さーて、今日はどんな1日になるのかな?
「………ん?」
バトルをするため、アヤトと共に地下のバトルフィールドに向かっていたのだが。
校門から続く中庭に通りかかった際、人だかりを見つめ立ち止まった。
「どうした?」
「いや、あれ……」
指差した先には、十数人の男子が誰かを囲んでいる光景が。
はて、誰か有名人でも来たのだろうか……?
気になったので、人だかりに近づいてみる事に。
「おいグリード、モモカ達が待ってるんだぞ」
「ちょっとくらいなら大丈夫だよ、それよか気にならないか?」
「気にならん。まったく……カレンに怒鳴られても知らんぞ」
とは言いつつ、ちゃんとついてきてくれるアヤト、サンキューな。
さてさて、この人だかりは一体何を……。
「………おっ」
輪のようになった男子生徒の中心には、1人の女子生徒が。
金の髪を降ろし、瞳の色もこれまた金色。
凄まじいまでに整った顔立ちは、そんじょそこらの美少女では歯が立たないくらい綺麗だ。
でも、沢山の男子に囲まれてあからさまに困り顔を浮かべている。
まあ当然か、なにせ周りから聞こえてくるのは。
「ねぇ、もし暇ならこれからちょっと話でもしない?」
「名前なんていうの?」
「学年は? クラスはどこ?」
と、ナンパ目的に話しかけてる輩しかいないからだ。
「おい、どうしたんだグリード」
「アヤト、めちゃくちゃ綺麗な女の子がナンパされてるんだ。助けてやろうぜ?」
「…………アヤト?」
俺の声に、黙り込んでいた女の子が顔を上げ声を漏らす。
少女が向けている視線の先には、アヤトが。
だが、対するアヤトも少女を見て珍しくキョトンとした表情を浮かべていた。
「……フェイト、か?」
「へ?」
少女に向けて、アヤトはそう呟く。
あれ、もしかしてこの2人は知り合いなのか?
「アヤト……アヤトなんだね!?」
「ぐはっ」
近くに居た俺を容易く吹き飛ばし、アヤトに詰め寄る少女。
ひ、ひどい……突き飛ばす事ないじゃないか。
「驚いたな……本当にフェイトなのか?」
「うん、そうだよ!」
さっきまでの困り顔はどこへやら、アヤトに満面の笑みを浮かべるフェイトと呼ばれた少女。
どうやら、マジのマジで2人は知り合いだったらしい、それもなんだか家族みたいに親しいようだ。
……だけど、とりあえずは。
「あのさ、とりあえずここから離れないか?」
なんか、周りの男子の視線がめちゃくちゃ痛いんだよ。なんでかはわからないけど。
それに気づいたのか、アヤトと少女は少し顔を引きつらせ逃げるようにその場を後に――
ってお前等、人を置いていくなよ!!
………。
「――フェイトちゃ〜ん!!」
地下のバトルフィールドで、カレン達と合流した瞬間。
モモカが、フェイトという少女に突撃した。
「モモカ……久しぶりだね」
「なんだ、アヤトだけじゃなくてモモカとも知り合いだったのか?」
「当たり前ですよグリードさん、なにせフェイトちゃんは私達の幼なじみなんですから!!」
あっ、なる程幼なじみか。
それならアヤトやモモカが知ってるのも当然だな。
「はじめまして、今度この学園に転入してきました、フェイト・フリージアといいます」
「よろしくー、俺はグリードだ」
「アサヒナカレンよ、よろしくね?」
「でもフェイトちゃん、意外と早くイルミナ学園に来れたね?」
「うん。本当はまだもう少し掛かるはずだったんだけど、母さんが手配してくれたの」
「………?」
なんだか、モモカ達の会話についていけない。
それが顔に出てたのか、モモカが説明をしてくれた。
「フェイトちゃんは元々グリードさんと同じ日に学園に入学する予定だったんですけど、フェイトちゃんのお母さんの仕事の都合で、編入がもっと遅くなる予定だったんですよ」
「へぇ……」
「フェイトちゃんのお母さん、プレシアさんはですね、あのオーキド博士と同じくらい素晴らしい科学者なんですよ!!
しかもフェイトちゃんのお姉さんのアリシアさんは、トップコーディネーターなんです!!」
「はあ……」
トップコーディネーターというのはいまいちよくわからなかったけど、フェイトの母親や姉は凄い人だというのは理解できた。
というかモモカ、なんでお前が偉そうに言ってるんだ?
