グリードくんのイルミナ学園奮闘日誌【完結】   作:マイマイ

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イッシュ地方で知り合った、フウロとカミツレさんは、なんとジムリーダーだった。

バトルしたいという欲求を抑えきれず、俺はカミツレさんにバトルを申し込んだ。

よーし、絶対に勝ってみせるぜ!!


第48話 〜カミツレとの決着、ムクバード最後の意地!!〜

「ゼブライカ、でんげきは」

「ゼブゥゥッ!!」

身体を発光させ、エモンガとは違い青い電撃を放つゼブライカ。

「かわしてりゅうのいぶき!!」

「キバッ! キ、バァッ!!」

右へ跳び、迫るでんげきはを回避すると同時に、息吹を吐き出すキバゴ。

 

「かわしてニトロチャージ」

「ブラァッ!!」

対するゼブライカもキバゴの攻撃を回避しつつ、身体を炎で包み突進してくる。

「ドラゴンクロー!!」

「キバキバキバ……!」

「ゼブラァッ!!」

「キバーッ!!」

ぶつかり合う両者、パワーは互角なのか互いに弾かれる。

しかし………。

 

「ニトロチャージ」

「えっ……!?」

もう一度指示を出すカミツレ、だがゼブライカのスピードが先程より上がっている―――!

「ゼブゥゥッ!!」

「キバーッ!?」

避けきれず、ゼブライカの炎の突進を受け吹き飛ぶキバゴ。

 

「……キバ〜……」

「キバゴ戦闘不能、ゼブライカの勝ち!!」

周りから、カミツレのファンによる喝采が巻き起こる。

「……厄介な技だな、ニトロチャージは」

ニトロチャージは使えば使うほど素早さを上げる技だ、だからゼブライカの二撃目は一撃目よりも速かった。

しかも、ゼブライカはニトロチャージを二回使用した。最初の時とは比べものにならないくらい素速くなっているだろう。

 

「カミツレさんのゼブライカはああやってバトルして勝つの、いわゆる必勝法だね」

(……やはり強いな)

さすがジムリーダーというべきか、先程のボルトチェンジのタイミングといいニトロチャージの使い方といい、無駄がない。

だが、アヤトの中でグリードが負けるという未来は、欠片も存在していない。

何故かはわからない、しかしアヤトの中でグリードが敗北するとは思えないのだ。

 

 

「―――やっぱりカミツレさんの勝ちだな」

 

 

そんな中、観客の一部からそんな事が聞こえてくる。

フウロが視線を向けると、そこに居たのは数人の大人。

カメラやマイクを持っている所から、おそらくテレビ局の人間なのだろう。

 

「このバトルはなかなかいい、チャレンジャーである少年がそれなりにカミツレさんに対抗し負ける。

 この構図でカミツレさんの人気はまた上がり、視聴率もなかなか取れそうだ」

「…………」

嫌な類の笑みを浮かべる大人達に、フウロは表情を固くし拳を握りしめた。

まだ勝負は決まってない、それなのにあの大人達はグリードが負けると決めつけてる。

そればかりか、彼を視聴率を上げる為の道具のようにしている所が、フウロには許せなかった。

「ちょっと――」

だから、おもわず言ってやろうと声を荒げた瞬間。

 

「―――黙って見てろ、勝負はまだ終わっていないんだ」

 

冷たい声が、アヤトの口から放たれた。

「神聖なバトルを汚すなら消えろ、あいつのバトルはあんた達が図れる程単純じゃない」

視線は変えず、威圧感を込めてアヤトは告げる。

その態度に大人達は苦い顔を浮かべるものの、アヤトの迫力に圧され何も言い返そうとはしなかった。

 

「……友達想いだね」

「あいつはオレを掛け替えのない友達だと言ってくれた、打算もメリットも考えずにオレを助けてくれている。

 ――だから、オレもオレのできる最大限の礼であいつに何かしてやりたいと思ってるだけだ」

「…………」

やはり彼は優しい、でもその優しさは向けられているグリードが、アヤトより優しいから故。

(いいなぁ……グリードみたいな人が、傍にいてくれて)

素直に、そう思えた。

その感情は同時に、フウロの中でグリードに対する興味が強まった証拠でもある。

 

