その前に話したい事があるみたいだけど……何だろうな?
「―――波導使い?」
フィルの言葉に、グリードはおもわずそのまま聞き返す。
今、彼はポケモンセンターにある宿泊用の部屋に居る。
マサラタウンから来たフィルという少年がここに泊まり、昨日の内に明日の朝ここに来てほしいと言われたからだ。
約束通り、グリードはフィルが泊まってる部屋へと訪れ、早速どんな話なのかと尋ねた所。
「君には、波導使いの素質がある」
いきなりそんな事を言われ、現在に至るというわけだ。
しかし、グリードにとってはポカンとしてしまう内容であり、フィルもそれがわかっていたのか苦笑している。
「ごめんね。いきなりこんな事言っても混乱するだけだったね。
――実は、昨日リコが君自身とバトルしたいと言ったのは、君から不思議な力を感じたからなんだ」
「不思議な力?」
「初めはリコも何なのかわからなかった、けど実際に戦って……君の力は波導使いのものだとわかったんだ」
「…………」
困った、フィルの話を聞いて真っ先に浮かんだ感情がそれ。
波導使いという存在は知っている、しかしグリードにとって波導使いというのは伝説上のものだと思っていたし、そんな力が自分にあると言われても実感が湧かない。
……いや、それ以前に気になる事があった。
「なあ、フィル」
「なんだい?」
「お前、どうしてリコの気持ちが理解できるんだ?」
グリードの問いに、そんなの簡単だよと言いながら、彼は問いに答える。
「僕はね、ポケモンの言葉を理解する能力があるんだ。
前に、ディアルガに会った時に手に入れた……というか、勝手に手に入ったと言った方が正しいけど」
あっけらかんと、当たり前だと言わんばかりの口調で、彼はとんでもない事を口にする。
「…………」
グリードの表情が固まった、しかし無理はないとフィルは内心苦笑する。
神と呼ばれるポケモンであるディアルガに会ったという話ももちろんだが、ポケモンの言葉を理解できる能力など普通に考えてありえるわけがない。
気味悪がられるかもしれないという不安が、少しだけフィルの中に現れ始める。
だが、不思議と彼の中で話さなければよかったという後悔はない。
何故かわからないが、彼になら話してもいいと思ったのだ。
何とも言えない不思議な魅力が彼にはある、だからフィルも彼には隠し事はしたくないと思ったのかもしれない。
――そうして、たっぷり数十秒という時間が流れた後
「……そっかぁ、ポケモンの言葉が理解できる能力か……」
思い出したかのように、グリードは口を開く。
そこに恐怖感といったような感情は見受けられない。
「じゃあ、フィルは自分のポケモン達と会話ができるのか?」
「うん。もちろん君のポケモンともできるよ」
そう答えると、そっか……と呟いてから、グリードは。
「…………いいなぁ」
と、心底羨ましそうにぽつりと呟いた。
「えっ?」
「だってよ。ポケモンの言葉がわかるなんて凄く羨ましいよ、そうすればもっとポケモン達と仲良くできるしさ」
予想外の反応に、今度はフィルがキョトンとしてしまう。
気味悪がられるか信じない、反応はそのどちらかだと思っていたのに、彼はあろうことかその能力を羨ましがっている。
それも本心で、だ。これにはフィルだけでなく、彼の近くで沈黙を守っていたトナ達も驚きを隠せない。
〈おいおい、予想の斜め上の反応だな〉
〈たしかに……まさかそんな言葉が返ってくるとは……〉
〈……グリードって、ある意味凄いね〉
口々に勝手な事を言うトナ達、それを見てツタージャは嬉しそうな口調で言葉を紡ぐ。
〈グリードはね、バカなのよ〉
