だけど、たまには休みだって必要だよな。
さーて、今日はどんな1日になるのやら。
「キバキバ〜」
「おいキバゴ、そんなに急いで行くなよ」
中庭を走っていくキバゴに、苦笑しながら着いていく。
今日はトレーニングを無しにして、休む事にしたんだが……キバゴの奴、遊ぶ気満々だな。
「……コジョ」
「ずっと部屋に居たらつまんないだろ? 外で遊んだりのんびりしたりすると、気分も晴れるぞ?」
相変わらずコジョンドは元気がない、顔を俯かせ落ち込んでいる。
……アオイの一件が、まだ堪えてるみたいだ。
そんなコジョンドに近づき、頭を撫でてやる。
「少しずつでいいから、俺に心を開いてくれないか? ちょっとずつでいいから、な?」
「コジョ……」
「キバ〜!?」
「? キバゴ、どうしたんだ?」
急に驚きの声を上げるキバゴに、首を傾げながらそっちに足を運ぶ。
と、なんか……凄い物体が眠ってる、しかもその上に人が寝てる。
たしか、このポケモンはカビゴンだったよな。
「キバ〜……」
「すげえでけえんだな、カビゴンって……」
「―――いたぁぁぁっ!!」
「うぉっ!?」
「キバ!?」
いきなりの大声に、何事かと視線を向けると。
「あれ? アリア……」
なにやら、物凄い形相でこちらに走ってくる……俺、何かしたか?
しかし、アリアは俺を通り過ぎ……カビゴンの上で寝てる人物に声を荒げた。
「ちょっとハク、またこんな所で寝て!!」
「……おい、アリア」
「っとと、グリード……どうしたの?」
「コジョンドとの親睦会と、たまにはみんなを休ませてやらないと思ってさ」
「ふぅん、トレーナーとしていい心がけね。って、さっさと起きなさいよハク!!」
「なぁアリア、この人誰だ?」
「こいつはハク、シロミネハク。こんなんだけど、一応四天王よ」
「四天王!?」
ははぁ、この人が最後の四天王か……。
白髪で純色の瞳、背はかなり高い。
カビゴンと気持ちよさそうに寝てる……なんか、起こすの可哀想だな。
「アリア、どうしても起こさなきゃダメなのか?
カビゴンも気持ちよさそうに寝てるし、起こすの可哀想じゃ……」
「いいのよ。こいついっつもサボリ目的で寝てるし、四天王だけど全然仕事しないし、こいつのせいで評判悪くなるし」
「へぇ……四天王も大変だな」
「アリア達にはこの学園の秩序を守る義務があるからね。
ハク、さっさと起きろって言ってんでしょ!!」
がーっ、と怒鳴り散らすアリア。
その甲斐があってか、ようやくハクと呼ばれた男は目を醒ました。
「ん〜……? なんだ、ちび助か」
「ちび……!?」
「おぉ、的確な……」
「そこ、黙りなさい!!っていうかハク、誰がちび助よ!!」
「お前しか居ないだろちび助、人がせっかく気持ちよく寝てたのに……うるさいんだよ、小さいくせに」
「ぐぐぐ……っ!」
うわぁ、口悪……しかも容赦ない。
「あん……?」
と、俺と目が合った。
「お前、誰だ?」
「あー……俺は、その」
「それよりハク、あんたがまた好き勝手やるせいで、アリア達の評判が悪くなるでしょ!!」
「知るかよ、んなメンドイ事お前達だけでやりゃあいいだろ」
「あのねぇ……あんたの苦情でしょうが!! あんたのせいで、アリア達が迷惑してんの!!」
「あっそ」
「〜〜〜〜〜っ!!!」
アリアの奴、もう我慢の限界って感じだな。
しかし、このハクって奴も、かなりものぐさというか……めんどくさがり屋なんだな。
「………カビ」
わーわーぎゃーぎゃーと騒いでいたからか、眠っていたカビゴンが目を醒ました。
へぇ、こうして見ると結構可愛い……。
「カビィ……」
「うおっ!?」
ボケーッとカビゴンを見ていたら、いきなりポフィンが沢山入っているカゴを奪い去り、大口を開けた。
「あーっ!?」
そして、中に入っていたポフィンを一気に口の中へ……。
ツタージャ達のおやつがたった数秒で……。
「キバ〜!!」
それを見て、キバゴは座り込み泣き出してしまった。
「ちょ、なんて事すんのよハク!!」
「オレじゃなくてカビゴンに言えよ」
「トレーナーはあんたでしょうが!!」
わーわーぎゃーぎゃーと騒ぐ2人、といってもアリアが一方的に騒いでるだけなのだが。
