グリードくんのイルミナ学園奮闘日誌【完結】   作:マイマイ

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セシルとポケモンバトルをする俺とサクラ。

待ってろティア、すぐに助けてやる………!


第32話 〜ポケモンハンターとラティアス、海神の都の大決戦!!〜5

「リーフブレード!!」

「タジャーッ!!」

三つ叉の尻尾でサザンドラにリーフブレードを仕掛けるツタージャ。

「ドラゴンクロー」

「ギャォォォスッ!!」

しかし、またしてもサザンドラのドラゴンクローに呆気なく弾き飛ばされ地面に叩きつけられてしまう。

 

「リーフストーム!!」

「ツター……ジャァァァァァッ!!」

今ツタージャが放てる最強技、リーフストーム。

致命傷にはならないものの、これならば少しはダメージを……。

「りゅうのはどう」

「ギャォォォスッ!!」

雄叫びを上げ、リーフストームすら上回る大きさの波導を生み出し、撃ち放つ。

それは、迫るリーフストームを薙ぎ払い、技を出したツタージャに届くまでまったく威力を弱める事はなく……。

「タジャーッ!!?」

りゅうのはどうをまともに受け、ツタージャはそのまま倒れ動かなくなった。

 

「ツタージャ!!」

「ヘルガー、かえんほうしゃ」

「ルガァァァッ!!」

「ミミロップ、かわしてスカイアッパー!!」

「ミッ!」

迫るかえんほうしゃを回避し、ミミロップは一気に踏み込んで間合いを詰め右腕を振り上げる。

「ミミロォォッ!!」

「ルガァァァッ!?」

宙に吹き飛ぶヘルガー、そのまま地面に落ち動かなくなる。

 

「チッ」

舌打ちをしつつ、ヘルガーをボールに戻すセシル。

そして、次なるポケモンを場に出した。

「メタグロス、出ろ」

「――メタッ」

 

「お前のミミロップ、なかなかやるな……それに美しい。商品になる価値は充分にある」

「まだそんな事を言ってるのか君は? 金儲けの事ばかり考えてると……負けるよ?」

サクラの挑発に、セシルはニヤリと笑い小馬鹿にした口調で言葉を返す。

「貴様1人ではワタシには勝てないさ、かといってお前の連れは……何の役にも立てない雑魚でしかないしな」

「何だと………!」

「違うというなら、証明してみてはどうだ?」

「上等だ!! ムクバード、君に決めた!」

「ムクバーッ!」

「…………」

端から見てもわかるほど焦りを見せるグリードに、セシルは邪悪な笑みを浮かべていた。

目の前の相手は弱い、だがただ倒すだけでは気が済まない。

邪魔をした報いだ、徹底的に……完膚無きまでに倒してしまわねば、セシルは納得できなかった。

 

「ムクバード、ブレイブバード!!」

「えっ!?」

「ムクッ!?」

グリードの指示に、サクラだけでなくムクバードも驚きを隠せない。

ブレイブバードはまだ一度も成功していない、それなのにこの大事なバトルで行うなど、選択ミスにしか……。

 

「何やってるんだムクバード、ブレイブバードだ!!」

「グリード待つんだ、焦った所で――」

「ムクゥゥゥゥッ!!」

サクラが止める前に、ムクバードはブレイブバードの準備に入る。

上昇し、翼を折りたたみながらの急加速。

「いけぇぇぇっ!!」

「ムクゥゥゥゥッ………ムクッ!!?」

ブレイブバードのパワーがムクバードに込められる瞬間、ぐらりとバランスを崩してしまう。

 

――そこを逃すセシルではない

 

「メタグロス、ムクバードにコメットパンチ」

「メッタァァァッ!!」

丸太のように太い岩の右腕で、ムクバードを殴りつけるメタグロス。

「ムクゥゥゥ……!?」

バランスを崩したムクバードに回避も防御もできるはずがなく、まともに受け地面を滑っていった。

 

「……ムク〜……」

「くっ………!」

「やはりたいした事などない雑魚だな」

「ムクバード、戻れ!!」

ムクバードをボールに戻し、次のボールを手にしようとして。

 

――パンッと、甲高い音が鳴り響いた

 

「―――――」

頬に走る痛みで、グリードは叩かれた事を理解する。

味方である、サクラに。

「……いい加減にするんだ、グリード」

そこには、普段の穏やかなサクラなど存在せず。

確かな怒りと、悲しみを見せる彼女が、グリードを睨みつけていた。

 

「今の君に、ポケモンを持つ資格なんてない。

 ツタージャ達を戦う道具にしている君は、あのセシルと同じだ」

「…………」

「君は、ティアは救いたいんだろう? セシルが許せないんだろう?

