グリードくんのイルミナ学園奮闘日誌【完結】   作:マイマイ

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迫る試験日。

あぁ、俺は補習を免れるんだろうか……。


第13話 〜試験開始、戦え俺のポケモン達!〜

「………緊張してきた」

「そこまで深刻に考える必要はないぞ、悪くても補習だ。

 それも今年初めての補習だからそんなに厳しいものじゃないさ」

「お前は余裕だからそんな事言えるんだよ、俺はまだ一度もバトルに勝った事がないんだぞ?」

「大丈夫よ。少なくともあたしとそれなりにいい勝負ができるなら、一回戦負けなんて無様な結果にはならないわ」

 

そう言うカレンの口調も余裕しゃくしゃくといった感じで、凄くムカついた。

ちくしょー、みんなは素人の気持ちなんてわからない薄情者なんだ。

とは言いつつも、そろそろ気を引き締めないと拙そうだ。

何せ、今日はいよいよ試験の開始日、テストトーナメント当日だ。

32名によるトーナメントを行い、優勝者には……特に何も与えられないけど、成績を残せないと補習が待ってる。

……嫌だ、補習は嫌だ。

そうならない為に色々頑張ってはきたものの、やはり緊張するものはするのだ。

 

「タージャ」

なんだよツタージャ、お前までそんな呆れたようなため息をつかないでくれよ。

「……グリード、大丈夫?」

「……ありがとうフェイト、お前だけだよ俺を心配してくれるのは。他のみんなは薄情の権化だぜ」

「あ、あはは……」

「グリードさん、失礼ですよー」

「まったく……難しく考え過ぎだ、今のお前ならそれなりにいい成績を残せるさ」

「けーっ、俺が一度も勝てないアヤトに言われたって嬉しくもなんともねえよーだ」

「あらら」

「まったく、子供ね」

 

なんだよなんだよ、みんなして好き放題言いやがって。

尚もぶちぶちと文句を言っていると、後ろから声を掛けられた。

 

「グリード」

「グリードさ……くん」

「おっ、サクラにソラネ」

「サクラ様、それと……すみませんがどちら様ですか?」

ああそうか、そういえばみんなはソラネの事を知らなかったっけ。

 

「ほら、この間話したコーディネーターのソラネだよ」

「ああ、この子が」

「はじめましてソラネさん、私はモモカといいます。ここにいるアヤトの妻その1です。

 そして、こっちの女の子はフェイトちゃん、アヤトの妻その2です」

「つ、妻……あぅ」

凄い自己紹介の仕方だなそれ、フェイトなんか顔を真っ赤にして俯いてるぞ。

 

「……アヤトだ。この子の言っている事は一切信じなくていい」

きちんと否定しつつ、アヤトは自己紹介を行う。

後ろでモモカがぶーぶー言ってるが、完全に無視だ。

と。

 

「おっ……?」

「はれ?」

いきなりソラネが俺の後ろに隠れてしまった。

あっ、そういえばソラネって対人恐怖症だった。

 

「悪いみんな、この子ちょっと人見知りでさ……気を悪くしないでくれ」

「そうなんですか……はい、もちろん気にしたりしないので大丈夫です」

「あたしはカレンよ。よろしくねソラネ?」

「……は、はい。よ、よろしく、お願い、し、します……」

めちゃくちゃ脅えながらだけど、どうにか挨拶を返すソラネ。

 

「ところで、何しに来たんだ?」

サクラは二年生、ソラネはコーディネーター科の生徒だ、この試験には関係ない。

「まるで来てはいけないみたいな言い方だね、せっかくソラネと一緒に応援に来たのに」

「誰の?」

「………君以外に、誰か居るのかい?」

呆れたような口調で、そう言われてしまった。

というか、俺の応援に来たのかよ……。

 

「凄いですよグリードさん、まさかサクラ様に応援に来てもらうなんて……一体どんな弱みを握ったんですか?」

「お前失礼だな」

「みんな、様を付けるのはやめてくれないかな?僕はあまり特別扱いされるのは嫌いなんだ」

苦笑混じりにそう言われ、その場に居た全員がこくこくと頷く。

 

「グリード、そろそろ中央のモニターで対戦表が発表されるみたいだよ」

そう言って、サクラはバトルフィールドの方を指差す。

今日は試験という事で、地下ではなく一階にあるバトルフィールドでのバトルになる。

なんと驚く事に、このバトルフィールドは様々なフィールドに変えられるというから驚きだ。

 

――対戦表がモニターに映し出される

 

俺は……よかった、相手がアヤト達じゃない。

「一回戦は全員誰とも当たりませんね。早めに脱落させたかったのに」

「言ってろモモカ」

うぅ、みんな余裕そうだな……。

 

「ほらグリード、さっさと準備しなさいよ」

「わ、わかってるよ……」

「グリード、一回戦で負けるなんて無様な事はしないでよ?」

やかましい、プレッシャーを掛けるな。

「グリードくん、頑張ってくださいね!」

ありがとうソラネ、お前の応援は素直に嬉しいよ。プレッシャーを掛けるだけのサクラとはえらい違いだ。

 

「……早く行きなよ?」

殺気!?

