最後のバトルだ……。
アヤト、勝負!!
――日が昇り始めた早朝
スタジアムの近くの芝生の上に、ポケモン達と共に佇んでいる少年が居た。
彼の名はグリード、イルミナリーグの決勝戦まで勝ち進んだ、少年トレーナーである。
「クゥゥ……?」
彼の手持ちの一体であるラティアス、ティアがどうしたのかと訊ねるように一声鳴いた。
……先程から、グリードはこうして空を見上げ続けている。
今日は大事な決勝戦、だというのになんだか覇気を感じないのだ。
「……なんだか、ボーっとしてるね」
「……サクラ」
後ろから声を掛けられたと思った時には、サクラは既にグリードの隣に座っていた。
「今日は決勝戦でしょ? それなのになんだか全然緊張していないというか……もしかして、恐いの?」
「…………」
グリードは答えない、しかしそれはサクラの問いを肯定するのが嫌で黙っているのではなく、自分にもよくわからないからだ。
「――俺、なんか実感湧かなくてさ」
「…………」
「サクラに勝って、あのアヤトと決勝で戦う……なんていうか、本当なのかなって思っちゃうんだよな」
自分でも何を言っているんだと思う。
それでも、グリードの中でプレッシャーというのは皆無だった。
ただいつも通り、なんてことはない1日を過ごすように、落ち着いている。
自身の状態に困惑する彼を見て、サクラは優しく微笑み口を開いた。
「それは、いつもの自分で居る証拠だよ」
「えっ?」
「余計な緊張も、プレッシャーも何もない、いつもの自分で居る何よりの証だよ。
――凄いねキミは、こんな時でもありのままで居られるなんてさ。僕だったら緊張して手が震えちゃうよ」
「……でもさ、それってつまり能天気って事じゃないのか?」
「そうかもね」
(即答しやがった……)
「けど、いつでも自然体で居られるキミは、とても魅力的だと思うよ。
普通はそんな事できないからね、だから……僕にとってキミのそういう所、好きだよ」
「………っ」
真っ直ぐな愛情を受け、グリードは赤くなった顔を隠すように視線を逸らす。
「ふふっ……グリード、好きだよ」
「な、何度も言わなくていいよ」
「いいじゃないか、好きな人に愛の言葉を告げる事は悪い事じゃないんだからさ。
それにね、キミに好きだと言う度に……僕の心は満たされていくんだ」
「…………」
どうしてこの少女は、恥ずかしげもなくこんな事を言ってくるのか。
……けれど、その真っ直ぐな愛情を…嬉しくないと思っているわけじゃない。
(………俺は)
じっと、サクラの顔を見つめる。
白い肌、顔は小さく童顔であり、年上とは思えない。
でも魅力的で、目が離せない……そう思えてしまう。
「……そんなに見つめられると、さすがに照れくさいかな」
「あっ、わ、悪い」
「ふふっ、謝らなくていいよ。照れくさいけど嬉しい事に変わりはないんだから」
サクラは笑う、その言葉通り、嬉しそうに笑顔を浮かべて。
「クゥゥ!!」
「タージャ!!」
「わっ!?」
これ以上2人をいい雰囲気にさせるものかと、ツタージャとティアは協力してサクラからグリードを引き離す。
「こーん♪」
「ピッカ♪」
「クチーッ♪」
「どわはぁっ!? おいお前ら、じゃれるのはいいけどいっぺんに来るのはやめろって!」
「…………」
グリードにじゃれつくポケモン達、その全員が……サクラに対して軽い敵意を向けている。
(好かれすぎるのも、大変だね)
性別問わずに好かれているグリードに、サクラは内心少しだけ同情した。
これから決勝戦を行うとは思えない、のんびりとした空気。
それでも、彼等は楽しそうであり……幸せそうだった。
…………。
一方、場所は変わってスタジアム内のポケモンセンター。
そこでは、1人の少年――アヤト、がゴウカザルと共に深呼吸を繰り返していた。
「……いよいよだな。ゴウカザル」
「ウキャァ……」
「あいつとのフルバトル……カンナギ以来だな」
あの時は自分が勝った、勝てる自信とて…あったはずだ。
しかし今は……勝てるなどとは微塵も思えない。
