グリードくんのイルミナ学園奮闘日誌【完結】   作:マイマイ

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バトル大会が終わり、パーティーが始まった。

けど、リースを狙ってポケモン達が暴れ回り……どうにか鎮圧する事ができた。

そしたら、今度はミュウとセレビィまで現れて……もう、一体どうなってるんだ?


第130話 〜王族の試練、目指せ古の社!!〜

「―――護衛?」

 

パーティー騒動が終わり、静寂に包まれた謁見の間。

俺とアヤト、セリーヌさんにレシラムとゼクロム、リースにミュウとセレビィ。

そして、リースの両親……すなわちこの国の王様と王妃様だけがこの場に残っていた。

まずは王様達に感謝の言葉を告げられ、その後……リースの護衛をお願いしたいと頼まれてしまった。

 

「それはどういう意味だ? よもやまた襲撃があるかもしれないから、グリードに王女を守れというのではあるまいな?」

鋭い眼光、並の人間ならそれだけで萎縮してしまうゼクロムの睨みを向けられながら、王様は長く伸びた白い髭をいじりながら困ったように言葉を返す。

「うむ、当たらずとも遠からずといった所か……」

「はっきりしない男だな、話が長くなりそうだから単刀直入に言え」

「レシラム、ゼクロムも少し落ち着けって。それに王様に対して失礼だろ?」

「構わぬ。……実はな、近々リースにはこの国のしきたりとして古の社へと向かってもらう事になっているのだ」

「古の社?」

 

「我が国には、王位継承の資格ある者が16になった時、この国の北にある古の社に向かい、森の神へと祈りを捧げるというしきたりがある。

 だが最近、リースの周りで不穏な動きがあるという情報があってな」

「そこで、グリードに護衛を頼むというわけか……勝手な上に随分と都合の良い話だ」

「レシラム」

言い過ぎだぞ、そんな視線を送るとレシラムはそっぽを向いて黙ってしまった。

だけど、レシラムもゼクロムも俺を第一に考えてくれているからこその言葉だから、感謝していないわけじゃない。

 

「――どうか、お願いできませんでしょうか? この子を、守ってください」

「お母様!?」

突然王妃様が立ち上がり、俺達に向かって深々と頭を下げる。

……仕方ないか。

「だが断る!!」

「レシラム、お前はもう黙ってろ」

視線も合わせずにそう言って、俺は……答えを返した。

 

「わかりました、お引き受けします」 

『はぁぁ〜……』

俺の答えを聞いた瞬間、レシラムとゼクロムはわざとらしくおもいっきりため息を吐いた。

しょうがないだろ、ここまで聞いておいてほっとけるかよ。

 

「けどいいんですか? 俺だって今日会ったばかりの存在ですよ?

 もしかしたら、助けると見せかけて……なんて事は考えないんですか?」

「もしお前達がリースを狙っているなら、このような回りくどい事はしないはずだ。

 それに何より、ミュウとセレビィがお主に心を開いておる。汚れなき心が無ければこのポケモン達は心は開かんさ」

「汚れなき心……」

俺の周りを楽しそうにふわふわと飛んでいるミュウとセレビィに、視線を向ける。

うーん、懐いてくれてるのは嬉しいけど……簡単に心を開き過ぎじゃないかとも思う。

って、いかんいかん。こんな嫌な考え方はよくないよな。

 

「それで、出発はいつに?」

「明日の早朝だ、すまないが頼むぞ?」

頷きを返す。

「……仕方あるまい、グリードのお人好し具合はよくわかっていたし、付き合ってやるか」

「主が決めた事だ、文句があるのかレシラム?」

「当たり前だ。だがこれ以上言っても致し方あるまい」

後ろで何やら好き勝手言ってるレシラムとゼクロムだけど、とりあえず今は無視。

 

「………?」

と、ここでリースが俺に対して申し訳なさそうな表情を浮かべている事に気づく。

「どうした?」

「い、いえ……護衛の件、どうか宜しくお願いします」

「………うん」

何か言いたげに見えたけど、話したくないという雰囲気を感じ取れたから、俺は結局それ以上何かを訊く事はなかった。

 

…………。

 

「――ひゃっほーい!!」

「遊ぶな!!」

ぴょんぴょんと子供のようにベッドを飛び跳ねるレシラムに、ゼクロムが怒鳴る。

どうでもいいが、見た目は立派な大人の女性がはしゃいでる姿は、なかなかに痛々しい。

「あいたっ!? こらツタージャ、何をする!!」

つるのムチでレシラムの頭を叩くツタージャ、当然ながらレシラムは抗議の声を上げる。

 

