いくぞみんな、本戦目指して頑張るぞ!!
〈……グリード、遅いね?〉
〈まだ数分しか経ってないじゃない、もう少し待ちなさいよ〉
手持ち無沙汰になったティアを、ツタージャは少し呆れたように言い聞かす。
イルミナ学園内のポケモンセンター前で、彼女達は主人を待っていた。
今日はいよいよイルミナリーグの一回戦、グリードの対戦相手は……あのソラネだ。
〈あたし達をメンバーに入れないなんて、グリードってばわかってないわよね〉
〈ホントだよ、グリードのけちー〉
ぶつくさ文句を言う二匹、するとグリードがポケモンセンターから出てきた。
「悪い、待たせたな!」
〈遅いよー〉
〈だから、数分しか経ってないじゃないの……〉
まったくこの子は…と言いながら、ツタージャは所定の位置であるグリードの肩へ。
「一回戦で戦ってもらうポケモン達も決めたし、後は時間が来るのを待つだけだ」
行こうぜ、ティアにそう言ってグリードは歩を進めようとするが……。
「………ティア?」
何故かティアは、その場で浮かび上がったまま空を見上げていた。
〈何してるのよ、行くわよ?〉
ツタージャも声を掛けるが、彼女は返事を返さずに……。
〈………来ちゃった〉
どこか、げんなりした声でぽつりとそんな事を呟いた。
「???」
グリードとツタージャは互いに顔を見合わせ、首を傾げる。
一体なんだというのか、そう思った瞬間。
「ん……?」
強い波導が、高速でこちらに近づいてくる事に気づき、グリードがその方向……空へと視線を向けると。
「―――妹よおぉぉぉぉぉぉっ!!!」
見慣れたポケモンが、まるで隕石のようにこちらへと向かって来ているのが、確認できた。
「げっ、ラティオス!?」
そのポケモンは、伝説のポケモンであり、そしてティアの兄であるラティオスだ。
〈…………えいっ!!〉
「ティア!?」
向かってくるラティオスに、ティアはなんとりゅうのはどうを撃ち放つ。
「でぇぇぇぇっ!!?」
いきなりの攻撃に、スピードを出し過ぎているラティオスが避けられるはずもなく。
「ぶふおぉっ!!?」
見事にぶち当たり、そのまま地面へと墜落してしまった。
「ティア、やりすぎ!!」
〈大丈夫だよ。本気でやってないから、それに……兄さんはこんな事じゃおとなしくならないし〉
「うぉぉぉっ!! 何をするんだ妹よ!!」
〈………ほらね?〉
〈なる程……〉
さすがラティオスと言うべきか、それともただのシスコンパワーと言うべきか……。
「ラティオス、久しぶり――」
「グリード、貴様一体どこへ行っていたんだ!!」
「や、色々あってさ……」
「ボクがこの数ヶ月間、どれだけ寂しかったと思っているんだ!!
だというのに、お前は妹と一緒にイチャイチャイチャイチャ……恥を知れぇぇぇっ!!」
「いや、別にそんな……」
血走ったラティオスに迫られ、グリードは顔を引きつらせる。
〈兄さん!!〉
「あぶしっ!?」
今度は、はがねのつばさでラティオスを叩き落とすティア、どうやら今度は本気で攻撃したらしい。
〈グリードは、もうすぐイルミナリーグの一回戦なんだから、邪魔しないでよ!!〉
「………イルミナリーグ?」
「あっ、そういえばラティオスはイルミナリーグの事を知らなかったよな」
そう思い、グリードはイルミナリーグに出場するという事をラティオスに伝えた。
「ふむ……それはまさか妹も出場するという事ではあるまいな?」
「? いや、もちろん出場するよ。ティアは俺の主要メンバーだし……」
「ダメ!!」
「えぇー……」
いや、コイツの事だからなんとなく想像はできていた。
しかし、よもやここまで予想通りだとなんだか逆にラティオスのシスコンさには感心してしまう、とグリードは思った。
「嫁入り前の身体に傷を作るなんて、ボクは絶対に許さん!!」
「……ラティオス、お兄ちゃんというよりお父さんだな」
〈兄さん、邪魔したら絶対に許さないからね〉
「いや、しかしだな……」
食い下がらないラティオス、なので……ティアはラティオスに、彼にとって処刑に等しい言葉をぶつけてやった。