相手の実力は底無しだ、特に……ポケモン達との絆の力は、自分よりも遥かに凄まじい。
「………情けない、な」
自分の右手を見る、その手は……震えていた。
「なんだ、武者震いか?」
「………オヤジ、シロナさん」
突然声を掛けられ振り向くと、そこに居たのは……サイトとシロナ。
「おはようアヤトくん、決勝進出おめでとう」
「ありがとうございます」
「まあワシの息子なら当然だが、とりあえずはよく頑張ってるようだな」
ガハハと豪快に笑うサイト、いつもの事なので放っておく事にした。
「よきライバルを、見つけられたな」
「…………」
「互いを認め合い、競い合い、支え合うライバルというのは本当に貴重な存在だ。
一生を掛けても手に入れられぬ宝をお前は手に入れたのだ、大切にしろよ?」
「……わかっているさ」
そう、そんな事言われなくともわかっている。
かけがえのない友であり、仲間であり、そして……ライバルであるグリード。
彼が居てくれたから、自分はこれだけのトレーナーとして成長できたのかもしれない。
「人は1人で出来る事など限られている、ワシもそうだった。
今は世界最強などと呼ばれているが、ワシを支え競い合ってくれた仲間が居てくれたからこその立場だ。
アヤト、グリード君は強いぞ? だが恐れる事などない、ただおもいっきりぶつかれば良いのだから」
「オヤジ……」
「おーい、アヤト!!」
噂をすればなんとやら、こちらに手を振りながらグリードが走ってきた。
「サイトさん、シロナさん、おはようございます!!」
「おはよう、グリードくん」
「君はいつでも元気いっぱいだな」
「はい。だってこれからアヤトとフルバトルですから、楽しみです!!」
(………楽しみ)
グリードは、自分とのバトルを楽しみにしてくれている。
……それが嬉しくて、アヤトは口元を緩ませた。
「…………」
「…………」
見つめ合う2人、彼等の傍らに居るツタージャとゴウカザルも、互いの闘志をぶつけあっていた。
「――いいバトルにしような?」
「――ああ、オレも楽しみにしている」
掛ける言葉はただそれだけ、2人は握手を交わし……改めて、バトルの意欲をぶつけ合った。
(アヤト、グリード君、素晴らしいライバル同士の素晴らしいバトルを、期待しているぞ)
そんな2人を見ながら、サイトは静かにそう思ったのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『―――天気は快晴、まさしく絶好のバトル日和と言えるでしょう。
このイルミナ学園にて、優秀なトレーナーがぶつかり合い……そして、いよいよ最強を決めるバトルが始まろうとしています!!』
スタジアム内は、いまだかつてない程の熱気に包まれていた。
イルミナ学園最強のトレーナーを決めるイルミナリーグも、いよいよ決勝戦。
観客達の熱気が最高潮に達するのも、無理もない話であった。
『互いにまだ一年でありながら、この決勝戦まで勝ち進んできた若き天才トレーナー。
そのお二人に、登場していただきましょう。どうぞ!!』
2人が入場するやいなや、空気が震える程の歓声が湧き上がった。
「グリード、頑張れー!!」
「アヤトー、頑張ってくださーい!!」
2人の仲間達もまた、登場した2人に精一杯の激励を送る。
「ふふっ……遂に始まるのね」
「キキョウ、どちらが勝つと思う?」
「さあ、あの2人のバトルはきっと最高のものになるだろうから、終わるまでは予想もできないわね」
楽しげに、キキョウはサイトの質問にそう答える。
……予想など、できるわけがないのだ。
自分達はただ黙って2人のバトルを見守るのみ、楽しく観戦させてもらう事にしよう。
「グリード選手、アヤト選手、一体目のポケモンをお願いします!!」
審判にそう告げられ、アヤトはモンスターボールを用意し。
「ツタージャ、キミに決めた!」
「タージャ!!」
グリードは、足元に居るツタージャに呼びかけ、彼女はフィールドに赴く。
「ジャローダ、バトルスタンバイ!!」
「ジャァロ……」
