そしていよいよ決勝戦、勝つのはカレンかそれともアヤトか。
……俺もバトルしたいなぁ。
「―――それではこれより、カレンとアヤトによるポケモンバトルを始める!!」
いよいよ決勝戦、試験とはいえトーナメントには間違いないので、周りには他のクラスや学年の生徒もちらほら居る。
「さて……君達はどちらが勝つと思う?」
「アリアはね、アヤトとかいう人に千円賭けようかな。ソラネはどっちに賭ける?」
「あ、えっと、その……か、賭け事は…よ、よくないと……」
「…………」
まともな事を言ってるのがソラネしか居ない。
というか、なんで俺の周りに四天王のうちの2人が居るんだよっ。
「いいじゃないか、君だって1人で観戦するよりはいいんじゃないか?」
「そうそう。アリアみたいなちょー可愛い美少女が傍に居るんだから、もっと喜ばないと」
「……誰が美少女? 幼女なら俺のすぐ傍に居るんだが……」
「うがーっ、幼女って言うな!!」
顔を真っ赤にしポカポカと俺を叩いてくるアリア、しかし全然痛くない。さすが幼女。
こういう行動が幼く見られるってわかんないかなこの子は、まあなによりその身長が一番の原因なんだけどさ。
ちなみに、モモカとフェイトは反対側……アヤトの方の観客席で観戦してる。
何故か? それは数分前に遡るが……。
『グリードさん、私達はアヤトの応援しかしないので失礼します!!』
『えっ、ちょ、モモカ引っ張らないで〜!』
とまあ、無理矢理フェイトの腕を掴んで行ってしまったというわけだ。
それで俺は1人寂しく観戦を……と思ったら、サクラ達がやってきて今に至るわけで。
「でもソラネ、周りに人がいっぱい居るけど大丈夫なのか?」
対人恐怖症であるソラネにとって、この環境は好ましいものではないはずだ。
「だ、大丈夫……ちょっと恐いけど、なんとか我慢できるから。
それに、バトルが始まれば集中できるだろうし……なにより、グリードくんが傍に居てくれてるから、大丈夫……」
「そか。でもあまり無理するなよ?」
「う、うん……ありがとうグリードくん」
はにかむような笑みに、俺も自然と笑みを浮かべた。
と。
「アリアキック!!」
「ぐぶほっ!?」
いきなり脇腹に蹴りをくらわされた、ぐぉぉ……地味に痛い。
「な、何しやがる……」
「ふーんだ、アリアの目の前でラブコメなんかやってるからだよ!」
「はぁ? おい、何言ってんのか理解―――いだだだだっ!!」
「…………」
「……おい、サクラ。お前まで何を」
「ごめんね、手が滑っちゃっただけだよ」
「ならさっさと俺の腕を抓ってる手を離せいだだだだっ!!」
「……ふんっ」
そっぽを向きながら、僕怒ってますとばかりの態度を見せるサクラ。一体何なんだよ……。
「グリードくん、あの…大丈夫?」
あぁ、ソラネ。俺に優しいのはお前だけだよ。
そう思ったら、ついついソラネの頭を撫でてしまった。
「えっ!? あ、その、グリード、くん?」
目を見開くソラネだが、すぐさま心地良さそうに目を閉じされるがままに。
へぇ、ツタージャ達にもよくやってるけど、人にも結構効くんだな。
『グリード!!』
「ぶほはぁっ!!?」
腹にアリアのケンカキック、顔面にサクラのグーパンチがめり込んだ。
な、何故俺に対してこのような仕打ちを……?
……もしかして、ソラネの頭を撫でたのがセクハラだと思われたのか?
「あ、えっと…その、試合始まるよ」
控えめなソラネの言葉で、2人は何事もなかったかのように観戦モードに戻す。
うぐっ……意識が刈り取られそうだ。
どうして俺の周りにはこんな女の子しか居ないんだ〜。
…………。
「――ガバイト、バトルスタンバイ!」
「ガバッ」
「エルレイド、出てきなさい!!」
「エルレイッ!!」
そうこうしているうちに、互いに一体目のポケモンを出すカレン達。
「始まるね。グリード、静かにしてよう」
「………はいはい」
誰が原因だと思ってんだよ……。
とは思いつつ、逆らっても無駄なのでおとなしくする事に。
……さて、どちらが勝つのかね。
「先攻はアヤトから、それでは試合開始!!」
「ガバイト、りゅうのいかりだ!」
「ガ、バーッ!」
先手必勝とばかりに、アヤトは速攻を仕掛ける。
りゅうのいかりのスピードは速く、エルレイドもその一撃を受けてしまった。
「エルレイド、れいとうパンチ!!」
「ッ、エルレイッ!!」
体勢を立て直し、地を蹴り踏み込むエルレイド、その腕は氷に包まれている。
「ドラゴンクロー!!」
「ガバァーッ!!」
力を込め、右腕をエメラルド色に染め上げ迎え撃つガバイト。
エルレイドのれいとうパンチにガバイトのドラゴンクローがぶつかり合い―――互いに吹き飛ばされ地面に倒れた。
「ガバイト、かえんほうしゃ!」
「ガバ、ガバーッ!!」
「エルレイド、サイコキネシス!」
「エルレッ!!」
「っ、チィ………!」
起き上がり、右手を前に翳し瞳を蒼く光らせるエルレイド。
すると、ガバイトが放ったかえんほうしゃが空中で止まり、なんと放ったガバイトへと向かっていく。
「ガ、バ……」
片手で防御しながら、ガバイトは炎に包まれる。
「へぇ……なかなかやるね」
「けど、たとえかえんほうしゃをはね返してもたいしたダメージにならないんじゃないか?」
そう言うと、アリアはちっちっちっと指を振った。
「甘いねグリード、ダメージを与えるためにはね返したと思ってるの?」
「えっ……?」
それはどういう意味だ?
