっ……」

ぼんやりとした意識が覚醒してきたからか、ようやく目を開ける事ができたのだが。

「っ、あっ……!」

俺が完全に瞳を開いた瞬間、何かが俺の前から気配を消した。

 

………ここは、どこだ?

薄暗い部屋、電灯の類はなくどうやら洞窟らしい。

高さは四メートル程となかなかに広く、明かりはないが外の光が入ってくるので、不便になる程ではない。

 

「っ、ぅ、ぐ……」

身体を起こそうと力を込めたら、全身に痛みが走った。

見ると、俺の腕や身体には葉っぱが巻かれており、まるで包帯のようだ。

更に視線を変えると、俺は草花で作られたベッドで横になっている事にも気づき。

 

「………君、は?」

洞窟の外から、顔だけを出す少女の視線にも気づき、俺は声を掛けた。

「うっ……あ、うー」

びくっと身体を震わせ、一度は顔を引っ込めてしまったが、それから程なくしてもう一度にゅっと顔だけを出してきた。

……当たり前かもしれないけど、警戒されてるみたいだな。

けど、多分俺を助けてくれたのはあの子なのだろう、とにかく事情が知りたかった。

 

「俺は何もしないよ、それに今の状態じゃ何もできない。だから……こっちに来てくれないか?」

なるべく優しく、警戒心を持たれないように口を開く。

「……………うー」

それが効いたのか、少女が少しずつだけど俺の所に近づいて……って。

「そ、その恰好……何?」

女の子は、なんと葉っぱで作った服と呼べるか怪しい恰好だった。

 

歳は俺と同じくらいだろうか、ぼさぼさで伸びきった水色の瞳、顔は端正だけど……所々汚れているせいか、まるで野生児だ。

小さい身体だけど、無駄のない引き締まった身体は、見るからにパワーがありそう。

それに、辛うじて隠してるけど……下着で歩いているようなものなので、正直目のやり場に困ってしまう。

 

「うー……あー?」

「えっ……?」

ぽむぽむと俺の頭を叩く少女、この子……もしかして。

「君、もしかして喋れないの?」

「あ、ぅー?」

 

きょとんとした表情を返されてしまった、どうやら質問の意味がわからなかったらしい。

でも、どうやらこの子は喋れないようだ。こんな時にこんな冗談をするとは思えないし。

だとすると……この子は一体何者なんだろう。

 

「……腹減ったぁ」

生きてるという安堵感に、俺はいつものように呟きを漏らす。

「…ハ、ラ…ヘッ、タ?」

「んー……?」

「あ、うぅー」

すくっと立ち上がり、四つん這いで洞窟から出て行く女の子。

しかし、すぐさま戻ってきた。両手に様々な果物を持って。

 

「……くれるのか?」

「あう!」

満面の笑みで頷く少女、しかし……まだ身体が上手く動かせないから果物を持てない。

「………うー?」

食べない俺を不思議がっているのか、果物の一つを取りぐいぐいと俺の口に運んで……って、痛い痛い痛い!!

 

「ご、ごめん……手が動かせないんだ」

「うぅー……」

眉を八の字にして、少女は悩むような表情をこちらに向けてくる。

うっ、そんな顔されると申し訳なくなるじゃないか……。

 

「……しゃく」

おもむろに、手にした果物を口に含む少女。

自分も食べたかったのだろう、ぼんやりとそんな事を考えていたら。

 

「んむ―――っ!?」

「ん、ちゅ……」

 

キスされました、もちろん唇に。

抵抗しようにも身体は動かず、それにまだ頭がぼーっとして余計頭が回らない。

すると、少女の口から俺の口へ何か流される。

おもわず、それを飲み込んでしまうが……それが果物だと理解し、ようやく少女の行動の意図に気が付いた。

手を動かせないという事を理解して、少女は口移しで果物を食べさせてくれたのだ。

正直助かった、何せ口だってまともに動かせないくらい衰弱しているから。

……まあ、恥ずかしくないと言えば嘘になるけどね。

 

「しゃく……」

「えっ、ちょ――」

まだ続けるの!?

そんな俺の意見を無視して、再び口移しで果物を食べさせてくる女の子。

 

――結局、その後何十回も口移しされた

 

「うぅ……もうお嫁に行けない」

「うー♪」

めそめそと泣く俺に、満面の笑みを返す少女。

くぅ、何がそんなに楽しいんだ君は!!