「タージャ!!」

「うるさい……って、いいじゃないかちょっとくらい騒いだって!!」

「タジャ!!」

「ぐへっ!? ……うぬぬ、貴様ー!!」

何度も顔面をつるのムチでしばかれ、とうとう喧嘩を始めてしまった。

 

「……頼むから、静かにしてくれ」

「…………」

……そっとしておこう。

そう思い、俺は部屋から抜け出す。

「グリード」

と、部屋を出た瞬間アヤトに声を掛けられた。

 

「よっ、アヤト。もしかして煩かったか?」

「まあそれもあるが……少しいいか?」

「おぅ」

頷きを返し、アヤトと共にカーペットの上を歩いていく。

「やっぱりお城って広いし綺麗だよなー」

壁に掛けられた絵画、天井までの距離は五メートルはあるだろうか、数メートル間隔にシャンデリアが吊されているというのは、さすがというべきか。

「お前の実家もこんな感じだろ?」

「まあ一般よりは広いけど、こんなに立派じゃないよ」

「まあいい。……ところで、本気で王女の護衛を引き受けるのか?」

「引き受けるよ、というかあの場でああ言ったんだから受けるに決まってるじゃん」

「それはそうだが……本当にお前は自分から面倒事に首を突っ込むよな……」

呆れたように、言われてしまった。

 

「それは否定できないけどさ……困ってるし、俺で力になれるなら協力しなきゃ」

「……まあ、お前ならそう考えるか。馬鹿正直でお人好しだからな」

「むっ……」

今日のアヤトは、何だか皮肉屋だ。

別にムカついたりはしないけどさ。

 

「………あのポケモン達、訓練されていたな」

「あのポケモン達って……パーティー会場を襲ったマニューラ達?」

俺がそう言うと、アヤトは頷きを返しつつ言葉を続ける。

「トレーナーにあらかじめ動きを指示されていたのだろう、マニューラ達がリース王女の動きを止めて、カイリキーとオニドリルが連れ去る。

 万が一逃げられてもアリアドス達が待機していた、なかなか良い手だったが……オレ達が居たのは完全なイレギュラーだったな」

「まあな、でもアヤト達が居てくれて本当に助かったよ。俺だけじゃあの子を守りきれなかったし」

しかし、俺の言葉にアヤトは首を振る。

 

「いや、おそらくお前とお前のポケモン達ならば大丈夫だったはずだ。

 あのポケモン達、訓練されていたがまだまだ動きが甘い。トレーナーの実力不足だな」

「手厳しい……」

「オレやお前なら、もっと上手く立ち回らせる事ができるさ」

うわぁ、自信満々。

犯人が聞いてたら泣くぞコレ。

 

――そんな事を話していたら、中庭に辿り着いた

 

やっぱり中庭も手入れが行き届いている、あちこちで照らされたライトが草木を照らし、噴水の優しい流れが静寂の中で静かに響く。

「うーん……! いい風だなー」

周りには森があるから、木々の香りもして心が落ち着く。

 

「――だから、あんな余所者を信頼するのはおかしいよリース!!」

「ロッズ、そんな言い方をしないでください!!」

「………?」

おや、こんな静かな場所だというのに怒鳴り声が聞こえたぞ?

気になって声が聞こえた方へと行ってみると……リースと、1人の少年が言い争いをしていた。

少年の方はリースより少し年上、つまり俺達と同じくらいだろうか。

少し伸びた茶髪に、なかなかに凛々しい顔立ちの少年だ。

 

「リース、どうしたの?」

「あ……グリード様」

「っ、リース、こんな奴等を信頼しちゃいけないよ!!」

初対面の相手をこんな呼ばわりした上に、おもいっきり睨みつけてきてから、少年は逃げるようにその場を去っていった。

「えっと……リース、大丈夫?」

「はい。……ごめんなさいグリード様、不快な想いをさせてしまいました……」

「いや別に、ところであの人誰?」

「……彼はロッズといって、私の幼なじみなんです。

 その……グリード様が私の護衛として古の社に行くのが、気に入らないらしくて……」

「まあ、俺は余所者だからなぁ……」

 

この国の住人として、余所者の俺が王族の関係してる場所に行くのは、反対するのが自然である。

だから彼に対して憤りを感じたりはしないけど……あんな風に嫌われるのはちょっとショックだ。

 

「ミュー……」

「ビイィ……」

「ミュウ、セレビィ」

ふわふわとリースの元に飛んできたミュウとセレビィ。

けれどなんだか元気がない、どうしたのかと思ったら……。

「……リースの事が心配なんじゃないか? ほら、さっき言い争ってたから」

「あ……」

はっとしたような表情を浮かべ、慈しむようにミュウとセレビィの頭を撫でるリース。

 

「……気になっていたんだが」

と、今まで沈黙していたアヤトが口を開いた。

 

