グリードくんのイルミナ学園奮闘日誌【完結】   作:マイマイ

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サザナミタウンで、暫しのんびりする事になった俺達。

さて、今日はどんな1日になるのかね?


第125話 〜レシラム、ゼクロム、意地っ張りな2人〜

「――フウロ、抜け駆けするなって言ったわよね?」

「あ、あははー……」

「笑って誤魔化せると思っているのか?」

「だとしたら甘いよ、フウロちゃん」

「…………」

 

こんにちは、グリード・エグフィードです。

今俺は、エグフィード家の別荘に居ます。

暫くサザナミに滞在すると決めたので、母さんとセリーヌさんに許可を貰い、フウロと共に別荘で一晩共にしたのですが。(もちろん、別々の部屋で寝ました)

次の日の朝、この別荘に訪問者が現れ……その訪問者とは、カレンとアオイとソラネだった。

そして今、その3人はフウロに正座させて説教中。

 

「まったくもぅ……アンタって人は」

「だ、だって……みんな学園から居なくなってて暇だったから」

「仕事しなさい!!」

「ま、まあまあ……3人共落ち着いてくれよ。ところで一体どうしてサザナミに来たんだ?」

「お前の知ってる通り、私達は一度学園を離れてそれぞれ特訓に励んでいたんだ」

「けど特訓も一段落して、その……グリードくんに会いたいなぁって思ったの」

「それに、サクラからアンタの無事を聞いたとはいえ、心配になったのよ。

 それでエグフィード家に電話をしたら……アンタはフウロと一緒にサザナミに行ったなんていうから……」

 

ギロリと、フウロを睨むカレン。

ああ……フウロがますます小さくなっていく……。

 

「けど、よくエグフィード家に連絡できたな」

「理事長が教えてくれたんだ」

……キキョウさん、勝手に教えないでください。

まあけど……心配してくれたのは嬉しいから、いいか。

 

「じゃあ、みんな暫くサザナミに居るのか?」

「そのつもり…というか、アンタがいるまではここに居るわよ」

「ん、りょーかい」

部屋ならまだまだ余っているのだ、カレン達を泊まらせるくらいわけない。

部屋割りを決めないと、そう思っていた時だった。

 

「ふーっ、さっぱりした!!」

バンッと勢いよく扉が開かれ、現れたのは……レシラム。

「ぶっ!!?」

レシラムを見た瞬間、おもいっきり吹き出した。

「ちょ、おま、何て格好してんだ!!」

現れたレシラムは、バスタオル一枚だったのだ。

風呂に入ってたのは知ってたけど、何でバスタオル一枚で出てくるんだよ!!

 

「なっ、グリードアンタ……あたし達だけに飽きたらず、また増やしたの!?」

「し、しかも何て破廉恥な……!」

「グリードくんのエッチ!!」

「違う違う!! 彼女はそういうわけじゃないんだって!!」

あーもう、どうしてこうタイミングの悪い……。

 

「何をやってるんだ貴様は!!」

「いにゃっ!!?」

 

ゴンッという音が周りに響く。

ゼクロムがレシラムの頭に、渾身のゲンコツを与えたのだ。

うわー……痛そう。

ゼクロムの登場により、カレン達は目を点にしてしまった。

よし、今の内にみんなを落ち着かせて説明しないと。

 

―――説明中

 

「――それ、もしかして新手の冗談?」

「冗談じゃなくて真実だ、信じられないだろうけどな」

「………まあ、アンタがそんな冗談を言うとは思えないけど……」

言いながら、チラリと視線を送るカレン達。

その先には……正座をしてゼクロムにガミガミ怒られているレシラムの姿が。

もちろん、今はちゃんと服を着てます。

 

「……アレ、本当に伝説のポケモン?」

「アレとか言うな。……気持ちはわかるけど」

「ポケモンが人間になるというのは、ティアで体験済みだが……物凄い美人だな」

「うん……完全に負けてる」

俯き落ち込み出すアオイとソラネ。

いや、人間じゃないんだから仕方ないだろ……。

 

「――だぁーっ、いい加減にしろ!!!」

「……?」

突然、レシラムが怒鳴り出し場の空気が止まる。

見ると、レシラムが立ち上がりキッとゼクロムを睨んでいた。

おいおい、なんか雲行きが怪しくなってないか?

