さーて、今日はどんな1日になるのかな。
「エレブー、かみなりパンチ!」
「レブゥゥッ!!」
アヤトの指示で、右腕に雷エネルギーを込め地を蹴るエレブー。
「コジョンド、はっけいだ!!」
「コジョッ!!」
それを、コジョンドは真っ向から立ち向かい、かみなりパンチに掌底を突き出した。
ぶつかり合い、互いに弾かれるエレブーとコジョンド。
「エレブー、右腕に10まんボルト!!」
「っ」
来るか、エレブーのあの技が………!
コジョンドも次に繰り出される技を警戒し、身構え直した。
10まんボルトに包まれたエレブーが、右腕を勢いよく振り回す。
すると、10まんボルトの電気が右腕に収束していき、臨界に達した瞬間アヤトは指示を出した。
「トールハンマー!!」
「レブゥゥゥゥッ!!」
先程のかみなりパンチなど比較にならない、凄まじいまでの一撃。
普通の攻撃では簡単に弾かれる、けどこっちだって打開策がないわけじゃない!
「コジョンド、はどうだんからはっけい!!」
「コジョッ!!」
頷き、はどうだんの構えに入るコジョンド。
両手を胸の前で広げ、その中で蒼く輝く球体が現れた。
しかし、それではあの攻撃には太刀打ちできない、だから……。
そのはどうだんを、コジョンドの右腕に這わせるように展開させた。
「何……!?」
さすがのアヤトからも、驚愕の声が。
すかさず、コジョンドは地を蹴りエレブーに向かっていき……。
「コジョォォォッ!!」
互いに必殺の一撃を叩き込み、その衝撃により爆発が起き、コジョンド達は弾き飛ばされた。
「そこまでです!」
そして、モモカのそんな声が響き、バトルは終了した。
………。
「相変わらずトールハンマーは凄い威力ですね、ギガインパクトぐらいの威力がないと、防げないですよ」
さりげなくアヤトに抱きつきながら、感嘆の声を上げるモモカ。
相変わらずの事なので、アヤトもツッコミを入れずに受け流している、さすがだぜ……。
「ただ欠点もある、この技はエネルギーの消耗が激しくてな、そう何度も撃てないんだ」
「なる程。……ところでグリードさん、さっきのはなんですか?」
「………?」
不思議そうに訪ねるモモカ、でも俺も何について言ってるのかわからず、首を傾げた。
「さっきのコジョンドの攻撃ですよ、はどうだんを腕に這わせてはっけいを繰り出したじゃないですか。あんな攻撃、見た事ないですよ」
「あー……」
見ると、アヤトまでもが「あれは何だ?」と言いたげに視線を送っている。
……まいったな、俺としても上手く説明ができないんだけど。
笑って誤魔化せないかなぁと思いつつ、どうしたものかと思考を働かせていくと。
背後から、アヤトを呼ぶ声が聞こえた。
「アヤト、いい調子みたいね」
俺達全員、同時に後ろへ振り向く。
そこに居たのは、1人の上級生。
腰の辺りまで伸びる濃い紫のロングヘアー、でも瞳はこの間の初対面の時とは違い、友好的だ。
「マイさん……」
名を呼ばれ、ニコリと微笑むマイ。
「むっ……」
その瞬間、モモカからなにやら不穏な雰囲気が滲み出てくる。
っと、そんな事はどうでもよかった。せっかく会えたんだからバトルを申し込もう。
「なぁ、今日こそ俺とバトルしてくれよ!」
そうマイに告げたのだが、彼女は困ったように言葉を返す。
「ごめんなさいね。私、自分が興味を持ったトレーナー以外とはバトルしない主義なの」
「むぅ……」
「それに、あなたにはサクラが居るじゃない」
「サクラかぁ……」
たしかに、サクラは俺にとって良い先生ではあるのだが……。
あいつ結構容赦ないんだよなぁ、スパルタなんだもん。
「あの!」
「………?」
サクラのスパルタバトルを思い出し身震いしていると、モモカがマイに詰め寄っていた。
その瞳には、明らかな警戒心が。
「あなたは?」
「シナノモモカといいます、アヤトの妻その1です」
「妻その1……?」
キョトンとするマイ、当たり前だ。
「……モモカ、その紹介の仕方はやめろと言ってるだろう……」
「いずれそうなるからいいんです!」
「ならん!!」