 だからって、その想いだけで戦っても、意味なんてないんだ。

 自分を見失って、相手の言葉に踊らされて自分自身のバトルができなくなったら、勝てる戦いも勝てなくなる。君は、そんな程度の自分で終わらせる気なのか!?」

「…………」

サクラの言葉が、鋭利な刃物のように胸に突き刺さる。

……そうだ、そんな事当たり前のはずなのにどうして。

どうして、サクラに言われるまで思い出せなかったのか。

セシルは許せない、ポケモンを自分の私利私欲の為だけに利用する、今だって怒りでこの身がどうにかなってしまいそうだ。

 

だが………その怒りだけで戦うのは間違いだ。

 

怒りに身を任せ、自分を見失えば……それはもう“想い”ではない、身勝手な感情だ。

怒りを抱くなというわけではない、でも……その感情だけで戦うのは間違っている。

「メタグロス、バレッドパンチ。サザンドラ、ドラゴンクロー」

「メッタァァァッ!!」

「ギャォォォスッ!!」

「っ、ミミロップ、まもるだ!!」

「ミミーッ!!」

サクラ達の前に立ち、まもるで相手の攻撃を凌ぐミミロップ。

 

「…………」

助け合って戦わなければならないのだ、それが……人とポケモンの真のバトルになる。

「……わりぃな、サクラ」

立ち上がり、モンスターボールを手に取るグリード、その表情に……先程までの焦りや、相手に対する怒りはなりを潜めていた。

「俺、本当に単純で無鉄砲だから、ツタージャ達にも迷惑を掛けちまった」

「確かにね。だけど……君のそんな所が、好きなんだよ。………ポケモン達だけでなく、僕もね」

「えっ?」

「なんでもないよ、それより……ミミロップも長くは保たない。本当の意味で協力し合わないと、勝てないよ」

「わかってる。……必ず勝ってみせるさ」

「……期待してる。ミミロップ、戻るんだ!」

 

「どうやら、諦めたようだな」

「冗談じゃねえ。誰が諦めるかよ!!」

「……雑魚の分際で、まだ粋がるのか」

「好きに言ってろよ、雑魚で結構だ。けどな、どんな弱い奴でも、強くなれるって事を教えてやるぜ」

「鬱陶しい……これ以上ワタシを怒らせるな!!」

更に殺気を強めるセシル、けれどグリードもサクラも少しも動じる事などなかった。

 

「――コジョンド、君に決めた!!」

「タブンネ、僕に力を貸してくれ!!」

「………コジョ」

「タブンネ〜」

「コジョンド、俺はまだお前に相応しいトレーナーじゃないかもしれない……だけど、今はお前の力が必要なんだ!!」

「コジョ!!」

大きく頷き、身構えるコジョンド。

これ以上の言葉は不要、コジョンドはグリードを新たな主と認め、戦う決意を固めた。

 

「メタグロス、コジョンドにバレッドパンチ!」

「メッタァァァッ!!」

メタグロスが迫る、しかし………!

「かわせ!!」

無理に攻撃は仕掛けず、コジョンドはメタグロスの攻撃を回避し。

「サザンドラ、ドラゴンクロー」

「ギャォォォスッ!!」

その隙を狙い、サザンドラが迫るが……。

 

「タブンネ、リフレクターだ!!」

「タブンネ〜」

コジョンドを庇うように背後に移動し、真っ向からサザンドラの攻撃を受け止めるタブンネ。

「てだすけ!!」

「タブン、ネッ!」

コジョンドに向かって何か形容できないエネルギーがタブンネから放たれる。

瞬間、コジョンドのパワーが先程とは段違いに膨れ上がった。

 

「はっけい!!」

「コジョ!!」

地を蹴り、メタグロスに向かうコジョンド。

「メタグロス――」

すぐさま指示を出そうとしるセシルだが、コジョンドの動きはそれよりも速い………!

「コジョォォォッ!!」

「メタァァァッ!?」

勢いよく右腕を突き出すコジョンド、そのパワーでメタグロスの巨体が地面を削りながら滑っていく。

 

(くっ……てだすけを使ったとはいえ、このパワーは……!?)

セシルには到底理解できない力、単純な実力では計れない“想い”

グリードの真摯なる願いがポケモンに届き、彼の願いを叶える為にポケモン達がいつも以上の力を出す。

ポケモンを道具や商品にしか見ていないセシルには、理解などできなくて当然である。

「コジョンド、とびひざげりだ!!」

「コジョーーーッ!!」

跳び上がり、追撃を仕掛けるコジョンド。

「サザンドラ、りゅうのはど……」

「タブンネ、シャドーボール!!」

「タブンネ〜!!」

攻撃を仕掛けようとするサザンドラを、タブンネの一撃が妨害する。

 

「メッタァァァッ!?」

その隙にコジョンドの一撃が、メタグロスを地に沈める。

「今だコジョンド、最大パワーではどうだん!!」

「コジョォォォ……!」

胸の前で両手を合わせ、渾身のはどうだんを生み出すコジョンド。

しかしメタグロスはまだ倒れず、反撃に移る!!

「メタグロス、コメットパンチ!!」

「メタァァァッ!!」

はどうだんの準備をしているコジョンドに、メタグロスが迫る。

タブンネはサザンドラの相手でフォローへは回れない………が。

 

「グリード!!」

「そう来ると思ったぜ、みきりだ!!」

「………コジョ」

振り下ろされるコメットパンチ。

だが――ギリギリまで引きつけられたそれは、紙一重で回避されそして。

「はどうだん、発射だぁぁぁぁっ!!!」

「コジョォォォ!!」

至近距離からのはどうだんが、メタグロスの身体へと突き刺さる―――!

