グリードくんのイルミナ学園奮闘日誌【完結】   作:マイマイ

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遂に始まるミクリカップ。

俺とソラネ、そしてモモカが出場する事になったけど……一次審査、突破できるかな?


第42話 〜開幕、ポケモンコンテスト・ミクリカップ!!(前編)〜

『———さあ、ここホウエン地方で遂にミクリカップが開催されます。

 司会はわたくし、ビビアンがお送りさせていただきます!!』

会場全体を包んでもなお収まらない、割れんばかりの喝采。

それは、ミクリカップがそれだけ大きな大会である何よりの証拠である。

その様子をモニター越しで眺めながら、グリード達は選手控え室で待機していた。

 

「…………」

「おいモモカ、大丈夫かよ?」

椅子に座り、ガチガチに固まっているモモカに声を掛けるグリード。

「だ、大丈夫です……」

とは言うが、身体は震え明らかに緊張しており、全然大丈夫ではなさそうだ。

 

「グ、グリードさん達は大丈夫なんですか?」

「俺はワクワクしてるぜ、ポケモンとのコンビネーションがどれだけ通用するのか、試せる貴重なチャンスだからな」

「……グリードさん、ある意味大物になりそうですね。ソラネさんは、緊張してないんですか?」

「緊張してるよ」

あっけらかんと言い放つソラネ、だがその表情や口調に緊張の色は見られない。

 

「ソラネさん、全然緊張してるように見えませんけど……」

「緊張してるよ。でも……私にはこれがあるから」

そう言ってソラネが出したのは……ひかりのいしを加工して作ったネックレス。

それは、前にグリードから借り受けた御守り、ソラネが初めてコンテストで優勝できた要因の1つ。

「それ、まだ持っててくれたのか……」

「当たり前だよ。これは私の……一番の宝物だから」

そう、ソラネにとってかけがえのない宝物、そして……グリードにとってもまた。

 

「これがあるから私は大丈夫なの、だから平気に見えるんじゃないかな?」

「へぇ……ノロケるなんてさすがですね」

「ふえっ!? ノ、ノロケてなんか……」

「ないって言えるんですか? 端から聞いてたら完全なノロケですよ?」

ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべからかうモモカ、ソラネも顔を真っ赤にして俯いてしまう。

そんなやりとりを見ながらも、グリードは理解してないのかポカンとしたまま首を傾げていた。

と。

 

「緊張感がないな、お前達は……」

呆れたような口調で話しかけてきたのは……。

「アヤト、私の事が心配できてくれたんですね?」

「あ、ああ……ところでグリード、大丈夫か?」

「ああ。もちろんさ!」

「タジャタージャ」

「そうか……」

それを聞いて、アヤトは安堵する。

と、そんな彼等を見てモモカはジト目で睨みつけた。

 

「アヤト〜、どうして私よりグリードさんの心配をするんですか〜?」

「あ、いや、それは……」

モモカに迫られ、珍しく狼狽するアヤト。

グリード達はそんな彼等に苦笑を浮かべる、緊張感がないのはどっちだろうか。

「ところでアヤト、お前だけか?」

「あ、ああ。フェイト達は観客席の方に居る、大勢で行っても仕方がないからな」

じゃあオレも戻る、そう言って控え室を後にしようとするアヤト。

だが、途中で立ち止まりこちらへと振り向き口を開いた。

 

「……モモカ、応援はしている。自分なりに精一杯頑張れよ」

少し恥ずかしそうにぽつりと呟き、今度こそ控え室を後にするアヤト。

……素直じゃない、グリードとソラネは同時にそう思い、顔を見合わせ苦笑する。

 

「………えへ、えへへ」

「モ、モモカ……?」

「えへへ……アヤトがデレてくれました、貴重ですね……へへへ……」

だらしなく口元を弛ませるモモカに、グリードどん引き。

『それでは早速参りましょう、エントリーナンバー一番の選手、入場してください!!』

モニターから聞こえる声に、グリードとソラネは視線をそちらに向ける。

どうやらミクリカップの一次審査が始まったようだ、早速最初のコーディネーターとポケモンが演技を始めている。

 

「いよいよだな」

「うん……そうだね」

……やはり、自分はどこか緊張していると、ソラネは客観的な思考で自分を観察する。

だがそれは当たり前だ、どうしてこんな大きな大会で緊張しないというのか。

だが……それでもソラネは大丈夫と、自分に言い聞かせられる余裕があった。

何故なら、隣には彼が居るから。

自身を信じ、そして自分を何の根拠もなく信じてくれている彼が居るから、きっと大丈夫。

(そうだよ……絶対に大丈夫なんだから)