〈もし邪魔したら……お兄ちゃんの事、嫌いになるよ?〉
「―――!!!??!」
(……ラティオスが灰になった)
ティアが何を言ったのかはわからない、しかし……相当ダメージを負うような言葉を放ったと、ラティオスの姿を見てグリードは理解した。
「……わ、わかった。お前がそこまで言うのなら、お兄ちゃんは素直に応援する事にしよう」
〈ティアに嫌われたくないだけじゃない〉
「というわけでグリード、イルミナリーグの事を詳しく教えるんだ」
ツタージャの言葉を無視し、ラティオスはグリードに詰め寄る。
「あ、うん……イルミナリーグは予選と本戦があって、まずは予選を行うんだ。
A〜Cの3グループを、32人ずつで分かれてトーナメント制でバトルをして、それぞれのグループで1位になったら本戦に進める。
本戦では四天王を含めた7人で優勝を決めるんだ」
「ちょっと待て、四天王は予選を行わないのか?」
「うん、四天王は最初から本戦に出場できる権利があるんだ。
それと予選では使用ポケモンは3体で、決勝のみ6体のフルバトル、本戦ではフルバトルのみ、………こんな所かな?」
説明していない部分は無いはずだ、もう一度確認して……うん、やはり説明していない部分はない。
「ふむ……わかった、お前にしてはなかなか上手い説明だったぞ、褒めてやる」
「あはは……ありがとう」
説明された側だというのに、何故かラティオスは偉そうにふんぞり返っている。
〈グリードがせっかく説明してくれたのに、お兄ちゃんのばか!!〉
「あいたぁっ!!?」
それを見て、ティアは再びラティオスに攻撃をして彼を黙らせたのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『――さあ、いよいよイルミナリーグが始まりました!!
既に各スタジアムでは選ばれしトレーナー達が、しのぎを削っております!!』
実況の声が、スタジアム内に響く。
「始まるみたいだな」
観客席に座り、腕組みをしつつシェリーは次に始まる試合を待ち望んでいた。
彼女の傍には、フィルや彼のポケモン達、そして……。
「………レシラム、頼むから着替えてきてくれないか?」
「何を言う、せっかくフウロがグリードを応援する為に用意してくれた衣装なのだぞ、着替える必要などどこにある?」
「そうだよゼクロム、よく似合ってるから大丈夫だってば」
「おぉ、さすがはフウロ、よくわかっているじゃないか」
「…………」
頭を抱えるゼクロム、だがそれは無理もない事なのかもしれない。
何故なら……レシラムは今、所謂“チアガール”姿になっているからだ。
ヘソ出しの露出の高い衣装に、長い白銀の髪はツインテールにして、両手には黄色いポンポン。
ちなみにフウロも同じ恰好だ、彼女は似合っているとゼクロムは思う。
否、レシラムも似合っていると言えば似合っているのだが……如何せんフウロと違い長身なので、やや浮いているようにも見えるのだ。
それに何より、人間の俗世に染まりまくっている半身を見たくないという気持ちの方が強いのだが。
〈……何なんだコイツら〉
シェリーと同じく腕組みをしながら、トナは呆れを含んだ表情を彼女達に向ける。
〈でも、可愛らしい恰好じゃないですか。……私も、ちょっと着てみたいです〉
〈正気かリコ? やめておいた方が絶対にいいぞ〉
〈どういう意味ですかそれは!〉
「ケンカしないでよ、2人とも」
――そうこうしているうちに、歓声が一際大きくなった
〈あっ、グリード達が出てきたっすよ!!〉
〈…………〉
「………ハル?」
身を乗り出さん勢いで、ハルはグリード達のいるフィールドを見つめている。
……昨日から、どうもハルの様子がおかしい。
正確には、ツタージャのバトルの後くらいから、彼女はどこか思い悩んでいるように見えるのだ。
『ここ第三スタジアムにてバトルをするのは、互いに一年でありながらイルミナリーグ出場者に選ばれた強豪、グリード選手とソラネ選手です。
