グリードくんのイルミナ学園奮闘日誌【完結】   作:マイマイ

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遂に始まったアオイとのバトル。

メタグロスに流れを奪われるけど、まだまだ負けたわけじゃない!!

いくぞムクホーク、お前の新しい技を見せてやれ!!


第147話 〜本戦開始、グリードVSアオイ!!〜(後編)

「つばめがえし!!」

グリードの指示を聞き、ムクホークはその大きな翼を力一杯広げ滑空する。

徐々にスピードを上げていき、そのままメタグロスの巨体に激突。

後退するメタグロス、しかし……ムクホークの一撃など効かぬとばかりに不動を保つ。

 

「やっぱりひこうタイプじゃ、メタグロスに大きなダメージは与えられないよ!!」

これではムクホークまで負ける、口には出さないがソラネはそう思わざるおえなかった。

しかしグリードの瞳に諦めの色は見えない、こういった時……彼は必ず何かを仕掛けるつもりだ。

それがわかっているから、アオイも決して油断の表情を見せない。

「上昇しろ!!」

「クホォッ!!」

高度を上げるムクホーク、大技を繰り出す合図だと理解し、アオイはメタグロスに身構えるよう指示を告げる。

 

「ムクホーク、お前の新しい力を見せてやれ。ブレイブバード!!」

「ムクホォォォォ………!」

翼を折り畳み、その身を蒼いオーラで包みながら、つばめがえしの時よりも更に速いスピードでメタグロスに向かうムクホーク。

(ブレイブバードが新しい力……?)

そんなはずはない、とうの昔にムクホークはブレイブバードを使いこなしていた。

では今の言葉はどういう意味なのか、数瞬アオイの中で疑問が生まれ……すぐさまそれを払いのける。

たとえなんだろうとブレイブバードには変わりない、真っ向から叩きのめすのみ。

 

「コメットパンチ!!」

指示を出す、メタグロスのパワーならば充分に対応できるはずという判断による指示だ。

そう、アオイの指示は間違えてはいない。

 

――それが、通常のブレイブバードならば、だが

 

「後ろに回り込め!!」

「な―――っ!!?」

激突する瞬間、グリードはムクホークに新たな指示を出す。

刹那、ムクホークの姿がメタグロスの視界から消え――背後から強い衝撃を受け、メタグロスは地面に倒れ込む。

 

「これは……!?」

視界を空に上げるアオイ、そこに居る存在を見て驚愕の声を上げた。

そこに存在するは、メタグロスと真っ向からぶつかり合うはずであったムクホーク。

しかし更に驚いたのは、その身に未だブレイブバード特有の蒼いオーラを纏っていた事だった。

 

「あれは、何……!?」

 

ムクホークの姿にも驚くが、何よりも……先程の変則的な動きもか驚愕に値する。

ブレイブバードは、ひこうタイプの技の中でもトップクラスの破壊力を持ち、尚つ発動した後のスピードも計り知れない。

だが、そのパワーとスピードがあるからこそ攻撃の軌道も単調なものになってしまうという弱点もある。

途中で軌道修正ができないので、どうしても一直線に向かう事しかできないのだ。

だというのに、ムクホークはメタグロスの眼前で上昇、素早く後ろに回り込み一撃を叩き込んだ。

普通ならありえない、皆が驚く中……フウロは、今の動きにある答えを見出す。

 

「まさか……グリード」

「フウロ、今の動き……どういったものかわかるの?」

全員の視線がフウロに集まる。

「……ブレイブバードは、その高い威力が魅力的だけど攻撃の軌道が読まれやすい欠点があるのは、みんなもわかるよね?」

頷きを返すカレン達。

「だからわたしね、前にブレイブバードの改良をしようと思ったの」

 

その内容とは――ブレイブバードのパワーを最小限にまで抑え、その分コントロールを向上させるといったものだ。

それが成功すれば、ブレイブバードの反動ダメージを抑えるだけでなく、変則的な動きが可能となり相手の意表を突く事も可能になる。

そう考え、フウロはグリード達に出会う前、スワンナに協力してもらいブレイブバードの改良を試みた。

だが……彼女の望む結果には、遂にはなり得なかった。

 