対するアヤトが繰り出したのはジャローダ、すなわちそれは……。
「……姉妹対決、だね」
〈へっ? ツタージャとあのジャローダって姉妹なのか?〉
「そうみたいだよ。僕も最近グリードから聞かされたけど」
驚くトナに、フィルが軽く説明を入れた。
「ツタージャ、お姉ちゃんだからって遠慮する事ないぞ!!」
「タジャ!」
「ジャローダ、姉の威厳を見せてやれ」
「ジャロ……」
睨み合う両者、絶対に負けないという確かな気迫を辺り一面に漂わせていく。
ビリビリと空気が震え、それが永遠に続くと錯覚した頃。
「――試合、開始!!」
審判の合図が響き、最後のフルバトルの幕が、遂に開かれた……。
『リーフブレード!!』
「タジャーッ!!」
「ジャロォォッ!!」
2人の指示が重なり、ツタージャとジャローダも同時に動く。
尻尾によるリーフブレードがぶつかり合い、互角だったのか両者共に弾かれる。
『リーフストーム!!』
「ツタァァァ……ジャァァァッ!!」
「ジャロォォ……ダァァァァッ!!」
またしても同じ技の指示を放つ2人、2匹のリーフストームがぶつかり合い……またしても相殺した。
『両者共に一歩も譲りません、進化系のジャローダに対してツタージャも必死に食らいついています!!』
「エナジーボール!!」
「ター、ジャッ!!」
5つのエナジーボールが、ジャローダに向かう。
「ドラゴンテール!!」
「ジャロォォッ!!」
ジャローダの尻尾がエメラルドに輝き、迫るエナジーボールを全て一撃の元に叩き潰す。
更に、そのままツタージャに向けて突撃、展開されているドラゴンテールを振り下ろした。
「かわせ!!」
「タジャ!!」
二発、三発、四発と振るわれるジャローダの攻撃も、ツタージャは冷静に回避。
「リーンフォースブレード!!」
「ッ、タジャァァァッ!!」
振るわれるツタージャの右腕、それが瞬時に深緑の大剣へと変化しドラゴンテールとぶつかり合う。
「ジャロォォ………!」
押し負けたのはジャローダ、ザザザと地面を滑りながら後退していく。
「リーンフォースブレード・EX!!」
「タジャタジャタジャタジャ………!」
ジャローダに向かって走るツタージャ、その両腕がすぐさま変化を始める。
「ハードプラント!!」
「ジャロ……ジャロォォォダアァァァァッ!!!」
ジャローダが叫んだ瞬間、地面から幾つもの蔦が飛び出しツタージャへと向かっていく。
「斬り裂けツタージャ!!」
「タッ、ジャァァァッ!!!」
ぶつかり合うブレードとハードプラント。
バチバチと火花と熱を地面に散らしながら、やがて激突により爆発が引き起こされた。
「タジャ………!」
衝撃で弾き飛ばされ、ゴロゴロと地面を転がるツタージャ。
「ジャロォ………!」
反面、ジャローダは弾かれなかったものの、衝撃の反動をまともに受け表情を歪ませた。
「ツタージャ、戻るんだ!」
「タージャ」
こくりと頷きを返し、グリードの元に戻るツタージャ。
「頑張ったなツタージャ、今はゆっくり休んでいてくれ。
お姉ちゃんとの決着は、先送りになっちゃうかもしれないけど」
「タジャ、タージャ」
本音を言えば少し不満はあるものの、ツタージャはおとなしく頷きを返す事に。
そんな彼女を優しく撫でてから、グリードはモンスターボールを手に取る。
「キュウコン、キミに決めた!!」
「ここーん!!」
フィールドに飛び出すキュウコン、するとフィールドの陽射しが強くなった。
「ジャローダ、かなり不利じゃないですか?」
相手はほのおタイプ、しかもとくせいによって威力が上がった状態だ。
「それはアヤトだってわかってるはずだけど……交代させるつもりはないようね……」
「(交代しないのか……)キュウコン、かえんほうしゃ!!」
「きゅこーん!!」
「ソーラービーム!!」
「ジャダァァァッ!!」
キュウコンの炎に、ジャローダの光線がぶつかり合い爆散する。
「アイアンテール!!」
「ドラゴンテール!!」
「きゅおぉぉん!!」
「ジャロォォッ!!」
続いては接近戦、キュウコンとジャローダの尻尾がぶつかり……互いに弾かれ。
