グリードくんのイルミナ学園奮闘日誌【完結】   作:マイマイ

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なんと、伝説のポケモンであるレシラムとゼクロムの戦いに巻き込まれた俺だったけど、どうにか事なきを得て助かりレシラムのおかげでフキヨセシティへと到着した。

サーナイト、もうすぐ元気になるからな……頑張れよ!!


第50話 〜サーナイトを救え、アヤト決死のバトル!!〜

「………フウロ」

「な、何?」

「お前……本当に料理ができないんだな」

「うっ……!」

 

胸を抑え、うなだれるフウロ。

ここはフキヨセシティにあるフウロの家。

レシラムに助けられた俺は、夜になってようやくフキヨセシティに到着した。

アヤトもフウロも怪我がなくて、よかった……と思ったら、2人にめちゃくちゃ怒られた。

いや、あれはゼクロムのせいなんだから……という俺の意見は無視。

まあ、レシラムの存在に気づいたから、それどころではなくなったんだけどね。

で、事情を説明して……俺はフウロの家で一泊したというわけだ。

 

アヤトは、サーナイトの様子が気になるからと言ってプレシア博士の研究所で一泊してる。

……だけど、正直フウロの家に泊まらない方がよかったかも。

なにせこいつ、てんで料理が下手くそだから。

テーブルの上には、焦げたベーコンエッグに食パン。

どこをどうしたら炭みたいな料理ができるのか、見てみたいような見てみたくないような……。

 

「だ、だって……普段、料理しないし」

「お前なぁ、女の子なんだから料理ぐらいできないと、嫁の貰い手がねえぞ?」

「し、失礼しちゃうなぁもう! 私こう見えても結構モテてるんだからね!!」

「それは外見だけで判断してるからだよ、付き合うだけならまだしも結婚までごぎつけるには、それなりの家庭スキルがねえと無理だぞ?」

「むぅ……」

 

思うところがあるのか、苦い顔で唸るフウロ。

なんて事を話しつつ、改めて調理を進め……完成だ。

フウロと同じくハムエッグと食パン、けど……結果は言わずもがな。

「…………負けた」

追い討ちとなったのか、完全に突っ伏してしまった。

こんなもん、料理経験が無くてもそれなりにはできるだろ、というツッコミは止めておいた、だって言ったら間違いなくトドメになるから。

 

「おら、さっさとメシ食って研究所に行くぞ」

は〜い、という情けないフウロの声を聞きながら、俺は地面にみんなの朝ごはんを用意する。

「みんな、出てこい!」

4つのモンスターボールから、みんなを出してやった。

 

「キバ〜!」

「ストップキバゴ! まだみんなでいただきますしてないだろ?」

「キバ〜……」

涎を垂らし、ポケモンフーズを穴が開くほど見つめているキバゴ、どんだけ待ちきれないんだよ。

やれやれと苦笑しつつ、席に座り手を合わせ。

 

「いただきます」

そう言って、朝食を開始した。

「…………」

「なんだよフウロ、まだ拗ねてるのか?」

「だって……グリードは男の子なのに、私より料理ができるし」

「こんなの料理のうちに入らねーよ。それに俺は小さい頃からやってきたからな」

「へぇ……小さい頃からお母さんとかの手伝いとかしてたんだ。偉いね」

「いや……そういうんじゃねえんだ、ただ……料理は俺が自由にできる数少ない事だったから」

「………?」

首を傾げるフウロ、まあ当たり前か。

……そう、料理は俺が唯一と言っていい程、自由な時間だったから。

 

「ごちそうさん」

「早っ!?」

「フウロが食べるのが遅いんだよ、ツタージャ達だってもう食べ終わっちまってるぞ」

言いながら、ツタージャ以外をボールに戻し、空になった食器は流しに持っていく。

「フウロ、流しは後でやっておくから食器は水に浸けとけよ。俺は先に研究所に行ってるから」

「えぇっ、待っててくれないの!?」

「俺もサーナイトが心配なんだよ、じゃあ先に行ってるぜ」

もー、なんて言って怒るフウロを尻目に、俺はツタージャを肩に乗せてプレシア博士の研究所へと向かおうと外に出て。

 

〈グリード〉

「あっ、レシラム」

俺を待っていたのか、レシラムが俺の前に降り立った。

〈私は行くぞ〉

「そっか……もう行っちゃうのか」

せっかく友達になれたのに、残念だ。

 

〈いずれまた会えるさ、世界がそう決めたのならな。それに……まるで私自身が観光地みたいになってるこの状況も、いい加減耐えられん〉

「あはは……」

確かに、レシラムの周りにはカメラを持った人達の姿が沢山居る。

仕方ないとは思いつつも、これには苦笑するしかない。

 

「レシラム、またね?」

寂しいけど、きっとまた会える。

だからさよならの言葉は言わずに、またねという言葉を送った。

対するレシラムは淡白な態度でうむ、なんて頷いてすぐに飛び去っていってしまった。

あらら、少しは悲しんでくれてもいいんじゃないかな?