「戻れ、キバゴ。……よく頑張ったな、ゆっくり休んでくれ」

ボールに戻ったキバゴに労いの言葉を掛けてから、グリードは別のボールを手に取る。

「タジャ、タージャ!」

「わりぃなツタージャ、さっきも言ったけど今回はお前は出さないって決めたんだ」

「タジャ……」

少し悔しげに顔を俯かせるツタージャ、グリードの役に立てないのが残念なようだ。

そして、グリードは二体目のポケモンを場に出した。

 

「ムクバード、君に決めた!!」

「ムクバー!!」

「タジャ!?」

「えっ……ムクバードを出すの?」

ツタージャは驚き、フウロもまた彼の選択に疑問符を浮かべる。

ムクバードはでんきタイプに弱い、だというのに何故……。

 

「……ひこうタイプで、私のゼブライカに勝つの?」

「勝ちます。俺のムクバードは強いですから!」

「ムクバー!!」

「そう……なら勝つ所を見せて。ゼブライカ、スパーク」

「ゼブゥゥッ!!」

ムクバードに突進するゼブライカ、そのスピードは最初の時とは比べものにならないほど速い。

 

「かげぶんしん!!」

「ムクッ!!」

ゼブライカを囲むように現れる、ムクバードの分身達。

「落ち着いてゼブライカ、でんげきは」

「ブラァァィッ!!」

青い電撃が辺り一面に張り巡らされ、次々と分身達を消していく。

だが――本物のムクバードを捉える事はできなかった。

 

「でんこうせっか!!」

(っ、上………!)

顔を上げるカミツレとゼブライカ、するとこちらに向かってくるムクバードの姿を捉えた。

「けど甘い……ゼブライカトドメよ、かみなり」

「ゼブゥゥゥ……ラァァァァィッ!!!」

激昂の雄叫びを上げ、最大パワーでムクバードを叩き落とそうと雷を放つゼブライカ。

そのパワーは凄まじく、またスピードもかなり速い。

しかし……グリードとて何も考えずにムクバードを突撃させてるわけではなかった。

 

「今だムクバード、そのままのスピードでつばめがえし!!」

「ムクゥゥゥッ!!」

――ムクバードとかみなりが交差する

「えっ………!?」

そんな、速すぎる。突然の急加速にカミツレは驚きを隠せない。

 

「いっけぇぇぇっ!!」

「ムクゥゥゥッ!!」

でんこうせっかのスピードを上乗せさせ、更につばめがえしによる加速。

その2つの相乗効果により、ムクバードのスピードはいまだかつてない程まで高まり。

「ゼブァァッ!?」

ゼブライカの身体を、まるで大砲のような衝撃を与え吹き飛ばした。

地面を削り、尚も止まらず壁にめり込み……ようやく止まった。

 

「……ゼブ〜……」

「ゼブライカ戦闘不能、ムクバードの勝ち!!」

「やったぜムクバード!」

「ムクバー!!」

「……凄い、あんな攻撃方法があるなんて」

でんこうせっかでスピードを上げ、相手の攻撃技が来る瞬間につばめがえしで再び急加速し、回避と反撃を同時に行う。

これではスピードを上げたゼブライカとて避けられない、いくら速くなっても大技を使った直後では動けないからだ。

この攻撃の為に、グリードはあえてムクバードを場に出したというのが、フウロにも理解できた。

 

「……凄いわ貴方、攻撃を思いつくのも凄いけど、ポケモンが貴方を真に信頼してないと、絶対にできない」

「ムクバードは俺の大事な家族ですから、ちゃんと応えてくれるんです」

「ムクバー!!」

「……エモンガ、もう一度出てきて」

「エモォッ!!」

「私、負けない……貴方が信頼で勝つなら、私もポケモン達との信頼関係で、貴方に勝つ!!」

今まで寡黙だったカミツレが、初めて声を荒げ拳を強く握りしめた。

その光景を見たファン達は驚き、グリードは楽しそうに笑いながら言葉を返した。

 

「俺だって、絶対に負けるもんか!!」

「エモンガ、ボルトチェンジ!!」

「エーモッ!!」

右手に生み出した電気玉を、ムクバードに放つエモンガ。

 

「かわしてつばめがえしだ!!」

「ムクッ! ムクバァァァッ!!」

回避し、急加速の突撃を仕掛けるムクバード。

「かげぶんしん!!」

「エモッ!」

しかし、ムクバードのつばめがえしはエモンガの分身の一つに当たり、不発に終わる。

 