「そのミュウとセレビィは、王女のポケモンなのか?」

「いいえ、この子達は誰のポケモンでもありませんよ。

 元々ミュウ達はこの土地に住んでいたわけじゃないんです、セレビィは時渡りの際に多大なエネルギーを消費しますから、休む為に毎年この地に現れるんです。ここは木々に溢れた豊かな土地ですから」

「時渡りかぁ……」

そういえばセレビィは、色々な時代を行き来できる能力があるんだった。

「ミュウは……実はいつこの地に居るのか誰もわからないんです。

 ふらりと現れたと思ったら、またふらりと居なくなって……それの繰り返しなんですよ」

苦笑するリース、どうやらこのミュウは呑気でマイペースや性格らしい。

 

「それにしても、ロッズもどうしてあんな言い方をするんでしょうか……グリード様は純粋に私の心配をしてくれてるだけなのに……」

「まあまあ。……そういえば、試練って具体的には何をするんだ?」

さっき簡単な説明はあったが、詳しくは訊かなかったのだ。

「お父様が仰っていた内容通りです、古の社に向かい祈りを捧げる……。

 そして、社の周りにしか咲かない『百年花』を摘めば試練は終了です」

「ひゃくねんばな?」

「文字通り、一度花が開けば百年枯れる事がないと言われている伝説がある花です」

「ひぇー……百年か」

それはまた、凄い伝説だ。

 

「それはいいが……リース王女、襲われた犯人に心当たりはないのか?」

「…………」

「アヤト」

「知る権利がないとは言わせない、ここまで首を突っ込んでいるのだからな」

だが、リースは口を閉ざしアヤトの質問に答えようとはしない。

言いたくないのか、それとも心当たりがないのか……。

 

「………わからないんです、私がいなくなって喜ぶ人間は、決して少なくないですから」

悲しそうに、ぽつりとそう返すリース。

アヤトもリースの心中を理解したのか、それ以上何か言おうとはしなかった。

 

「あ、あのさ……護衛の件なんだけど、ロッズさんも一緒に行っちゃダメなのかな?」

重くなった空気を振り払うように、自分でもわかるくらいわざとらしく明るい声で言う。

「えっ、ロッズを……ですか?」

「うん。一緒に行くなら彼も俺達を監視できるから安心だし、なによりこのままにしておくと無理矢理ついてくる可能性が……」

そう言うと、リースもその可能性があると悟ったのか、苦い表情を浮かべる。

「リースから、王様に言ってみたら? リースだって、別にロッズさんが来ても迷惑な訳じゃないんでしょ?」

「それは……そうですが、グリード様が不快な思いを……」

「大丈夫大丈夫、それに一時的とはいえ旅に出るんだ。人数が多い方が楽しくなるよ」

……何故か、後ろからアヤトのため息が聞こえた。

 

「――わかりました、今からお父様に行ってまいります。

 ミュウ、セレビィ、他の人に見つからないように私の部屋に戻りなさい」

「ミュ」

「レビィ!」

頷きを返し、ふわふわと飛んでいくミュウとセレビィ。

それを見送った後、リースは俺達に一礼してその場を去っていった。

 

「………お前は、また面倒な事態を引き起こして」

「いいじゃん。それよりアヤトは後ろからこっそりついて来られたりした方がいいのか?」

そうするとは限らないけど、さっきの剣幕を考えるとやらかしそうだ。

アヤトもそう思ったのか、苦い表情を浮かべる。

……なんだか、楽しくなりそうだ。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

――で、次の日。

 

「…………」

「……よ、よろしく」

「フンッ……」

ひどい反応を返された……。

えっと、結局ロッズさんも俺達と一緒に行く事になった。

大人数になったな……レシラム辺り、置いていこうか?

 

「おいグリード、なんて変な事考えなかったか?」

「いや、レシラムは置いていこうかなと……」

「何でそんな酷い事を言うんだ!!」

あっ、考えてる事が口に出ちゃった。

「ゼクロム、グリードが私に優しくない!!」

「グリードもお前の行動に頭を痛めてる証拠だな」

「そうですね。これを機にグリード様の迷惑にならないようおとなしくしていてください」

「ガーン……!」

 

うわぁ、見事な追い討ち。

いや、俺もあまり人の事は言えないけどさ。

 

「グリード、頼むから私を置いていかないでくれ〜!!」

「わ、わかった。わかったからマジ泣きしないでくれ!!」

冗談が通じない奴だな、ほらリースに笑われてるぞレシラム。

……もしこいつがあの伝説のポケモンだと知ったら、絶対ショックを受けそうだ。

「早く行くぞ!!」

「あ、はい!」

ロッズさんに怒られた……慌てて俺達はリース城を後にする。

さーて、古の社に向かって出発だ!!

 

 

 

 

To Be Continued...




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