「リーフストーム!!」
「ジャロォ………ダァァァァッ!!」
弾かれながらも、ジャローダはリーフストームで追撃に入った。
「フレアドライブ!!」
「きゅぅぅぅ……きゅこおぉぉん!!」
蒼白い炎を纏い、リーフストームに吶喊するキュウコン。
リーフストームを弾き飛ばしながら、少しずつ前へ進んでいくキュウコンだったが……フレアドライブの炎も比例して小さくなっていき。
リーフストームが完全に消えると同時に、フレアドライブも同じく消え相殺という結果に――
「オーバーヒート!!」
「きゅおぉぉぉぉん!!」
着地する前に、キュウコンは己の身体を後退させながら熱線を撃ち放つ。
ジャローダは反撃できない、そのまま熱線に呑み込まれ……壁に叩きつけられた。
「――ジャローダ戦闘不能、キュウコンの勝ち!!」
『まずはグリード選手が先制しました!!』
「いいぞ、キュウコン!」
「こーん♪」
「……戻れ、ジャローダ」
ジャローダをボールに戻すアヤト、しかし……その表情は少しも揺らがない。
(ツタージャにキュウコン、これで二体か……)
「よしよし、なかなかよいスタートではないか」
嬉しそうに、レシラムはうんうんと頷きを繰り返す。
(だがまだ始まったばかり、努々油断するなよグリード)
対するゼクロムは、レシラムとは対照的に表情は変えず、心の中で主へと注意を促した。
「――ゾロアーク、バトルスタンバイ!!」
「ウルガァッ!!」
(ゾロアークか……)
特に相性が悪いわけではない、そう判断したグリードはこのままキュウコンを戦わせる事に。
「かえんほうしゃ!!」
「きゅこーん!!」
炎を放つキュウコン。
「こうそくいどう!!」
「っ」
アヤトが指示を出した瞬間、ゾロアークの姿が消える。
「きゅ、きゅう!?」
キュウコンの周りに現れては消え、現れては消えていくゾロアーク。
『ゾロアークの素早い動きに、キュウコンまったくついていけません!!』
「(だったら………!)キュウコン、フィールド全体にかえんほうしゃだ!!」
「きゅおん!!」
跳躍するキュウコン、フィールド全体にかえんほうしゃを放ち、ゾロアークの動きを封じるつもりだ。
だが――それを見逃すアヤトではなかった。
「シャドークロー!!」
「なっ!?」
アヤトが指示を出した時には、既にゾロアークはキュウコンの頭上へと移動していた。
「ウルァァッ!!」
「きゅぅぅっ!!?」
右腕を振り下ろし、漆黒の爪でキュウコンを地面に叩き落とすゾロアーク。
受け身をとれず、キュウコンは地面に叩きつけられくぐもった鳴き声を零す。
「ナイトバースト!!」
「ウゥゥゥ……ウオォォォォッ!!」
キュウコンのすぐ傍に着地し、雄叫びを上げながらゾロアークは両手を地面に叩きつける。
すると、彼を中心に漆黒の衝撃波がドーム状に広がり、キュウコンを更に弾き飛ばした。
「くっ……戻れ、キュウコン!!」
キュウコンをボールに戻すグリード、すぐさま次のポケモンを用意してフィールドに繰り出す。
「ムクホーク、キミに決めた!!」
「ムクホォォォッ!!」
「ムクホークか……なる程、インファイト狙いで行くみたいだね」
「それに、ノーマルタイプならゾロアークが使ってくるゴーストタイプの技を無効化できる」
なかなか良い手だとは思う、しかし……それでもアヤトはゾロアークを変えようとはせず、その表情に変化はない。
(三体目はムクホークか……)
「でんこうせっか!!」
「クホォッ!!」
風切り音が響く。
そう思った時には、ムクホークがゾロアークを弾き飛ばしていた。
『ムクホーク速い!!』
「こうそくいどう!!」
またも現れては消えるゾロアーク、ムクホークも必死に目で追うが追い付けていない。
「高度を上げろ!!」
「クホッ!」
グリードに頷きを返し、ムクホークは羽ばたいて高度を上げる。
「遅いな。あくのはどう!!」
それよりも速く、ゾロアークは跳躍してムクホークの真上へ。
「ウァァァッ!!」
胸の前で両手を合わせ、漆黒の衝撃波を撃ち出すゾロアーク。