「くっ……エモンガもかげぶんしんを」

「めざめるパワー!!」

「エモォォォッ!!」

一斉に放たれる光球、しかし本物はごく一部だ。

 

「上に逃げろ!!」

「ムクッ!」

頷き、唯一攻撃が来ていない上へと高度を上げるが。

「そう来ると思った」

「なに………!?」

カミツレは、既に次の一手を放っていた。

 

「エモンガ、かみなり!」

「エェェェモォォッ!!」

グッと身体を広げ、特大の雷がエモンガの身体から放たれる。

それは迷う事なくムクバードに向かい―――

 

「ムクバァァァッ!!」

悲鳴を上げ、その身体をかみなりで包まれながら地面へと落とされてしまった。

「ムクバード!!」

「…………」

ムクバードは反応しない。

彼の身体からはいまだにバチバチと電気が走っており、如何にエモンガの一撃が凄まじいかを物語っていた。

 

「立て、立ってくれムクバード!!」

「…………」

ムクバードは応えない。

(……ここまで、ね)

あれだけの一撃をまともに受けたのだ、立ち上がる事などできるわけがない。

審判に視線を向けるカミツレ、審判も一度ムクバードを見てから。

「ムクバード戦闘不能、エモンガの―――」

 

 

「…………ムクゥ」

 

 

「っ!!?」

グリード以外のこの場に居た誰もが、驚愕する。

もうダメだと思っていた、あの一撃を受けて立てるわけないと誰もがそう理解していた。

だというのに——ムクバードは立ち上がったのだ。

しかし、グリードは驚きはしなかった。

理由は簡単だ、ただムクバードを信じていたから。

お前がこんな事で負けるはずないと、ただ信じ続けていたから。

もちろん根拠はない、あのまま倒れていたままである可能性の方が、圧倒的に高かった。

だが、グリードがムクバードを信じるように、ムクバードもまたグリードを信じて、戦おうと決めたから。

 

だから――あのまま倒れる事は許されない!!

 

「ムクバード、絶対に勝つぞ。俺はお前を信じてるから!!」

「ムクゥ……ムクバァァァッ!!」

自身を奮い立たせる為、雄叫びのような鳴き声を放つムクバード。

瞬間―――“その時”は訪れた。

 

「えっ……!?」

「これは……!?」

再び場に驚愕が訪れる。

……ムクバードの身体が光に包まれていく。

誰もがわかる、この変化は――“進化”の始まり。

そして、光が小さくなるに比例して、ムクバードの身体は大きく変化していき……。

 

「――ムクホォォッ!!」

ムクバードは、ムクホークへの進化を終えていた。

 

「ムクホーク……」

「うわぁ……進化しちゃった……」

「……同じだな」

「えっ?」

どういうこと、とフウロはアヤトへと視線を向ける。

 

「グリードはあいつをムックルから育ててきた、ムクバードへの進化の際も、そして今回の進化も……両方とも、あいつがグリードの為に勝ちたいと真に願った時に進化したんだ。まったく、あいつ等らしいな」

グリードとポケモン達による信頼関係、それが進化を促進させる何よりの近道になった。

本当にあいつ等らしいと、アヤトは少し呆れながらも……嬉しそうに口元に笑みを浮かべていた。

「進化したのね……けど、負けない!!」

「俺だって絶対に負けません、ムクホークに進化してくれたこいつのためにも……絶対に負けられない!!」

「ムクホォォッ!!」

 

「エモンガ、めざめるパワー!!」

「エモォォッ!!」

放たれる光球、もちろん受ければ大ダメージは避けられない。

いくら進化したといっても、ムクホークの体力は限界なのだから。

 

「負けるなムクホーク、進化したお前の力を見せてやるんだ!!」

「クホォォォッ!!」

雄叫びを上げ、自ら光球に向かっていくムクホーク。

そして、互いにぶつかり合う瞬間。

 

「かわしてつばめがえし!!」

「クホォッ!!」

ギリギリの位置で回避し、スピードを殺さないまま再び加速。

「ムクホォォッ!!」

「エモーッ!?」

地面に居たエモンガを吹き飛ばし、再び上昇した。

 

「エモンガ、かみなり!!」

「エェェェモォォッ!!」

この一撃で沈める、その為に再び大技を仕掛けるエモンガ。

―――だが!!

