まだ街にはセシルが居るのに、どうしてこんな事を……。
とにかく今は、あいつを追うのが先だ!!
「ミロカロス、次は右だ!!」
「ミィ!」
俺の声に頷き、水路を右に曲がるミロカロス。
……プテラのはかいこうせんを受けたから、本当は無理なんかさせたくない。
でも、今はミロカロスに頑張ってもらうしか―――
「タジャ!!」
「っ」
俺の肩からツタージャの声が響く。
前を向くと、そこには俺達の邪魔をするように現れるポケモンが。
「アーマッ!!」
「アーマルド………!」
くそ、こんな所で無駄な時間を過ごしてる場合じゃない!!
「ツタージャ、リーフブレード!!」
「タジャーッ!!」
俺の肩から跳躍し、尻尾で横殴りをするようにリーフブレードを仕掛けるツタージャ。
「アー、マッ!」
それを、アーマルドは真っ向から受け止め……ツタージャを弾き飛ばす。
「――タジャ」
「リーフブレード!!」
「タジャーッ!!」
今度は右腕によるリーフブレードを解き放った。
「アー、マァァァッ!」
鎌のような両腕を使い、ツタージャのリーフブレードを完全に受け止めてしまうアーマルド。。
「くっ……シザークロスか!!」
「タジャ………!」
くっ……邪魔だ!!
「ツタージャ、リーフストーム!!」
「ツター……ジャァァァァァッ!!」
凄まじい緑の嵐が、アーマルドに襲いかかる。
「ア、マァ……!」
さすがに効いてるのか、苦しげな声を上げリーフストームに包まれるアーマルド。
「ツタージャ、今の内だ!!」
「タ、タジャ……」
リーフストームはまだ慣れないのか、再び俺の肩に着地したツタージャは苦しそうに息を吐く。
でも、これなら……。
「アーマッ!!」
「くっ……!?」
もうリーフストームから脱出したのか!?
追いかけてくるアーマルドに、今度はムクバードで迎え撃とうとした瞬間。
「リザードン、はがねのつばさ!」
アーマルドの背後に、はがねのつばさが突き刺さった。
「ア、マァ……」
倒れ込むアーマルド。
「サクラ!!」
「まったく、君はどうして1人で行こうとするんだ!!」
「っ、だけど……」
「ティアが心配なのはわかる、でも君が危険な目に遭ったら、僕達だって心配するじゃないか!!
僕達は仲間なんだ、君1人でなんとかしようとしないで、少しは僕達を頼るんだ!!」
「…………」
サクラの怒声が、本気で俺を心配しているのがわかり……胸が痛んだ。
「ごめん、サクラ……」
「……今回だけは許してあげるよ、とにかく今は大聖堂に急ごう!!」
「おぅ!! ところでアヤト達は?」
「彼等は別ルートで大聖堂に向かってる、いくよグリード!!」
「ああ!!」
リザードンは空から、ミロカロスは水路から大聖堂へと目指す。
途中で邪魔をしてくるポケモンはこれ以降現れる事はなく――やがて大聖堂へと到着。
「ありがとう、ゆっくり休むんだミロカロス!」
陸地に着地すると同時に、ミロカロスをボールに戻す。
大聖堂に繋がる、石畳の道。
そこをサクラと共に走り続け——俺達は揃って立ち止まった。
「――――」
目の前に広がる光景に、一気に頭に血が昇った。
――ぐったりとしたティアが、ネットのようなものに捕らわれている
それだけならまだ我慢できたかもしれない、だけど……。
傷だらけの、痛々しい姿のティアを見たら……もう、我慢なんかできるわけがなかった。
「セシルーーーーッ!!」
叫び、親の敵を見るかのようにヤツを――セシルを睨んだ。
「やはり来たか」
「ティアを放せ!!」
「ティア? ああ、ラティアスの事か。
よほど未練があるようだな、だが無理もないか……お前には過ぎた玩具でも、伝説のポケモンともなれば惜しいと思っても仕方ないか」
「ふざけんな!! 俺はお前みたいなのとは違う!! ティアは……この子は俺の大事な友達なんだ!!
友達は、絶対に守らなきゃいけないんだ!!」
「友達? ……はっ」
「何が可笑しい!!」
「これが笑わずにいられるか、ポケモンを友達などと……ポケモンは金のなる木だ。
特に……このラティアスは喉から手が出るほど欲しがるマニアも多い、高く売れるさ」
「………っっっ」
歯が砕かれそうなほど強く噛む。
こいつは、どこまで救いようのない………!
「……てめえらポケモンハンターはいつもそうだ。普通に暮らしているポケモン達を物のように扱って……金の事しか考えねえ!!