俺がアリアにそう訊こうとした瞬間。
「エルッ」
「ガッ!?」
ガバイトの前に、エルレイドが間合いを詰め。
「エルレイド、さいみんじゅつ」
アリアの代わりに、カレンが俺の問いに答えてくれた。
「ガバ……」
目を閉じ、眠りこけてしまうガバイト。
「ちっ………!」
「エルレイド、インファイト!!」
「エルレィィィッ!!」
猛烈な勢いの拳の連打。
しかし、それを受けてもガバイトは目を醒まさない。
「ガバイト、起きろ!!」
アヤトの必死の呼びかけにも、ガバイトは眠ったままだ。
「きあいパンチ!!」
「エールレィィッ!!」
今度は渾身のきあいパンチがガバイトの腹部に決まる。
拙い……いくらガバイトでもあれ以上ダメージを受け続けたら……!
「ガバイトーッ、早く目を醒ましさなさーい!! というかさっさと醒ましやがれ!!」
「モ、モモカ……落ちちゃうよ!!」
「…………」
観客席から上半身を乗り出し、ギャーギャー騒ぐモモカ。後ろではフェイトが下に落ちないよう必死に支えている。
……何だアレ?
「ガバイト!!」
「…………ガバッ!!?」
っ、起きた………が。
「れいとうパンチ!!」
「エルレイッ!!」
起きたのも束の間、弱点であるれいとうパンチをまともに受けてしまった。
「ガ、バァ……」
苦しげな声を上げ、地面に倒れるガバイト。
「……ガバ〜……」
「ガバイト戦闘不能、エルレイドの勝ち!!」
「…………」
「わかったでしょグリード? どうしてサイコキネシスを使ってかえんほうしゃをはね返したのか」
「なかなかいい手だと思うよ。かえんほうしゃをダメージを与えるためでなく目くらましに使ってさいみんじゅつを仕掛けるという手は」
「す、凄いです……」
ソラネはただ驚き、サクラも少し感心している。
……やはりカレンはすごい、強いとは思っていたけど……まさかあそこまで強いなんて……。
「――いいバトルだったぞ、ガバイト。
さすがだなカレン、まさかこうも簡単にやられるとは思わなかったぞ」
「ありがとう。でもガバイトがもっと早く目覚めてていたら危なかったわ」
「結果論さ、だが……まだ負けない。
―――リース、バトルスタンバイ!」
「ミロォッ!!」
「―――っ」
アヤトの二番手はリースか………!
「凄い……! あのミロカロス、コンテストに出せば凄い成績が残せそうです!!」
さすがコーディネーターのソラネだ、やっぱりリースの凄さがわかるらしい。
「あのミロカロスは、フェイトの姉さんであるアリシアさんがグランドフェスティバル出場の際も使ってたからな」
「アリシアって……もしかして、トップコーディネーターのアリシアさんのこと?」
そうだよ、と俺が答えると、ソラネはまたも驚きの声を上げた。
俺達トレーナーにとってのチャンピオンみたいなものらしいからな、トップコーディネーターって。
「リース、たつまき!」
「ミ、ロォッ!!」
尻尾の先端を回転させ、たつまきを生み出しエルレイドに向けて撃ち出すリース。
しかし……さすがトップコーディネーターが使用してたポケモンだ、攻撃技でも普通にバトルするより綺麗だなぁ。
しかも、あのたつまきの威力は俺のミロカロスを大きく上回ってる。
「かわしてかみなりパンチ!!」
「エルレッ!」
たつまきを回避し、リースへと大きく踏み込むエルレイド。
弱点で攻めるようだが……。
「ハイドロポンプ!!」
「ミィィィッ!!」
「エル…レッ!!?」
リースが顔を上げる。
そしてたつまきを発生させながら、向かってくるエルレイドにとんでもない勢いのハイドロポンプを撃ち放つ………!