サクラの奴、俺の心を読んだのか!?

けど訊く勇気はないので、俺はそそくさとバトルフィールドへと向かった。

相手は既にフィールドで俺を待ち構えている、けどその態度は余裕そうだ。

 

「それではこれより、グリードとケンジによる3対3のポケモンバトルを始める。

 ポケモンの交代はお互い自由に、どちらかのポケモン2体が戦闘不能になったら終了とする」

今回は機械ではなく、教師がわざわざ審判をしてくれるのだ。

とりあえず一体目のポケモンが入ったモンスターボールを手に取ると……相手が俺を見て笑ってる事に気づいた。

 

「どうしたんだ?」

「いや、ただ自分の運の良さに感謝してるだけさ」

「運の良さ?」

「だってそうだろう? 一回戦の相手はトレーナーになって半月程度の素人だ、勝利を約束されたも当然だね」

「なんだとぉっ!!」

上等だ、ケチョンケチョンにやっつけて―――

 

「————っ」

そうだった、こんな挑発に乗って自分のペースを乱したら負ける。何度もカレンに注意された事じゃないか。

「すー、はー……」

「どうした? もし棄権したいならしてもいいよ、無駄な時間を使う意味はないからね」

無視だ無視、ムカつくけどいちいち相手するだけ無駄なんだから。

それに……俺のポケモン達なら、こんな奴に負けないはずさ。

 

「それにしても、君は最近調子に乗ってないかな? サクラ様に対して随分馴れ馴れしいじゃないか」

うわ、ここでもサクラ崇拝者が。アイツ本当に人気者だな。

そういえば、他の四天王はどんな人物なんだろう、機会があれば会ってみたいな。

「まあいいさ。サクラ様もこのバトルを見ているからね、あの人の前で大恥をかかせてやるさ」

ちらりと観客席を見ると、サクラとソラネの姿が。

アヤト達の姿はない、どうやら別のフィールドで試合を開始しているようだ。

……大丈夫だ、俺ならできるさ。

負けてもいい、けれど後悔しないバトルをやればいい!!

 

「ムクバード、君に決めた!!」

「行け、マグマック!」

「ムクバード!!」

「マグ……」

相手はマグマックか……ツタージャじゃなくてよかった。

 

「先攻はケンジから、では……試合開始!!」

「すぐに決めるぞマグマック、かえんほうしゃだ!!」

「マグーッ!!」

「ムクバード、かわすんだ!!」

「ムクッ!!」

 

真っ直ぐ向かってくるかえんほうしゃを、左に飛んで避けるムクバード。

けどまだ反撃はしない、焦った所で意味はないからだ。

 

「ほらどうしたんだ、逃げてばかりじゃ意味がないぞ。

 マグマック、もう一度かえんほうしゃだ!!」

「マグーッ!!」

 

――よし、今だ!!

 

「ムクバード、かわしてでんこうせっか!!」

「ムクーッ!!」

旋回しながらかえんほうしゃを回避し、間髪入れずにマグマックとの間合いを詰める。

そして、マグマックの身体に自身の身体をぶつけるムクバード。

 

「マグッ!?」

「なっ!?」

「そのままつばめがえしだ!!」

「ムクーッ!!」

一度上昇し、降下と同時に急加速。

 

「マグマック、かえんほうしゃ!!」

すぐに指示を出すが、もう遅い。

「ム、クーッ!!」

「マグーッ!!?」

ムクバードのつばめがえしが見事決まり、マグマックは吹き飛ばされ地面に倒れる。

 

「マグマック戦闘不能、ムクバードの勝ち!!」

「やったぜ!! いいぞムクバード!」

「ムックーッ!!」

まずは一勝、このままムクバードで押しまくってやるぜ!!

 

「調子に乗って……ラクライ、行け!!」

「――ラ、クラァッ!!」

今度はでんきタイプのラクライか……。

このままムクバードで行きたいけど、無理はさせられない。

 

「戻れ、ムクバード」

ムクバードをボールに戻し、別のボールを手に取る。

「よくやったなムクバード、ゆっくり休んでくれ。ツタージャ、君に決めた!!」

「――タージャ」

 

「さっきは油断したが、今度はそうは行かない。ラクライ、たいあたり!」

「ラクラ!!」

早速攻撃を仕掛けてくるラクライ、だったらこっちはリーフブレードで迎え撃――

 

「っ、ツタージャ、かわせ!!」

「タジャ!!」

ジャンプしてラクライの攻撃を回避するツタージャ。

……そうだった、たしかラクライの特性は「せいでんき」

直接攻撃をしたら、まひ状態になる可能性があるんだった。

だったら………!