 

「いい加減にするのは貴様だレシラム、人間になったのも久しいから大目に見てきたが……調子に乗りすぎだ。

 主であるグリードに迷惑をかけるなどあってはならない事だ、あくまで我等がグリードの傍にいるのはこちらの勝手な我が儘ではないか。

 だというのに、お前は好き勝手振る舞い迷惑ばかり……」

「うるさいうるさいうるさい!! お前は本当に小言が多すぎる!! 私はお前の下僕でも部下でもない!!」

「事実を言っているだけだ、現にグリードが困っているではないか。まさか、そんな事もわからないのか?」

「うっ……」

冷ややかな問いに、レシラムは小さく唸り視線を逸らす。

 

「もう少し頭を冷やすんだな、そもそもお前と我は人間から英雄と呼ばれている存在だぞ?

 その呼び名に恥じない振る舞いをするばかりか、その名を汚すような行動ばかり……呆れ返って笑いすら出てくる」

「お、おいゼクロム……」

さすがにそれは言い過ぎだ、そう言おうとした瞬間。

 

「うっ――うわぁぁぁぁぁん!!! ゼクロムのアホーーーっ、そんな小姑みたいな事ばかり言うお前なんかハゲてしまえーーーっ!!!」

「なっ!!?」

レシラムが子供みたいに泣き出しながら、ゼクロムに対してこれまた子供みたいな捨て台詞を言い放ち飛び出していってしまった。

「待てレシラム、我はまだハゲんぞ!!」

「その反論は的確じゃない」

レシラムがアホな事を言うものだから、ゼクロムもそれに感化されてしまったのだろうか?

はぁ……喧嘩するなよな。

 

「ゼクロム、ちょっと言い過ぎだぞ」

「我が悪いというのか?」

「そうじゃないけど、レシラムだって悪気があったわけじゃないだろ?

 ただはしゃいじゃっただけで、楽しくやってるからいいじゃないか」

まあ、さっきみたいな事はさすがに勘弁願いたいけど。

 

「むぅ………」

あ、拗ねた。

確かにゼクロムの言い分の方が正しいから、否定されるとは思わなかったのだろう。

とはいえゼクロム……お前も結構子供だな。

「……しょうがねえな」

ため息をつき、立ち上がる。

「グリードくん、どこに行くの?」

ソラネの問いに、俺は苦笑しながら。

 

「一応、主人だからな」

そう答えて、外に出た。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「――おい、そこの拗ねラム」

「レシラムだ。拗ねラムじゃない」

サザナミ海岸から少し離れた岩場。

その岩の一つに体育座りで座ってるレシラムに、皮肉めいた名前を付けてやった。

 

「ほら、拗ねてないで帰ってこい」

「拗ねてないと言ってるだろう!」

いや拗ねてるだろ、さっきから唇尖らせてるし。

……しょうがねえな、本当に。

「確かにゼクロムの言い方も良いとは言えないさ、けどお前だって自分にも悪い所があるって認めてるんだろ?」

「…………」

ぷいっとそっぼを向くレシラム、図星だったらしい。

その姿は、自分は悪くないと精一杯強がっている子供と同じだ。

 

「……似てるな、昔の俺と」

「なに……?」

「今のお前だよ。昔の……今よりもずっとガキだった俺に、そっくりだ」

「わ、私が子供だというのか!?」

「少なくとも、そうやって意地を張ってる部分はな」

「…………」

 

睨まれた。

けど自分でも思う所があるのか、反論はしてこない。

 

「――昔、一度だけセリーヌさんと喧嘩した事があるんだ」

「セリーヌ……あのメイドか?」

「そうだよ。……あの時の俺は、両親に見捨てられて命からがら屋敷に戻ってきたばかりだったから、周りに当たり散らしてた情緒不安定な子供だった」

助けてもらえなくて、ポケモン達に救ってもらえなかったら、殺されていて。

しかも、助けてくれたポケモンは……俺の目の前で死んだ。

そんな事があったから、俺は人間を……とりわけ大人という存在全てを憎んでいた。

 

「だからさ、色々と俺のために尽くしてくれるセリーヌさんにも、いつも辛く当たってた」

それでも、セリーヌさんは嫌な顔一つせずに、甲斐甲斐しく俺の世話をしてくれた。

けど……その態度すら、俺には信じられなくて……。

「ある日、言っちゃったんだ。『もう放っておいてくれ、俺を必要としてくれる奴なんかいない、俺なんか死んでしまっても誰も悲しまない』ってさ」

 