「ブレイブバードの強大なパワーをわざわざ抑えるには、相当な集中力と飛行能力が必要だって理解した後、わたしはその訓練を辞めた。

 悔しいけど、わたしとスワンナじゃそれは不可能だって思い知らされたから」

失敗談として、フウロはグリードにその時の話をした事があった。

彼はその時、何か思案していたようだったが……よもや、その訓練に励んでいたとは思えなかった。

ましてやそれを成し得るなど、正気の沙汰ではないと疑いたくなる。

 

「メタグロス戦闘不能、ムクホークの勝ち!!」

結果、メタグロスはムクホークを捉えられぬまま、敗北を喫した。

 

「凄い……」

「けどこの改良にも欠点がある、あのオーラを維持するのにも体力を消耗してしまうから……」

それに、まだグリード達の方が不利だという状況を打開したわけではない。

「……お前のムクホーク、まさかここまで強くなるとはな。

 ――すまない、ムックルの時にお前の事を散々馬鹿にしてしまった」

謝罪するアオイに、ムクホークは気にしなくていいと首を振る。

「だがまだ負けたわけではないぞ……ラグラージ、もう一度行け!!」

ボールから飛び出し、再び現れるラグラージ。

 

「戻れ、ムクホーク」

アオイのポケモンが出た瞬間、グリードはムクホークをボールへと戻し。

「ツタージャ、もう一度行ってくれるか?」

「タージャ」

頷きを返し、フィールドに入るツタージャ。

「れいとうパンチ!!」

先に指示を出したのはアオイ、ラグラージはその巨体に似合わないスピードでツタージャへと迫る。

両手には、強力な冷気を纏っている。

 

「かわせ!!」

迫るラグラージの剛腕を、懸命に回避していくツタージャ。

「リーフブレード!!」

「ッ、タジャーッ!!」

右腕の一撃を回避すると同時に跳躍、ラグラージの顎にサマーソルトのように尻尾によるリーフブレードを叩き込んだ。

「エナジーボール!!」

「ター、ジャ!!」

空中で姿勢を整えつつ、四発分のエナジーボールで追撃、まともに受けラグラージの身体がたたらを踏んだ。

「リーンフォースブレード!!」

「タジャタジャタジャ………!」

着地と同時に蹴り、ツタージャは右腕を深緑の大剣へと変化させ——渾身の一撃でラグラージを地に沈める!!

「タジャ…タジャ…タジャ……」

疲労の色を隠せないまでに衰弱したツタージャ、しかし……ラグラージは起き上がらない。

 

「ラグラージ戦闘不能、ツタージャの勝ち!!」

『グリード選手、まだまだ負けてはいません!!』

 

「当たり前だ。あの実況者め……殴ってこようか?」

「おやめなさい」

実況者を睨むレシラムを、ゼクロムは制す。

 

「――ボスゴドラ、バトルオン!!」

「ボガァァァァッ!!」

続いてアオイが出したのはボスゴドラ、巨体を震わせ大きく吼えている。

「…………タージャ!!」

「ツタージャ……」

「タジャ、タジャツタジャ!!」

グリードへと振り向き、ツタージャは訴えるように鳴き声を上げる。

「………わかった。もう少しだけ頑張ってくれ」

「タージャ!!」

 

「えっ、まだツタージャを戦わせるつもりなの?」

ここからでもわかる程、ツタージャには疲れの色を見せている。

だというのに、グリードはまだ戦わせようというのか……普段の彼ならば、決してこのような無茶はしないはずだ。

「――ツタージャは、控えているポケモン達のために、限界を超えてバトルしようとしているのさ」

「えっ?」

「なかなか天晴れな根性ではないか、それでこそグリードの一番のパートナーだな」

楽しげに、レシラムは笑う。

〈……ツタージャは強いね〉

「ハル?」

〈どんな事があっても諦めない強い心……何より一番大事なのは、それなんだね〉

ハルは悟る、自分に無くてツタージャにあるものを。

彼女の強さ、そして……自分が望むべき強さも。

〈……フィル、わたし…強くなるから。あの子みたいに…絶対に強くなるから!!〉

「………うん。待ってるよハル、一緒に頑張ろうね?」

優しくハルを抱き上げ、フィルは彼女の誓いを受け入れた。

 

「リーンフォースブレード!!」

「タジャ、タジャ…」

苦しげな息を零しながら、ツタージャはボスゴドラに向かう。

「すてみタックル!!」

対するボスゴドラは、その巨体をまるで弾丸のように駆け抜けツタージャの一撃とぶつかり合った。

互いに弾かれ相殺に終わる、しかしボスゴドラは特性“いしあたま”によって反動ダメージは無い。

 