〈お前、身も蓋もねえなぁ……〉
〈だってそうじゃない、人間って自分の常識に入ってない事は信じようとしないのに、グリードは自分の知らない事もすぐ信じるのよ。
これをバカと言わないでどうするのよ〉
バカと連呼しつつも、ツタージャは嬉しそうだ。
その理由は、もちろんグリードをバカにできるからではなく、自分の主人を遠回しにとはいえ自慢できるから。
素直じゃない、ツタージャを見ながらフィル達は内心苦笑する。
「ところでフィル、俺に波導使いの素質があるのはわかったけど、具体的にはどうすれば一人前の波導使いになれるんだ?」
何せ自分には波導の使い方などわからない、素質があると言われてもどうすればいいかわかるはずもなかった。
しかし、フィルは少し申し訳なさそうに口を開く。
「ごめん。それは僕達にはわからないんだ」
「えぇー……なんだよそれ」
「僕は波導使いじゃないから、どうすれば波導を使えるかはわからないよ。リコもポケモンと人間じゃ波導の使い方は違うらしいから、具体的に教える事はできないんだって」
ごめんなさい、そう言いながら頭を下げるリコ。
残念だが、手探りで頑張っていくしか術はないらしい。
何なんだー、と言ってやりたいが、致し方ない事なので諦めるしかない。
……それよりも、だ。
「フィル、お前いつ帰るんだ?」
「えっ、今日の昼くらいに出るカントー行きの船に乗ろうと思ってるけど……」
その言葉を聞き、すぐさま時計を確認する。
時刻は九時、まだ余裕はある。
ちょうどいいや、そう思ってグリードはフィルにある事を告げた。
「ならさ、最後にバトルしないか? もちろん、ポケモン同士のバトルをさ」
「バトル……」
「ああ。トナ達はやってくれるかな?」
どうだろ、視線を向けながらそう尋ねると、トナ達は快く頷きを返す。
〈いいぜ。というよりこのままじゃ身体がウズウズしたままで気持ち悪いしな〉
〈私も、グリードだけでなくグリードのポケモンとバトルしてみたいですから〉
〈うんうん。わたしも大賛成だよ!!〉
「……トナ達もバトルしたいってさ」
「よっしゃ、それじゃあ早速バトルしようぜ!」
嬉々として立ち上がり、部屋を後にするグリード。
〈もぅ……本当に子供なんだから〉
「あはは……でも、僕は彼みたいな人は好きだよ」
呆れるツタージャにそう告げながら、フィル達も部屋を後にする。
昨日グリードとリコがバトルをしたフィールドに着き、すぐさま準備に入る。
「ルールは?」
「僕のポケモンは三体だから、3対3のバトルにしよう」
「わかった!」
早速、一体目のモンスターボールを手にするグリード。
そして――ポケモンの名を呼びながらボールをフィールドに向かって投げつけた。
「ムクバード、君に決めた!!」
〈――わーい!!〉
ボールから出た瞬間、喜びの声を上げるムクバード。
「よし、じゃあ……トナ、お願い」
〈任せろ。……本気は出さないからな〉
「君の好きなように」
あいよ、そう短く返事を返してから、トナはムクバードと対峙する。
〈少しは楽しませてくれるよな?〉
〈むっ、ボクとグリードはとっても強いんだぞ!〉
「フィル、先攻はどっちからにする?」
「君からでいいよ」
それならと、早速グリードは指示を出し――バトルが開始された。
「ムクバード、でんこうせっか!!」
〈いくよーっ!!〉
風を切りながら、トナに向かって真っ直ぐ突撃するムクバード。
〈へぇ……なかなか速いじゃねえか〉
少しだけ驚きつつも、ムクバードが到着する前に、トナの身体がその場から消えた。
ムクバードが通り過ぎるとほぼ同時に、空中に現れるトナ。
〈オラッ!!〉