いつもの漫才が始まってしまう、俺は慣れてるからいいけど、初めて見るマイはポカンとしたままその光景を眺めていた。
さて、一体いつまで続くのやら。そう思いつつそれを黙って見続けていると。
「わうー!」
後ろから聞き慣れた鳴き声が聞こえ、振り向く前に俺の横を黒い何かが通り過ぎた。
そしてそれは、アヤトの足にじゃれつき始める。
「……ゾロア?」
「わうー!」
ニコニコと笑みを見せ、アヤトにすり寄っているゾロア、狐なのに子犬みたいだ。
そんなゾロアに、アヤトもしゃがみ込み頭を優しく撫でる。
でも、ゾロアがここに居るって事は……。
「あっ、グリードくん」
「やっぱソラネか。ゾロアならあそこだぞ」
アヤトにじゃれついてるゾロアを指差す、それを見てソラネも苦笑を見せる。
「…………」
「………?」
と、アヤトとゾロアを見てマイの表情が真剣なものになっている事に気づく。
一体どうしたのだろう、声を掛けようとしたら。
「このゾロア、あなたのポケモン?」
ゾロアのトレーナーであるソラネに、声を掛けていた。
ソラネも突然話し掛けられ驚くが、「そうです」と言葉を返し、それを聞いてマイはまた考えるような仕草になる。
さっきから何か様子がおかしいなぁと思っていると、マイは再び口を開いた。
「アヤト、このゾロアだけど……あなたがトレーナーになったらどうかしら?」
「えっ……」
マイの言葉で、俺達全員が驚きで表情を変える。
まさか、四天王までアヤトにそんな事を言うとは思わなかったからだ。
「アヤト、ソラネさんにも言われてますし……そうしたらどうですか?」
「…………」
しかし、アヤトはどこか迷いを見せている。ゾロアは懐いているしソラネも構わないって言ってるんだから、迷う必要なんかないと思うんだけどな。
「……なら、ゾロアでポケモンバトルをするのはどうかしら?」
「わうー!!」
バトルと聞いて大きく声を出すゾロア、やる気満々のようだ。
「じゃあ、相手は私がやりますね」
言うやいなや、バトルフィールドに立つモモカ。
これでアヤトの選択肢は絞られてしまった、「少しは考える時間をくれてもいいだろうに……」と呟きつつ、バトルフィールドに向かう。
と、俺はここで気になっていた事を訊いてみることに。
「なあアヤト、お前どうしてそこまで迷ってるんだ?」
俺に問いに、アヤトはたいした事ではないかもしれないが、と前置きをしてから、答える。
「……ソラネはゾロアをゲットし今まで育ててきた思い出があるのに、オレにはそれがないからな。
――心のどこかで、ソラネとゾロアに対して遠慮しているのかもしれない」
まあ、そんな考えはおかしいのかもしれないけどな、そう言って苦笑するアヤト。そのままゾロアを連れてバトルフィールドへと向かっていった。
……アヤトらしい考え方に、つい口元に笑みを浮かべてしまう。
互いにフィールドに立ち、その中央には審判をかって出たマイが。
「モモカ、ポケモンを出して」
「……ケッ、言われなくてもわかってんですよ」
うはぁ、すげえ暴言。
「……モモカちゃん、マイさんと何かあったのかな?」
「何かあったわけじゃねえんだけど……多分、アヤトに近づく悪い虫だって警戒してんだよ」
マイははっきりと違うって言ったんだけど、それだけで信じるモモカではない。
俺の言葉を聞いて、ソラネはああそういう……と呟きを漏らし苦笑した。
「ワカシャモ、出てきてください!!」
「――シャモシャモ」
ボールから出た瞬間、ゾロアを睨みつけ手をくいくいと動かし挑発するワカシャモ。
ゾロアもそれを見て、ますます闘志に火を燃やした。
「それでは、始め!!」
マイの声により始まるポケモンバトル、それと同時にアヤトが指示を出した。
「ゾロア、かみつく攻撃!!」
「わうー!!」
ちょこちょこと懸命に脚を動かし、ワカシャモに向かっていくゾロア。
……どうでもいいが、その仕草にちょっと萌えた。
「ワカシャモ、スカイアッパー!!」
「シャモシャモシャモ!」
右手を握りしめ、ゾロアよりも素早く移動し踏み込むワカシャモ。
口を開け飛び上がるゾロア、だがワカシャモの一撃の方が速い―――!
