いくぞクチート、ティア。
この勝負、必ず勝ってみせる!!
「頼むぞ……! クチート、もう一度いってくれ!!」
「――クチッ!!」
(……グリードは残り二体、けどカミツレさんは三体……数の上でも、ポケモンの状態でも、グリードは負けてる……)
負けてほしくはない、フウロの正直な気持ちだ。
しかし、このままではグリードが負けるのは明白だった。
彼女はジムリーダー、冷静に状況を分析できないほどトレーナーの質は劣っていない。
「マッドショット!!」
「マッ、ギョ!!」
口から次々と泥玉を撃ち出していくマッギョ。
はがねタイプのクチートでは、まともに受ければ大ダメージは必至。
「クチート、かわしながら接近だ!!」
「クチッ」
ちょこちょこと小さな脚を動かしながら、迫るマッドショットを回避しつつマッギョとの間合いを詰めるクチート。
「(近距離から攻撃を仕掛ける気ね、でも……!)マッギョ、ほうでん!!」
「マギョギョーッ!!」
マッギョの周囲に、電撃が走る。
これでは迂闊に近寄れない、だが―――!
「跳べ、クチート!!」
「クッ、チッ!!」
両足に力を込め、跳び上がるクチート。
辺りに撒き散る電撃を回避して……マッギョの頭上へ。
「マッドショット!!」
「マッ、ギョ!!」
しかしカミツレは動じない、すぐさま追撃のために指示を出す。
空中ではクチートは回避行動をとれない、それはグリードとてわかっている。
だが、この位置でなら攻撃と防御の両方を担えるのだ。
「れいとうビーム!!」
「クチャーッ!!」
頭部の牙をガパッと開き、そこかられいとうビームを発射する。
それはマッドショットとぶつかり、次々と破壊していき……マッギョのすぐ傍の地面に命中、瞬く間に周囲を凍り付かせていった。
(外した……? いや、違う!?)
見ると、マッギョの身体の一部が凍りついた地面とくっ付いてしまっている。
「マッギョ、そこから離れて!!」
「もう遅い!! クチート、きあいパンチ!!」
「クチクチ……クッ、チャーッ!!!」
「ギョギョ……!?」
ズドンッという鈍い音がフィールドに響き、クチートのきあいパンチがマッギョの身体を地面の中に沈める。
手応えあり、クチートは口元に笑みを浮かばせながら、その場から離れた。
「――マッギョ戦闘不能、クチートの勝ち!!」
「よしっ!」
どうやら上手くいったようだ、自分の作戦の成功にほっとしつつガッツポーズを見せるグリード。
――あの時、マッギョの頭上に向かって跳ばせたのは、2つの理由があった
一つは、マッギョにマッドショットを撃たせるため。
空中ならばクチートは回避行動をとる事ができない、カミツレならばそう読むのはわかっていた。
だからこそ、クチートにマッギョの頭上に行くように指示したのだ。
そしてもう一つの理由、それはマッギョを逃がさないため。
ツタージャの時のように、正面かられいとうビームを使えば、またあなをほるを使われ逃げられる。
故に空中に跳び、マッドショットを撃たせマッギョをその位置から固定。
そこかられいとうビームを放ち、マッドショットを破壊しつつマッギョの次の動きを封じる。
そして、そのまま地面に落ちていく重力を利用してのきあいパンチにより、マッギョを倒す。
それがグリードの考えた手なのだが、無事に成功したようだ。
(ツタージャ、お前がマッギョの技を見せてくれたからだぞ)
弱々しく起き上がり、自分達のバトルを観戦しているツタージャに視線を向けつつ、グリードは心の中で感謝の言葉を告げた。
「さすがねグリードくん、けど……この子の相手ができるかしら?」
そう言って、カミツレが繰り出したのは――再びデンチュラ。
「(エレキネットを受ければ、カミツレさんのペースに持っていかれる……! なら!!)戻れ、クチート。――ティア、もう一度いってくれ!!」
「クォォォゥ!!」
(もう一度ラティアスを出した……?)