――もう、ツタージャは立っているのもやっとである

 

だが、それでも彼女の瞳に映る闘志は微塵も揺らいでいない。

「リーフストーム!!」

「ツタァァァァ……ジャァァァッ!!」

「(まだ来るか……!)ラスターカノン!!」

迫るリーフストームを、ボスゴドラは口から撃ち出した白銀の光線によって相殺する。

……もはや、満足に技を放つ気力すら彼女には残されていない。

通常時ならば、ラスターカノン程度では防げない威力を、リーフストームは持っている。

 

「タジャ…タジャ…タ、ジャ……」

ぐらりと、膝を突き倒れそうになるツタージャ。

それでも、倒れてなるかと歯を食いしばって立ち上がろうとしている。

「…………」

その光景に、アオイだけでなくスタジアムの観客達も静かになった。

 

「……もういい、本当によく頑張ったなツタージャ」

そんな彼女に優しく告げ、グリードはその身体を労るように抱き上げた。

「タジャ……!?」

「もう充分だ。お前は頑張ってくれたよ、後は俺達に任せてくれ」

「ツタージャ戦闘不能、ボスゴドラの勝ち!!」

 

「……よいよい。お前の想い、しかと見せてもらったぞ」

「見事だ、ツタージャ」

グリードに抱きかかえられているツタージャに、レシラムとゼクロムは優しくそう告げた。

 

「……ツタージャ、後は俺達に任せてくれ。必ず勝つ……お前の頑張りは絶対に無駄にしないぞ?」

「………タージャ」

約束だからね、優しく微笑みツタージャはグリードに地面へ降ろされ、小さく鳴いた。

「…………」

絶対に負けない、その想いがより一層大きくなる。

その瞳には更に強い闘志が宿り、アオイはそれを見て身体を震わせた。

(気分が高揚する……そうだ、だからお前とバトルをするのは楽しいんだよ、グリード!!)

 

「ムクホーク、頼むぞ……もう一度いってくれ!!」

「クホオォォォッ!!」

再びフィールドに現れるムクホーク、先程のバトルの疲れをものともしないかのように雄叫びを上げた。

「いくぞムクホーク、真・ブレイブバード!!」

「クホオォォォッ!!」

ムクホークの肉体が蒼いオーラに包まれる。

メタグロスを倒したあのブレイブバードを使うつもりだ、アオイはボスゴドラに身構えるよう指示を告げる。

「いけっ!!」

掛け声一閃、ムクホークの姿がボスゴドラの視界から消えた。

その一瞬後に、ムクホークはボスゴドラの背後に回り込む。

 

「インファイト!!」

隙だらけの巨体に、ムクホークは両の翼による連打を叩き込もうとして。

「てっぺき!!」

アオイの声が響く。

放たれるムクホークの翼や脚による連打、しかし……その攻撃はボスゴドラの身体を多少よろめかすのみに終わる。

「くっ……!?」

「死角から攻撃する事は読んでいたさ、だからこそ対処のしようがあるというものだ」

読まれていた、その事実にグリードの中で戦慄が走る。

 

――ムクホークはもう限界だ

 

前のバトルでのダメージ、真・ブレイブバードの連続使用。

これでは、こちらが敗れるは必至。

「クホォッ!!」

「……ムクホーク」

主人に向けて鳴くムクホーク、グリードはその意図をどことなく理解して……迷いを見せた。

「けど、それは……」

「ストーンエッジ!!」

迷うグリードに、アオイとボスゴドラは容赦なく攻撃を仕掛ける。

放たれる十数の石塊、ムクホークはそれを懸命に回避しながら、もう一度主人に叫んだ。

 

―――大丈夫、信じてと。

 

「——真・ブレイブバード!!」

「クホオォォォッ!!」

自分の想いを汲み取ってくれたグリードに感謝の鳴き声を上げながら、ムクホークは再びその身に蒼いオーラを纏い突撃する。

「そのままインファイト!!」

「読んでいると言っただろう、てっぺき!!」

再びてっぺきにて防御力を上げるボスゴドラ、これではムクホークも決定打を与えられない。

実際、ムクホークの連打はボスゴドラを多少後退させるに留まっている。――だが

 

「………?」

まだ、ムクホークの攻撃は終わらない。

「確かにいくらインファイトでも、てっぺきを使ったボスゴドラに決定的なダメージは与えられないさ。

 ――けど、“倒れるまで”攻撃すれば話は別だ!!」

「なっ!?」

なんという短絡的な思考、これにはアオイも驚いてしまう。

「馬鹿な……そこまでムクホークが保つものか!!」

「保つさ!! バトルは根性、俺のムクホークは絶対に負けない!!