「でも7年振りか……フェイトちゃん、随分成長しましたね……」
「………?」
フェイトは一度キョトンとした表情を浮かべていたが、モモカが見ている先が自分の胸だと気づき慌てて両腕で隠しながら顔を赤くした。
「モ、モモカ……何処見てるの?」
「だって、7年前は比べるまでもなかったのに……久しぶりに会ったら、そんなワガママなムチムチボディになってるなんて、反則です……」
「〜〜〜〜〜っ」
モモカの言葉に、フェイトはますます顔を真っ赤にさせ俯いてしまった。
見ると、アヤトもカレンも心なしか顔が赤いような……。
「なあカレン、そのムチムチボディって一体どういう意味だ?」
「っ、アンタは知らなくていいの!!」
……怒られた。
ただ質問しただけなのに、ちょっと悲しい。
「そうだフェイトちゃん、久しぶりに会ったんですから、私とバトルしましょうよ!!」
「えっ、モモカと?」
「そうです、フェイトちゃんがどれだけ強くなったのか、私が確かめてあげます!!」
「……そういう台詞は、一度でもフェイトに勝ってから言うんだな。
フェイトが親の都合で引っ越すまで、一度も勝てなかったじゃないか」
「ま、まあまあ……あの時は若さ故の過ちが出たというか……とにかく、あの時の私とは全然違いますから!!」
「いいなー、俺もバトルしたいよ……」
「ダメよ。せっかく久しぶりに再会したんだから我慢しなさい。
それに――今のアンタじゃ勝てないわ」
「えっ……」
おもわず、カレンへと視線を向ける。
ちょっと待て、フェイトはもしかして強いのか?
「見ればわかるわよ」
いや、わかんねえよ。
まあしかし、既にモモカとフェイトはフィールドに立ってしまっているから、諦めるしかない。
「なあアヤト、お前はどっちが勝つと思う?」
「そうだな……おそらくフェイトだろう」
アヤトから返ってきた予想は、俺にとっては意外なもの。
てっきりモモカが勝つと予想してると思ったのに……どうやらあのフェイトという少女は、かなり強いトレーナーらしい。
「――ミジュマル、出てきて!!」
「ミジュ、ミジュ」
ミジュマル……たしかアイツもイッシュ地方のポケモンだな。
結構可愛いけど、俺のツタージャの方がもっと可愛いな、うん。
「――レントラー、お願い」
「レン、トラーッ!!」
静かに出したフェイトとは対照的に、あのレントラーというポケモン、相当気合いが入ってる。
「……あのコリンクが進化したようだな」
「えっ?」
「フェイトが初めてゲットしたのはコリンクなんだ、それを最終進化系であるレントラーにまでしているとは……相性ではもちろんだが、単純な力量でもミジュマルが不利だな」
「えぇ〜……」
はっきりと告げるアヤトに、おもわずそんな声が出てしまう。
たしかにみずタイプのミジュマルは、でんきタイプのレントラーとは相性が悪いけど、さらに力量まで劣るなんて……。
「でも、それを補うのがトレーナーの役割よ。モモカがどこまでやれるか、見ものね」
「ふーん……」
とりあえず、全員黙って観戦する事に。
フェイト、どれくらい強いのかな……?
「ミジュマル、みずでっぽう!!」
「ミジューッ!!」
先攻はモモカ、レントラーに向けてみずでっぽうを放つミジュマル。
「レントラー、避けて」
「レンッ!!」
それを、レントラーは軽々と回避しすぐさま攻撃に――
っ、速い!?