素の能力ならば、確かにクチートを上回るが……ダメージ量を考えると、ティアの方が大きいのは明白だ。
ともあれ、ラティアスが脅威である事に変わりない。
「むしのさざめき!」
「ヂュヂュヂュ……!」
衝撃波が、フィールドを駆け巡る。
「かわせ!!」
「クゥッ!」
高度を上げ、衝撃波から難を逃れるティア。
「じこさいせい!!」
「クォォゥ……」
ティアの身体が淡い光に包まれていく。
「させないわ。デンチュラ、むしくい!!」
「ヂュラ!!」
跳び上がり、無防備なティアへと向かっていくデンチュラ。
もらった、カミツレがそう思った瞬間。
「かわしてしねんのずつき!!」
「えっ……」
「クゥッ、クォゥ!!」
デンチュラの攻撃が、空を切る。
そのすぐ頭上には、ティアが攻撃の体勢に入っており。
「クォゥ!!」
「ジュ……!?」
デンチュラの背に、強力なしねんのずつきが叩き込まれた。
そのまま、地面に沈むデンチュラ。
「一気に決めるぞ、りゅうせいぐんだ!!」
「クゥゥゥゥゥ………!」
「(いけない……!)デンチュラ、いとをはくでラティアスの動きを止めて!!」
「ジュ、ジュ……」
カミツレの指示を聞き、反撃を試みようとするデンチュラだが……しねんのずつきの威力は凄まじく、動く事ができない。そして―――
「――クォォォゥ!!」
ティアの口から、ドラゴンタイプ最強の技が、解き放たれる!!!
天井付近で炸裂したりゅうせいぐんは、フィールド全体を連べ打ちにしていく。
爆音と土煙が辺りを覆い……それが晴れた時には。
「デンチュラ戦闘不能、ラティアスの勝ち!!」
デンチュラは戦闘不能に陥り、いよいよカミツレはグリードに追い込まれてしまった。
「よし、あと一体!!」
「…………」
喜びの声を上げるグリードとは対照的に、カミツレはただただ驚いていた。
(……まさか、ここまで強くなっているなんて)
自信はあった、少なくとも比較的余裕のある勝利にできると思っていた。
それに、先程のグリードは余裕があるが故に慢心した、だからたとえ立ち直ったとしても自分の勝利は揺るがないとさえ思っていた。
だが――彼は駆け足でカミツレに追いつき、そればかりか抜かしてしまった。
勝ちたい、強くなりたいという想いと、ポケモン達の絆は……彼をここまで強くさせていたのだ。
(わたしも、自分にできる限りの努力を重ねてきた……でも、彼はそれ以上の努力で私に追いついてきたのね)
まったくもって脱帽する、努力家としての彼に勝てる人間などいるのだろうか。
彼はまだ伸びる、いずれは四天王、チャンピオンすら超えた存在になりうる。
(……クラクラしちゃう)
うっとりとした視線を、グリードに送るカミツレ。
トレーナーとして、ジムリーダーとして、そして1人の人間として、彼のような存在と戦える事に感謝さえ覚える。
――けれど、カミツレにも意地やプライドはある
(わたしはこのライモンジムのジムリーダー、その誇りは……決して砕かせはしない!!)
「っ」
おもわず身構えるグリード。
――カミツレの瞳に、今まで以上の強い光が宿った。
これから、更に厳しいバトルになる事を予感させる程に……強い光を。
「グリード君、貴方と貴方のポケモン……見てるとクラクラしちゃうくらい素敵よ。
けど負けない、わたしは……必ず貴方に勝つわ!!」
「……俺だって、最後の最後まで絶対に負けません!!」
互いに睨み合うように見つめ、カミツレは最後のポケモンを場に出す。
「――ジバコイル、あなたが輝く時がやってきたわよ!!」
「――ジバババ」
(ジバコイル……)
最後のポケモンも強敵だ、しかしグリードもティアも楽しげに笑みを浮かべている。
「ティア、いけるな?」
「クォォォゥ!!」
任せて、そう言わんばかりの気迫でティアは鳴いた。
「よし、ラスターカノン!!」
「クゥゥゥゥゥ!!」
白銀の光線が、ティアの口から放たれる。
まっすぐ向かってくるそれを。
「ラスターカノン!!」
「ジバババ……!」
同じくラスターカノンを発射し、容易く相殺させるジバコイル。
「ジャイロボール!!」
「ジバババ……!」
身体を高速回転させるジバコイル、そのままティアへと向かっていく。
「真っ向勝負だ、はがねのつばさ!!」
「クォゥ!!」
両の翼を硬質化させ、ジバコイルとぶつかり合うティアだったが……。
「クォゥ……!?」
弾かれ、きりもみしながら地面に落ちていく。
「アイアンヘッド!!」
「ジバババ……!!」
回転を止め、落ちていくティアに向かって再び突撃するジバコイル。
「負けるなティア、ドラゴンクロー!!」
「ッ、クゥ、クォォゥ!!」
グリードの声を聞き、地面すれすれで体勢を立て直し、向かってくるジバコイルを両腕のドラゴンクローで迎え撃つ。
再びぶつかり合う両者、しかし今度は互角だったのかお互いに弾かれる結果となった。
「でんじほう!!」
「ジババッ!!」
「りゅうのはどう!!」
「クゥゥゥ……クォゥ!!」
弾かれた身体にブレーキを掛けつつ、同時に技を繰り出すティアとジバコイル。
両者の攻撃空中でぶつかり合い、互いに相殺された。
(凄い……まだ戦えるなんて……!?)
