待ってろティア、すぐに助けてやる………!
「リーフブレード!!」
「タジャーッ!!」
三つ叉の尻尾でサザンドラにリーフブレードを仕掛けるツタージャ。
「ドラゴンクロー」
「ギャォォォスッ!!」
しかし、またしてもサザンドラのドラゴンクローに呆気なく弾き飛ばされ地面に叩きつけられてしまう。
「リーフストーム!!」
「ツター……ジャァァァァァッ!!」
今ツタージャが放てる最強技、リーフストーム。
致命傷にはならないものの、これならば少しはダメージを……。
「りゅうのはどう」
「ギャォォォスッ!!」
雄叫びを上げ、リーフストームすら上回る大きさの波導を生み出し、撃ち放つ。
それは、迫るリーフストームを薙ぎ払い、技を出したツタージャに届くまでまったく威力を弱める事はなく……。
「タジャーッ!!?」
りゅうのはどうをまともに受け、ツタージャはそのまま倒れ動かなくなった。
「ツタージャ!!」
「ヘルガー、かえんほうしゃ」
「ルガァァァッ!!」
「ミミロップ、かわしてスカイアッパー!!」
「ミッ!」
迫るかえんほうしゃを回避し、ミミロップは一気に踏み込んで間合いを詰め右腕を振り上げる。
「ミミロォォッ!!」
「ルガァァァッ!?」
宙に吹き飛ぶヘルガー、そのまま地面に落ち動かなくなる。
「チッ」
舌打ちをしつつ、ヘルガーをボールに戻すセシル。
そして、次なるポケモンを場に出した。
「メタグロス、出ろ」
「――メタッ」
「お前のミミロップ、なかなかやるな……それに美しい。商品になる価値は充分にある」
「まだそんな事を言ってるのか君は? 金儲けの事ばかり考えてると……負けるよ?」
サクラの挑発に、セシルはニヤリと笑い小馬鹿にした口調で言葉を返す。
「貴様1人ではワタシには勝てないさ、かといってお前の連れは……何の役にも立てない雑魚でしかないしな」
「何だと………!」
「違うというなら、証明してみてはどうだ?」
「上等だ!! ムクバード、君に決めた!」
「ムクバーッ!」
「…………」
端から見てもわかるほど焦りを見せるグリードに、セシルは邪悪な笑みを浮かべていた。
目の前の相手は弱い、だがただ倒すだけでは気が済まない。
邪魔をした報いだ、徹底的に……完膚無きまでに倒してしまわねば、セシルは納得できなかった。
「ムクバード、ブレイブバード!!」
「えっ!?」
「ムクッ!?」
グリードの指示に、サクラだけでなくムクバードも驚きを隠せない。
ブレイブバードはまだ一度も成功していない、それなのにこの大事なバトルで行うなど、選択ミスにしか……。
「何やってるんだムクバード、ブレイブバードだ!!」
「グリード待つんだ、焦った所で――」
「ムクゥゥゥゥッ!!」
サクラが止める前に、ムクバードはブレイブバードの準備に入る。
上昇し、翼を折りたたみながらの急加速。
「いけぇぇぇっ!!」
「ムクゥゥゥゥッ………ムクッ!!?」
ブレイブバードのパワーがムクバードに込められる瞬間、ぐらりとバランスを崩してしまう。
――そこを逃すセシルではない
「メタグロス、ムクバードにコメットパンチ」
「メッタァァァッ!!」
丸太のように太い岩の右腕で、ムクバードを殴りつけるメタグロス。
「ムクゥゥゥ……!?」
バランスを崩したムクバードに回避も防御もできるはずがなく、まともに受け地面を滑っていった。
「……ムク〜……」
「くっ………!」
「やはりたいした事などない雑魚だな」
「ムクバード、戻れ!!」
ムクバードをボールに戻し、次のボールを手にしようとして。
――パンッと、甲高い音が鳴り響いた
「―――――」
頬に走る痛みで、グリードは叩かれた事を理解する。
味方である、サクラに。
「……いい加減にするんだ、グリード」
そこには、普段の穏やかなサクラなど存在せず。
確かな怒りと、悲しみを見せる彼女が、グリードを睨みつけていた。
「今の君に、ポケモンを持つ資格なんてない。
ツタージャ達を戦う道具にしている君は、あのセシルと同じだ」
「…………」
「君は、ティアは救いたいんだろう? セシルが許せないんだろう?