その瞬間――セリーヌさんに叩かれた。

それも加減なんか微塵もない本気の平手打ち。

「叩かれた瞬間は、どうして自分が叩かれたかわからなかったから、怒鳴ってやろうとしたよ。

 そしたらさ……セリーヌさん、泣いてた」

 

『わたくしは、あなたに死んでほしくありません』

『わたくしは、あなたが必要だと思っています』

 

涙ながらに、そう訴えられた。

……その後は、よく覚えてない。

ぎゃんぎゃん喚いて、言い争って、最後には取っ組み合いになった。

今思うと、セリーヌさんも意外と大人気なかったなぁと思う。

さんざん暴れた後……俺は泣いた。

セリーヌさんの言葉が真実だってわかって、酷い言葉や態度を彼女にぶつけていた事を、激しく後悔した。

 

「それからだよ、自分の心に正直になろうと思ったのは」

「………結局、何が言いたいんだ?」

「別に謝れなんて言うつもりもないし、思ってもいない。

 ただ、後悔するとそれが全て自分に返ってくるぞって話をしただけさ」

「…………」

それだけ言うと、俺はその場を後にする。

さて……後はレシラムとゼクロムの問題だ、俺がこれ以上首を突っ込む必要はないな。

 

…………。

 

「おかえり」

「あれ? カレン」

別荘に戻ると、俺を待っていたのかカレンが出迎えてくれた。

「みんなは?」

「海に行ったわよ、どうせなら泳ぎたいって言ってたから」

「ふーん……で、お前は?」

「あたしは別に泳ぎたい気分じゃないって断ったの。……それより、レシラムの所に行ってたの?」

「まあな。ところでゼクロムは?」

「いないわよ、さっきどっかに行っちゃった」

 

謝りに行ったのかな?いや……あいつも意地っ張りだから、たぶん違うな。

やれやれ、伝説のポケモンといってもやっぱり生き物なんだな、喧嘩している所を見るとそれがよくわかる。

 

「アンタも泳ぎに行くの?」

「……いや、ちょっと散歩に行ってくる」

サザナミの近くにある森の中、あの中には色々なポケモンが居そうだし……散歩にはもってこいだろう。

俺がそう言うと、カレンは口元に笑みを浮かべ。

「じゃあ、2人だけで行くとしますか」

そう言って、俺の腕に抱きついてきた。

 

「えっ?」

「何よ、嫌なの?」

「いや、そうじゃないけど……」

みんなにバレたら、また一波乱ありそうだな。

まあ……それでもいいか別にと思ってしまう辺り、俺もだいぶこの状況に慣れてしまったのだろう。

……それが喜ぶべきものなのかは、別物だけど。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

――鬱蒼と生い茂る木々

その間を縫うように、俺とカレンは歩を進めていた。

 

「うーん……森の中は静かだから、落ち着くわね」

「それに、ポケモン達もたくさん居るし」

視線を上に向ければ、飛んでいるハトーボーの群れや、木に実付いているきのみを食べているクルマユなど、ポケモン達の姿を視界に捉える事ができる。

「それにしても……サクラは来なかったんだな」

てっきり、あいつも一緒だと思ったのに。

 

「こーら」

「ひててて……」

頬を抓られた、それも結構強めに。

 

「あたしと一緒に居るのに、他の女の子の話をするの? デリカシーが無いわねアンタは」

「うっ、ごめん……」

「まあ、アンタにロマンチックな事を望んでも仕方ないってわかってはいるけどね。

 サクラなら来ないわよ、むしろイルミナリーグまでアンタと顔を合わせるつもりはないってさ」

「えっ?」

「アンタ、何かしたんじゃないの?」

「うーん……」

 

何かをしたつもりはないんだけどな……そう思いつつ、心当たりを探してみる。

……が、やはり思いつかない。

 

「ほら、一応デート中なんだから今はあたしの事だけを考えなさい」

また抓られた。

「はぁ……アンタってば本当に、あたし達の誰も特別扱いしないわね」

「へ?」

誰も特別扱いしてない?

「今はサクラの事を考えてたけど、すぐにあたしに振り向いてくれたじゃない。

 普通4人も想いを寄せる相手が居たら、誰かを贔屓するか全員を手込めにしようとするはずよ」

「手込めって……」

「けどアンタは違う、ちゃんと真剣にあたし達の中から誰かを選ぼうと考えてくれてる。

 そして選ぶまでは絶対に誰も特別扱いしない、そういう気持ちが伝わってくるの」

「…………」

 

そうかなぁ……?