ティアのダメージは甚大だ、大きく息を荒げているその姿を見れば一目瞭然だった。
しかし、彼女はそんな手負いの状態でありながら、ジバコイルと互角に戦っている。
全ては主人の勝利のために、そしてグリードもティアの気持ちを理解しているからこそ、無理な戦いを強いている。
グリードだけならば、すぐにティアを戦わせないようにボールへと戻すだろう。
しかし、彼はそんな優しさを他ならぬティア自身が望んでいないという事を理解している。
ポケモンが何を願い何を望むのか、それをバトルの最中に気づく事ができるグリードは、間違いなくトレーナーとして次のレベルへと到達していた。
だが、それは無論カミツレも同じ。
元々強い彼女は、グリードとの再戦を夢見て類い希な努力を重ねている事を、フウロは知っている。
だからこそ、この勝負はどちらが勝つかまるで予想できない。
「ラスターカノン!!」
「ジババッ!!」
「かわしてみずのはどう!!」
「クゥ、クォォゥ!!」
迫るラスターカノンを左に避け、すぐさまみずのはどうで反撃。
それは見事ジバコイルに命中し、相手の身体をぐらつかせた。
「はかいこうせん!!」
「クォォォォゥ!!」
裂帛の気合いを込め、放たれるはかいこうせん。
「ジババ……!?」
体勢を崩したジバコイルは避けられず、まともに受け地面に落ちた。
しかし……はかいこうせんは使用した後、反動で動けなくなる。
「でんじほう!!」
「ジバババ!!」
土煙から飛び出し、その場から動けないティアにでんじほうを叩き込むジバコイル。
「クゥゥゥゥゥ……!!」
凄まじい威力の電撃に包まれ、ティアの身体が地面に落ちた。
「次で終わりよ。ジャイロボール!!」
「ジバーッ!!」
トドメを刺そうと、ジバコイルが迫る。
――その一瞬の間に、ティアとグリードは互いに視線を合わせ
「(……ごめん、ティア)―――りゅうせいぐん!!」
心の中ですまなそうに謝罪しながら、ティアに指示を出した。
「クォォォォ……クゥゥゥッ!!」
迫るジバコイルに避ける動作も見せず、空中にりゅうせいぐんを撃ち出すジバコイル。
「クァゥ!!」
その一瞬後にジバコイルの攻撃が命中し、今度こそティアは倒れてしまった。
――“置き土産”を残して
「ジバコイル、りゅうせいぐんが来るから回避なさい!!」
「ジバッ、ジバッ、ジバババ……!?」
カミツレの言う通り、りゅうせいぐんが迫ってきたので、ジバコイルは回避していくが……数発は避けきれず命中する。
まさしく、ティアの最後の力であった。
……あの時、あの瞬間、ティアにもグリードにもこれ以上ジバコイルとは戦えないというのがわかってしまった。
だからこそ、ティアは後続に残っているクチートの助けに少しでもなろうとして、すてみのりゅうせいぐんを放ったのだ。
無論、それに気づいたグリードは止めさせたかったが……それはトレーナーの傲慢だと悟る。
あくまでトレーナーは、実際に身体を使ってバトルするポケモンの力を十二分に引き出す存在だ、ならばティアの気持ちを蔑ろにするのは間違いである。
その結果――ティアも戦闘不能になってしまったが。
「……お前の頑張り、無駄にはしないぞティア。クチート、これで最後だ……決めてくれ!!」
「――クチーッ!!」
(互いに最後の一体……グリード、カミツレさん、頑張って!!)