 頑張れムクホーク、お前の根性を見せてやるんだ!!」

「クホオォォォッ!!」

尚もボスゴドラに連打を浴びせていくムクホーク、普通ならば終わらせざるおえないはずのインファイトを、続けていく。

「グ、グ……」

てっぺきによる防御を続けるボスゴドラから、苦悶の声が漏れた。

 

「そんな、まだ……!?」

「いっけえぇぇぇっ!!」

連打連打連打………!

両の翼、そして脚による連撃は確実にボスゴドラの防御を崩していき――そして。

 

「ムク……クホオォォォッ!!!」

「ボガァァァッ!!!」

最後の一撃とばかりに、自分の全力を懸けた翼がボスゴドラを壁へ叩きつける―――!

 

「ク、ホ……」

ボスゴドラは壁から抜け出る事はなく、倒したと理解したムクホークは……満足げに微笑み、そのまま地面へと倒れ込んだ。

「ムクホーク、ボスゴドラ、共に戦闘不能!!」

『相討ちだぁぁぁっ!! ムクホークの善戦により、引き分けに持ち込みました!!!』

 

「―――――」

「ありえない……何なのよあのムクホークは」

本当に根性で乗り切ってしまった、引き分けまで持ち込むとは……。

カレン達は驚き、レシラム達は楽しげにフィールドに視線を向ける。

「……人とポケモンの絆を見るというのは、いつの時代に移っても楽しいものだな、ゼクロム」

「うむ。だからこそ我等は人もポケモンも愛したいと思うのだ」

永き時を生きているからこそ、色々なものを見てきた。

その中で一番尊く美しいと思えるものは、人とポケモンの絆に他ならない。

「とはいえ……追い詰められてしまった事に変わりはあるまい」

ムクホークは倒れ、グリードのポケモンは最後の一体。

対するアオイはまだ二体、どちらが有利で不利なのかは言うまでもなかった。

(さてグリード、お前はここで終わるか? それとも……)

 

「グリードくん、勝てるかな……」

おもわず不安を零すソラネ、他の者も口には出さないが彼女と同じ意見だ。

「大丈夫に決まってる!!」

「わぁっ!!?」

突然にゅっと現れたポケモン、ラティオスにカレン達は驚きの声を上げた。

「いきなり現れないでよ、吃驚するじゃない……」

「一体何が大丈夫なの?」

「ふっふっふ……グリードの最後の一体が居れば、たとえ相手が誰であっても負けはしないさ!!」

もはや決定事項のように、自信満々にそう告げるラティオス。

それを見て……カレン達はグリードの最後の一体が誰なのかを理解した。

そして、今まで現れなかったラティオスがここに現れた理由も。

 

「………お前で最後だ、頼むぞ」

祈るようにボールを握りしめながら、グリードはそう懇願の言葉を告げる。

「――ティア、キミに決めた!!」

「クォォォォォゥ!!」

かつてない程の迫力を込めながら、ティアはボールから飛び出す。

「――ウルガモス、バトルオン!!」

「ギュアァァァッ!!」

対するアオイはウルガモスを出す、両者共に凄まじい気迫で相手を睨み合っていた。

「アオイ、勝たせてもらう!!」

「そうはいかん……勝つのは、私だ!!」

己の誇りを懸けて、互いに勝利の宣言を叫ぶ。

ポケモン達もまた、互いの主人の為に気合いを入れ直した。

 

「かえんほうしゃ!!」

「りゅうのいぶき!!」

同時に放たれる、両者の攻撃。

ウルガモスとティアの攻撃が、空中でぶつかり合い爆散。

「ニトロチャージ!!」

「ギュルァァァッ!!」

相殺に終わった、そう判断したアオイは指示を出す。

炎をその身に纏い、ティアに向けてウルガモスは突撃する。

 

