さて、今日はどんな1日になるのかな……。
「〜〜〜♪」
皆さんこんにちは、モモカです。
なんだか久しぶりな登場の気がしますが、皆さんはメインヒロインの私を忘れてませんよね?
え? じゃあお前がグリードと結ばれるのかって?
あはは、何とち狂った事を言ってるんですか?
………潰しますよ?
まあそれはともかく、この物語の主人公は、私の夫であるアヤトに決まってます!!
「〜〜〜♪」
「………ねぇ、モモカ」
鼻歌を歌っている私に、後ろから遠慮がちに話しかけてくる女の子。私とアヤトの幼なじみであり妻その2のフェイトちゃんである。
「妻その2って……」
フェイトちゃん、モノローグにツッコミを入れるのはどうかと思いますよ。
「それより、何作ってるの……?」
「ふっふっふ……よくぞ訊いてくれました。
これは、アヤトの為に作った愛妻クッキーなんですよ!!」
「…………」
「何ですか? そのなんともいえない微妙な表情は……」
「……それ、何も入ってないよね?」
「何を言ってるんですかフェイトちゃん、今回は何も入れてませんよ!」
「じゃあ、そのドクロのマークが書いてあるビンは?」
「これは……男性をその気にさせるび・や・く」
「び……っ!?」
媚薬と聞いて顔を真っ赤にさせるフェイトちゃん、相変わらず純情なんですから。
「大丈夫ですよ。私だって馬鹿じゃありません、今までの経験からそれを入れたら食べてもらえないってわかってますから、今回は入れてません」
これには、ですけどね。
っと、どうやら焼けたみたいですね。
「じゃあフェイトちゃん、行きましょう!」
「えっ……私も?」
「アヤトと一緒に仲良くお菓子を食べましょうよ、もちろん私達3人だけで」
「………………うん」
さすがフェイトちゃん、引っ込み思案だけどアヤトが関わると人が変わりますね。
そんな彼女に苦笑しつつ、私はクッキーを持って部屋を後にした。
「……ところで、モモカ」
「???」
「最近、カレンとグリード……何か様子が変じゃないかな?」
「変……?」
そういえば、グリードさんはともかくとして……カレンさんが何やら彼に対してよそよそしい態度をとっているんですよねー。
なんか、テストトーナメントの時から、様子がおかしいんですが……何かあったんでしょうか?
「あっ」
居ました、アヤトです。
しめしめ……今は1人みたいですねえ。
「アヤトー♪」
「…………」
ちょ、なんで私の顔を見た途端に嫌そうな顔をするんですか!?
「モモカ、そのクッキーは何だ?」
「何って、アヤトの為に作ったクッキーですよ?食べてください♪」
「断る」
ガーン、0.1秒で拒否しないでくださいよ!!
「大丈夫ですよ、今回は何も入ってませんから」
とは言うものの、アヤトは相変わらず疑いの視線を送るのみ。
むむむ……どうしてそこまで疑うんですか。※(前科があるから)
「アヤト、私もだいたい見てたけど特に何も入れてなかったよ?」
フェイトちゃん、ナイスフォローです!!
ふっふっふ、確かに今持っているクッキーには何も入ってません。
しかし、私が隠し持っているクッキーには……ふふふ、こっそりこれを食べさせて、アヤトをその気にさせれば……。
「やっぱりいらん」
「何でですか!?」
「お前が今怪しい笑みを浮かべていたからだ」
っ、ちぃ、ついつい顔に出てしまいましたか!!
こうなったら……実力行使です!
「ベイリーフ、つるのムチでアヤトを捕まえてください!!」
「…………ベイ」
「ちょ、なんですかその呆れたような視線は!?」
「……モモカ、邪な事を考えるからアヤトに食べてもらえないんじゃないかな?」
「だって、アヤトがいつまで経っても私を襲わないからですよ! 昔から言うじゃないですか、男はみんな狼だって!!」
「………そうなの?」
「顔を赤くしてそんな事話訊くな……。
モモカ、悪いが今のオレはお前と恋仲になるつもりはない。今のオレは一流のトレーナーになる事しか考えられないんだ」
「うぅ〜……」
「お前の気持ちが嬉しくないわけじゃない、だが……今のオレではお前の気持ちには応えられないんだ」
「そ、そんな事百も承知です。でも……恋する乙女は神様だって止められないんですよ!!」
「………はぁ」
「覚悟してくださいよアヤト。ベイリーフ、つるのムチ!!」
「ベィ……」
だから、そんな可哀想なものを見るような目をしないでください!!