「つばめがえしだ!!」
「クホォッ、ムクホォォォッ!!」
間一髪、ムクホークは真横に避けあくのはどうが虚しく空を切る。
「ガハ……ッ!?」
間髪入れずに反撃するムクホーク、つばめがえしの一撃を受けゾロアークは地面に落ちていく。
「畳み掛けるぞ、ブレイブバード!!」
「ムクゥゥゥ………!」
蒼く輝くオーラを纏い、無防備のまま地面に落ちるゾロアークに向かうムクホーク。
このままではまともに攻撃を受けてしまう、観客達がそう思った瞬間。
――アヤトは、口元に笑みを浮かべてゾロアークに指示を出した
「ナイトバースト!!」
「何―――っ!!?」
「グルゥゥゥ……アァァァッ!!」
ゾロアークが両腕を伸ばし、地面に突き刺す。
刹那、先程と同じ漆黒の衝撃波が発生、ムクホークとぶつかり合い火花を散らした。
「グッ……クホォッ!!」
弾かれるムクホーク、ブレイブバードによる反動ダメージにより、僅かに顔をしかめている。
「迂闊ね、グリード君」
「だが攻め方は悪くなかった、今回はアヤトの方が一歩上手だっただけだ」
なかなか楽しいバトルを続けてくれる、サイトはフィールドを見つつニヤリと笑った。
(……ナイトバーストが厄介だな、範囲も広いしなによりゾロアークが速過ぎる)
おそらく、同じ手はもう通用しないだろう、このままムクホークで戦い続けるのは不利だ。
「戻れ、ムクホーク!!」
そう判断したグリードは、ムクホークをボールへと戻した。
「(試す時が来たか……)ピカチュウ、キミに決めた!!」
「ピッカァッ!!」
頬の電気袋を軽く放電させながら、ピカチュウはフィールドに降り立つ。
(四体目はピカチュウ……なる程、これで残りの二体もわかった)
「ピカチュウか……」
「けど、ピカチュウじゃゾロアークのスピードには対抗できないんじゃないかな?」
(……確かに)
ソラネの疑問は尤もだ。
ピカチュウはムクホークよりも遅い、ゾロアークのスピードについていけるとは思えなかった。
(けどグリード、キミは何か手があるからピカチュウを出したんだろう?)
彼が一体どんなバトルを見せてくれるのか、サクラは楽しみにしながら席に座り直す。
「10万ボルト!!」
「ピーカチュゥゥッ!!」
「フン……」
鼻を鳴らし、ゾロアークは軽い動きで電撃を回避する。
その後も幾度となく電撃を放つピカチュウだが、ゾロアークは軽々と避けてしまう。
「シャドークロー!!」
地を蹴るゾロアーク、一息でピカチュウとの間合いを詰め、漆黒の爪を振り上げた。
「アイアンテールで迎え撃て!!」
「チュゥゥゥ……ピッカァッ!!」
振るわれるアイアンテール、だがゾロアークの動きが消え……ピカチュウの背後に現れる。
「ピガッ!?」
まるでボールのように、シャドークローで何度も宙に飛ばされ弄ばれるピカチュウ。
暫く攻撃を受け続け、どうにかアイアンテールでシャドークローを弾き、難を逃れる。
『素早いゾロアークに、ピカチュウまるで歯が立ちません!!』
(やっぱり普通の動きじゃ捉えられない、だったら………!)
(っ、何か仕掛けるか……?)
身構えるアヤト、そしてグリードが出した指示は……。
「かみなり!!」
「………?」
単なるかみなりだった、しかし。
「跳べ、ピカチュウ!!」
「ピーカァァ……チュゥゥゥゥッ!!!」
身体を捻り、跳躍しながら自らの身体を回転させ、かみなりを放つピカチュウ。
瞬間――アヤトはフィールドの変化に気づいた。
「なに………!?」
回転しながら放ったからか、ピカチュウのかみなりはゾロアークではなく辺り一面に降り注ぐ。
しかもただ降り注いだだけでなく、まるで網の目のように電撃がフィールドを包み込んでいた。
「グゥ……!?」
「ゾロアーク!!」
フィールドを包む電撃の柵に、ゾロアークはたまらず動きを止める。
「そこだ、アイアンテール!!」
「チュゥゥゥゥ……ピッカァッ!!」
「グガ……ッ!?」
動きを止めたゾロアークに、空中から落ちてきたピカチュウの、渾身のアイアンテールが炸裂する!!