「シャモシャーッ!!」
「わうーっ!?」
鈍い打撃音が響き、ゾロアの小さな身体が軽々と宙に浮いた。
そのまま地面に数度バウンドし、倒れ込む。
「…………」
下唇を噛みしめるアヤト、だがその瞳に宿る闘志は少しも消えていない。
そしてそれはゾロアも同じ、強烈なスカイアッパーの一撃を受けても尚、立ち上がった。
「シャドーボール!!」
「うわうー!!」
口を開け、3つの握り拳大ほどのシャドーボールを生み出し、それを放つ。
「ほのおのうず!!」
「シャァモーッ!!」
しかし、それをワカシャモが放ったほのおのうずが簡単に消し去り、更にゾロアにまで向かっていく。
「かわしてみだれひっかき!!」
「わう!」
間一髪、迫るほのおのうずを回避し、爪を立てワカシャモとの間合いを詰めるゾロア。
そのスピードは先程より速く、これならばワカシャモに……。
「メガトンキック!!」
「シャモーッ!!」
ワカシャモの右足が光り輝く。
凄まじいエネルギーを込め、迫るゾロアをおもいっきり蹴り飛ばした。
「わ……ぐぅっ!?」
「ゾロア………!」
地面を滑り、僅かに呻き声を上げ動かなくなってしまった。
「シャーモ」
つまらないとでも言いたげに、鼻を鳴らすワカシャモ。
見下す視線に気づきながらも、ダメージが大きいからゾロアは立ち上がる事ができない。
「アヤト、もうゾロアは戦えません。バトルはここまでに――」
「わ、う……」
モモカがバトルを中断させようとするが、そうはさせまいと立ち上がるゾロア。
「ゾロアはもう限界なのに……止めないと!」
立ち上がり、バトルを止めようと走ろうとするソラネを、俺は彼女の手を取って止めさせる。
「グリードくん!?」
「止めるな。ゾロアはまだ戦おうとしてる」
「でも………!」
「今バトルしてるのはアヤトとゾロアだ、あいつらに戦う意志があるなら止める権利はない」
「…………」
わかってる、だけど……そう言いたげな視線を向けるソラネだが、俺は首を振るだけでそれ以上何も言わない。
するとわかってくれたのか、何かを耐えるような表情を見せながら、席に戻ってくれた。
「シャドークロー!」
「わ、わうーっ!!」
歯を食いしばり、飛び上がるゾロア。右腕に黒い爪を生み出し、ワカシャモに向かっていく。
「ワカシャモ、スカイアッパー!!」
「シャモシャーッ!!」
しゃがみ込み、パワーを溜めて推進剤を使ったかのような勢いで飛び上がるワカシャモ。右腕は既にスカイアッパーの準備に入っている。
攻撃は同時に、その結果どちらの一撃も相手に突き刺さった。
「シャ、モ……!」
ゾロアのシャドークローは、ワカシャモの右肩に。
「わ、う……!」
ワカシャモのスカイアッパーは、ゾロアの腹部にそれぞれ当たり、同時に地面へ叩きつけられる。
ワカシャモはすぐさま立ち上がるが……ゾロアは立ち上がれない。
「……もう、戦闘不能じゃないんですか?」
「…………」
アヤトは答えない、まるでゾロアの戦闘不能を認めないかのように。
だが、あれだけの攻撃を受けてしまえば、もうゾロアは……。
「ゾロア、もう……戦えないか?」
倒れているゾロアに、毛尾を掛けるアヤト。
ゾロアは返事を返さないが、それでも構わずにアヤトは言葉を続けた。
「まだやれるはずだ。お前は……こんなものじゃないはずだ!!」
「………わ、わう」
「っ、まだ……!?」
立ち上がる力が残されていたのかと、俺だけでなくアヤトとマイ以外の全員が驚愕する。
だが所詮それはやせ我慢でしかないのか、脚が震えいつまた倒れ込むかわかったものじゃない。
それでも、アヤトとゾロアからは闘志が消えてはいなかった。
――そして、“その時”は突然訪れる
「きゅ……きゅおぉぉぉぉんっ!!」
「な、に……!?」
空に向かって雄叫びを上げるゾロア。
その瞬間――ゾロアの身体が眩い光に包まれていった。
「これって………!」
おもわず立ち上がり、ゾロアの変化に驚くソラネ。
そうだ、あれは間違いない……“進化”の光。
今この瞬間、ゾロアは進化を始めたんだ………!
白い光に包まれたゾロアのシルエットが、だんだんと大きくなっていく。
小さかった身体は、並の大人より大きくなっていき、顔もまた鋭く逞しくなる。
たっぷり数十秒という時間を果たし、やがて光も収まって……。
「きゅおーん!!」
相も変わらず可愛らしい鳴き声とは裏腹に、歴戦の戦士のような顔立ちになったゾロアの進化系であるゾロアークが、降臨していた。
「……ゾロアーク」
「凄い……あれが、ゾロアの進化系……」
ゾロアークに進化した事が周りを驚きに与えるが、マイは動じずに審判としての役割を果たす。
「ほらほら、まだバトルは終わったわけじゃないわよ!