「たいあたり」
「レン、トーッ!!」
「ミジューッ!?」
「ミジュマル!?」
レントラーの逞しい身体が、小さなミジュマルを軽々と吹き飛ばす。
……あのレントラー、かなり速い。
「――やはり強いわね、あの子」
カレンも、フェイトを見つつぽつりとそう呟いた。
「まだまだです。ミジュマル、今度はアクアジェット!!」
「ミ、ジューッ!!」
水流で身体を包み、レントラーにも負けない速度で向かっていく。
このスピードなら、かわせないはず……。
「レントラー、10まんボルト!!」
「レーン、トォォォッ!!!」
雄叫びを上げ、レントラーの身体から黒い雷が放出された。
それは、迷わずアクアジェットで向かうミジュマルへと向かい――
「ミジュジュジュジュジュジュッ!!?」
アクアジェットごと、ミジュマルを10まんボルトで包み込んでしまった。
「ああ、ミジュマル!?」
「ミジュ〜……」
バチバチという音を響かせながら、ミジュマルは倒れる。
戦闘不能だ、あっという間だったな……。
「レントラー、お疲れ様」
微笑みを浮かべながらレントラーの身体を慈しむように撫でてから、フェイトはボールへと戻す。
「ミジュマル、どうもありがとうございました」
モモカもミジュマルをボールに戻し、フェイトと対峙した。
「フェイトちゃん、前よりもっと強くなりましたね」
「そんな事ないよ、相性が良かっただけだから」
少し恥ずかしそうに顔を赤らめるフェイト、その表情には謙遜の色しか見受けられない。
まあそれはともかくとして、だ。
「なあフェイト、次は俺とバトルしてくれよ!」
「えっ……」
「はいはい。わかったから少し落ち着きなさい」
「ぐぇ……」
首根っこを掴まれ、動きを封じられる。
っていうかカレン、首が絞まってるから!!
「フェイトはまだこの学園に来たばかりなの、これから案内してあげなきゃならないでしょ?」
「そ、それはそうだけどさ……ってかは、放してくれ……い、息ができない……」
あ、ごめん。全然誠意が込められていない謝罪をしながら、カレンはようやく俺から離れてくれた。
……コイツ、俺を殺す気か?
「さあフェイトちゃん、この夫婦達は放っておいて行きましょう。学園を案内しますね」
「ちょ、ちょっとモモカ。だ、誰が夫婦よ!!」
「えっ、だってどう見ても夫婦じゃないですか。まあ私とアヤトのラブラブ具合には適いませんけどね」
「言っておくが、オレはお前と夫婦になった覚えはないぞ」
「当たり前じゃないですか、まだ夫婦になれる歳じゃないんですから」
「……もういい」
ツッコミをするのも無駄だと悟ったのか、アヤトは疲れたようにため息を返すだけ。
あのー、俺は置いてけぼりのままですか?
「あ、あの……」
「ん?」
ちょっとしょんぼりしていると、そんな俺が不憫に思ったのか、はフェイトが話しかけてきた。
「えっと……バトルならまた今度しませんか?」
「あー……うん、ありがとなフェイト。それと、同じ歳なんだからタメ口でいいぞ?」
「う、うん……ところでグリード」
「なんだ?」
「変な事訊くけど……どこかで会った事ないかな?」
「………何でだ?」
「うん、その……私、前に母さんと一緒にあるパーティーに行ったんだけど、そこで会った男の子がグリードと似てたから……」
「…………」
その言葉で、僅かにびくりと身体を震わせてしまう。
「……グリード?」
黙り込んでしまった俺を不振に思ったのか、フェイトは再び俺に話しかけてくるが。
「――人違いだよフェイト、俺がそんなパーティーなんかに行けるような優雅な家庭の生まれじゃないしな。だから、お前の予想は完全な的外れだよ」
自分でもわかるくらい、ぎこちない笑みを浮かべながらそう返した。
……俺、ポーカーフェイスが本当にできないな。
「…………」
ほら、案の定フェイトが疑いの視線をこちらに向けてるじゃないか。
ヤバい、どうにか誤魔化さないと……。
「フェイトちゃんどうしたんですか? 行きますよー」
しかし、モモカの声によって難を逃れた。
「ほ、ほらフェイト、早く行こうぜ!!」
なるべくフェイトの顔を見ないようにしながら、俺はアヤト達の元へ。
………迂闊だった。
まさか、俺の事をあんなくそくだらない場所で見た事がある奴がいるなんて……。
けど、フェイトもうろ覚えみたいだし……誤魔化せるだろ。
……俺の家の事を知ったら、せっかく友達になったアヤト達も、居なくなっちまうからな。
そんなのは―――御免だ。
To.Be.Continued...
【ツタージャ】♀ 【ムクバード】♂ 【ミロカロス】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・つるのムチ ・たいあたり ・たつまき
・リーフブレード ・かぜおこし ・アイアンテール
・たいあたり ・でんこうせっか ・みずでっぽう
・かげぶんしん ・つばさでうつ
・へびにらみ ・つばめがえし
・グラスミキサー ・ブレイブバード(未完成)