「エルレイド!!」
「エル、レイ……」
どうにか立ち上がるエルレイドだが、ダメージが大きいのか足元がふらつき、肩で大きく息をしている。
……たった一撃であそこまで、なんて威力だ。
しかし、エルレイドの闘志は少しも衰えを見せない。
「エルレイド、リーフブレード!!」
「エルレイーッ!!」
「リース、アイアンテールだ!!」
「ミロォォォォ……ミィッ!!」
鈍い打撃音が響き渡り、リーフブレードとアイアンテールが衝突する。
だがパワーはリースの方が上なのか、少しずつ圧されていくエルレイド。
このままやられるのか……?
「エルレイド、れいとうパンチを地面に!」
「エル……レイッ!!」
アイアンテールを受けながら、地面に向かってれいとうパンチを叩き込むエルレイド。
氷タイプの技はリースに対して効果は薄い、それに地面に対して放つなんて……。
「っ、!?」
「なっ!?」
れいとうパンチが地面に当たった瞬間―幾数もの氷の棘が生まれ、リースに襲いかかった!!
「ミィッ!?」
いくら効果が薄いとはいえ、衝撃はある。
その結果、リースのアイアンテールが解除されてしまい隙が生まれた。
「今よエルレイド、かみなりパンチ!!」
「っ、アヤト!!」
そんな叫び、何の意味もない。
だがそれでも、声を出さずにはいられなかった。
エルレイドが迫る―――!
「れいとうビーム!!」
「ミロォォォッ!!」
「エルレッ!? エルゥゥゥ——ッ!!」
リーフブレードは、リースへとヒットする。
しかしリースも負けていない、攻撃を受けても尚至近距離でれいとうビームを撃ち放った。
……地面に倒れる両者
「……エルレ〜……」
エルレイドは戦闘不能。
……でも、リースは。
「ミ、ロォ………」
ダメージは大きいものの、しっかりと立ち上がった。
「エルレイド戦闘不能、ミロカロスの勝ち!!」
「……うん、いいバトルだったよ」
「まあまあだね。まっ、アリアには適わないけどね」
さすが四天王、上から目線かよ。
まあ、実際アヤト達より強いんだけどさ。
「…………」
「? ソラネ、どうしたんだ?」
「ふえっ……?」
なにやらぽやぽやした表情のまま、ソラネはこちらへと視線を向けた。
「いや、なんかボーっとしてるから……もしかして、人がいっぱい居るから気分が悪くなったのか?」
「えっ、あ、う、うぅん……そういうわけじゃないの。ごめんなさい」
「別に謝る事なんかないさ、でも……一体どうした?」
「………うぅん。ただ、凄いバトルだなって、そう思っただけ」
呟くようにそう話すと、ソラネは再び視線をフィールドへと向けてしまった。
……よくわからないが、これ以上は訊ける雰囲気ではないので、俺も視線を元に戻した。
「エルフーン、出てきなさい!!」
「―――エルッ」
カレンの二番手はエルフーン、リースにとって苦手な相手だ。
それに、エルレイドとの戦いでかなりダメージを受けてしまっている、このままじゃ……。
「リース、れいとうビーム!」
「エルフーン、エナジーボール!」
「ミィィロォッ!!」
「エルーッ!!」
同時に、互いの技を繰り出す両者。
空中でれいとうビームとエナジーボールがぶつかり合い、互いの技は相殺し合いれいとうビームによって誕生した氷の粒子がエナジーボールと混ざり合い水晶のような輝きをフィールドに齎す。
「綺麗……」
隣に居るソラネが、おもわずそう呟いているが、それも頷けるくらい綺麗な光景だ。
しかし、ポケモンバトルをしているカレン達にはまったく関係ない。
「アイアンテール!!」
「コットンガードからエナジーボール!!」
「ミ、ロォッ!!」
「エルッ」
渾身のアイアンテール。
だが、それもコットンガードの前に弾かれてしまい。
「エル、フーッ!!」
「ミロォォッ!!?」
カウンターとして、まともにエナジーボールを受けてしまった。
「ミ、ミィ……」
まだダウンしてないが、もうリースも長くは保たない。
エルフーンの特性である「いたずらごころ」……かなり厄介だぞ。
「こらぁーっ、補助技なんて使わずに正々堂々と勝負してくださいよカレンさーん!!」
「む、むちゃくちゃだよモモカ……!」
「…………」
モモカ、フェイトの言う通りむちゃくちゃを言うなよ。
……でも、あれを何とかしないと勝てないぞ、アヤト。
どうする……?
――激闘は、まだまだ続く
To.Be.Continued...
【ツタージャ】♀ 【ムクバード】♂ 【ミロカロス】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・つるのムチ ・たいあたり ・たつまき
・リーフブレード ・かぜおこし ・アイアンテール
・たいあたり ・でんこうせっか ・みずでっぽう
・かげぶんしん ・つばさでうつ
・へびにらみ ・つばめがえし
・リーフストーム ・ブレイブバード(未完成)
・リーフブレード二段斬り