フウロだけでなく、会場に居る誰もが静かにこの戦いを見送る中。
「――ラスターカノン!!」
「かえんほうしゃ!!」
ラストバトルが、遂に幕を開いた。
「ジバババ……!」
「クチャーッ!!」
まず初めの攻撃は、相殺に終わった。
「ソニックブーム!!」
「ジバッ!!」
先に次の手を仕掛けたのはジバコイル、刃状の衝撃波をクチート目掛けて撃ち込んだ。
「かわせ!!」
「クチッ!!」
小ジャンプを繰り返し、幾重にも迫るソニックブームを回避するクチート。
「かえんほうしゃ!!」
「クチクチャーッ!!」
すかさず、ジバコイルの弱点であるほのおタイプの攻撃を繰り出し、見事命中させる。
「アイアンヘッド!!」
「ジバ、ジババッ!!」
よろけながらも、ジバコイルは反撃に移った。
「きあいパンチで迎え撃て!!」
「クチクチクチ……!」
小さな右手で拳を作り、向かってきたジバコイルに打ち込む。
ぶつかり合い、互いに一歩も譲らない押し合いを見せたが。
「ほうでん!!」
「っ、逃げろクチート!!」
「ジバババッ!!!」
「クチーッ!!?」
鍔迫り合いのまま、強力な電撃を放つジバコイル。
グリードの指示も虚しく、クチートの身体はジバコイルの電撃に包まれ更に。
「でんじほう!!」
「ジバーッ!!」
「グ、チィ……!?」
零距離からのでんじほうを受け、クチートの身体が宙に浮き、ゴロゴロと地面を転がっていった。
「クチート!!」
「……ク、チ……」
グリードの声に反応する為にクチートは返事を返すが、その声が明らかに弱々しいものだった。
ほうでんからのでんじほう、今までのダメージを考えると戦闘不能になってもおかしくはない。
すなわち――あと一撃でも受ければ、間違いなくクチートは負ける。
「頑張れクチート、立ってくれ!!」
「ク、クチ……」
クチートとて早く立ちたい、だが身体が言うことをきいてくれないのだ。
それを見て、カミツレはクチートの闘志に感嘆するが……。
「ジバコイル、もう終わりにしてあげましょう」
これ以上は待つ道理はないと、ジバコイルに指示を出す。
「くっ……!!」
「でんじほう!!」
「ジバーッ!!」
最後の一撃であろう、ジバコイルの攻撃がグリードに放たれる―――!
ここでようやく起き上がったクチートだが、もはや身体を動かして回避する事は不可能。
「(だったら……!)クチート、地面に向かってラスターカノン!!」
「っ」
「ク、クチャーッ!!」
地面に牙を埋め込み、そのまま白銀の光線を撃ち出すクチート。
するとその勢いに押され、クチートの身体が空中へ飛びでんじほうの一撃も回避する事に成功した。
しかし、カミツレとてそれを読んでいなかったわけではない。
(やっぱり、まだ諦めないと思ったわ……!)
彼の勝負における執念と根性がどれだけ強いか、カミツレは知っている。
だから、必ずでんじほうの一撃を回避するとは思っていたのだ。
「この勝負、わたし達の勝ちよグリード君!! ジバコイル、ジャイロボール!!」
「ジバババッ!!」
空中に逃げたクチートを今度こそ仕留める為、ジバコイルの最後の一撃が繰り出された。
「負けるもんか……絶対に、負けるもんか!!」
「クチーッ!!」
ラスターカノンの発射を止め、クチートは自らの身体を回転させながら――ジバコイルへと向かっていく。
「クチート、お前の根性を見せてやるんだ!! 最大パワーの……アイアンヘッド!!」
「クチクチクチ……!」
回転による勢いを上乗せさせ、クチートはジバコイルと真っ向からぶつかり合う―――!