とはいえ、あのままだったら空腹でヤバかったので、文句を言えるわけもないのだが。

 

「……君は一体誰なんだ? それに、一体ここは何処なんだ?」

「………うー?」

困ったように眉を下げる女の子、どうやら質問の意味がわからないらしい。

まいったな……早くレシラム達の所に戻らないといけないのに。

こうなったら、自力でここが何処なのか見てみんなの所に……。

 

「う、く……」

「っ、あぅぅ!!」

起き上がろうとするが、やはりまだ身体に力が入らないのか、身じろぎする事しかできない。

しかも、起こしたくないのか女の子が俺の身体を両手で押さえつける。

 

「っ、放してくれ……俺は、行かないといけないんだ……」

レシラムが待ってる、それにフィルとシェリーも待ってるんだ……。

「うー……がぶっ」

「いてーーーっ!!?」

こ、こいつ……おもいっきり咬みやがった。

しかも怪我してる所を……くそぅ。

 

〈リン、起きたのですか?〉

〈うるせぇぞ!!〉

〈お前がうるさい〉

頭に響く声、これは……テレパシー?

顔だけ入口に向けると、3つの影がこちらに近づいてくるのが見える。

人じゃない……ポケモンか?

 

「あっ、あぅー!」

満面に笑みを浮かべる少女、どうやら近づいてくる存在とは知り合いのようだ。

そして、そのポケモン達の姿が見え――

「―――――」

俺は、目を見開いて固まってしまった。

 

〈おや、なかなかに綺麗な瞳ですね〉

〈……ふんっ、人の子を助けるとは……〉

〈リン、あまり警戒心を抱かないのは感心せんぞ?〉

三者三様の言葉を紡ぐポケモン達。

その内側から溢れる力は、伝説のポケモンであるラティオスやレシラムにもひけをとらない。

それは当然だ、何故なら俺の前に現れたのは……。

 

――ビリジオン

 

――テラキオン

 

――コバルオン

 

 

イッシュ地方に伝わる伝説のポケモン。

かつて、人が起こした戦争に巻き込まれたポケモン達を命懸けで助けたという逸話が残されている、まさしくポケモン達にとっての英雄。

その三体が、俺の前に現れたのだから……。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「――レシラム、お前が居ながら何だこのザマは!!」

ゼクロムに襲われた街で、シェリーの怒声が響く。

〈チッ……おいレシラム、テメェ……何でいきなり勝手に動きやがったんだ?

 テメェが勝手な事をしなかったら、こんな事にはならなかったんじゃねえか!!〉

トナもまた、キッとレシラムを睨みながら怒鳴り散らす。

「落ち着きなよシェリーにトナ、今はそんな事を言ってる場合じゃないでしょ?」

〈そうですよ。それに僅かですがグリードの波導は感じられます。

 場所を特定する事はできませんが、生きているのは間違いないんですから〉

幾分冷静なフィルとリコが宥める。

 

「〜〜〜〜〜っ、ああくそっ!! フィル、お前に言われなくてもわかっているんだ!!

 ただ……大人のわたしが子供のあいつを守れなかった、そんな自分自身に怒りを感じてレシラムに八つ当たりしてるだけだ!!」

(怒鳴りながら言わなくても……)

責任感の強いシェリーらしい。

とはいえ、リコが言うならグリードは本当に無事なのだろう。

薄情で無責任な話かもしれないが、彼ならばきっと大丈夫だろう。

 

「……トナ、いい加減機嫌直してよ」

〈うるせぇよ〉

フィルの言葉にも悪態を吐くトナ、珍しく本気で怒っている。

苛々と忙しなくウロウロしており、彼がここまで苛立つのも珍しく、どうしたのかとフィルは首を傾げながらも問いかける事に。

 

「トナ、どうしてそこまで怒ってるのさ? そりゃあレシラムの勝手な行動で――」

〈ちげぇよ。いや違わねえけど……俺はどうしてもレシラムの行動は許せねえんだ。

 グリードは生きてる、それにきっとその内戻ってくるさ、けどよ……アイツの心が見えちまったから、頭に血が昇っちまった〉

ちらりと、トナはある方向に視線を向ける。

フィルもそちらに視線を向けると……そこにいたのは、ハルとバリオンと一緒に座り込んでいるツタージャの姿が。

 