果たして、どのようなバトルが繰り広げられるのでしょうか!?』
「グリード、頑張れー!!」
「負けたら承知しないからなー!!」
早速ポンポンで応援を始める2人、ゼクロムは諦めたのか他人のフリを決め込む事に。
「………ふぅ」
ゆっくりと息を吐き出すグリード、そうして精神を集中させる。
「グリードくん!!」
「………?」
ソラネへと視線を向ける、すると彼女は……笑みを浮かべていた。
「一回戦から当たるとは思わなかったけど、わたし…絶対に負けないからね!!」
「……俺だって、こんな所で負けるわけにはいかないんだ」
そう、負けるわけにはいかない。
友との約束を果たすために、まだ大きな一歩を踏みしめただけなのだから。
互いにモンスターボールを手に取り、フィールドに投げつけた。
「ムクホーク、君に決めた!!」
「トゲキッス、レディーゴー!!」
「ムクホォォォッ!!」
「トゲ、キィィッス!!」
「……まずは、互いにひこうタイプのポケモンを出してきたみたいだね」
(……どっちのポケモンも強い)
ひこうタイプのジムリーダー故に、フウロはすぐさまムクホーク達のポテンシャルの高さに気づき、驚きを見せる。
……場に、緊張が走った。
審判は、互いのポケモンを見やった後、静かに両手に持つ旗を上げ。
「――試合、開始!!」
旗を振り下ろし、バトルの開幕を告げた――
「ムクホーク、上昇しろ!!」
「クホォッ!!」
翼を羽ばたかせ、高度を上げるムクホーク。
「トゲキッス、追って!!」
「キィィッス!!」
すぐさまソラネも、ムクホークを追うようトゲキッスに指示を出す。
高度を上げていくポケモン達、先に仕掛けたのは……グリード。
「でんこうせっか!!」
「クホォォォッ!!」
「キィィス!!?」
素早い一撃に、トゲキッスは避けられずまともに攻撃を受け怯む。
「速い……!」
前に戦った時とは段違いに速い、ムクホークを見てフィルはそう思った。
「エアスラッシュ!!」
「トゲェェェ……キィィッス!!」
翼を羽ばたかせ、幾重もの空気の刃を撃ち込んでいくトゲキッス。
「かわしてインファイト!!」
「クホォッ!!」
一気に急上昇、エアスラッシュの刃を回避しつつ一気にトゲキッスへと接近するムクホーク。
「リフレクター!!」
「トゲッ!」
しかし、ムクホークが眼前に迫った瞬間、トゲキッスは自身の前に薄い透明の膜状のバリアを張った。
「クホォォッ!!?」
リフレクターに阻まれ、インファイトが弾かれる。
その機を逃さず、ソラネは更に指示を出した。
「はどうだん!!」
「キィィィィッス!!」
至近距離からのはどうだん。
「ク、ホォォッ………!」
それをまともに受け、バランスを崩したムクホークは地面へと落下していく。
「更に…ぎんいろのかぜ!!」
「キィス、キィィッス♪」
歌うように、舞うように踊りながら、落下していくムクホークにぎんいろのかぜを放つトゲキッス。
「ム、グゥゥ……!」
「ムクホーク!!」
追撃を受け、落下スピードを上げながらムクホークの身体は、地面へと叩きつけられた。
『ムクホークダウンー!! トゲキッスの強力でありながら美しい連続攻撃の前に、敗れたかー!?』
「わぁぁぁっ、何をやっているのだムクホーク!!」
「落ち着け、レシラム」
だがまだムクホークは起き上がれない、その隙に……ソラネは必殺の一撃を放つようトゲキッスに言い放った。
「ゴッドバード!!」
「キィィス!!」
高度を上げ、エネルギーを溜めていくトゲキッス。
〈おいおい、ヤベェぞ……!〉
〈あわわわ……凄いエネルギーっすよアレ!!〉
バリオンはまともに驚き、トナも少なからず狼狽の様子を見せる。
「……ク、ホォ……」
ようやく、どうにかといったようにムクホークが立ち上がった。
だが、トゲキッスは既に攻撃の準備を完了しそして。
「いって、トゲキッス!!」
「キィィィィィッス!!」
全身の発光させながら、トゲキッスはムクホークに吶喊する―――!