「ドラゴンクローで迎え撃て!!」

「クォォゥ!!」

ティアの両手が輝きを見せる。

それを突撃してきたウルガモスにぶつけ、真っ向から受け止める事に成功。

「クゥゥォォォッ!!」

「ギュルルル……!?」

すかさず反撃、一撃を受けたウルガモスはたまらず地上へと吹き飛ばされる。

 

「かえんほうしゃ!!」

「ギュルァァァッ!!」

「クゥゥゥゥ……!」

しかしウルガモスも反撃、攻撃を受けた直後にかえんほうしゃでティアの身体を包み込んだ。

「ニトロチャージ!!」

「ギュルァァァッ!!」

「クォォッ!!?」

一撃目のニトロチャージでスピードを上げたウルガモスは、ティアに反撃の隙を与えずその巨体をぶち当て、彼女を地面に叩き落とす。

「ぎんいろのかぜ!!」

「ギュルルル!!」

身体を回転させるウルガモス、すると名の通り銀色に輝く風が吹き荒れ衝撃波となってティアを襲う。

 

「かわせ!!」

「ッ、クォゥ」

地面すれすれの低空飛行で、迫る衝撃波を回避。

最後の一撃も回避して、そのままの勢いで上昇、ウルガモスの背後に回った。

「ラスターカノン!!」

「クゥゥゥ…ォォォッ!!!」

「ギュギュッ!!?」

背中に白銀の光線を受け、地面に落ちていくウルガモス。

「りゅうのはどう!!」

「クォォォォォゥ!!」

相手が地面に落ちる前にティアは次の行動へ、両手を合わせエメラルドに輝く光球を生成。

ウルガモスが地面に落ちると同時に、その光球を投げつける。

避けられず、まともに攻撃を受け再び飛ばされるウルガモス。

 

「オーバーヒート!!」

「ギュギュ……ギュルアァァァァッ!!!」

飛ばされながらも、ウルガモスは熱線にて反撃に移る。

「クゥゥゥッ!!?」

技を放ったばかりで、次の行動に移れないティアは避けられず、熱線に呑み込まれ……地面に倒れ込んだ。

「ティア!!」

「ク、クゥゥ……」

起き上がるティア、しかしその身体の至る所は焦げており、先程のオーバーヒートによるダメージがいかに大きいか如実に物語っていた。

対するウルガモスも、ダメージが大きく大技を放ち荒い息を繰り返している。

 

「どっちも負けてない……!」

「けど、グリードの場合互角じゃダメよ」

まだアオイには他に一体ポケモンが残されている、故にティアはウルガモスを余裕をもって倒さねばならないのだ。

しかしこのままでは……そんな思いが浮かぶ中、バトルは当然まだ続く。

 

(どうする? このままじゃ倒せても次まで保たない………!)

「フレアドライブ!!」

「っ」

迷っている隙は与えられない、蒼白い炎に身を包みティアに迫るウルガモス。

「ドラゴンクロー!!」

「クォォゥ!!」

両腕を振り上げ、ウルガモスに真っ向から衝突するティア。

「クキュゥッ!!」

しかし、ティアの一撃は無情にも弾かれダメージを負った。

 

「ティア、りゅうせいぐんを撃ち出さずに溜めるんだ!!」

「ク、クォゥ!!」

頷き、体内のドラゴンパワーを集めていくティア。

「かえんほうしゃ!!」

「ギュルァァァッ!!」

そうはさせないと追撃を仕掛けられるが、ティアはりゅうせいぐんの準備に入りなから回避。

もう少しで完了する、ティアがそれを理解した瞬間。

「いとをはく!!」

「ギュルルル!!」

「クゥッ!!?」

まるで鞭のような動きで、ティアの身体を瞬く間に拘束する白い糸。

翼も拘束され、彼女はたまらず地面へと落ちる。

 

「しまった!!?」

「終わりだ…フレアドライブ!!」

「ギュルルル…ギュルアァァァァッ!!!」

雄叫びを上げるウルガモス、その身を蒼白い炎で包み込み地面に倒れたティアへと吶喊する―――!

 

「ティアーーーーーッ!!!」

「ッ、クゥゥゥゥゥ………!」

主人の叫びを耳に入れたティアは、力ずくで自身を拘束している糸を引き千切ろうともがき始める。

だが切れず、ウルガモスが彼女の眼前にまで迫った瞬間。

「―――クォォォォォォォォゥ!!!」

ブチブチという音が響く。

裂帛の気合いを込め、ティアは無理矢理糸を引き千切った―――!