「っ、そうでした……」
「シャアモ……」
ゾロアークに向かって、またも挑発するように手をくいくいと動かすワカシャモ。
それを見て、ゾロアークは不敵な笑みを返しながら、アヤトに視線を送った。
――待っているのだ、彼の指示を
アヤトにもその真意が伝わり、楽しげに笑みを見せながら——ゾロアークに指示を出す。
「ゾロアーク、こうそくいどう!」
「きゅおん!」
外見とは裏腹な可愛らしい声を上げ、ゾロアークは動き出し――
「え………?」
動き出した、そう思っていた時には……。
ゾロアークは既に、ワカシャモの後ろへと回り込んでいた。
「シャドークロー!」
「きゅおーん!!」
逞しくなった右腕に、肥大化した黒い爪を這わせ一閃、ワカシャモを簡単に弾き飛ばす。
だがまだ終わらない、地を蹴りすぐさまワカシャモに追い付き追撃を仕掛ける。
「みだれひっかき!!」
「きゅきゅーん!!」
目にも止まらぬ早技で、確実にワカシャモへとダメージを与えていくゾロアーク。
ワカシャモもそのスピードにはついていけず、ただ相手の攻撃を受け続ける事しかできない。
「くっ……ワカシャモ、跳んでください!!」
「シャ、シャモ!!」
このままでは埒が明かない、すぐさまモモカはそう指示を出してワカシャモを脱出させる。
だが――それを逃がすアヤトとゾロアークではない。
「あくのはどう!!」
「きゅおーん!!」
空中に逃げるワカシャモに向かって、ゾロアークは口を開く。
瞬間、口の中からリング状の黒い光線が放たれ逃げるワカシャモに直撃、地面へと落とされてしまった。
「決めるぞゾロアーク、シャドークロー!!」
「きゅん!!」
先程よりも更に大きさを増すシャドークロー、勝負を決める為にゾロアークは最後の攻撃へと移った。
ワカシャモは動けない、このまま回避できなければモモカの負けだが……。
「そこまで!!」
しかし、ゾロアークの一撃は放たれる事なく不発に終わり。
勝負を止めたマイに、全員の視線が集まった。
「ここまでやれば充分よ、いいバトルだったわ」
「…………」
その言葉に何も言わず、黙ってゾロアークを下がらせるアヤト。
対するモモカは助かったとばかりに安堵の表情を見せ、ワカシャモをボールに戻した。
「やっぱり私の目に狂いはなかったわ。
アヤト、そのゾロアークはあなたが育てた方が絶対にいい。それがあなたの為でもあり、またゾロアークの為でもあると思う」
「…………」
「きゅん?」
アヤトに見つめられ、首を傾げるゾロアーク。
暫しゾロアークを見つめた後、アヤトはソラネへと視線を向け……口を開いた。
「……ソラネ、本当にオレでいいのか?」
それは最後の問いかけ、本当にお前のポケモンを自分に譲ってもいいのかという確認。
……それを、ソラネは穏やかな笑みを見せながらはっきりと答えを返す。
「ゾロアークの事、お願いします」
と。
迷いのない言葉で、彼にそう告げモンスターボールを手渡すソラネ。そのボールはもちろんゾロアークの入っていたボールだ。
それを受け取り、小さくありがとうと告げてから、アヤトはモンスターボールをゾロアークに向けた。
「ゾロアーク、今日からお前はオレ達の仲間だ。
――どんな事があっても、オレはお前にとって良い主人であり続ける事を約束する。だから……お前の力を貸してくれ」
「――きゅおーん!!」
任せろと言っているような雄叫びを上げ、ゾロアークはボールから放たれた赤い光に包まれていった。
アヤトに新たな仲間、ゾロアークが加わった。
いいなあゾロアーク……結構可愛いし、もふもふしてるし……。
「―――タジャッ!!」
「あいたっ!?」
そんな事を考えていたら、ツタージャに叩かれてしまった。
いてて……そんなに強く叩かなくてもいいじゃねえか!
To.Be.Continued...
【ツタージャ】♀ 【ムクバード】♂ 【ミロカロス】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・つるのムチ ・たいあたり ・たつまき
・リーフブレード ・かぜおこし ・アイアンテール
・たいあたり ・でんこうせっか ・ハイドロポンプ
・かげぶんしん ・つばさでうつ ・れいとうビーム
・へびにらみ ・つばめがえし
・リーフストーム ・ブレイブバード(未完成)
・リーフブレード二段斬り
【キバゴ】♂ 【コジョンド】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】
・ダブルチョップ ・みきり
・シャドークロー ・はっけい
・りゅうのいかり ・とびひざげり
・ドラゴンクロー ・はどうだん