「負けるなムクホーク、ブレイブバードで迎え撃て!!」
「クホッ、ムクホォォォォッ!!!」
素早く体勢を立て直し、蒼色のオーラを纏いながら、ムクホークはトゲキッスに向かっていく。
両者ともに、正面からの真っ向勝負を行うつもりだ。
(どちらが勝つ……!?)
固唾を呑んで見守るフィル達、そのまま迷う事なく両者はぶつかり合い――爆発が起こった。
「――キィィッス」
煙に包まれた中、先に出てきたのは……トゲキッス。
ではムクホークは、誰もがそう思った瞬間。
「つばめがえし!!」
グリードの指示が、フィールドに響き渡った。
「えっ……!?」
「クホォォォッ!!」
勢いよく煙から抜け出したのは、つばめがえしを放ったムクホーク。
ソラネの指示が遅れる、その結果。
「キィィィィッス!!?」
ムクホークの一撃に、トゲキッスは容赦なく地面へと叩きつけられてしまった。
「……キィッス……」
「トゲキッス戦闘不能、ムクホークの勝ち!!」
『まずはグリード選手がとったー!!』
『やったぁぁぁっ!!』
互いに抱きしめ合うフウロとレシラム、ゼクロムは……もう無視する事にした。
〈ムクホークが勝ったな〉
〈ええ。でも……ダメージは大きいですね〉
リコの言う通り、ムクホークは地面に降り荒く息を繰り返している。
飛ばずに休んでいるという事は、相当のダメージを追っているという事だろう。
「トゲキッス、ご苦労様。いいバトルだったよ。エーフィ、レディーゴー!!」
「………フィィィ」
(……エーフィか)
ムクホークの状態は芳しくない、しかしエーフィとの相性は悪くはないだろう。
「ムクホーク、このまま頑張ってくれるか?」
「ク、クホォッ!!」
大きく頷き、再び空へと羽ばたくムクホーク。
「よし、つばめがえし!!」
「クホォォォッ!!」
正面から、エーフィに向かっていくムクホーク。
しかしエーフィはその場から動かず、ソラネも指示を――
「ジャンプ!!」
「フィッ!」
ムクホークと、触れ合おうという距離になった瞬間、ソラネは指示を出しすかさずエーフィは跳躍。
その下を潜るように、ムクホークが通り過ぎて。
「サイケこうせん!!」
「エー、フィィィィッ!!」
後ろを振り向き、ムクホークの背中にサイケこうせんを浴びせた。
「クホォォォッ!!?」
地面に落ちるムクホーク、それと同時にエーフィが着地し。
「でんじほう!!」
「フィィィィィッ!!」
口を開き、そこからスパークを放つ光球を撃ち出した。
その威力は凄まじく、地面を削りながらムクホークへと向かっていく。
「でんじほう!?」
〈おいおい、今度こそヤベェぞ!!〉
「…………いや」
皆が慌てる中、ゼクロムだけは冷静に試合を見やり。
「はかいこうせんだ!!」
「グ――クホォォォォッ!!」
半身だけを地面から起こし、向かってくるでんじほうへとはかいこうせんを撃ち放った―――!