「畳み掛けろ!!」
「ピッカァッ!!」
再びアイアンテールを放つピカチュウ。
ゾロアークも避けようとするが、電撃の柵がそれを許さず再び一撃を許してしまう。
「ボルテッカーだ!!」
「ピカッ、ピカピカピカピカピカピカピカピカ………!」
後ろに跳んでゾロアークとの距離を一度離してから、ピカチュウはその身に黄金の雷を纏いながら吶喊する。
ゾロアークは動けない、連続で受けたアイアンテールのダメージにより、身体がふらついておりそして。
「ピカピカピカピカピカピカ…ピカピッカァッ!!!」
「グァァァッ!!」
ボルテッカーの一撃をその身に受け、轟音を響かせながら……ゾロアークは壁の中へと沈んでいった。
「ゾロアーク戦闘不能、ピカチュウの勝ち!!」
『グリード選手、アヤト選手のポケモンを続けて倒してしまいました!!』
「……押してると思う?」
歓声が飛び交う中、カレンは他の皆にそう問いかける。
「いや……私はそうは思えないな」
「奇遇だね、僕もだ」
「? わたしには、グリードが押してるように見えるがな」
周りの反応に、シェリーは首を傾げる。
「シェリー、僕も一応トレーナーの端くれだからなんとなくみんなの言ってる事がわかるよ。
グリードは確かに二体ポケモンを倒した、そしてまだ一体も倒されていない。
……けど、グリードはもう四体もポケモンを出してる、しかも全員ダメージを受けた状態だ」
「……手の内を読まれているという事か」
シェリーの答えに、フィルは頷きを返した。
「………ふぅぅぅ」
「タジャ……?」
「ん、ああ、ごめんツタージャ。さすがにこう緊迫した空気が続くと、息苦しくてさ」
大きく深呼吸を繰り返し、グリードは再び集中力を持続させた。
「……さすがだな。まさか続けて倒されるとは思わなかった」
「このまま、一気に勝たせてもらうぞ!!」
「そういうわけにはいかん、まだバトルは始まったばかりだからな……サーナイト、バトルスタンバイ!!」
「――サーナ」
ふわりと着地し、グリードと目線を合わせてから、スカートの裾を摘み頭を下げる。
正確には、スカートに見える部分は身体の一部なのだが、その姿は可憐な少女に見えた。
「――そろそろ、反撃に移させてもらうぞ」
「やってみろ! ピカチュウ、10万ボルト!!」
「ピーカチュゥゥッ!!」
サーナイトに向かう、ピカチュウの電撃。
それを、サーナイトは避ける事もせず両手を翳し。
一瞬で、10万ボルトを文字通り“斬って”しまった。
To Be Continued...
【ツタージャ】♀ 【ムクホーク】♂ 【ミロカロス】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・つるのムチ ・はがねのつばさ ・たつまき
・リーフブレード ・かぜおこし ・アイアンテール
・真・リーンフォースブレード ・でんこうせっか ・ハイドロポンプ
・かげぶんしん ・つばさでうつ ・れいとうビーム
・へびにらみ ・つばめがえし ・じこさいせい
・リーフストーム ・ブレイブバード ・ふぶき
・リーフブレード二段斬り ・インファイト ・アクアリング
・エナジーボール ・かげぶんしん ・アクアテール
・ギガドレイン ・はかいこうせん ・みずのはどう
・リーンフォースブレード・EX
・ハードプラント
【オノノクス】♂ 【コジョンド】♀ 【グライオン】♂
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・ダブルチョップ ・みきり ・シザークロス
・シャドークロー ・はっけい ・れんぞくぎり
・りゅうのいかり ・とびひざげり ・ほのおのキバ
・ドラゴンクロー ・はどうだん ・クロスポイズン
・りゅうのいぶき ・おうふくビンタ ・ギガインパクト
・りゅうせいぐん ・ギガインパクト ・はがねのつばさ
・あなをほる ・ドレインパンチ
・りゅうのはどう ・ストーンエッジ
・はかいこうせん ・きあいパンチ
・かみなりパンチ
【クチート】♀ 【ラティアス(ティア)】♀ 【ゴチルゼル】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・てっぺき ・ラスターカノン ・ねんりき
・アイアンヘッド ・じこさいせい ・ひかりのかべ
・かえんほうしゃ ・はかいこうせん ・サイケこうせん
・ねごと ・りゅうのはどう ・サイコキネシス
・ラスターカノン ・りゅうせいぐん ・まもる
・かみくだく ・れいとうビーム ・サイコウィップ
・かみなりのキバ ・ドラゴンクロー ・チャージビーム
・はがねのつばさ
・サイコキネシス
【ピカチュウ】♂ 【キュウコン】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】
・10まんボルト ・かえんほうしゃ
・アイアンテール ・ほのおのうず
・ボルテッカー ・じんつうりき
・でんこうせっか ・エナジーボール
・かみなり ・アイアンテール
・ボルテッカー・アイアンテール ・ソーラービーム
・オーバーヒート
・フレアドライブ