頑張れよカレン、アヤト、フェイト!!
俺が一生懸命応援してやるぜ!!
「――キルリア、シャドーボール」
「キ、ルゥッ!!」
胸の前でシャドーボールを生み出し、サマヨールに向けて放つキルリア。
その一連の動きは流れるような速さで、サマヨールはシャドーボールをまともに受けてしまった。
「……サマ〜……」
「サマヨール戦闘不能、キルリアの勝ち!!」
「さすがアヤトですね、不利な相手にも勝つなんて!」
モモカの黄色い声を横で聞きながら、俺はアヤトの戦い方にただただ感心する事しかできないでいた。
相手はベスト4に選ばれるトレーナーだ、すなわち俺なんかよりよっぽど強い。
それなのに、アヤトはポケモンを一体も失ってはおらず、逆に相手の残りポケモンは一体
ダメージはあるとはいえ、アヤトは絶妙なタイミングで交換を行い、一体も失わずに始終有利な勝負を見せていた。
……遠いな、あいつとの差は。
「いけ、マッスグマ!」
「――マスッ!」
「キルリア、このまま行けるか?」
「キルッ!」
大きく頷くキルリア、やる気充分のようだ。
「マッスグマ、みだれひっかき!!」
「マスッ!!」
「キルリア、テレポートで回避しろ」
「キルッ!」
「逃がすな!!」
素早い動きで攻撃を仕掛けていくマッスグマ。
しかし、その度にキルリアはテレポートで間合いを広げていく。
テレポートの速度も、間合いの広げ方も申し分ない、むしろマッスグマを手玉に取っているようにすら思える。
「くっ……ならマッスグマ、みずのはどう!」
「マァスッ!!」
間合いを広げられたからか、遠距離攻撃に切り替えるマッスグマ。
しかし、キルリアは急に動きを止めマッスグマに向かって……。
否、マッスグマが生み出しているみずのはどうに向かって、両手を翳している。
そして、みずのはどうがマッスグマから発射される瞬間。
「――サイコキネシス」
短くそう指示を出し、アヤトはこのバトルを終わらせていた。
「キル〜……!」
キルリアの赤い瞳が光を帯び、ここからでもわかるくらい彼女の両手から不可思議な力が溢れ出す。
それは淡く蒼い光に変わり、みずのはどうを包み込んだ。
「マスッ!?」
自分のコントロールが利かなくなったからか、マッスグマの口から驚愕の声が漏れる。
――だが遅い
みずのはどうは、キルリアのサイコキネシスによって完全に操られ……。
「マースッ!?」
マッスグマは、自らが生み出したみずのはどうを受け、地面に倒れ込んでしまった。
その隙に、キルリアは一気に間合いを詰める。
「マッスグマ!!」
相手トレーナーがマッスグマを呼ぶが、その時には既にキルリアは最後の一撃の準備を終えていた。
「れいとうパンチ!」
「キ、ルーッ!!」
「マースッ!!?」
深々と突き刺さるれいとうパンチ。
それは、瞬く間にマッスグマを氷漬けにし。
「マッスグマ戦闘不能、キルリアの勝ち。よって勝者、アヤト」
鮮やかな手際で、このバトルに勝利した。
………。
「アヤトー――おぶしっ!?」
こちらへと戻ってくるアヤトに、桃色全開な声で飛びつこうとしたモモカだったが、綺麗に回避されたためそのまま地面に滑っていった。
うわぁ……アヤト、容赦ない。
「お、お疲れさん」
「ああ」
涼しげな様子のアヤト、モモカの行動はいつもの事とはいえ……ちょっと冷たくないか?
「……抱きつかれたら最後、半日は離れてくれないからな」
あ、なるほど。じゃあそういう行動に出てもしょうがねえか。
と。
「キル〜♪」
「おっ……?」
ボールから勝手に飛び出すキルリア、くるくると踊るように回転しながら俺の前で止まり、恭しくお辞儀をした。
「キルリアもお疲れさん、凄いバトルだったな」
「キ、キル〜……」
なにやらもじもじとし出すキルリア、はて……どうしたのか。
「キルリア、勝手に出てくるな」
言いながら、アヤトはキルリアをボールに戻そうとするが。
「キルッ」
それが嫌なのか、テレポートで俺の頭に避難してしまった。
「キルリア」
「いいじゃねえかアヤト、キルリアだってたまにはボールに出ていたい時だってあるさ」
「キル〜」
こくこくと頷くキルリア、それを見てアヤトはため息をついた。
「別に外へ出るのは構わないが……お前に迷惑が掛かると思ってな」
「大丈夫大丈夫、キルリアのサイコパワーのおかげで全然重くないし、俺の頭の上が気に入ったなら構わないから」
「……すまないな」
「気にすんな」
「キル〜♪」
俺の頭にしがみつき、すり寄るキルリア。
ってか痛い!! 赤い突起物がグリグリやられてめちゃ痛いんですが!?