「そんな、まだ……!?」
「いけぇぇぇっ!!」
はかいこうせんはでんじほうとぶつかり合い――瞬時に破壊されるでんじほう。
「フィィッ!!?」
そのまま、エーフィの身体を宙に吹き飛ばした……が。
「もう一度でんじほう!!」
「フィィィッ!!」
空中でバランスを整えながら、もう一度でんじほうを放つエーフィ。
最後の力を振り絞ったムクホークが、回避できるはずもなく。
「クホォォォォッ!!?」
まともにでんじほうを浴び……そのまま地面に倒れ込んだ。
「ムクホーク戦闘不能、エーフィの勝ち!!」
『意地を見せたムクホークでしたが、エーフィに敗れてしまったー!!』
「……いや、充分頑張ってくれたよ。戻れ、ムクホーク!!」
ムクホークをボールに戻すグリード、これで互いにポケモンを一体失った。
「――あら、一回戦目から凄いバトルを見せてくれるわね」
「お前達か……」
現れたのは、カレンとアオイ。
「試合はどうだったの?」
「愚問だな。勝ったに決まっているだろう」
フウロの問いに、アオイは不敵な笑みを浮かべ答えを返しつつ、席に座った。
「ムクホーク、ここまで強くなってるとはね……」
口調の中に驚愕の色を混ぜながら、カレンは呟きを漏らした。
そんな中、グリードが出した二体目のポケモンは……。
「クチート、君に決めた!!」
「クチ、クッチ〜♪」
グリードの二体目はクチート、相変わらずテンションが高い登場の仕方だ。
「エーフィ、でんこうせっか!!」
「フィ――!」
先手はソラネから、素早い動きでエーフィはクチートを吹き飛ばす。
「………クチ」
「え………?」
吹き飛ばしたのだが、クチートは何事も無かったかのように起き上がる。
(……やっぱり、はがねタイプのクチートには、小手先の攻撃は通用しない、か)
だが、エスパータイプの技もクチートには効果が薄い。
交代、という選択が頭によぎったが……ソラネはそれを否定する。
そんな事はできない、やったところで…自分の三体目は……。
「ラスターカノン!!」
「クチクチャーッ!!」
「っ」
余計な事を考えている場合ではない、グリードの声を聞きソラネは我に返る。
「かわして!!」
「フィッ!」
その場で跳躍、ラスターカノンが地面を削る。
しかし、跳躍したエーフィにクチートが迫り。
「かみくだく攻撃!!」
「クーチィッ!!」
頭部にある大きな牙で、エーフィに噛みつこうとするクチート。
あくタイプの技だ、エスパータイプのエーフィが受ければ大ダメージは必至。
「まもる!!」
「フィィッ!!」
身体を丸め、自分を包むエメラルドの膜を生み出すエーフィ。
その膜の前に、クチートの牙は阻まれ弾かれてしまう。
「でんじほう!!」
「フィィィィッ!!」
攻撃が弾かれ隙が生まれるクチートに、エーフィはすかさず至近距離からのでんじほうを放ち――
「きあいパンチ!!」
「えっ―――」
「クゥゥゥ、チィッ!!」
そのでんじほうが、クチートの小さな右手で粉々に粉砕され。
「ラスターカノン!!」
「クチクチャーッ!!」
クチートの牙から、白く輝く光線が放たれ、エーフィを包み込み地面に叩きつけてしまった……。
「エーフィ!!」
「……フィ〜……」
「エーフィ戦闘不能、クチートの勝ち!!」
『あーっと、ソラネ選手追い込まれたーっ!!』
「…………」
今の攻防を見て、フィル達はポカンとした表情を浮かべてしまう。
〈……なんちゅー力技を〉
呆れと驚きを含んだ口調で、トナはぽつりと呟いた。
でんじほうを防ぐために、きあいパンチで砕くなど聞いた事がない。
それも、カイリキーやローブシンといった屈強なポケモンではなく、小柄なクチートでやってのけたのだから、驚きに拍車を掛けている。
「……でも、クチートだって無傷では済まなかったみたいね」
「ああ」
カレンとアオイの言葉に、全員の視線がクチートに向けられる。
見ると、クチートはその場に座り込み起き上がろうとしない。