右手を下に突き出す、するとトナの身体が黄色い光に包まれバリバリという音を上げながら、それがムクバードに向かっていく。
でんきタイプの技である10まんボルトだ、ひこうタイプであるムクバードが受ければ大ダメージであるが。
「はがねのつばさ!!」
〈このっ!!〉
両の翼を鋼色に変化させ、なんと向かってきた10まんボルトを力任せに弾き飛ばしてしまった。
「えっ!?」
〈おぉっ!?〉
これには、さすがのフィルとトナも驚きを隠せない。
だが、それにより動きが止まってしまっている事に、まだトナ自身は気づいていなかった。
「今だムクバード、ブレイブバード!!」
〈よーーーーし!!〉
地面すれすれを飛んでいた身体を急上昇させ、翼を折りたたみ必殺の一撃の準備に入るムクバード。
それに気づいたトナだが、もはや回避も防御も間に合わ―――
「トナ、“シリエジオ”発動!!」
焦りを含んだような、フィルの指示。
シリエジオ、などという技は聞いた事がなく、どういった効果なのかわからないまま、ムクバードはトナに向かっていく。
そしてグリードは、トナの変化に気が付いた。
――身体が、桜色に染め上がっている
まるで色違いのサーナイトを見ているようだ、とグリードはどこか他人事のように眺めていた。
しかし、ムクバードはトナの変化など知らぬとばかりに突撃していく。
このブレイブバードなら、たとえ相手がどんな状態になろうとも突破できるという自信があるからだ。
〈上等だ。かかってきやがれ!!〉
逃げないムクバードを見て、嬉しそうに叫んで拳を構えるトナ。
桜色に染まった腕は美しく、同時に寒気すら感じる程のパワーを感じられた。
そして、トナは向かってくるムクバードに拳を突き出す。
それは何の変哲もないパンチ、ポケモンの技として分類できない攻撃だ。
だというのに、ムクバードと激突した瞬間——空中で大爆発が起き、煙の中から勢いよく飛び出す影が二つ。
〈うわぁぁぁぁっ!?〉
〈――ちぃっ!!〉
「ムクバード!!」
弾丸のようなスピードで地面に叩きつけられるムクバード、だがそれとは対照的にトナは顔をしかめながらも無事着地を果たす。
〈……うぅ〜……〉
目を回し動かなくなるムクバード、戦闘不能だ。
「…………」
戦慄した。
あの力、たしかフィルは“シリエジオ”と言っていたが……おそらく何らかの強化技なのだろう。
現に、桜色に染まっていたトナの身体は、今では元に戻っている。
(……すげえな、あれ)
素直にトナの力に感動しつつ、グリードはムクバードをボールに戻す。
トナも、フィルに呼ばれフィールドの外へと出た。
そして、待機しているリコとハルに向けて、警告を告げる。
〈リコ、ハル、本気でやれよ〉
〈えっ?〉
〈本気でって……〉
〈俺はよ、本気でやる必要なんてないと思ってた。だけどよ……正直、あの時フィルがシリエジオの指示を出してくれなかったら、タダじゃすまなかったぜ〉
10まんボルトを弾いたはがねのつばさも、そしてあのブレイブバードも、並の威力じゃなかった。
ポケモンがトレーナーであるグリードの為に……その想いが想像以上のパワーを引き出している。
〈あいつら強いぜ、単純な力じゃなくて意志の強さが。ああいうタイプが、一番厄介なんだ〉
だから、油断なんかすんじゃねえぞ、トナはそう言って後ろに下がった。
……確かに、彼等は強いとリコ達とて理解できる。
トナの言う通り、油断などするわけにはいかないようだ。
「キバゴ、君に決めた!!」
〈わーい、キバゴの出番だー!!〉
「次はキバゴか……ならリコ、お願い」
〈わかりました〉