ポケモン達だって生きてるんだ、てめえの勝手な都合で悲しみを増やすな!!」
「グリード……」
「なら止めてみるか? たいした力もないくせに粋がる事しかできないというのに」
「っ、止めるさ!! お前に勝って必ずティアを助ける!!」
「タージャ!!」
肩から降り、セシルを睨むツタージャ。
「ミミロップ、僕に力を貸してくれ!!」
「――ミミローッ!」
「サクラ……!?」
「言ったはずだよグリード、1人でなんとかしようとしないでって。
――2人で戦うんだ、協力してバトルしないとセシルには勝てない」
「………わかった!!」
「そうか……ならばこちらもそれ相応の相手をしてやるか。
――ヘルガー、サザンドラ、出ろ」
「ルガァァァァッ!!」
「ギャォォォスッ!!」
「サザンドラ……随分ととんでもないポケモンを持ってるようだ」
「あれが……サザンドラ」
3つの顔を持つ姿に、恐怖感が募る。
でも、逃げるわけにはいかないんだ!!
「ツタージャ、ヘルガーにリーフブレード!!」
「タジャーッ!!」
「ミミロップ、サザンドラにれいとうビーム!」
「ミミ、ローッ!!」
それぞれ、違う相手に攻撃を仕掛けるツタージャ達。
「ヘルガー、かえんほうしゃでれいとうビームを消せ。
サザンドラ、ツタージャにドラゴンクロー」
「ルガァァァァッ!!」
サザンドラに向かうれいとうビームを、ヘルガーが吐き出した炎で相殺し。
「ギャォォォスッ!!」
ツタージャのリーフブレードを、サザンドラのドラゴンクローが呆気なく弾き飛ばす。
「タジャッ!?」
「ツタージャ!!」
地面に叩きつけられ、起き上がるものの苦しそうに顔を歪めるツタージャ。
あのサザンドラ、かなり強い………!
「タジャタジャッ!!」
「負けるもんか……ツタージャ、もう一度リーフブレードだ!!」
絶対に負けない。
こんな所で、負けてたまるか!!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【アヤト・フェイトside】
「――見えた。大聖堂だよ!!」
ミヨの声に、アヤトとフェイトは揃って視線を向ける。
瞬間、地上からは爆音が響いてきた。
「あれは……!?」
下を向くと、そこにはグリードとサクラがセシルとバトルを繰り広げている光景が。
「フライゴン、急いでくれ!」
「ライゴォン!!」
今の内にティアを救う事も可能かもしれない。
一瞬だけそう思ったが、今は自分達に与えられた役割を果たすだけだ。
彼等なら大丈夫、サクラは学園最強の四天王と呼ばれているし……今のグリードなら、きっと勝てる。
(信じているぞ、グリード………!)
心の中で彼にそう告げると同時に、大聖堂の中に侵入する。
「フライゴン、お前はサクラの元に戻るんだ!」
「フライゴォン!!」
頷き、再び大聖堂から出て行くフライゴン。
それを見送る前に、アヤト達は走り出した。
「こっちだよ!!」
ミヨの案内で、『ルギアの涙』が保管されている場所までただひたすらに走り続ける。
――そして、何度目かの角を曲がった瞬間
「―――――」
視線が、交差する。
目の前には、黒服に身を包んだ怪しい男。
もちろん、大聖堂の中にこんな男が居るはずがない。
そして、男の傍には数人の警備員が地に伏していた。
「こ―――」
ミヨが声を発する前にアヤトは地を蹴った。
ポケモンを出していないのなら、まず一撃入れて黙らせる!!