その衝撃に辺りは突風が吹き荒れ、グリードとカミツレはおもわず顔を手で覆い足に力を込めた。
「ジバ……!!」
「クチィィィィッ!!」
クチートとジバコイル、互いの意地を賭けたぶつかり合いは、まだ続く。
「頑張れクチート!!」
「ジバコイル、負けないで!!」
「ジバァァァッ!!」
「クチャーッ!!」
一際大きな鳴き声を発し、そして……互いの攻撃は相殺という結果に―――
「まだだぁっ!!」
「っ!!?」
「クチート、きあいパンチだぁぁぁっ!!!」
「ッ、クチィィィィッ!!」
もはや体力は限界、それでもクチートは主の声を聞き入れ、地面に着地すると同時に両腕によるきあいパンチの体勢に入る。
「ジバコイル!!」
「いっけぇぇぇぇぇっ!!!!」
「クチクチクチ……!!!」
跳躍するクチート、ジバコイルは……まだ体勢を立て直しきれていない!!
そして……。
「ク、チィィィィッ!!」
「ジバァッ!!?」
クチートの両腕によるきあいパンチは、ジバコイルの身体に深々と打ち込まれ、地面へと叩き落とした。
「――クチッ」
無事に着地するクチート、ジバコイルが叩き落とされた場所は土煙が舞っている……。
やがて、その煙も消えていき。
「……ジバァ〜……」
ジバコイルは、立ち上がる事ができないでいた。
「ジバコイル戦闘不能、クチートの勝ち。よって勝者、グリード選手!!」
「――やったぁぁぁぁぁっ!!!」
「クチクチィッ!!」
同時にその場で跳び上がるグリードとクチート、観客席からは割れんばかりの拍手が巻き起こった。
「キャーッ、やったねグリード!!」
「おわぁっ!!?」
後ろからの衝撃に、身構えていなかったグリードは見事にすっ転んでしまう。
「あ……ごめん」
「いてて……フウロ、喜んでくれるのは嬉しいけどさ、もう少し加減して抱きつけよな……」
少し恨めしげな視線を送るグリードに、フウロは苦笑。
そんな彼等に、ポケモンをボールに戻したカミツレが近づく。
「ありがとうグリード君、本当に楽しいバトルだったわ。
今まで培ってきたトレーナーとしての力を、全て引き出せるような素晴らしいバトルだった」
「いえ、俺も本当に楽しかったです。それに……改めてまだまだ未熟だってわかりましたから」
「ふふっ……本当に、貴方は素敵な人ね、クラクラしちゃう」
「へ?」
……いや、待て落ち着け。
カミツレの言葉はトレーナーとしてだ、変な意味では決してない。
おかしな解釈をしそうになったので、グリードは慌てて自分に言い聞かせた。
立ち上がり、クチートをボールに戻す。
「きっと貴方なら、イルミナリーグで優勝できるわ。頑張ってね」
「はい。ありがとうございます!!」
固い握手を交わすグリードとカミツレ、周りからも惜しみない拍手が送られる。
と、カミツレは思い出したかのように口を開く。
「そういえば……もう貴方はボルトバッジを持っているから、わたしに勝った時の賞品を考えてなかったわね」
「えっ、いえ、別にいいですよそんなの」
グリードとしては、カミツレという素晴らしいトレーナーとバトルができただけで充分なのだ。
しかしカミツレは納得しないのか、グリードの提案を無視し暫し思案顔を浮かべる。
すると……何故か、少しだけ楽しそうな笑みを見せ始めた。
「………?」
そんな彼女に首を傾げるグリードとフウロ、するとカミツレはだんだんと自分の顔をグリードへと近づかせて……。
「――貴方がこれからも、周りを輝かせる人でありますように」
「………えっ?」
カミツレがそう告げたとわかった瞬間。
グリードの額に、暖かくも柔らかな感触が……。
「なぁっ!!?」
フウロからは驚愕の声が、観客席からは悲鳴や黄色い声が響き渡った。
「……今」
キスを、された。
額とはいえ、トップモデルのカミツレに……。
「カミツレさん!!」
がーっ、と怒るフウロに、カミツレは不適な笑みを見せ。
「いいじゃない。唇じゃないのだから」
しれっと、悪戯をした子供みたいな言い方でそう返してきた。
「そういう問題じゃありませんよ!!」
これにより、フウロの怒りは(当然ながら)増してしまった。
一方、グリードはというと……。
「……あはは」
こうなってしまえば、引きつった笑みを浮かべる事しかできないのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「――お待たせ!」
外で待つフウロに、ポケモンセンターから出てきたグリードが声を掛ける。
「………むぅ」
しかし、フウロは頬を膨らませ不機嫌そうだ。
「あのさぁ……カミツレさんのあれは、激励みたいなものだって」
「どうだか。あれは本気の目だったよ」
「まさかぁ、カミツレさんが俺を好きだっていうのか?」
そんなわけないだろーと笑うグリードに、フウロは内心ため息をついた。
(もぅ……相変わらず鈍感なんだから)
「さてと……それじゃあ出発するか」
「ところで、次はどこに行くのか決めてるの?」
「ああ、サザナミタウンに行こうと思ってるんだ。イルミナリーグまでまだ時間はあるし、みんなをゆっくり休ませてあげたいからさ」
「サザナミタウンかぁ……」
あそこはリゾート地として有名な場所だ、それに……あそこは温暖な気候に包まれているので、冬に近い今でも海に入る事もできる。
(……水着でグリードにアピールするチャンス!!)