フィルに頷きを返し、フィールドに立つキバゴと対峙するリコ。
キバゴは、リコとバトルできるのが嬉しいのか、やる気満々だ。
「早速行くぜ。キバゴ、ダブルチョップ!!」
〈よーし!!〉
ちょこちょこと小さな脚を動かしながら、リコに向かっていくキバゴ。
その姿に、リコは少しだけ萌えながらも両腕で拳を作り出す。
瞬間、手の甲のトゲのような部分が鋼色の爪に変化する。
それと同時に、キバゴよりも遥かに速いスピードで踏み込み、その爪を振り下ろした。
〈わぁーっ!?〉
リコのスピードに対処できず、吹き飛ばされ地面を転がるキバゴ。
そこへ、リコは更に踏み込んでもう一撃……。
「ドラゴンクロー!!」
〈っ、このぉっ!!〉
もう一撃入れようとしたが、キバゴが立ち上がり右腕を振り上げる
〈くっ……!?〉
ぶつかり合うメタルクローとドラゴンクロー、しかし押し負けたのは――リコの方だ。
この小さな身体にどこにこんなパワーがあるのだろう、弾かれ地面を削りながら後ろに吹き飛ばされていくリコは、キバゴに驚きを隠せない。
「もう一度ドラゴンクローだ!!」
〈いっくぞー!!〉
今度は両腕にエメラルド色のオーラを這わせた爪を生み出し、リコとの間合いを詰めていくキバゴ。
しかし、リコは両手を向かってくるキバゴに突き出し、瞳を光らせる。
〈あ、あれ!?〉
キバゴの身体が宙に浮き始め、ジタバタともがくがまるで意味を成さない。
これはエスパータイプの技であるサイコキネシス、キバゴの動きは完全に封じられてしまった。
〈うぅ……な、なんで動けないのー!?〉
〈トドメです!!〉
腰に両手を持っていき、蒼い輝きを放つ大人の握り拳大ほどの光球を生み出すリコ。
ルカリオというポケモンを象徴する技――はどうだん。
このまま発射されれば、キバゴは防御もできずにその技を受けてしまう。
「負けるなキバゴ、りゅうのいぶき!!」
〈くっ……こ、こいつめ!!〉
身体を拘束されながらも口を開き、エメラルド色の息吹を吐き出す。
しかし……リコは構えを解かないまま、迫るりゅうのいぶきを回避し。
〈はっ!!〉
両手からはどうだんを放ち、キバゴを吹き飛ばし地面へと叩きつけた。
「キバゴ!!」
〈……う〜ん……〉
まともに受けキバゴは立ち上がれない、すなわち戦闘不能だ。
「くっ……!!」
〈ふぅ……危なかった〉
歯噛みするグリード、リコはほっとしたように息を吐く。
あのりゅうのいぶきは本当に危なかった、はどうだんを発射するタイミングがもう少し早かったら相殺されていたかもしれない。
それにあのドラゴンクローも凄いパワーだ、トナの忠告がなければこうまであっさりと勝負はつかなかった。
「戻れ、キバゴ、……やっぱりリコは強いな」
悔しそうに、けれど素直にリコを褒めるグリード。
リコも、そんなグリードに笑みを見せぺこりとお辞儀した。
「……フィル、リコ達って本当に凄いな。でも、どうして指示を出さないんだ?」
先程からトナもリコもフィルから一切指示を受けずに戦っている、こんなバトルは初めてだ。
「リコ達には好きなように戦ってもらいたいからね、それより……最後の一体はどうするのさ?」
「そんなの決まってるだろ、俺の最後は……ツタージャ、君に決めた!!」
〈当然ね〉
先程から彼の足元に居たツタージャが頷き、フィールドの中へ。
「やっぱりツタージャが来るか……ならリコ、戻るんだ。
――そしてハル、君の出番だ」
〈りょーかい、フィル〉
リコを戻し、ハルを場に出すフィル。
「ツタージャ対決か……けど、勝つのは俺のツタージャだぜ!!」
〈ハル、絶対に負けないわよ!〉
〈あたしだって、負けないんだから!〉