だからって、その想いだけで戦っても、意味なんてないんだ。
自分を見失って、相手の言葉に踊らされて自分自身のバトルができなくなったら、勝てる戦いも勝てなくなる。君は、そんな程度の自分で終わらせる気なのか!?」
「…………」
サクラの言葉が、鋭利な刃物のように胸に突き刺さる。
……そうだ、そんな事当たり前のはずなのにどうして。
どうして、サクラに言われるまで思い出せなかったのか。
セシルは許せない、ポケモンを自分の私利私欲の為だけに利用する、今だって怒りでこの身がどうにかなってしまいそうだ。
だが………その怒りだけで戦うのは間違いだ。
怒りに身を任せ、自分を見失えば……それはもう“想い”ではない、身勝手な感情だ。
怒りを抱くなというわけではない、でも……その感情だけで戦うのは間違っている。
「メタグロス、バレッドパンチ。サザンドラ、ドラゴンクロー」
「メッタァァァッ!!」
「ギャォォォスッ!!」
「っ、ミミロップ、まもるだ!!」
「ミミーッ!!」
サクラ達の前に立ち、まもるで相手の攻撃を凌ぐミミロップ。
「…………」
助け合って戦わなければならないのだ、それが……人とポケモンの真のバトルになる。
「……わりぃな、サクラ」
立ち上がり、モンスターボールを手に取るグリード、その表情に……先程までの焦りや、相手に対する怒りはなりを潜めていた。
「俺、本当に単純で無鉄砲だから、ツタージャ達にも迷惑を掛けちまった」
「確かにね。だけど……君のそんな所が、好きなんだよ。………ポケモン達だけでなく、僕もね」
「えっ?」
「なんでもないよ、それより……ミミロップも長くは保たない。本当の意味で協力し合わないと、勝てないよ」
「わかってる。……必ず勝ってみせるさ」
「……期待してる。ミミロップ、戻るんだ!」
「どうやら、諦めたようだな」
「冗談じゃねえ。誰が諦めるかよ!!」
「……雑魚の分際で、まだ粋がるのか」
「好きに言ってろよ、雑魚で結構だ。けどな、どんな弱い奴でも、強くなれるって事を教えてやるぜ」
「鬱陶しい……これ以上ワタシを怒らせるな!!」
更に殺気を強めるセシル、けれどグリードもサクラも少しも動じる事などなかった。
「――コジョンド、君に決めた!!」
「タブンネ、僕に力を貸してくれ!!」
「………コジョ」
「タブンネ〜」
「コジョンド、俺はまだお前に相応しいトレーナーじゃないかもしれない……だけど、今はお前の力が必要なんだ!!」
「コジョ!!」
大きく頷き、身構えるコジョンド。
これ以上の言葉は不要、コジョンドはグリードを新たな主と認め、戦う決意を固めた。
「メタグロス、コジョンドにバレッドパンチ!」
「メッタァァァッ!!」
メタグロスが迫る、しかし………!
「かわせ!!」
無理に攻撃は仕掛けず、コジョンドはメタグロスの攻撃を回避し。
「サザンドラ、ドラゴンクロー」
「ギャォォォスッ!!」
その隙を狙い、サザンドラが迫るが……。
「タブンネ、リフレクターだ!!」
「タブンネ〜」
コジョンドを庇うように背後に移動し、真っ向からサザンドラの攻撃を受け止めるタブンネ。
「てだすけ!!」
「タブン、ネッ!」
コジョンドに向かって何か形容できないエネルギーがタブンネから放たれる。
瞬間、コジョンドのパワーが先程とは段違いに膨れ上がった。
「はっけい!!」
「コジョ!!」
地を蹴り、メタグロスに向かうコジョンド。
「メタグロス――」
すぐさま指示を出そうとしるセシルだが、コジョンドの動きはそれよりも速い………!
「コジョォォォッ!!」
「メタァァァッ!?」
勢いよく右腕を突き出すコジョンド、そのパワーでメタグロスの巨体が地面を削りながら滑っていく。
(くっ……てだすけを使ったとはいえ、このパワーは……!?)
セシルには到底理解できない力、単純な実力では計れない“想い”
グリードの真摯なる願いがポケモンに届き、彼の願いを叶える為にポケモン達がいつも以上の力を出す。
ポケモンを道具や商品にしか見ていないセシルには、理解などできなくて当然である。
「コジョンド、とびひざげりだ!!」
「コジョーーーッ!!」
跳び上がり、追撃を仕掛けるコジョンド。
「サザンドラ、りゅうのはど……」
「タブンネ、シャドーボール!!」
「タブンネ〜!!」
攻撃を仕掛けようとするサザンドラを、タブンネの一撃が妨害する。
「メッタァァァッ!?」
その隙にコジョンドの一撃が、メタグロスを地に沈める。
「今だコジョンド、最大パワーではどうだん!!」
「コジョォォォ……!」
胸の前で両手を合わせ、渾身のはどうだんを生み出すコジョンド。
しかしメタグロスはまだ倒れず、反撃に移る!!
「メタグロス、コメットパンチ!!」
「メタァァァッ!!」
はどうだんの準備をしているコジョンドに、メタグロスが迫る。
タブンネはサザンドラの相手でフォローへは回れない………が。
「グリード!!」
「そう来ると思ったぜ、みきりだ!!」
「………コジョ」
振り下ろされるコメットパンチ。
だが――ギリギリまで引きつけられたそれは、紙一重で回避されそして。
「はどうだん、発射だぁぁぁぁっ!!!」
「コジョォォォ!!」
至近距離からのはどうだんが、メタグロスの身体へと突き刺さる―――!