「キバゴ、泣き止んでくれよ。また作ってやるから……」
「キバ〜、キバ〜……」
だが、よっぽど楽しみにしていたのか、なかなか泣き止んでくれない。
まいったな……。
「………コジョ」
「キバ……?」
「コジョンド……」
泣き続けるキバゴを、コジョンドは優しく持ち上げ抱きしめる。
そして、まるであやすようにキバゴの頭を撫で始めた。
すると、少しずつではあるが、キバゴの泣き声が小さくなっていった。
「へぇ……」
「すげえよコジョンド、ありがとな!」
「コ、コジョ……」
褒められた事に驚きを見せながら、恥ずかしそうに顔を俯かせるコジョンド。
その頃には、キバゴもすっかり笑顔を取り戻していた。
「――このポフィン、お前が作ったのか?」
がーっ、と怒るアリアを手で制しながら、ハクは俺にそう尋ねる。
「そうだけど……それより、キバゴ達に謝れよ。
俺はまた作ればいいけど、みんな楽しみにしてたんだぞ!!」
特にキバゴが。
「……ああ、悪かった」
素直に謝るハク、見るとカビゴンも頭を下げていた。
「こらーっ、なんでアリアの時はあんなんで、グリードが言ったら素直に謝るのよ!?」
「こいつはポケモンの事だけを考えて言ってるからだ。
本当に悪かった、弁償をしたいが……あいにくと、オレはポフィンを作れなくてな」
「別にいいよ。ちゃんと謝ってくれたし、また作ればいいんだから」
「……大人だなお前は、このちびとは大違いだ」
「ちびって言うな!!」
「アリアも落ち着けよ」
再び殴りかかろうとするアリアを、ひょいと持ち上げる。
「…………」
「………この持ち上げ方はおかしくない?」
ドスのきいた声でそう言われた。
たが仕方ない、なにせ俺はアリアの両脇に手を入れて持ち上げているからだ。
明らかに小さな子をだっこしているようにしか見えませんね、はい。
「降ろせ」
「はい」
速攻でアリアを降ろす、従わないと殺されると本能が訴えたんだもん。
「……成る程、お前がグリードか」
「えっ、あ、ああ……そうだけど?」
「サクラやアリアが目をかける理由、少しわかるかもな……」
「へ……?」
「カビゴン、行くぞ」
「カビィ」
ズシンズシンと歩くカビゴン、俺はなんとなくそれを見送っていたのだが。
「こらーっ!! 何上手いこと場を乗り切ろうとしてんのよ!!」
「ちっ……」
「今日は逃がさないわよ、観念して仕事をしなさい!!」
「やだ」
「0.1秒で拒否をするな!!」
「面倒なんだよ。ちび助やっといて」
「―――――(ぷっちん)」
あ、キレた。
そそくさとその場を離れつつ、事の成り行きを見つめることに。
「もう許さん!! ポケモンを使ってでもあんたを連れてかえってやる!!」
そう叫ぶと、モンスターボールを投げるアリア。
「―――バクゥ」
中から出てきたのは——バクフーン、背中の炎を燃え上がらせながら戦闘態勢に入っている。
「っておい、こんな所でバトルは――」
「バクフーン、ブラストバーン!!」
「究極技!?」
「バクゥゥゥゥッ!!」
大口を開け、凄まじい炎を吐き出すバクフーン。
あっ……これ、かなりヤバいかも。
「ったくバカチビが……メタモン、へんしんしてブラストバーン」
「メタッ!!」
「えっ……」
いつの間に出していたのか、ハクの前に現れたメタモンの身体が光り出し、アリアのバクフーンへと変化する。
そして、間髪入れずにブラストバーンでブラストバーンを相殺した。
耳をつんざくような爆音が響き、おもわず倒れそうになる突風が巻き起こった。
「くっ……また出たわねメタモン!!」
「アホかお前は!! こんな所でなんて技をぶちかますんだよ!!」
ハクのメタモンが相殺してくれなかったら、怪我だけじゃ済まなかったかもしれない。
「リングマ、アームハンマー」
「グマァァァッ!」
ボールからリングマを出し、反動で動けないバクフーンをおもいっきり吹き飛ばす。
その威力は凄まじく、いくら身構える事ができなかったとはいえ、バクフーンの巨体を矢のような速さでぶっ飛ばし、中庭の中央付近にある噴水を破壊してもまだ止まらない。あれ本当にリングマか?