「フィル、ここから巻き返しをさせてもらう!」
「いいよグリード、おもいっきり来るんだ!!」
拳を握りしめ、グリードはツタージャ同士のバトルを始める指示を口にした。
「ツタージャ、リーフブレード!!」
〈いくわよ!〉
右腕を構え、ハルに向かっていくツタージャ。
〈ならこっちも!!〉
跳び上がるハル、三つ叉の尻尾が光り出した。
向こうもリーフブレードを仕掛けるつもりだ、しかしツタージャはそのまま突撃する。
〈はぁぁぁっ!!〉
〈やぁぁぁっ!!〉
鈍い打撃音を響かせながら、ツタージャとハルはぶつかり合う。
バチバチという音を響かせながら、鍔迫り合いになり互いに一歩も譲らない。
だが………。
〈えっ……!?〉
驚きの声を上げたのは、ハル。
見ると、ツタージャが空中のハルを少しずつ押し始めているのがわかり。
〈こんのぉーっ!!〉
気合いの声を上げ、無理矢理ハルを宙に押し上げた。
すかさずリーフブレードを解除し、胸の前で両手を構えた。
「エナジーボール!!」
〈やぁっ!!〉
緑色の光球を両手に生み出し、宙に飛ばしたハルに叩きつける。
地面に落ちるハル、追撃を仕掛けようと走るツタージャ。
〈いたた……〉
「ハル、前!!」
〈えっ……?〉
起き上がり前を見るハルだが、その時には既にツタージャが間合いに入っている―――!
「リーフブレード!!」
〈このっ!!〉
左腕によるリーフブレードで吹き飛ばし、更に。
「リーフブレード・二段斬り!!」
〈し………っ!!〉
〈きゃっ!?〉
両手を地面に置き、それを軸に身体を回転させながら、三つ叉の槍で追撃となるリーフブレードを叩き込んだ。
「ハル!!」
〈だ、大丈夫……でも、普通の技じゃあのツタージャには勝てないよ〉
「……じゃあ、“あれ”を使う?」
あれ、という単語を聞いて、ハルは口元に笑みを浮かべる。
「ハル、とぐろをまくからつるのムチ!!」
「っ」
初めてフィルが指示を出す。しかし、技を同時に2つ出すなど……。
身体をギュッと引き絞りながら、つるのムチを身体から出すハル。攻撃と補助、同時に行えるポケモンなど初めて見た。
「かわせ!!」
しかし驚いてる暇はない、グリードはすぐさま指示を出す。
指示を耳に入れ、迫るつるのムチをバックステップで回避するツタージャ。
だが―――その間にハルは必殺の一撃を終えてしまった。
「っっっ」
〈な、何……!?〉
ぞくりと、グリードとツタージャの背筋が凍りつく。
〈ツタージャ、今からあたしの最強技を見せてあげる!!〉
〈最強技……?〉
〈いくわよ!!〉
跳び上がるハル、先程の跳躍よりも更に高い。
睨みながらハルを睨むツタージャ、そしてグリードはハルが放つ技がどんなものかを理解し驚愕した。
「ギガインパクト!?」
そんなバカな、ギガインパクトはツタージャでは使えないはず。
だというのに、ハルは今からギガインパクトを発動させようとしている。
――否、ただのギガインパクトではない!!
ハルの尻尾に、ギガインパクトのエネルギーが溜まっていく。
それだけではなく、リーフブレードのエネルギーすら……。
「いくよグリード、ツタージャ。これがハルの必殺技――ギガブレードだ!!」
〈いっけぇぇぇっ!!〉
ギガインパクトとリーフブレードのエネルギーを尻尾に纏い、ツタージャに突撃するハル。
(くっ、どうする……どうすれば………!)
リーフブレードでは届かない、ツタージャ最強の技であるリーフストームでも打倒できない。
だが範囲も広く、回避も不可能。まさしく絶体絶命だ。
(……リーフブレードでもリーフストームでも届かない……だったら!)