「おいフィル、あれは……」
「でんじほうに触れたから、じゃないかな? あの技は受けたら必ずまひ状態になってしまうから」
ダメージは無いようだが、触れた事には変わりないのでまひ状態になったもかもしれない、フィルはそう推理する。
「戻れ、クチート!!」
まひ状態では満足に戦えない、そう判断したグリードはクチートをボールに戻す。
――そして、ソラネは最後の一体をフィールドへと繰り出した。
「ブラッキー、あなたで最後だよ……精一杯頑張って!!」
「――ブラッ、キー!!」
『ソラネ選手の最後のポケモンは、ブラッキーだ!! 対するグリード選手はどんなポケモンを繰り出そうというのでしょうか!!』
皆が注目する中、グリードが出した三体目のポケモンは……。
「――ミロカロス、君に決めた!!」
「ミロォォォッ!!」
〈……なんて綺麗なミロカロスなんでしょうか〉
日の光を浴び、キラキラと輝いているミロカロスを見て、リコは感嘆の声を漏らす。
「グリードくん、ここから逆転してみせるから!! 絶対に…絶対に負けたりしない!!」
「ブラッキィィッ!!」
「俺達だって負けるもんか、勝つのは…俺達だ!!」
「ミロォォォッ!!」
「ブラッキー、スピードスター!!」
「ブラッ、キィィィッ!!」
跳躍し、身体を捻りながら無数の星状エネルギーを発射するブラッキー。
「かわしてアイアンテール!!」
「ミロッ!!」
尻尾を用いて跳躍、スピードスターを回避しながらブラッキーの頭上へ移動し。
「こっちもアイアンテール!!」
「ブラッキィィィィィッ!!」
「ミィィィィ、ロォッ!!」
空中で、アイアンテールのぶつかり合いを引き起こした。
互いに弾かれ、地面に着地。
「ふぶき!!」
「ミロォォォッ!!」
口を開き、低温の吹雪をミロカロスが撃ち込めば。
「あくのはどう!!」
「キィィィッ!!」
ブラッキーはあくのはどうで、ミロカロスの攻撃を相殺する。
「グリード、ミロカロス、頑張って!! ソラネとブラッキーも負けるなー!!」
「根性見せんかーい!!」
わいわいがやがやと、2人の応援をするフウロとレシラム。
他の皆も声には出さないが、視線を逸らす事なくバトルを見つめている。
「みずのはどう、空中に撃ち出せ!!」
「っ」
「ミィィィロッ!!」
空を見上げ、みずのはどうを撃ち出すミロカロス。
当然ながらブラッキーは空中にはいない、一体何を……。
「いくぞミロカロス、アクアテールだ!!」
「ミロッ!!」
ブラッキーに向かうのではなく、その場に跳躍するミロカロス。
そして、空中に撃ち出したみずのはどうに追いつき。
「ミ、ロォッ!!」
アクアテールを、みずのはどうに打ち込み、ブラッキーへと発射させた。
「見て、みずのはどうが!!」
フウロが指を指す、その先には……周囲に渦を作りながらブラッキーに向かって落ちていくみずのはどうが。。
「そうか、わざわざみずのはどうを空中に撃ち出したのは、アクアテールのパワーを上乗せする為……」
あの時、ミロカロスはアクアテールをみずのはどうに当てた瞬間、そのエネルギーを全て送り込んだ。
それによりみずのはどうは強力なパワーを生み出し、そのままブラッキーへと……。
「さすがグリードくんだね……でも、わたしだって負けないって言ったでしょ!!
ブラッキー、最大パワーでシャドーボール!!」
「ブラァァァァッキィィィッ!!!」
雄叫びを上げ、特大のシャドーボールを撃ち出すブラッキー。
そのままみずのはどうとぶつかり合い――けれど、破壊する事はできず。
「最大パワーで、あくのはどう!!」
すかさず、本命の一撃を指示した。
「ブラァァァァッキィィィッ!!!」
ブラッキーの身体が黒く発光する。
今までに無いパワーだ、それを自分の前方へと集めていき――黒いリング状の衝撃波が、みずのはどうを打ち砕いた。
尚もその勢いは止まらず、そのままミロカロスへと向かっていく。
(これなら………!)