「……バク〜……」
とてつもない一撃を受けて、バクフーンは倒れたまま動かない。
「ひ、卑怯じゃない!!二体出すなんて」
「アホかお前は、これはポケモンバトルじゃねえんだよ。
第一、なんでわざわざそんな面倒な事をしなきゃなんねえんだ」
欠伸をかみ殺しながら、つまらなげに言い放つハク。
あぁぁ〜……アリアの怒りゲージが加速度的に上昇していく……。
「おいグリード、このアホちびを連れてってくれないか?」
「あー……」
「〜〜〜〜っ、出なさいブーバーン!!」
「ブバーン!!!」
「勘弁してくれ……まだやるのかよ?」
「うっさい!! アリアはあんたをサクラとマイに連れてくるように頼まれてるんだから!!」
「メンドイ……カビゴン、あくび」
「カァビ……」
カビゴンの口から、ピンク色の泡のようなものが出てきた。
あれを受けるとねむり状態になるんだけど、何の小細工もしてないのにアリアに当たるわけがない。
「かわしてオーバーヒート!!」
「また大技!?」
「ブバァァァンッ!!」
両腕からバクフーンの時と同じくらい、凄まじい炎を発射するブーバーン。
ってか、だからこんな所でこんな技を使うんじゃねえよ!!
「メタモン、へんしんしてオーバーヒート」
「メタッ!」
再びへんしんして今度はブーバーンになるメタモン。
「ブバァァァンッ!!」
迫り来るオーバーヒートを、オーバーヒートで相殺した。
「だぁーっ、腹立つわねそのメタモン!!」
「…………」
端から見てると、アリアはハクのペースにすっかり呑まれているのがよくわかった。
ハクはかなりのめんどくさがり屋だけど、その実バトルは上手く事を運んでいるし、相手のペースを読み取って自分のものにしてる。
……やっぱり四天王になるだけの実力はあるって事か。今のアリアの頭に血が昇っているとはいえ、まるで相手になってない。
「……はぁ、本当にメンドイな。カビゴン、あくび」
「カァビ……」
「ふん、そんな攻撃なんか………」
効くわけないでしょ、おそらくそう続くはずだったのだろう。
だが……。
「あ、あれぇ………?」
カビゴンのあくびは、ポケモン達を狙ったわけではなく。
――トレーナーであるアリアへと、襲いかかった
「……よし、終わり」
えぇー……どれだけ面倒なの?
ブーバーンも、眠ってしまったアリアに、オロオロするばかり。
「ったく……いちいちうるさいちび助だぜ」
そう言いつつ、リングマとメタモンとカビゴンをボールに戻し、その場を後にしようとするが。
「グリード、このちび助の事は頼むな」
そう言って、今度こそこの場を後に……。
「あのさ」
「んー?」
しようとしたので、俺は呼び止めた。
「どうして、そんなに嫌がるんだ?」
「だってよ、メンドイじゃねえか」
「それはわかるけど……アリア達だって迷惑してるし、仲間なら助け合わないと……」
「…………」
俺の言葉を聞いて、ハクの足が止まる。
自分でも思うところがあるのか、少しだけばつが悪そうな顔になった。
「面倒なのはわかるけどさ、たまにはそんな面倒な事をしてもいいんじゃないか?」
「…………」
何か考える素振りをするハク。
そして、暫し経ってから彼は顔を上げ。
「……………しょうがねえな」
本当にしょうがなさそうに、そう呟いた。
「お前、変わってるな」
「えっ?」
「自分には関係ない問題なのに、全力で首を突っ込んでなんとかしようとしてる。お人好しにも程がある」
皮肉めいた口調でそう言いながら、ハクはアリアの小さな身体をひょいと持ち上げる。
「オレのカビゴンがお前達のポフィンを食べちまったからな、今回はその詫びという事で仕事してやるさ」
「あ、ありがとう?」
何故か、お礼を言ってしまった。
「……グリード、もっと強くなれよ。そうしたらバトルしてやってもいいぞ、お前となら楽しめそうだ」
メンドイけどな、なんとも無気力な発言をしながら、ハクは去っていった。
「……何なんだ?」
四天王にも色々な個性があるものだ、と変な感心をしてしまう。
けど……面白い人だという認識も抱いた。
「……さーて、一度部屋に戻るか。 ポフィンを取りに戻ってやり直しだ」
「キバキバ〜♪」
「コジョ……」
コジョンドの胸の中で再び笑顔を浮かべるキバゴ。
コジョンドも、ほんの少しだけ笑みを浮かべてくれた。
……もっと強く、か。
仲間も増えて、みんなだって頑張ってる。でも、俺は?
俺は……強くなってきてるのか?
わからない、俺は……トレーナーとして、前より成長しているんだろうか?
To.Be.Continued...
【ツタージャ】♀ 【ムクバード】♂ 【ミロカロス】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・つるのムチ ・たいあたり ・たつまき
・リーフブレード ・かぜおこし ・アイアンテール
・たいあたり ・でんこうせっか ・みずでっぽう
・かげぶんしん ・つばさでうつ ・れいとうビーム
・へびにらみ ・つばめがえし
・リーフストーム ・ブレイブバード(未完成)
・リーフブレード二段斬り
【キバゴ】♂
【使えるわざ】
・ダブルチョップ
・シャドークロー
・りゅうのいかり
・ドラゴンクロー