「ふ――!」
右足を軸にして勢いをつけた回し蹴りが男を捉える。
だが、男はそれを左手で防御し、それと同時に後ろに跳躍して逃走を始めた。
「待ちなさい!!」
「ポケモンを出せフェイト! モウカザル、バトルスタンバイ!」
「――ウッキャァ!!」
「かえんほうしゃ!」
「ウキィィィッ!!」
逃げる男にかえんほうしゃを放つモウカザル。
「ハブネーク、くろいきり」
「ハブネーッ!!」
しかし、男が出したハブネークがくろいきりを吐き出し、視界を塞ぐ。
「チィ………!」
視界が塞がるが、だからといって逃がす道理には繋がらない。
自らくろいきりの中に飛び込み、アヤト達は男を追う。
「ユキメノコ、回転しながらあやしいかぜ!」
「ユッキ! ユキィィィィ………!!」
ボールから出ると同時に、ユキメノコは自身の身体を回転させながらあやしいかぜを放出する。
すると、その風圧でくろいきりは全て吹き飛び、再び男の姿を捉えた。
「逃がすか!!」
「ウッキィッ!!」
再び追いかけ、先回りをしてホールで男を追い詰める。
そこでようやく、男の背中に膨らみを見せるリュックが背負っている事に気づく。
「……その中のものを返してもらうぞ」
「これはこの島の秘宝なんだ、私利私欲の為に勝手な事をするなんて許さないよ!!」
「……ガキが、正義の味方気取りか」
男の身体から、殺気が漏れ始める。
――戦う気だ、アヤトはすぐさま理解し身構えた
「ドラピオン、お前も出ろ」
「ド、ラーッ!!」
「……フェイト、ここは協力して戦うぞ」
「わかった。……ミヨさん、下がっていてください」
「わかった、頼むよ!」
ミヨが下がり、お互いに指示を出したのはほぼ同時だった。
「かえんほうしゃ!」
「クロスポイズン」
「ウキャァァッ!!」
「ドラーッ!」
空中でぶつかり合う互いの技、相殺し爆発が起きる。
「ユキメノコ、シャドーボール!」
「ユッキィッ!!」
「かわしてポイズンテール」
3つのシャドーボールを発射するユキメノコ。
だが、ハブネークは自分の尻尾を使って跳びはねシャドーボールを回避する。
「ユキッ!?」
「ハァァブネーッ!!」
その勢いを利用して、ハブネークはポイズンテールをユキメノコに叩きつける。
「ユキィィィ……!?」
地面に叩きつけられ、動かなくなるユキメノコ。
「かみくだく攻撃」
「ハブゥゥッ!!」
そこに、更に追撃を仕掛けるハブネーク。
ユキメノコは動けない、そこに容赦なくハブネークの牙が―――
「マッハパンチ!」
「ウッキャァァッ!!」
だがすんでのところでモウカザルのマッハパンチでハブネークが殴り飛ばされ、難を逃れた。
「あ、ありがとうアヤト、モウカザル」
「ユキメノコを戻せ、もう戦えない」
「う、うん。ユキメノコ、戻って」
ユキメノコをボールに戻し、別のボールを取り出すフェイト。
「ガーディ、お願い!」
「――がう!!」
「モウカザル、かわらわり!!」
「ウキィィッ!!」
地を蹴り、ドラピオンに向かって飛び上がるモウカザル、その右腕は既にかわらわりの準備に入っている。
そして、モウカザルが右腕を振り下ろした瞬間。
「受け止めろ」
「ドラーッ!!」
モウカザルの右腕を、大きな両爪でがっちりと受け止めてしまった。
「なっ!?」
「ウキッ!?」
「どくどくのキバ」
ドラピオンの爪が毒々しい紫色に変化する。
「ウキャァッ!?」
それがモウカザルの身体に食い込み、悲鳴を上げながら地面に倒れた。
「チッ―――!」
「クロスポイズン」
トドメを刺そうと、ドラピオンが構える。
「ガーディ、ほのおの……」
「ハブネーク、ポイズンテール」
助けようとするガーディだが、ハブネークによって妨害された。
「わうーっ!?」
予期していなかった攻撃に回避できず、ガーディは吹き飛ばされショーケースを破壊していく。
そして、モウカザルもまたドラピオンの一撃を受け——動かなくなった。
「終わりだな」
「くっ………! キルリア、バトルスタンバイ!!」
「キルルッ!!」
「ほぅ、なかなか美しいキルリアだな」
「ふざけるな、こいつはオレのパートナーだ。貴様等のような下衆に渡すか!!」
「勘違いするな、たしかになかなかのものだが商品にはなり得ない。すなわち、価値のない存在だ」
「っっっ」
「酷い……ポケモンは物じゃないよ!! あなた達の勝手な都合で――」
「ポケモンは金のなる木だ、それ以上でも以下でもない」
「――――――」
フェイトの思考が凍りつく。
目の前の人間は、本気でそんな事を……。
「――許せないねぇ、そんな奴には天罰が下るよ!!」
「ミヨさん……?」
割れたショーケースに手を入れるミヨ。
その手には、赤く輝く石が握られていた。
「フェイト、よかったらこいつを使いな!!」
それをフェイトに向けて投げるミヨ。
受け止めるフェイト、そして投げ渡されたものを見て……彼女の顔に驚愕の表情が生まれた。
「これは……ほのおのいし!?」
特定のポケモンを進化させる為に必要な不思議な力がある石の1つ。
「展示用のものだ。あんたが進化させたくないなら使わなくてもいい!! けど、少なくとも今のあんたには必要なはずだよ!!」
「…………」
「ちぃ、進化などさせるものか。ハブネーク、ドラピオン!!」
フェイトに向かっていくハブネークとドラピオン。
「キルリア、サイコキネシス!!」
「キルゥゥゥ………!」
両手を翳し、ハブネーク達の動きを封じるキルリア。
しかし、さすがに二体同時に封じるのは厳しいのか、その表情はかなり辛そうだ。
「がうがう!!」
「ガーディ……」
早くしろ、そう告げるかのようにガーディは主人に吠える。
――彼は進化する事を望んでいる
主人であるフェイトを守るため、そしてフェイトが大切に想う彼を守るために。
その想いが、痛いほど彼女に伝わり——フェイトは大きく頷きを返す。
「ガーディありがとう、お願い!!」
右手に持ったほのおのいしを、ガーディの身体に触れさせる。
その瞬間――石は砕け散り“その時”は訪れた。
「わぉぉぉぉんっ!!」
雄叫びを上げ、白い光に包まれるガーディ。
凄まじいエネルギーが周りに走り、それが進化の始まりを告げていた。
光が小さくなるにつれ、ガーディの身体も比例するように大きくなっていく
そして――光が完全に収まった後、そこにガーディの姿は無かった。
「――ウィンディィィィィィッ!!!」
「………ウィンディ」
「キルーッ!!」
ウィンディが進化した瞬間、キルリアのサイコキネシスが解かれハブネークとドラピオンがウィンディに向かっていく。
しかし――ウィンディのスピードは相手よりも更に速い!!