 

「この時を待ってたんだ!!」

「えっ……!?」

笑みを浮かべながら、グリードは最後の指示を出す。

 

「ムクホーク、かわしてインファイト!!」

「ムクホォォッ!!」

迫るかみなりを旋回して避け、急降下で一気にエモンガとの間合いを詰める。

そして、両の翼で凄まじい打撃をエモンガの身体に浴びせていった。

 

「エモンガ!!」

「ムクホーク頑張れ!!最大パワーでブレイブバード!!」

「クホォ……ムクホォォォォクッ!!」

顔をしかめながら再び上昇、怯んでいるエモンガに向けて翼を折り畳み必殺の一撃を叩き込む為に急降下。

……エモンガは回避できず。

「エモーッ!?」

必殺の一撃を受け、小さな身体が壁に叩きつけられた。

 

「……エモ〜……」

「エモンガ戦闘不能、ムクホークの勝ち!! よって勝者、チャレンジャー、グリード!!」

「やったぜ、ムクホーク!!」

地面に降りたムクホークに駆け寄り、おもいっきりその身体を抱きしめるグリード。

ムクホークも、そんな彼に満面の笑みを返していた。

 

「……言っただろう、あいつのバトルはあんた達が図れる程単純じゃないと」

唖然とする大人達にそう言い放ち、アヤトもグリード達の元へ。

しかし、フウロはその場で立ち尽くしたまま……暫く見惚れたようにグリードと彼のポケモン達を見つめていた。

(凄いバトルだった……あのカミツレさんが、あんなにも感情を露わにしてバトルするなんて)

 

――バトルしたい

 

彼と、正々堂々バトルしたいと、フウロはそんな感情が沸き出すのを、暫し抑える事ができなかった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「――それじゃあ、気をつけて」

バトルが終わり、いよいよフキヨセシティへと向かおうとフウロのヘリに乗り込む俺達。

「カミツレさん、本当にいいの? わたしのヘリで帰ればすぐなのに」

「いいのよ。今は歩いて帰りたいの」

「カミツレさん、ボルトバッジ……本当に貰っていいんですか?」

俺の手に握られたボルトバッジ、それはジムリーダーに勝った証であるリーグ公認バッジだ。

 

「貴方は私に勝った、その証を……持っていてほしいの」

「……わかりました。大切にします」

ありがとう、そう言ってカミツレさんは笑みを浮かべる。

「アヤト、貴方のサーナイト……早く元気になるといいわね」

「ありがとうございます」

「よーし、じゃあ出発するよ」

ヘリのドアを閉める、すると程なくしてプロペラの音が聞こえてきた。

 

「タジャ……」

俺にぎゅっとしがみつくツタージャ、もしかして恐いのかな?

可愛い奴め、そう思っていたら景色がだんだんと上昇を始め、飛行を開始する。

「じゃあ、フキヨセシティに向けて出発ー!!」

「おー!!」

なんとなく、右手を上げて返事をした。

 

 

――フキヨセシティまで一直線

サーナイト、もうすぐ元気になるからな!!

 

 

 

 

To.Be.Continued...




【ツタージャ】♀        【ムクホーク】♂      【ミロカロス】♀
【使えるわざ】         【使えるわざ】       【使えるわざ】
・つるのムチ         ・はがねのつばさ      ・たつまき
・リーフブレード       ・かぜおこし        ・アイアンテール
・たいあたり         ・でんこうせっか      ・ハイドロポンプ
・かげぶんしん       ・つばさでうつ       ・れいとうビーム
・へびにらみ         ・つばめがえし
・リーフストーム      ・ブレイブバード
・リーフブレード二段斬り   ・インファイト
・エナジーボール       ・かげぶんしん
・???

【キバゴ】♂      【コジョンド】♀
【使えるわざ】     【使えるわざ】
・ダブルチョップ   ・みきり
・シャドークロー   ・はっけい
・りゅうのいかり   ・とびひざげり
・ドラゴンクロー   ・はどうだん
・りゅうのいぶき   ・おうふくビンタ
           ・ギガインパクト
           ・ドレインパンチ
           ・ストーンエッジ 
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