「――タージャ!!」
「ツタージャ……?」
キルリアのように、いきなりボールから飛び出してくるツタージャ、というか……何故怒ってる?
いや、正確には俺ではなく……キルリアに向かって怒ってるようだ。
「キル、キルッ!!」
「タジャ、タージャ!!」
「おいおい……」
相変わらず仲が悪いなこいつらは、俺を間に挟んで喧嘩するのはやめてくれよ。
「タージャ、タジャタジャッ!!」
「キール、キルキル!」
「タジャ〜……!」
「ツタージャ、やめろってば」
このままでは喧嘩がひどくなる、そう思い俺はツタージャを落ち着かせる為に抱きかかえた。
「タジャ……!?」
「キルリアは俺の大事な友達のポケモンなんだ、ちゃんと仲良くしてくれないか?
キルリアも、ツタージャは俺の大事な家族だから、喧嘩しないで仲良くしてくれ」
『…………』
互いに黙り、俺と相手を交互に見つめ合う。
すると、ぶすっとした表情ながらも、おとなしくなってくれた。
ふぅ、一応は大丈夫かな?
「……ったく、いつまでもラブコメやってんじゃねえです」
「へ……? モモカ、今何か言ったか?」
「いえいえ、ただ……鈍感で天然ジゴロな男の人にちょっとムカついただけですから」
「? ふーん……?」
よくわからんが、その天然ジゴロとかいう奴がモモカを怒らしたというのは理解できた。
……でも、天然ジゴロってなんだろ?
「そんな事より、フェイトちゃんとカレンさんのバトル、もう始まっちゃってますよ!」
「ああ、そうだった!」
ちゃんと応援に行かないとな。
というわけで、俺はツタージャを抱きかかえたまま、アヤト達と共にカレン達がバトルしてるフィールドへと走る。
「――あっ、やっぱりもう始まってるな」
けど、まだ開始されたばかりだ。
カレンはエルフーンで、フェイトは……。
「へぇ……フェイトちゃん、リオルをゲットしてたみたいですね」
「リオル、あれが……」
結構可愛いな。
モニターを見ると、まだ互いに一体目のポケモンのようだ。
「リオル、はっけい!」
「ウガァッ!!」
(速い———!?)
あのリオル、かなり素早いぞ。
だけど……。
「コットンガード!」
「エルッ!!」
エルフーンの身体が赤く光り、僅かに光沢を生み出す。
そして、リオルのはっけいはものの見事に弾き返されてしまう。
「くっ……!」
「サイコキネシス」
「エールッ」
ピョコピョコと小躍りのようなものを始めるエルフーン。
「グゥ……!?」
すると、リオルの身体が青白い光に包まれ勢いよく地面に叩きつけられてしまった。
「リオル!!」
「そのままソーラービームのチャージを」
「エルゥゥゥ………」
カレンの奴、一気に勝負をつける気か!!
「フェイトちゃん、早くリオルを脱出させないと拙いです!!」
たまらずフェイトに叫ぶモモカ、しかしそれは彼女とてわかっているはずだ。
だが――リオルはもがくだけでサイコキネシスの呪縛から逃れる事ができない。
そうしている間にも、ソーラービームのチャージは刻一刻と終わろうとしていた。
「リオル、どうにか腕だけ動かして!!」
「ウゥ、グ……」
フェイトの声を聞き、無理矢理両腕を動かす事には成功するリオル。
でも、あれだけじゃ逃れた事には――
「ソーラービーム、発射よ!!」
「エールゥゥゥッ!!」
チャージを終え、凄まじい威力のソーラービームがリオルへと向かっていく。
間に合わないか………!?
「リオル、ソーラービームに向かってはどうだん!!」
「っ」
「ウガァァウッ!!」
顔をしかめながら、両腕を腰辺りに構え、蒼穹のような綺麗な球体を生み出していくリオル。
そして、それを間髪入れずに迫り来るソーラービームへと撃ち放つ!!
「どわぁっ!!」
「きゃぁっ!?」
「キルッ!?」
「タジャ……」
互いに大技、故に真っ向からぶつかり凄まじい爆風が観客席の方まで押し寄せ、俺達はおもわず顔を逸らす。
……一応は、相殺できたのか?