間髪入れずに上昇、その刹那彼女の真下にウルガモスが通過。

 

「なっ――――!?」

「今だティア、解放しろ!!」

「クゥゥゥゥゥ……ォォォォッ!!」

空に、ではなくウルガモスへと向けて口からりゅうせいぐんを解き放つティア。

紅く輝くその光球は分裂せず、ウルガモスへと命中し……その中心で大爆発を引き起こした。

「ウルガモス!!」

爆発の余波で顔を腕で覆うように守りながら、アオイは自らのポケモンを呼びかける。

……だが、煙が晴れた先に立っていたのは、ティアだけ。

 

「ウルガモス戦闘不能、ラティアスの勝ち!!」

「これで並んだ………!」

「いいぞ妹よ、そのまま残りのポケモン達も倒してしまえー!!!」

「落ち着けラティオス! 気持ちはわかるがフィールドに乱入しようとするな!!」

愛する妹の活躍に興奮したのか、ラティオスが身を乗り出しフィールドに向かおうとするのを、ゼクロムは必死の形相で止めていた。

〈す、凄いバトルっす……〉

〈おもわず興奮しちゃいますね〉

〈あーくそ、なんか楽しそうだよなぁアイツ等、羨ましいよ〉

バリオン、リコ、トナの順で口々にグリード達のバトルを見て感想を零す。

その中で、ハルはただひたすらグリード達の勝利を祈っていた。

(頑張ってグリード、ツタージャの気持ちに…どうか応えて!!)

と、ハルは自分の身体がふわりと浮いた感覚に陥る。

 

「ただ信じればいい。結末は必ず答えを出してくれるからな」

そう言って、抱き上げたハルの頭を優しく撫でるのは、レシラム。

彼女もグリード達には勝ってほしいと願っている、だがこのバトルの結末は彼女にもわからない。

グリードが勝つか、アオイが勝つか。

ただどちらにせよ、このバトルはお互いのこれから歩む道に大きな遺産を遺すだろう。

(さあグリード、そしてアオイ、最後まで悔いの残らないバトルをするがいい。

 お前達の結末は、この私がしっかりと見ておいてやる)

 

「――ウルガモス、お前も本当によく頑張ってくれたな。いいバトルだったぞ」

「ティア、大丈夫か?」

「………クォゥ」

返事を返すティアだが、その表情には明らかな疲れの色が。

それでも、グリードには彼女を戦わせる以外に選択肢がない以上、任せるしかないのだ。

「――ジャノビー、バトルオン!!」

「ジャノッ!!」

「グリード、わたしは負けない……わたしの最大のパートナーであるジャノビーで、必ずお前に勝つ!!」

「俺だって負けない、ポケモン達を信じて……必ず勝ってみせる!!」

最後のバトル、互いに追い詰められた状態でのバトルを先制したのは、アオイの方だった。

 

「リーフブレード!!」

「ジャノーッ!!」

地を蹴り走るジャノビー、対するティアはすぐさま迎え撃つ。

「れいとうビーム!!」

「クォォォォォゥッ!!」

冷気を帯びた光線がジャノビーに迫る。

それを、彼は寸前のタイミングを見計らって跳躍。

「ジャ、ノーッ!!」

「クゥゥゥッ!!?」

そのまま回転しつつ、尻尾によるリーフブレードをティアの頭部に叩き込んだ。

ぐらつくティア、更にジャノビーは追撃へ移る。

 

「エナジーボール!!」

「ジャノッ、ジャノォッ!!!」

連べ打ちにされるティアの身体、連続攻撃に彼女のダメージは確実に蓄積されていった。

「ク、ゥ……」

ティアの動きが止まる。

「決めるぞジャノビー、リーフブレード!!」

「ジャノーッ!!」

跳び上がるジャノビー、そして――尻尾による一撃をティアの頭部へと叩き込み、地面へと叩きつける!!

 

「…………」

「ティアーーーーッ!!!」

グリードの呼びかけにも、ティアは応えない。

(決まった……わたし達の勝ちだ!!)

勝利を確信するアオイ、審判も倒れたティアを見やり旗を上げ。

「ラティアス戦闘不能、ジャノビーの―――」

 

 

「――――クオォォォォォゥ!!!」

 

 

「な――」

「――に!?」

フィールドに響く雄叫び。

驚愕に満ちた表情のアオイの視線の先には………キッと顔を上げるティアの姿、が。

(まだ倒れない、だと!?)