 

「ツタージャ、グラスミキサー!!」

「タージャ!!」

「ラクライ、スパーク!!」

遠距離攻撃ならばと思ったが、読まれていたのかスパークによって相殺されてしまう。

 

「かみつくだ!!」

「ラグァッ!!」

「タジャ!?」

「ツタージャ!!」

 

接近され、ラクライの牙がツタージャの身体を捉える。

早く脱出しないとマジでやべえ………!

 

「リーフブレード!!」

「ター、ジャ!!」

「ライッ!!」

もがきながらも、リーフブレードでラクライにダメージを与えながら脱出するツタージャ。

 

――しかし

 

「タ、ジャ……」

「くっ………!」

運の悪い事に、ラクライの特性「せいでんき」が発動してしまった。

顔をしかめながらどうにか動こうとするツタージャだが、身体が痺れて動けないのかかなりぎこちないものに。

 

「ラクライ、もう一度かみつくだ!!」

「避けろツタージャ!」

とにかく、今は逃げてチャンスを待つしか……。

 

「ガゥゥッ!!」

「タジャッ……!!」

しかし、ツタージャは動けずラクライのかみつくを受けてしまった。

 

「ツタージャ、なんとか振り解くんだ!!」

「タ、ジャ……」

っ、ダメだ。まひ状態だからツタージャは思うように動けない。

どうする? ここはムクバードかミロカロスに交代を……。

いや、ラクライとは相性が悪いのに、そんな危険な真似はできない。

 

(どうすればいい? どうすれば……)

 

 

『——トレーナーの焦りはそのままポケモンの焦りに繋がるわよ』

 

 

「———っ」

カレンの言葉が、脳裏に響く。

そうだ、俺が焦ったらツタージャだって上手く戦えなくなる。

……負けるもんか!!

これくらい、気合いと根性で乗り切ってやる!!

 

「ツタージャ、頑張るんだ!!」

「タジャ……」

「お前の力はそんなものじゃないはずだ、気合いと根性で乗り切れ!!」

「…………」

「はっ、何が気合いと根性だ。そんな馬鹿げた事しか言えないのか?」

「……タ、ジャァァ!!」

「ラクッ!?」

唸り声のような声を上げながら、ツタージャは無理矢理ラクライの身体を引き剥がそうとする。

 

「何――!?」

「いいぞツタージャ、そのままリーフブレードだ!!」

「ター、ジャ!!」

引き剥がすと同時に、右腕のリーフブレードでラクライを吹き飛ばす。

ゴロゴロと転がり、ようやく止まったと思った時には……。

 

「ラクライ戦闘不能、ツタージャの勝ち。よって勝者、グリード」

戦闘不能になり、このバトルの幕が降りていた。

「〜〜〜〜っ、やったぜツタージャ!!」

駆け寄り、ツタージャの身体を抱きしめる。

「………タジャ」

ぷいとそっぽを向かれたが、口元には僅かな笑みが。

……勝ったんだ、本当に勝てたんだ。

今まで一度も勝利できなかったけど、ようやく初勝利できた。

よっしゃ、初勝利ゲットだぜ!!

 

「――ゴローン戦闘不能、ガバイトの勝ち。よって勝者、アヤト」

 

「…………」

右を向くと、アヤトの試合も終わったのか審判の声がフィールドに響き渡った。

……あいつ、ガバイトだけで勝ったのか。

やっぱり強い、今の俺で勝てるのかな……。

 

――やめよう、今は余計な事は考えるな

今は、静かに初勝利を喜ぶ事にしよう。

 

 

…………。

 

 

アヤトだけでなく、全員が一回戦を突破したらしい。

次は二回戦、まだ対戦相手はわからないけど……どんな奴が来ても、負けるもんか!!

見てろよ、俺は必ず全勝して優勝をゲットしてやるぜ!!

 

 

 

 

 

To.Be.Continued...




【ツタージャ】♀  【ムクバード】♂  【ミロカロス】♀
【使えるわざ】   【使えるわざ】   【使えるわざ】
・つるのムチ    ・たいあたり    ・たつまき
・リーフブレード  ・かぜおこし    ・アイアンテール
・たいあたり    ・でんこうせっか  ・みずでっぽう
・かげぶんしん  ・つばさでうつ
・へびにらみ    ・つばめがえし
・グラスミキサー  ・ブレイブバード(未完成)
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