やれやれと言わんばかりにため息をつきながら、ベイリーフはアヤトを拘束する為につるのムチの放つ。
「はぁ……キルリア、テレポート」
「キル〜」
しかし、アヤトはため息をつきながらボールを取り出し、中から出てきたキルリアのテレポートによって、どこかへと逃げてしまった。
お、おにょれ〜………!
「ねぇ、モモカ。普通に接すればいいんじゃないかな……?」
「ベイベイ」
「だってぇ〜……普通に接しても、アヤトは冷たいんです……」
昔から、アヤトはどこか大人びてる……というか、あまり人を近づかせないようにしている人でした。
かくいう私も、まともに話すまで時間が掛かってしまいましたし、フェイトちゃんも同じ。
カレンさんだってそうでした………。
「………あれ?」
だけど、グリードさんは?
そういえば、あのアヤトがグリードさんとはすぐに打ち解けたような……。
前より丸くなったとはいえ、不思議ですね……。
「っ―――ま、まさか」
「何……?」
「ベイ……?」
「アヤトは……もしかして、女性より男性に興味があるとか!?」
「…………えっ?」
「だってそうじゃないですか、アヤトは警戒心が強い人ですけど、グリードさんとはすぐに打ち解けたんですよ?つまり、それはアヤトが男性を……」
「えっと……それはあり得ないと思うけど」
「何を言ってるんですかフェイトちゃん!! 私達のアヤトが危ない世界に入ろうとしているというのに、悠長に構えている暇なんてありませんよ!!」
「いや、それはモモカの(酷い)妄想で……」
「このままじゃ……このままじゃアヤトがグリードさんに『アーッ』な感じに……そ、そんなのダメですー!!」
「…………」
フェイトちゃんとベイリーフが冷たい視線を私に向けているような気がしましたが、今はそれどころではありません。
早くアヤトを捜して、女の子の素晴らしさを教えてあげなくては!!
「と、いうわけで行きますよフェイトちゃん!!」
「えっ、ちょ………!?」
返事は待たずに、フェイトちゃんの手を掴んで走り出す。
「ひゃあぁぁぁっ!?」
「待っててくださいねアヤト、今私が目を覚まさせてあげますから!!」
「………ベイ」
ベイリーフ、そんな冷たい視線を向けないでください!!
……興奮してしまいますから。
………。
「―――ははぁ、相変わらずだなモモカの奴」
いきなり部屋の中に現れたアヤトに驚きつつ、俺は彼の話を聞いたのだが……どうやらモモカは相変わらずアヤト関係ではとんでもない事をやらかすらしい。
「タジャ、タージャ!」
「キル、キルキル!!」
「……お前らも、相変わらずだな」
人の膝の上で喧嘩しないでくれ。
「だけどさアヤト、お前モモカやフェイトにはまったく興味がないのか?
なら思わせぶりな態度をとらない方がいいと思うぞ」
「別にそんな態度を見せてるわけじゃない。
それに……何にも想ってないなら、幼なじみだとしても傍に居たりはしないさ」
「えっ……」
今の、どういう意味だ?
そう訪ねようとしたら、アヤトの頬が僅かに紅潮しているのが見え……理解した。
「何だ、お前もモモカとフェイトの事が好きなんじゃないか」
「別に、そういうわけじゃ……」
「なら、どうしてどもるんだよ?」
「…………」
睨まれた、でも顔を真っ赤にしながらじゃ全然恐くないぞ。
「……異性としての愛情かは、まだわからん」
「ふーん……でもさ、ならあんな態度じゃなくても……」
「オレは一流のトレーナーになりたい、だからこの学園に来た。
オレは器用な人間じゃないんでな、1つの事しかできないさ」
「…………」
なんか、違うような気がするんだよなぁ。
いや、アヤトの言ってる事はわかるんだが、別に一流のトレーナーになりたいからって、別の感情を無理矢理抑え込む必要は……。
「??」
なにやら、外が騒がしいような。
というか……その音がこっちに向かって来てる?
何事かと、俺がその場から立ち上がった瞬間。
ドカンッ、という音と共に扉がこっちに―――
「タジャーッ!!」
「キルーッ!!」
鋼鉄製の扉が俺へと吹き飛んできたが、ツタージャのつるのムチとキルリアのねんりきのおかげで、怪我せずに済んだ。
というか、一体何の騒ぎなんだ……?