確かに、みんなの中からちゃんと選ぼうとは考えているけど……。

 

「アンタが変わらない愛情を全員に注いでいるから、あたし達は仲良くやってるのよ?

 普通なら、修羅場なんてレベルじゃない状況になるんだから」

「……けど、俺まだ決められてないよ? みんないい子だから……むしろ俺みたいな優柔不断な奴でいいのかなってさえ思えてくるんだ」

それなのに、みんなは急かす事なく俺の答えを待ってくれてる。

それが申し訳なくて……そう思っていたら、カレンはとんでもない事を言い出した。

 

「だったら、みんな選ぶっていうのも一つの手かもね」

 

「…………は?」

何ですと?

全員を選ぶ?

「あたしも今の状態を気に入ってるし、アオイ達だってたぶん同じ気持ちだと思う。

 だったら、そういうのもアリだと思わない?」

「いや……うーん」

 

どうなんだろ……というか、そんな事考えたこともなかった。

全員を選ぶ、か……。

……いやいや、何真剣に考えてるんだよ。

それはさすがに拙いだろ、一夫多妻?

って、まだ結婚とかおかしい……ふぅ、もう少し落ち着け俺。

カレンの奴、変な事言うなよな……。

軽く混乱状態になりながら、歩を進めていると。

 

「あ……」

「お……」

前方に、見慣れた人物が2人。

『…………』

互いにむすっとした表情を浮かべ、睨み合っているのは……レシラムとゼクロム。

おいおい……お前達のプレッシャーで周りのポケモン達が恐がってるぞ。

まさかポケモンの姿に戻って喧嘩しないだろうな、そう思いつつ事の成り行きを見つめる事に。

ちなみに、カレンも2人のプレッシャーにあてられ俺の腕にしがみついている。

そして……レシラムがぽつりと口を開いた。

 

「………おい」

「………何だ?」

一触即発とはこの事か、ますます2人の睨み合いは激しくなる。

あっ、マメパトが木から落ちた……。

 

「………その、何だ」

「………?」

口を開いては閉じ、開いては閉じを繰り返し……それを暫く続けた後、レシラムはようやく言いたい言葉を紡ぎ出す。

「その…………すまん」

言った瞬間、レシラムはぷいっとそっぽを向く。

……素直じゃないな、本当に。

彼女の態度に、ゼクロムは一瞬キョトンとなり、しかし……気まずそうに言葉を返した。

 

「いや…………我も、その、言い過ぎた。すまない……」

「う、うむ……まあ、今回はお互い様という事にしよう」

「……そうだな」

『…………』

やれやれ、仲直りしてくれたか。

 

「ふふっ……アンタも大変ね」

「? 何が?」

「仲直りしてほしくて世話焼いたんでしょ?」

「………まあ、ね」

カレンに見透かされ、少し恥ずかしくなって視線を逸らす。

とはいえ、これで一件落着だ。

めでたしめでた……。

 

「だがレシラムよ、さっきに『ハゲてしまえ』発言は、別に謝ってもらうぞ。

 我はハゲたりしない、だからその件は謝れ」

…………あれ?

 

「何を言うか、そんな小姑みたいな事ばかり言ってるお前は、将来絶対にハゲる。

 だから、私は間違った事は言ってないから謝る必要はないだろう?」

ちょ、あるぇ〜?

 

「貴様、またハゲると言ったな? だから我はハゲんと言っているだろう!!

 大体、誰が小姑だというのだ! お前がちゃらんぽらん過ぎるだけだろう!!」

「ちゃらんぽらんとは何だ!!」

『…………』

俺とカレンは、2人してポカンとしてしまった。

お前等……仲直りしたばかりなのに、また喧嘩かよ……。

しかも、何てレベルの低い言い争いなんだ……。

 

「……戻るか?」

「そうね。これ以上こんな茶番を見せられたらたまらないわ」

絶対零度の瞳を向けながら、カレンはそう言い放つ。

それに黙って頷きを返し……俺は、カレンと共にその場を後にした。

 

………もう、一生やっててくれ。

 

 

 

 

To Be Continued...




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【使えるわざ】            【使えるわざ】        【使えるわざ】
・つるのムチ            ・はがねのつばさ     ・たつまき
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・真・リーンフォースブレード  ・でんこうせっか      ・ハイドロポンプ
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・リーフストーム           ・ブレイブバード      ・ふぶき
・リーフブレード二段斬り    ・インファイト        ・アクアリング
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