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「――さすがミクリカップ、レベルが高い大会だね」

場所は変わって観客席、各選手の演技を見てサクラは率直な感想を口にする。

「……モモカ達、大丈夫かな……」

フェイトから見ても、レベルの高い演技だとわかるので、もうすぐ出番となるモモカ達が心配で仕方なかった。

特にモモカは初めての大会だ、できれば勝って欲しいと願いたいが……。

 

『続いては、今大会がデビュー戦となる、モモカさんだ!!』

「来たわね……」

ビビアンの声の後に続くように、ステージに現れるモモカ。

その表情は、やはり緊張に満ち溢れている。

「…………」

「フェイト、大丈夫だ」

「えっ?」

不安げなフェイトに、アヤトは優しく声を掛ける。

 

「あいつはなんだかんだと言っても、とても優秀なんだ。幼なじみのオレ達なら、わかるだろ?」

「アヤト……」

「信じればいい。無駄な事は考えずに……いい演技をすると信じればいいさ」

「…………うん」

その通りだ、自分達にできる事は応援と信じる事だけ。

余計な事は考えずに、ただモモカの成功を信じればいい。

「モモカ、頑張って!!」

ここからでは届かない、だがフェイトは立ち上がって精一杯の声援をモモカに送った。

 

「グレイシア、出てきてください!!」

「―――シア!!」

ボールから飛び出し、空中で華麗に回転しつつ着地するグレイシア。

初めの登場は成功した、それに喜ぶ暇はなくモモカは次の指示を出す。

「上に向かってこおりのつぶて!!」

「シアッ!!」

首を天井に向かって上げ、口から無数のこおりのつぶてを吐き出す。

その数はおよそ三十近くはあり、一つ一つも大人の握り拳はある大きさだ。

しかし……その全てはまるで輪を作るように形成されている。

 

「アイアンテール!!」

跳び上がるグレイシア、そして輪になったこおりのつぶての中心に到達した瞬間。

「シ、アァァッ!!」

身体を回転させ、周りのつぶてをすべてアイアンテールで粉々に吹き飛ばす!!

砕かれたつぶてはキラキラと輝く粒子に変わり、ステージだけでなく観客席の方まで舞い散っていく。

後はくるくるとアクロバティックな動きで華麗に着地し、モモカと共にお辞儀をして——彼女の演技は終わりを迎えた。

 

――観客席からは大きな拍手が

 

『こおりタイプの技の美しさと、はがねタイプの力強さを見事に使った素晴らしい演技でした!!』

ビビアンもこの演技を褒め、審査員になっているアリシアとミクリも口元を綻ばせる。

(モモカったらやるじゃない……なかなかいい演技だったわよ)

自分の立場を考え、心の中で賞賛の言葉を送るアリシア。

 

『さあ続いては……ソラネさんの演技です!!』

「ソラネさん、頑張ってくださいね!!」

「うん!!」

退場するモモカと入れ替わるように、ステージに向かっていくソラネ。

交わす言葉はただそれだけ、けれど彼女達の表情は満面の笑みだった。

 

「チラーミィ、お願い!!」

「チラ、ミィ!!」

着地し、ポーズをとるチラーミィ。

「次はソラネみたいね、モモカのすぐ後だからちょっと緊張してるんじゃないかしら?」

「かもね。けど……今のソラネはかなりレベルの高いコーディネーターに成長したから、きっと大丈夫さ」

まあ、その要因を引き寄せたのはサクラも恋慕の情を抱く彼だから、乙女心としてはなんとも微妙だが。

 

「チラーミィ、スイープビンタ!!」

指示を出すと同時に、ソラネは両手に持っていたボールを一斉に上へ投げつける。

「チラ、ミィ、ミィ、ミィッ!!」

バラバラに落ちてくる八つのボール、それを素早く正確に長く美しい尻尾で掬っていくチラーミィ。

「チー、ラミィ!!」

そして、八つ目のボールを尻尾に取り込んだ瞬間、まとめて再び上空へと飛ばしてしまう。

 