多少威力は落ちたとしても、まともに受ければ大ダメージは必至。
その勢いを落とさずにミロカロスを倒し、最後のクチートにも勝ってみせる。
――そう意気込んだソラネだったが
「これで決めるぞミロカロス、最大パワーで……ハイドロポンプだぁぁぁぁぁっ!!!」
「ミィィィロォォォォォッ!!!」
裂帛の気迫を見せ、ミロカロスは向かってくるあくのはどうにハイドロポンプを撃ち込む。
ぶつかり合う両者の必殺の一撃、このまま相殺か……そう誰もが思った瞬間。
「あっ………!?」
ソラネの、驚愕に包まれた声がフィールドに響いた瞬間。
ハイドロポンプが、あくのはどうを完全に打ち砕き。
そのまま、迷う事なくブラッキーの身体を吹き飛ばし壁に叩きつけた。
「ブラッキー!!」
「……キュゥゥ……」
ブラッキーは立ち上がれない、そう判断した審判は。
「ブラッキー戦闘不能、ミロカロスの勝ち!! よって勝者、グリード選手!!」
旗を上げ、バトルを終了させる言葉を放った。
「やったぁぁぁっ!!」
『決まったー!! 一年同士のバトルを制したのは、グリード選手だぁぁぁっ!!!』
割れんばかりの歓声が、辺りに響く。
「――いいバトルだったわよ、どっちもね」
「ああ、それでこそバトルのしがいがあるというものだ」
そう言いながら、カレンとアオイは席を立つ。
「どこに行くの?」
「二回戦に向けてポケモンの調整よ、グリードが勝ち進んでるんだから油断するわけにはいかないわ」
「あらら……」
さすがと言うべきか、やはり今のカレン達はポケモントレーナーとしてグリードに立ちはだかる気のようだ。
「……あーあ、負けちゃった」
残念そうに、ソラネは肩を竦める。
「ソラネ……」
「おめでとうグリードくん、やっぱりグリードくんは強いね!
――とっても楽しかったよ、いいバトルをありがとう!!」
右手を差し出すソラネ、だからグリードも……。
「ああ、またバトルしような!!」
同じく右手を差し出し、彼女の握手に応じた。
「うん!!」
互いに健闘を称え合うように、2人は暫し握手を交わす。
――こうして、イルミナリーグは遂に始まりを見せた。
果たしてこの大会で、グリードは何を学び何に気づくのだろうか……。
To Be Continued...
【ツタージャ】♀ 【ムクホーク】♂ 【ミロカロス】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・つるのムチ ・はがねのつばさ ・たつまき
・リーフブレード ・かぜおこし ・アイアンテール
・真・リーンフォースブレード ・でんこうせっか ・ハイドロポンプ
・かげぶんしん ・つばさでうつ ・れいとうビーム
・へびにらみ ・つばめがえし ・じこさいせい
・リーフストーム ・ブレイブバード ・ふぶき
・リーフブレード二段斬り ・インファイト ・アクアリング
・エナジーボール ・かげぶんしん ・アクアテール
・ギガドレイン ・はかいこうせん ・みずのはどう
・リーンフォースブレード・EX
・ハードプラント
【オノノクス】♂ 【コジョンド】♀ 【グライオン】♂
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・ダブルチョップ ・みきり ・シザークロス
・シャドークロー ・はっけい ・れんぞくぎり
・りゅうのいかり ・とびひざげり ・ほのおのキバ
・ドラゴンクロー ・はどうだん ・クロスポイズン
・りゅうのいぶき ・おうふくビンタ ・ギガインパクト
・りゅうせいぐん ・ギガインパクト ・はがねのつばさ
・あなをほる ・ドレインパンチ
・りゅうのはどう ・ストーンエッジ
・はかいこうせん ・きあいパンチ
・かみなりパンチ
【クチート】♀ 【ラティアス(ティア)】♀ 【ゴチルゼル】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・てっぺき ・ラスターカノン ・ねんりき
・アイアンヘッド ・じこさいせい ・ひかりのかべ
・かえんほうしゃ ・はかいこうせん ・サイケこうせん
・ねごと ・りゅうのはどう ・サイコキネシス
・ラスターカノン ・りゅうせいぐん ・まもる
・かみくだく ・れいとうビーム
・かみなりのキバ ・ドラゴンクロー
・はがねのつばさ
・サイコキネシス
【ピカチュウ】♂ 【キュウコン】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】
・10まんボルト ・かえんほうしゃ
・アイアンテール ・ほのおのうず
・ボルテッカー ・じんつうりき
・でんこうせっか ・エナジーボール
・かみなり ・アイアンテール
・ボルテッカー・アイアンテール ・ソーラービーム
・オーバーヒート
・フレアドライブ