「メッタァァァッ!!」
地面を何度もバウンドしながらも、メタグロスの身体は尚止まらない。
飛ばされ飛ばされ……柱に当たり、ようやく動きを止めるものの……メタグロスは戦闘不能へと陥っていた。
「やったぜ!!」
「コジョコジョ!!」
(……凄い、本当に凄いよグリード)
「ば、馬鹿な……こんな事が」
完全に予期していなかった結果に、セシルが茫然としていると。
――サイレンの音が、大聖堂に向かってくる
「チィッ!!」
すぐさまサザンドラとメタグロスをボールに戻し、その場を走り去るセシル。
「待ちやがれ!!」
すぐさま追いかけようとするグリードだが、セシルはいつの間に用意していたのか、小型の飛行艇の中に乗り込み、空へと飛んでいってしまう。
「グリード、放っておくんだ」
「けど………!」
「深追いは禁物だよ、ティアは助けられたし……どうやら『ルギアの涙』も無事みたいだからね」
そう言って、大聖堂の中を指差すサクラ。
そちらへと視線を向けると、そこには——自分達に向けて大きく手を振るフェイトと、静かに笑みを浮かべるアヤトの姿があった……。
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――潮風が、頬を撫でる
ここは帰りの船の中、俺は黙って離れていく島を見つめていた。
「タージャ?」
そんな俺に、ツタージャは不思議そうに首を傾げていた。
「なんでもねえよ、ただ……色々と濃い内容の旅行だったなって、驚いてた」
――あの後、結局セシルが捕まる事はなかった
部下は捕らえられ、現在聴取を行っているそうだ。
展示品であったほのおのいしを勝手に使った件に関しては、お咎めなし。
まあ、秘宝を守ったんだからそれくらいは勘弁してもらいたい。
「…………」
今回の事で、俺は少しだけ成長できたと思う。
セシルの事は許せない、だけど……その怒りだけに呑まれてはならない事を知り、最後は奴に一矢報いる事もできた。
ティアも助けられたし、とりあえずは一件落着といえるだろう。
「グリード」
「サクラ、とティア」
どうしたの、なんて言いながら、俺の隣に立ち島を眺めるサクラ。
ティアは、黙って俺の左手を握り笑みを見せてくる。
「……サクラ、ありがとな」
「えっ?」
「お前があの時ああ言ってくれなかったら、俺……本当にダメになってたと思う。
だから、ありがとうって言いたかった」
気恥ずかしいと思ってしまうが、ちゃんと伝えたいと思った事をしっかりと口にする。
するとサクラは驚き、すぐにいつもの穏やかな笑みを見せてくれた。
「どういたしまして、僕も……グリードがいつもの君に戻ってくれて嬉しいよ」
「そっか……」
「………??」
俺達のやり取りがいまいち理解できないのか、ティアは頭に疑問符を浮かべながら首を捻る。
……やがて、島が完全に見えなくなる所まで船は移動してしまった
「……今度は、純粋に楽しめる旅行になればいいよね?」
「そうだな」
「………(こくこく)」
「さあ、部屋に戻ろう」
「ああ。そうするか」
「タージャ」
サクラとティアは甲板を後にし、俺とツタージャもそれに続こうとした瞬間。
―――ありがとう、勇気ある少年よ。
「………えっ?」
そんな声が聞こえ、俺は慌ててその場に戻った。
そして……確かに見えた。
一瞬、本当に瞬きするぐらいの時間だったけど。
巨大な影が、海の中を漂っていたのを、見る事ができた。
「…………」
あの声の主は、おそらく今見えた影のものだ。
でも、あれは何だったのだろう?
ポケモン、だったのだろうか……。
夢か幻か、確かめようがなかったけど。
「……どう、致しまして」
気がついたら俺はそんな言葉を口にして、広大な海に向かって笑みを浮かべていた。
「グリード、どうかしたのかい?」
「………?」
「……なんでもねえ、今行くよ」
……もし、今のがポケモンだったとしたら。
いつか、会ってみたいなぁ。
そう思いつつ、俺は今度こそサクラ達と共にこの場を後にしたのだった。
To.Be.Continued...
【ツタージャ】♀ 【ムクバード】♂ 【ミロカロス】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・つるのムチ ・たいあたり ・たつまき
・リーフブレード ・かぜおこし ・アイアンテール
・たいあたり ・でんこうせっか ・ハイドロポンプ
・かげぶんしん ・つばさでうつ ・れいとうビーム
・へびにらみ ・つばめがえし
・リーフストーム ・ブレイブバード(未完成)
・リーフブレード二段斬り
【キバゴ】♂ 【コジョンド】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】
・ダブルチョップ ・みきり
・シャドークロー ・はっけい
・りゅうのいかり ・とびひざげり
・ドラゴンクロー ・はどうだん