「タネマシンガン!!」

「チラ、ミミミミミッ!」

そのボール一つ一つにタネマシンガンを叩きつけると、ポンッという音を放ちどんどん破壊されていく。

タネマシンガンが細かくなり、チラーミィに降り注ぎその身体を輝かせ、最後は可愛くウィンク。

その瞬間、ソラネの演技は終わりを迎え——同時に観客席からはモモカに負けないくらい大きな歓声が響き渡った。

 

「一見地味な小技だけだったけど……コンテストは大技を使えばいいという問題じゃない。

 ポケモンを魅せるという点では、今の所彼女が一番かも……」

よもやここまで優秀とは思わなかった、さすがのアリシアも驚きを隠せない。

だがそれは彼女の隣でソラネの演技を見ていたミクリも同じ、ソラネの演技を見て子供のような無邪気な笑みを抑える事ができなかった。

(まだ荒削りだが土台はしっかりしている、何より……彼女はポケモンを魅せる事を第一に考えて演技する大切さをよくわかっている。これは、将来有望だね)

 

「……なんだか、グレイシアのより地味だったわね」

ソラネの演技が終わり、カレンは自身が抱いた率直な感想を口にする。

そんな彼女に、サクラは確かにそうかもしれないけど……そう前置きを入れて、言葉を続けた。

「ポケモンの魅せ方では断然ソラネの方が良かったと思うよ僕は。

 コンテストというのは大技を使えばいいわけじゃない、技を綺麗に見せ尚且つポケモンを主役にしないといけないんだ」

「……難しいものだな、コンテストというのは」

自分には無理だ、アヤトは本気でそう思った。

……ソラネとモモカの演技は終わり、残るはグリードだけ。

 

(さて……君はどんな演技をするのかな? グリード)

彼の登場が待ち遠しい、そう言わんばかりの表情を浮かべるサクラ。

一方、グリードは己の出番が近づいているので、ステージに繋がる通路を歩いていた。

「おっ、モモカ」

「グリードさん、一次審査で敗退なんて不甲斐ない事はしないでくださいよ?」

「あのなぁ、お前だってまだわかんねえじゃねえか」

「いえいえ。私は絶対に二次審査に進出していますよ、あれだけの演技ができたんですから」

自信満々にそう言うモモカ、さっきまでガチガチに緊張していたのと同一人物とは思えないくらいだ。

しかし、いつもの彼女に戻ったからこそ、自然な演技を行う事ができたのだろう。

 

「グリードくん、モモカ」

「ソラネ、すっげえ演技だったぜ!」

「ありがとう。次はグリードくんの番だよ!」

「ヘマしたら笑ってあげますよー!」

からかうようなモモカにうっせぇ、と返しながらグリードはステージへと向かう。

しかし、ソラネと横切る際に……。

 

「頑張って」

「おう」

 

パンッと、右手でハイタッチを交わした。

(よし!!)

たったそれだけ、それでもグリードにとって大きな力に変わる。

仲間との触れ合いが、彼を強くさせるのだから。

『続きましては、グリードさんの演技です!!』

ビビアンの声を耳に入れ、グリードは勢いよくステージへと駆けていく。

 

「ツタージャ、君に決めた!!」

「タージャ!!」

グリードの肩から跳び上がり、華麗に着地するツタージャ。

「エナジーボール!!」

「タージャァッ!!」

胸の前で両手を合わせ、エナジーボールを形成するツタージャ。

それを上空に放ち、更に二つ三つと続け……エナジーボールで空中に六角形を形作る。

更にもう一つエナジーボールを作り……。

 

「リーフブレード!!」

「ター、ジャ!!」

三つ叉の尻尾で、空中のエナジーボールへと弾き飛ばす。

エナジーボール同士がぶつかり合い……まるでピンボールのように反射を続けていく。

そして、反射を続ける度にエメラルド色の粒子がキラキラと降り注いでいく姿は、幻想的だ。

 

「フィニッシュだツタージャ、リーフストーム!」

「タージャァァァッ!!」

逆立ちし、尻尾を高速回転させ突風を生み出すツタージャ。

それは空中のエナジーボールを呑み込み――大爆発を引き起こした。

爆音と共に振ってくるのは……まるで虹のように輝くエナジーボールの粒子達。

 