ある一つの考えが浮かび上がり、グリードはツタージャに指示を告げる。
「ツタージャ、リーフストーム!!」
〈っ、はぁぁぁっ!!〉
一瞬迷いが出るが、グリードを信じて身体を回転させリーフストームを発動させるツタージャ。
だがそれではハルの一撃には耐えきれない、だから………。
「リーフストームの中に飛び込みながら、リーフブレード!!」
「なっ……!?」
跳躍し、自らリーフストームの中に飛び込むツタージャ。
右腕でリーフブレードを発動させた瞬間――リーフストームの葉が右腕に纏わりついていく。
(そうか、リーフストームのエネルギーを上乗せして………!)
なる程、これならばハルのギガブレードにも対抗できるかもしれない、咄嗟の判断にしては素晴らしいアイディアだ。
しかし、それは一種の賭であり、これでギガブレードに対抗できるとはグリードもツタージャも思ってはいない。
だがやってみせる、即席の技だとしても必ず届かせる。
「ツタージャ、いけ!!」
〈やぁぁぁぁぁっ!!〉
互いに最後の一撃となる攻撃を仕掛ける。
そして、両者は同時にぶつかり合って―――
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「――それじゃあ、またねグリード」
「おう、またな」
カントー行きの船の前で、俺とフィルは最後の挨拶を交わす。
――ツタージャとハルの戦いは、引き分けに終わった
ギガブレードと、咄嗟に指示した技は互角だったらしく、大爆発を起こして両者ノックアウト。
バトルは終わり、ポケモンセンターで休ませてから……別れの時間になった。
「今度は、グリードの友達も紹介してね?」
「ああ。必ずな、トナ達もまた会おうぜ」
腕組みしながら頷くトナに、ぺこりとお辞儀をするリコ、そしてハルは小さな手をバイバイするように振っている。
「フィル、俺……お前に会えて良かったよ」
「僕も、君みたいな人に会えたのは、きっといずれ財産になる」
柔らかな笑み、それにしても財産か……いい事言うなフィルは。
……船の汽笛が、出発を知らせるように鳴り響く。
「じゃあ……」
「ああ。いつかマサラタウンにも遊びに行く。そしたら、またバトルしような」
もちろん、そう言って俺とフィルは固く握手を交わし……やがて、どちらからともなく放しフィルは船に乗り込んだ。
程なくして船は動き出し、少しずつ遠ざかっていく。
「じゃあなーっ!!」
「またね、グリード!!」
お互いに、相手が見えなくなるまで手を振り続ける。
そして、船が小さくなっていった後……俺はそっと息を吐いた。
――不思議な出会いだったと思う
それに、あいつに会って自分に波導使いとしての素質があるとわかって、凄く驚いた。
……いつか、またフィルに会える日が、今から待ち遠しい。
「ツタージャ、次は負けないように頑張っていこうな?」
「タジャタジャ」
抱きかかえ、そのまま港を後にする。
さて……これからも頑張っていかないとな。
あんなに強くて優しい友達ができたんだ、次に会った時に驚くくらい強くならないと。
新たな決意を胸に秘めながら、俺は学園へと帰っていったのだった。
To.Be.Continued...
【ツタージャ】♀ 【ムクバード】♂ 【ミロカロス】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・つるのムチ ・はがねのつばさ ・たつまき
・リーフブレード ・かぜおこし ・アイアンテール
・たいあたり ・でんこうせっか ・ハイドロポンプ
・かげぶんしん ・つばさでうつ ・れいとうビーム
・へびにらみ ・つばめがえし
・リーフストーム ・ブレイブバード(ほぼ完成)
・リーフブレード二段斬り
・エナジーボール
・???
【キバゴ】♂ 【コジョンド】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】
・ダブルチョップ ・みきり
・シャドークロー ・はっけい
・りゅうのいかり ・とびひざげり
・ドラゴンクロー ・はどうだん
・りゅうのいぶき