すぐさま視線をフィールドに向けると……。
「ハァ…ハァ…ハァ」
まだ倒れてはいないものの、肩で大きく息をするリオルと。
殆どダメージを受けていないエルフーンが、試合を続けていた
「やるわね。エルフーンのフルパワーソーラービームに耐えるなんて」
「……私は、相殺するつもりだった。それなのに僅かに軌道をずらす事しかできないなんて……」
「当然よ。エルフーンはあたしの手持ちの中でも自信ある子なの、そう簡単に倒せると思わない事ね」
「…………」
強い、あのフェイトが……あんな一方的に不利になるなんて。
「――さすがカレンさんです、フェイトちゃんの指示で技を相殺できたと思ったのに……」
モモカも、カレンのエルフーンの火力に、ただただ驚くばかり。
「………?」
と、試合中だというのに俺は背後から違和感を覚え後ろを振り向く。
……誰もいない、なので視線は上に。
「――あ」
観客席の上の方で、カレン達のバトルを観ている1人の少女。
アイツは、たしかアオイとかいう……。
暫し視線を向けているとアオイも俺に気づいたのか、あからさまに嫌悪感を露わにした表情を向けた後、その場を後にした。
っ、相変わらず失礼な奴だな!!
……でも、どうしてアイツはカレン達の試合を観ていたんだろう?
「リオル、きあいパンチ!!」
「ガァウッ!!」
右腕を発光させ、エルフーンに向かって素早く間合いを詰めるリオル。
「エルフーン、ぼうふうよ!」
「エルフーッ!!」
向かってくるリオルに向けて、凄まじい風を放っていくエルフーン。
その威力は凄まじく、リオルもおもわず脚を止めその風に飛ばされないようにするので精一杯だ。
――しかし、そこで最大の隙が生まれてしまう
「今よエルフーン、エナジーボール!!」
「っ、リオル、避けて!」
指示を出すフェイト。
だが、ぼうふうによってリオルはその場から動く事ができず。
「エルーッ!!」
「ウガァッ!?」
風のスピードもプラスされたエナジーボールが、リオルの身体を地面へ叩きつけた。
「……ウゥ〜……」
「リオル戦闘不能、エルフーンの勝ち!!」
「……これで、カレンがまず一勝か」
「でも、まだまだバトルは始まったばかりです。フェイトちゃんなら今すぐにでも巻き返しはできますよ!!」
なんだか応援にも力が入ります、そう言いながら握り拳を作りバトルの応援を始めるモモカ。
対する俺は、この2人のバトルに驚く事しかできなくて。
……情けないな、俺。
「キール、キルキル」
「タジャ、タージャ」
「……ツタージャ、キルリア……」
俺のネガティブオーラを感じ取ったのか、慰めるように鳴き声を上げるツタージャとキルリア。
はぁ……ますます情けないな、俺。
「ありがとうリオル、なら……ガーディ、お願い」
「――わんっ!」
「フェイトちゃんはガーディですか……まあ、当たり前ですね」
「でも、ユキメノコっていう可能性もあったんじゃないのか?」
「いえいえ、今回のバトルでフェイトちゃんはユキメノコを手持ちに入れてないんですよ」
「あ、なる程」
「エルフーン、戻りなさい」
だが、カレンは不利になるからかエルフーンをボールに戻してしまう。
「あっ、ずっけぇ」
「いや、あれは冷静な判断力を持つからこそできるものだ。
――やはり、フェイトでも適わないか」
「そんな事ありません、フェイトちゃんだって強いんですから、カレンさん相手にもきっと勝ってくれます!!」
「――アリゲイツ、出てきなさい!!」
「――アリゲィツ!」
「アリゲイツ……水タイプのポケモンか」
さまざまなタイプに対応できるわけか……やっぱりカレンは強い。
「ガーディ、かえんほうしゃ!」
「わうぅっ!!」
「アリゲイツ、ハイドロポンプ!」
「えっ……!?」
「アリゲィーッ!!」
アリゲイツの口から放たれる、とてつもない勢いの水流。
それは、ガーディのかえんほうしゃを簡単に押し戻し……。
「わぅぅぅっ!!?」
「ガーディ!!」
それは当然、かえんほうしゃを放ったガーディに命中した。
戦闘不能にはならなかったものの……ダメージはかなり大きい。
「くっ……でも、まだ負けた訳じゃない!!」
「当たり前よフェイト、そんな事で諦めたら許さないんだから!!」
まだ、勝負が決まったわけじゃない。
一体どっちが勝つんだろう、未熟な俺には予想さえ出来ないまま……バトルは続いていく。
To.Be.Continued...
【ツタージャ】♀ 【ムクバード】♂ 【ミロカロス】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・つるのムチ ・たいあたり ・たつまき
・リーフブレード ・かぜおこし ・アイアンテール
・たいあたり ・でんこうせっか ・みずでっぽう
・かげぶんしん ・つばさでうつ
・へびにらみ ・つばめがえし
・リーフストーム ・ブレイブバード(未完成)
・リーフブレード二段斬り