「タージャタジャ」

恭しくお辞儀をして、ツタージャの演技は終了した。

瞬間、割れんばかりの拍手喝采が再び巻き起こる。

「………やるわね」

ツタージャのしなやかさと、小さな身体に反してパワーは充分魅せる事ができている。

演技も派手だし、ソラネとはまた違ってポケモンの魅せ方だ。

『これで全ての選手の演技が終了しました。それでは、結果発表まで暫しお待ちください!!』

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「――ふぅ」

「タージャ……」

控え室に戻りに、ツタージャと同時に息を吐くグリード。

……やれる事は、やったつもりだ。

たった2日の練習にしては、上出来だったはず。

 

「ツタージャ、俺の期待に応えてくれてありがとな」

「……タージャ」

頭を撫でられ、嬉しそうに笑うツタージャ。

……きっと大丈夫、そう信じてはいるが。

「辛気くさい顔ね、自信があるならそんな顔になる必要なんかないんじゃないの?」

「えっ……?」

顔を上げる、するとそこには柔らかな笑みを浮かべるカレンの姿が。

彼女だけではない、応援に来てくれた他のみんなの姿も。

 

「アンタもツタージャも輝いてたわよ、あたしは正直コンテストの演技とかはわからないけど……自信持ってもいいと思う」

「カレン……」

「……だから、アンタはいつも通り間抜けな顔になってればいいのよ」

そう言うと、カレンはそっぽを向いてソラネ達の元へ。

「………?」

「素直じゃないねカレンも」

「サクラ、何がだ?」

「今の君に説明してもわからないよ、それよりいい演技だったよ。

 まだまだ荒削りだけど……これなら二次審査に行けるさ」

「……そりゃどーも」

普通に褒めてくれればいいものを、そう思うが反論しても無駄なので黙っておく。

 

『皆様、長らくお待たせ致しました!!』

ビビアンの声が、控え室に響く。

遂に、二次審査発表の時が来たようだ。

『厳しい一次審査を勝ち抜き、二次審査に進める16名は……こちらのコーディネーター達だ!!』

ステージの天井にあるモニターに、1人ずつ顔写真が現れていく。

暫し眺めるが、まだ3人とも現れない……。

 

「あっ……!」

まずは――ソラネ。

 

「おっ……!」

続いては――グリード。

だが、モモカのはまだ現れない。

「…………」

残る枠はあと2人、モモカの表情に諦めの色が浮かぶ。

そんな彼女を安心させるように、アヤトはモモカの肩に手を置いた。

 

――残るは1人

 

そして……最後の1人、は。

「………あ」

 

 

最後の1人は――モモカの顔写真。

 

 

「モモカ、やったね!」

「おめでとう、無事一次審査を抜けられたようだな」

「………は、はい」

ふにゃふにゃとその場に崩れるモモカ、自分でも信じられないようだ。

『そして、対戦カードがシャッフルで発表されます!!』

モニターが動きを見せ、トーナメント表を作り出す。

一回戦は誰とも当たらない、だが……。

 

「……勝ち抜けば、セミファイナルで私とグリードさんが戦う事になりますね。

 そして、更に勝ち進めば……ファイナルではソラネさんと」

「ああ……そうだな」

『二次審査はコンテストバトル、明日の朝十時に開始されます。

 それでは皆様、明日もミクリカップを楽しみにしていてください!!』

「…………」

二次審査は明日、そして明日には優勝者が決まるのだ。

自然と、身体に力が入ってしまう。

 

「――ツタージャ、勝とうな?」

「タージャ、タジャ」

大きく頷くツタージャ。

 

――ミクリカップはまだ終わらない

果たして、二次審査を勝ち抜くのは……誰になるのだろうか。

 

 

 

To.Be.Continued...




【ツタージャ】♀     【ムクバード】♂      【ミロカロス】♀
【使えるわざ】      【使えるわざ】       【使えるわざ】
・つるのムチ       ・はがねのつばさ     ・たつまき
・リーフブレード     ・かぜおこし       ・アイアンテール
・たいあたり       ・でんこうせっか     ・ハイドロポンプ
・かげぶんしん     ・つばさでうつ      ・れいとうビーム
・へびにらみ       ・つばめがえし
・リーフストーム    ・ブレイブバード(ほぼ完成)
・リーフブレード二段斬り
・エナジーボール
・???

【キバゴ】♂     【コジョンド】♀
【使えるわざ】    【使えるわざ】
・ダブルチョップ   ・みきり
・シャドークロー   ・はっけい
・りゅうのいかり   ・とびひざげり
・ドラゴンクロー   ・はどうだん
・りゅうのいぶき   ・おうふくビンタ
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