そんなはずはない、ジャノビーの攻撃はまともに命中した。

だというのに、何故ティアはまだ立ち上がりその瞳の闘志は消えていないのか。

 

「…………」

その光景を見て、ラティオスも自分の妹の強さに驚きを見せていた。

……芯が強い子だとは、思っていた。

しかし、今のあの子は自分の知っている以上に強くなっていると、理解する。

「――ラティオス、あの子はただグリードが好きなだけだ」

「な、に……?」

「好きだから、大事だから、あの子はグリードの為に勝利しようと何度でも立ち上がろうとしている。

 なんとも単純で、大きな愛情ではないか。あの子がグリードに会えたのは、何か大きな意味があると思うぞ」

静かにそう告げるレシラムに、ラティオスはグリードへと視線を向けた。

(あの子が強くなったのも、グリードと出会ったからなのか……?)

人とポケモンとの絆が、ティアを強くする要因になった。

 

――そう、認めざるおえない

 

「――ジャノビー、最後まで油断するわけにはいかないようだな」

「ジャノ」

「……楽しい、本当に楽しいバトルだ。だが…もう終わらせなければならない、わたし達が勝利して!!」

「俺達だって絶対に負けない!! 今まで頑張ってくれたポケモン達の為にも……絶対に、負けられない!!」

「クオォォォォォゥッ!!!」

「ティア、りゅうせいぐんだ!!」

「クゥゥゥゥ………!」

ティアの身体が発光していく。

「させるか! リーフストーム!!」

「ジャァァァノォォォォッ!!!」

ティアに迫るリーフストーム。

 

「かわせ!!」

「クォゥッ!!」

急上昇、迫るリーフストームを回避しながらジャノビーから距離をとるティア。

「追え、ジャノビー!!」

「ジャノ!!」

それを追いかけるジャノビー、ティアはフィールドのぎりぎり端まで移動し。

「れいとうビーム!!」

「クォゥゥッ!!」

追いかけてくるジャノビーに振り向き、白銀の光線を発射した。

 

「避けろ!!」

「ジャッ―――!」

跳躍するジャノビー、そのままティアとの間合いを詰めながら真上をとった。

「今度こそ決める……最大パワーで…リーフブレード!!」

「ジャノオォォォォォッ!!」

自身の身体を回転させながら勢いをつけ、尻尾に全パワーを込めていくジャノビー。

「これで…終わりだぁぁぁぁっ!!」

「終わりじゃない!!」

グリードが叫ぶ、そして。

 

「最大パワーでりゅうせいぐんだ、解き放てぇぇぇぇぇ!!!」

「クゥゥゥゥ……クォォォォォォォゥッ!!!」

ジャノビーのリーフブレードが、ティアの眼前まで迫った瞬間。

彼女の口から、全力のりゅうせいぐんが放たれ――フィールドを包む大爆発が発生した!!

 

「くっ………ジャノビー!!」

「ティア!!」

互いのポケモンの名を叫ぶ2人、瞬間――爆発の中から勢いよくジャノビーが飛び出し、地面へと叩きつけられた。

 

――ジャノビーは、動かない

煙が晴れていき、その中、には。

 

 

「―――クオォォォォゥッ!!」

自分の勝ちだと、勝利の雄叫びを上げる、ティアの姿があった……。

 

 

「――ジャノビー戦闘不能、ラティアスの勝ち!! よって勝者、グリード選手!!!」

『決まったあぁぁぁぁぁぁっ!!!!』

瞬間、割れんばかりの歓声がスタジアムを包み込む。

 

「ティア!!」

「クゥゥ……クォォゥ」

弱々しく鳴くが、ティアは優しく微笑みグリードにすり寄った。

「ありがとう…本当にありがとう、よく頑張ったぞ……」

そんな彼女に、グリードは最大限の感謝を込めて優しく頬を撫でた。

「…………ふぅ」

それを見ながら、アオイはそっと一息つきながら、うなだれているジャノビーを抱きかかえた。

「ジャノビー、いいバトルだった……お前の全てが見れて、嬉しかったぞ」

「ジャノ……」

「楽しかった……本当に、こんなバトルができて…わたしは幸せだ」

それは、まごうことなき本心の言葉。

 

――グリードの元へと歩み寄る

 