〈……アイツ、心が泣いてるぜ〉

「えっ……?」

〈痛い痛いって……泣いてるんだよ、苦しんでるんだよ……。

 そんな心が見えたから、俺はレシラムが許せねえんだ〉

「…………」

その言葉に、フィルは何も言えなくなった。

ツタージャの、グリードを心配する心がトナには見えてしまったから、こんなにも怒りを見せているのだ。

 

「……とにかく、グリードを捜索するぞ。あいにく今動けるのはわたし達だけだが、トナとリコ達が居ればグリードの場所が特定できるだろう。アイツは波導使いなんだからな」

「そうだね。でもキミがこの現場を離れても大丈夫なの?」

「状況が状況だ。それくらい融通を効かせてみせるさ、そもそもゼクロムの場所がわからなければ動きようがないんだ。

 レシラムは、ゼクロムを見失ってしまったようだからな」

皮肉たっぷりで棘のある口調をレシラムにぶつけるシェリー、幾分冷静になれたようだがまだ怒りは収まっていないようだ。

 

〈――すまない、返す言葉もない。私の焦りが……全ての原因だ〉

「焦り……?」

〈いくらアレがこの世に再び現れたからといっても、急ぎゼクロムを捜したのは早計だった。

 グリードが居なければ、ゼクロムを止められないというのに……私は………!〉

後悔の念など今は意味を成さない、それはわかってはいるのだが……それでも、レシラムは自分の浅はかさを呪った。

思えば、ゼクロムの変化にいち早くアレが関係していると気づくべきだったのだ……と後悔するレシラムだが、そんな事をしても意味はないと自分に言い聞かせる。

 

「レシラム、アレって一体何のこと? キミは……一体何を知っているんだ?」

フィルの問いかけに、レシラムは一度息を吐き出してから——意を決したように口を開いた。

 

〈……ゼクロムが何故人里を襲うのか、そしてその目的も、この街にある紋様を見て理解した。

 ヤツは――“王の鎖”を完全に起動させるつもりなんだ〉

 

「……王の、鎖?」

「おい、それは一体何だ? ゼクロムが襲撃した街に必ず現れる紋様と、関係があるのか?」

〈関係あるとも、むしろゼクロムを“使役”している奴は、初めからこれが目的なのだからな〉

「……おい、今使役って言ったな? じゃあ、ゼクロムは誰かトレーナーが居るのか!?」

〈トレーナーではない、ゼクロムは……操られているんだよ。王の鎖の力によってな〉

「なにっ!?」

「操られてるって……」

 

レシラムの言葉に、その場に居た全員が驚愕の表情に包まれる。

当たり前だ、伝説のポケモンであるゼクロムが、誰かに操られ人里を襲うなど、タチの悪い冗談にしか聞こえない。

 

「レシラム、その王の鎖って何なの? ゼクロムはそれで操られてるって言ったけど、完全に起動させる為に街を襲ってるって言うけど、矛盾してない?」

確かに、完全に起動していないのにゼクロムを操れるのだろうか。

しかし、レシラムはフィルの言葉を真っ向から否定する。

〈不完全な状態でも、ゼクロムだけならば完全に我が物にできるさ。

 何故なら――あの兵器は、史上最悪の能力を有しているからな〉

「おい、その能力とは何だ。早く教えろ!!」

 

苛立ちを含んだシェリーの声、他の者も彼女と同じ気持ちなのか、急かすような視線をレシラムに向けている。

そして――レシラムは、ありえない真実を口にした。

 

〈王の鎖は、かつてイッシュ地方で起こった戦争の際に作られた最悪の兵器だ。

 その能力は“ポケモンを支配”するというもの。

 もし、このままゼクロムによって封印が解かれれば―――〉

 

――イッシュ地方全てのポケモンが、ゼクロムを操る者の手中に収まり、いずれは世界中のポケモン達が、王の鎖の支配下に堕ちるだろう

 

 

 

 

To Be Continued...




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【使えるわざ】            【使えるわざ】        【使えるわざ】
・つるのムチ            ・はがねのつばさ     ・たつまき
・リーフブレード          ・かぜおこし         ・アイアンテール
・真・リーンフォースブレード  ・でんこうせっか      ・ハイドロポンプ
・かげぶんしん           ・つばさでうつ        ・れいとうビーム
・へびにらみ            ・つばめがえし       ・じこさいせい
・リーフストーム           ・ブレイブバード      ・ふぶき
・リーフブレード二段斬り    ・インファイト        ・アクアリング
・エナジーボール         ・かげぶんしん       ・アクアテール
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