 

「メッタァァァッ!!」

地面を何度もバウンドしながらも、メタグロスの身体は尚止まらない。

飛ばされ飛ばされ……柱に当たり、ようやく動きを止めるものの……メタグロスは戦闘不能へと陥っていた。

 

「やったぜ!!」

「コジョコジョ!!」

(……凄い、本当に凄いよグリード)

「ば、馬鹿な……こんな事が」

完全に予期していなかった結果に、セシルが茫然としていると。

 

――サイレンの音が、大聖堂に向かってくる

 

「チィッ!!」

すぐさまサザンドラとメタグロスをボールに戻し、その場を走り去るセシル。

「待ちやがれ!!」

すぐさま追いかけようとするグリードだが、セシルはいつの間に用意していたのか、小型の飛行艇の中に乗り込み、空へと飛んでいってしまう。

「グリード、放っておくんだ」

「けど………!」

「深追いは禁物だよ、ティアは助けられたし……どうやら『ルギアの涙』も無事みたいだからね」

そう言って、大聖堂の中を指差すサクラ。

そちらへと視線を向けると、そこには——自分達に向けて大きく手を振るフェイトと、静かに笑みを浮かべるアヤトの姿があった……。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

――潮風が、頬を撫でる

ここは帰りの船の中、俺は黙って離れていく島を見つめていた。

 

「タージャ?」

そんな俺に、ツタージャは不思議そうに首を傾げていた。

「なんでもねえよ、ただ……色々と濃い内容の旅行だったなって、驚いてた」

 

――あの後、結局セシルが捕まる事はなかった

部下は捕らえられ、現在聴取を行っているそうだ。

展示品であったほのおのいしを勝手に使った件に関しては、お咎めなし。

まあ、秘宝を守ったんだからそれくらいは勘弁してもらいたい。

「…………」

今回の事で、俺は少しだけ成長できたと思う。

セシルの事は許せない、だけど……その怒りだけに呑まれてはならない事を知り、最後は奴に一矢報いる事もできた。

ティアも助けられたし、とりあえずは一件落着といえるだろう。

 

「グリード」

「サクラ、とティア」

どうしたの、なんて言いながら、俺の隣に立ち島を眺めるサクラ。

ティアは、黙って俺の左手を握り笑みを見せてくる。

「……サクラ、ありがとな」

「えっ?」

「お前があの時ああ言ってくれなかったら、俺……本当にダメになってたと思う。

 だから、ありがとうって言いたかった」

気恥ずかしいと思ってしまうが、ちゃんと伝えたいと思った事をしっかりと口にする。

するとサクラは驚き、すぐにいつもの穏やかな笑みを見せてくれた。

 

「どういたしまして、僕も……グリードがいつもの君に戻ってくれて嬉しいよ」

「そっか……」

「………??」

俺達のやり取りがいまいち理解できないのか、ティアは頭に疑問符を浮かべながら首を捻る。

 

……やがて、島が完全に見えなくなる所まで船は移動してしまった

 

「……今度は、純粋に楽しめる旅行になればいいよね?」

「そうだな」

「………(こくこく)」

「さあ、部屋に戻ろう」

「ああ。そうするか」

「タージャ」

サクラとティアは甲板を後にし、俺とツタージャもそれに続こうとした瞬間。

 

 

―――ありがとう、勇気ある少年よ。

 

 

「………えっ?」

そんな声が聞こえ、俺は慌ててその場に戻った。

そして……確かに見えた。

一瞬、本当に瞬きするぐらいの時間だったけど。

巨大な影が、海の中を漂っていたのを、見る事ができた。

 

「…………」

あの声の主は、おそらく今見えた影のものだ。

でも、あれは何だったのだろう?

ポケモン、だったのだろうか……。

夢か幻か、確かめようがなかったけど。

「……どう、致しまして」

気がついたら俺はそんな言葉を口にして、広大な海に向かって笑みを浮かべていた。

 

「グリード、どうかしたのかい?」

「………?」

「……なんでもねえ、今行くよ」

……もし、今のがポケモンだったとしたら。

いつか、会ってみたいなぁ。

そう思いつつ、俺は今度こそサクラ達と共にこの場を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

To.Be.Continued...




【ツタージャ】♀     【ムクバード】♂      【ミロカロス】♀
【使えるわざ】      【使えるわざ】       【使えるわざ】
・つるのムチ       ・たいあたり       ・たつまき
・リーフブレード     ・かぜおこし       ・アイアンテール
・たいあたり       ・でんこうせっか     ・ハイドロポンプ
・かげぶんしん     ・つばさでうつ      ・れいとうビーム
・へびにらみ       ・つばめがえし
・リーフストーム    ・ブレイブバード(未完成)
・リーフブレード二段斬り

【キバゴ】♂     【コジョンド】♀
【使えるわざ】    【使えるわざ】
・ダブルチョップ   ・みきり
・シャドークロー   ・はっけい
・りゅうのいかり   ・とびひざげり
・ドラゴンクロー   ・はどうだん
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