小さくガッツポーズをしながら、頭の中で計画を立てるフウロ。
そんな彼女に気づかないまま、グリードはサザナミタウンに向かって出発しようとして……。
「………………あ」
そこでようやく、ある事に気が付いた。
「? どうしたの?」
「……何か忘れてたような気がしてたけど、ようやく思い出した」
「何を忘れてたの?」
「―――レシラムとゼクロム、ほったらかしだった」
「………………は?」
…………。
一方。
「ええぃ、いい加減にしてくれレシラム!!」
「いいではないか。あともう一回くらい!」
「何十回目の「もう一回」だと思ってるんだお前は!!」
先程から繰り返し遊園地のアトラクションに乗っているレシラムに、遂にゼクロムも我慢の限界を迎えていた。
人間の娯楽を体験するのは初めてだから、少しくらい羽目を外しても仕方ない、ゼクロムとて初めはそう思っていた。
だが……レシラムはすっかり遊園地にハマってしまい、まるで子供のようにはしゃぎ回っている始末。
「グリード、頼む……今すぐにコイツを止めてくれーーっ!!!」
ゼクロムの悲痛な絶叫が、虚しく響き渡る。
「よし、もう一回あのジェットコースターとやらに乗るぞ、ゼクロム!!」
「いい加減にしろーーーーーっ!!!」
To Be Continued...
【ツタージャ】♀ 【ムクホーク】♂ 【ミロカロス】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・つるのムチ ・はがねのつばさ ・たつまき
・リーフブレード ・かぜおこし ・アイアンテール
・真・リーンフォースブレード ・でんこうせっか ・ハイドロポンプ
・かげぶんしん ・つばさでうつ ・れいとうビーム
・へびにらみ ・つばめがえし ・じこさいせい
・リーフストーム ・ブレイブバード ・ふぶき
・リーフブレード二段斬り ・インファイト ・アクアリング
・エナジーボール ・かげぶんしん ・アクアテール
・はかいこうせん ・みずのはどう
【オノノクス】♂ 【コジョンド】♀ 【グライオン】♂
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・ダブルチョップ ・みきり ・シザークロス
・シャドークロー ・はっけい ・れんぞくぎり
・りゅうのいかり ・とびひざげり ・ほのおのキバ
・ドラゴンクロー ・はどうだん ・クロスポイズン
・りゅうのいぶき ・おうふくビンタ ・ギガインパクト
・りゅうせいぐん ・ギガインパクト ・はがねのつばさ
・あなをほる ・ドレインパンチ
・りゅうのはどう ・ストーンエッジ
・はかいこうせん ・きあいパンチ
・かみなりパンチ
【クチート】♀ 【ラティアス(ティア)】♀ 【ゴチミル】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・てっぺき ・ラスターカノン ・ねんりき
・アイアンヘッド ・じこさいせい ・ひかりのかべ
・かえんほうしゃ ・はかいこうせん ・サイケこうせん
・ねごと ・りゅうのはどう
・ラスターカノン ・りゅうせいぐん
・かみくだく ・れいとうビーム
・ドラゴンクロー
・はがねのつばさ
【ピカチュウ】♂ 【キュウコン】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】
・10まんボルト ・かえんほうしゃ
・アイアンテール ・ほのおのうず
・ボルテッカー ・じんつうりき
・でんこうせっか ・エナジーボール
・かみなり ・アイアンテール
・ボルテッカー・アイアンテール