「ケホッ、ケホッ……モモカ、やりすぎだよ」
「……フェイト?」
「お前等、何してんだ?」
どうやら扉を破壊したのはモモカのポケモン達の仕業らしい、全員ボールから出てる。
そして、モモカがキッと俺に顔を上げた瞬間。
「やっぱり、グリードさんはアヤトを危ない世界に連れて行こうとしてたんですね!?」
「は……?」
「………はぁ」
ポカンとする俺とは対照的に、アヤトはまたかと言わんばかりにため息をつく。
「いくらグリードさんでも、アヤトは渡しませんから!!」
「おい、一体何を―――」
「全員、突撃ーっ!!」
「へ!?」
モモカの一声で、ポケモン達が一斉に俺に襲いかかって………。
「って、お前等いきなり何を———ぎゃあぁぁあぁあぁぁっ!!!?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「―――すみませんでした」
「いや、何も土下座しなくても……」
「甘やかすなグリード、ツタージャとキルリアが居なければ、お前は今頃大怪我を負っていた所なんだぞ?」
「タジャタジャ」
「キルキル」
仁王立ちでモモカを睨むアヤトとツタージャとキルリア。
俺に向かって土下座するモモカ。
「いや、でも話を聞いたらモモカはお前をあっちの世界に行かせないように助けたかったからだしさ……」
まあ、あっちの世界って何なのかはわかんないけど、ようするにアヤトを助けようとしたんだから、別にいいと思う。
怪我だって……まあ、ちょっとはしたけど……。
「お前は誰に対しても甘すぎるんだ、そんな事じゃ誰かに利用されるぞ?」
あれ、なんで俺が怒られてるの?
「まあいい。ところでモモカ?」
「は、はい……」
「お前、オレに迷惑を掛けてそんなに楽しいのか?」
「わ、私別にそんなつもりじゃ……」
「おいおいアヤト、その辺にしてやれよ。
モモカだって悪気があってこんな事したわけじゃねえんだから」
「しかしな……」
「俺なら大丈夫だし、扉ならまた修理すればいいだけだろ?
ツタージャもキルリアも、モモカの事を許してあげろよ」
「………タジャ」
「………キル」
渋々といったような表情で頷くツタージャとキルリア。
「……仕方ない、今回はグリードの顔に免じて許してやる」
「は、はい……ありがとうございますグリードさん、それと本当にすみませんでした」
「いいって」
これにて一件落着だな。
……身体中が痛いけど。
「モモカ」
「は、はい……」
「………お前、あのクッキーはまだ持ってるのか?」
「えっ? は、はい……持ってますが」
「……何も、変なものは入ってないんだな?」
「はい……」
「なら、食べるよ。くれるか?」
「は、はい!!」
慌ててクッキーを取り出すモモカ、アヤトはおもむろに1つ手に取り口に運んだ。
「……どう、ですか?」
「………ああ、悪くはないぞ。甘さ控えめでオレ好みだ」
「…………」
ったく、素直じゃねえよな、アヤトも。
悪くない、なんて照れ隠しもいいとこだ。
「じ、じゃあこっちも食べてください!!」
言いながら、別のクッキーを取り出すモモカ。
はて、見た目は同じなのにどうしてわざわざ分けたのか……。
「――お前、全然反省してないな」
「うっ、も、もしかしてバレてますか!?」
「何年お前の幼なじみをやってると思ってるんだ? ……どうやら、やはり徹底的に反省させなければいけないらしい」
「あ、あはは……ジョークですよ……」
乾いた笑いで誤魔化そうとするモモカだが、そんなものは何の意味もあるわけがなく。
「ご、ごめんなさい!」
すぐさま、脱兎のごとく部屋を飛び出していった。
「待てモモカ、今日という今日は許さん!!」
「あっ、ま、待って2人とも!!」
鬼の形相でモモカを追いかけるアヤト、それを止めようと後に続くフェイト。
そして、部屋に残されたのは俺とツタージャとキルリアだけ。
「キルリア、お前は行かなくていいのか?」
「……キル」
頷くキルリア、本気で行きたくないらしい。
「ツタージャ、アヤト何で怒ってたんだ?」
クッキーを食べて美味しいって言ってたのに、別のクッキーを出した瞬間めちゃくちゃ怒り出しやがった。
「………タージャ」
あんたは知らなくてもいいの、そう言いたげに首を振るツタージャ。
……なんだか、今日はよくわかんない事が多い1日だったな。
「明日は静かな1日でありますように……」
呟くようにそう願って、俺はポケギアを取り出す。
……扉、修理してもらわないとな。
To.Be.Continued...
【ツタージャ】♀ 【ムクバード】♂ 【ミロカロス】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・つるのムチ ・たいあたり ・たつまき
・リーフブレード ・かぜおこし ・アイアンテール
・たいあたり ・でんこうせっか ・みずでっぽう
・かげぶんしん ・つばさでうつ
・へびにらみ ・つばめがえし
・リーフストーム ・ブレイブバード(未完成)
・リーフブレード二段斬り