「しんそく!!」
「ウィンディィッ!!」
地を蹴り、秒も待たずにトップスピードまで加速するウィンディ。
そして、向かってきたハブネークとドラピオンをまとめて吹き飛ばす!!
「なに!?」
――先制技、しんそく
そのスピードは凄まじいまでに速く、先に攻撃を仕掛けた相手よりも素早い。
「10まんボルト!!」
「キルーーーッ!!」
倒れたハブネーク達に向かって、最大パワーの10まんボルトを叩きつけるキルリア。
黄色い電撃に包まれ、ハブネーク達は悲鳴を上げる。
「フェイト!!」
アヤトの叫びに、フェイトは大きく頷きを返す。
ウィンディもまた、最後の一撃を繰り出すための準備に入りそして――
「ウィンディ、最大パワーでオーバーヒート!!」
「ウィンディィィィィィッ!!」
ガーディの時よりも更に協力な炎が、ウィンディの口から放たれる。
そのパワーはただ凄まじく、地面を削りながらハブネーク達へと向かっていき、相手に命中した瞬間巨大な火柱が上がるほどだった。
やがて、炎は段々と勢いを無くしていき……。
完全に消えた時には、ハブネーク達の身体は地面へと横たわっていた。
「そ、そんなバカな……」
男の呟きが、この戦いの終わりを告げる。
相手は格下の子供だったはず、そう思っていたから男は自らの敗北を信じられないでいた。
「10まんボルト!!」
「キルーッ!!」
「ぐぁぁぁぁっ!?」
茫然としている男に、キルリアは10まんボルトを落とす。
もちろん生命に関わらない程度に手加減をして、だ。
気絶し、ハブネーク達と同じように倒れ込む男。
アヤト達はすぐに駆け寄り、男の荷物から『ルギアの涙』を取り出した。
「……よし、これでオレ達の仕事は終わりだ」
「ウィンディ、本当にありがとう!」
ウィンディの身体に抱きつき、感謝の言葉を告げるフェイト、ウィンディもそんな彼女に笑顔を返した。
「さーて、とりあえずこの男を簀巻きにしておこうかね」
男の荷物からロープを取り出し、身体を縛っていくミヨ。
「ミヨ、あの……ほのおのいしの事だけど」
「気にしなくていいよ、あんた達はこの島の秘宝を守ってくれたんだ。
もし文句を言ってくるような奴が居たら、あたしがなんとかしてやるからさ」
「……うん。ありがとうミヨ」
「…………」
外からは、まだ戦いの音が聞こえる。
だが、この男が起き上がり妙な事をするとも限らない以上、ここを離れるわけにもいかない。
それに……きっと彼等なら大丈夫だろう。
(グリード、こちらは終わった……後は、お前達に任せるぞ)
To.Be.Continued...
【ツタージャ】♀ 【ムクバード】♂ 【ミロカロス】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・つるのムチ ・たいあたり ・たつまき
・リーフブレード ・かぜおこし ・アイアンテール
・たいあたり ・でんこうせっか ・ハイドロポンプ
・かげぶんしん ・つばさでうつ ・れいとうビーム
・へびにらみ ・つばめがえし
・リーフストーム ・ブレイブバード(未完成)
・リーフブレード二段斬り
【キバゴ】♂
【使えるわざ】
・ダブルチョップ
・シャドークロー
・りゅうのいかり
・ドラゴンクロー