「グリード、おめでとう。本当に楽しいバトルだった」

「アオイ……」

「初めて会った時は、右も左もわからなかったというのに……ここまで成長するとは思わなかったよ。また、バトルしてくれるか?」

言いながら、右手を差し出すアオイ。

それに対し、グリードは嬉しそうに…本当に嬉しそうに満面の笑みを浮かべて。

「もちろん、またバトルやろうぜ!!」

しっかりとアオイの右手を握りしめたのだった。

 

「――よいよい、2人ともいいバトルだったぞ」

「また1つ、美しい絆を見れたな……」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

『――さぁ、一回戦の勝者が決まりました!!』

グリードがティアをボールに戻した時、実況がそう報告を告げる。

『第二試合はサクラ選手、第三試合はアヤト選手が勝ち進んだようです!!

 しかしなんと、両者共にポケモンを三体残した状態で勝利するという、圧倒的結果に終わりました!!』

「っ」

その言葉に、絶句する。

同じ四天王相手のアリアとハクに、たった三体で六体に勝ったというのか……。

 

「タージャ」

しかし、ツタージャは変わらぬ声でグリードへと鳴いた。

気にする事はないと、励ますように。

「……そうだよな」

気にする必要などない、たとえ相手がどれだけ強敵だろうとバトルをして勝つ、それだけなのだから。

『それでは、準決勝の対戦表を発表致します!!」

巨大なモニターに、ベスト4になったグリード達の顔写真が並べられ………準決勝の相手が、決められた。

 

「…………」

アヤトの相手は…………フェイト。

そして、グリードは。

 

 

「―――サクラ」

思い出の少女、新たな約束を交わしバトルを望んだ存在。

サクラとの、バトルとなった。

 

 

 

 

To Be Continued...




【ツタージャ】♀           【ムクホーク】♂      【ミロカロス】♀
【使えるわざ】            【使えるわざ】        【使えるわざ】
・つるのムチ            ・はがねのつばさ     ・たつまき
・リーフブレード          ・かぜおこし         ・アイアンテール
・真・リーンフォースブレード  ・でんこうせっか      ・ハイドロポンプ
・かげぶんしん           ・つばさでうつ        ・れいとうビーム
・へびにらみ            ・つばめがえし       ・じこさいせい
・リーフストーム           ・ブレイブバード      ・ふぶき
・リーフブレード二段斬り    ・インファイト        ・アクアリング
・エナジーボール         ・かげぶんしん       ・アクアテール
・ギガドレイン           ・はかいこうせん      ・みずのはどう
・リーンフォースブレード・EX
・ハードプラント

【オノノクス】♂     【コジョンド】♀    【グライオン】♂
【使えるわざ】     【使えるわざ】     【使えるわざ】
・ダブルチョップ   ・みきり         ・シザークロス
・シャドークロー   ・はっけい       ・れんぞくぎり
・りゅうのいかり   ・とびひざげり     ・ほのおのキバ
・ドラゴンクロー   ・はどうだん      ・クロスポイズン
・りゅうのいぶき   ・おうふくビンタ    ・ギガインパクト
・りゅうせいぐん   ・ギガインパクト    ・はがねのつばさ
・あなをほる     ・ドレインパンチ
・りゅうのはどう   ・ストーンエッジ 
・はかいこうせん   ・きあいパンチ
・かみなりパンチ

【クチート】♀     【ラティアス(ティア)】♀    【ゴチルゼル】♀
【使えるわざ】    【使えるわざ】         【使えるわざ】
・てっぺき      ・ラスターカノン          ・ねんりき
・アイアンヘッド   ・じこさいせい          ・ひかりのかべ
・かえんほうしゃ  ・はかいこうせん         ・サイケこうせん
・ねごと       ・りゅうのはどう        ・サイコキネシス
・ラスターカノン   ・りゅうせいぐん        ・まもる
・かみくだく     ・れいとうビーム
・かみなりのキバ    ・ドラゴンクロー
            ・はがねのつばさ
            ・サイコキネシス

【ピカチュウ】♂            【キュウコン】♀
【使えるわざ】             【使えるわざ】
・10まんボルト          ・かえんほうしゃ
・アイアンテール          ・ほのおのうず
・ボルテッカー            ・じんつうりき
・でんこうせっか          ・エナジーボール
・かみなり             ・アイアンテール
・ボルテッカー・アイアンテール   ・ソーラービーム
                    ・オーバーヒート
                    ・フレアドライブ
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