とは思いつつも、なんだかレシラムらしいとも思ってしまった。

あっという間にレシラムの巨体は小さくなっていき……やがて、見えなくなった。

 

「あれ、レシラムいなくなっちゃったの!?」

ショック〜、なんて言いながらうなだれるフウロ、こいつも結構ミーハーだな。

「それにしてもグリードは凄いね、あのレシラムとあんなに仲良くなれるなんてさ!」

「そうかな? 仲良くしてたのは俺だけじゃ……」

そう言い掛けて、昨日の出来事を思い出す。

そういえば、レシラムの出現に研究所は大パニックになって、中には研究の為に捕まえようとした人も居たっけ。

そうしたら、レシラムがキレて。

 

〈―――燃やすか〉

 

そう呟き、ゼクロムとドンパチやってた時に使ってた火球――クロスフレイムを吐こうとして危うく大惨事になる所だったんだ。

まあ、なんとか説得して事なきを得たけど……あれはマジでヤバかった。

「……俺だけだったな、うん」

「あはは……なんかごめんなさい」

フウロも昨日の事を思い出したのか、苦笑い。

昨日の事を思い出すのはやめよう、そう自分に言い聞かせて、俺はフウロを連れて今度こそ研究所へと向かったのだった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「――あら、いらっしゃい」

許可を貰って研究所の中に入った瞬間、いきなりプレシア博士と出くわした。

暗めの紫の髪に瞳、見た目は少し恐いけど……その瞳の奥に見える光はとても優しくて暖かい。

さすがフェイトとアリシアさんのお母さん、めちゃくちゃ美人だ。

 

「こんにちは、プレシア博士」

「こんにちは」

「プレシア博士、あの……アヤトとサーナイトは」

「慌てないの。案内してあげるから」

そう言って、プレシア博士は歩き出したので、俺達もその後に続く。

……それにしても、ポケモン研究所というだけあって、辺りにはポケモンが沢山居るな。

それに見た事もない機械も沢山あるし、きっと毎日凄い研究をしてるんだろうなぁ……。

 

「興味があるの?」

「えっ……?」

プレシア博士の声で、我に返った。

「いえ、あなたの場合……研究じゃなくてポケモン達そのものを見てるのね」

「はい、まあ……」

「アリシアやフェイトが言った通りの子ね、あなたは」

「……あの2人は、俺の事をなんと言ってましたか?」

「知りたい?」

「…………」

楽しそうな口調で問いかけてくるプレシア博士。

なんだか急に訊きたくなくなったので、「やっぱりいいです」と答えた。

あら残念、そう呟くプレシア博士。

なんだか、アリシアさんがフェイトをからかう時と同じ空気を感じた。

ひょっとして、フェイトもいつかあんな感じになるのかな……?

 

「さあ、どうでしょうね」

「っ!!?」

心を読んだ!?

プレシア博士を見るが、ニコニコと微笑みながらフウロと話してる。

……やめよう、世の中には知らない方が幸せな事もあるんだ。

そう自分に納得させ、黙ってついていく事にした。

 

――程なくして、一つの部屋に辿り着く

 

ガスが抜けたような音を出しながら、扉が開き。

「アヤト!」

中にいたアヤトに、声を掛けた。

「グリード、フウロも来たのか……」

「アヤト、サーナイトの様子はどうだ?」

「ああ……落ち着いている」

言いながら、アヤトはガラス張りにされた部屋へと視線を向ける。

そこには、様々な機器に取り付けられたサーナイトの姿が。

 

「…………」

ちゃんと呼吸してる……でも、あの痛々しい姿は正直直視してられない。

「プレシア博士、サーナイトは……治りますよね?」

不安そうな表情で、プレシア博士に問うアヤト。

しかし。

 

「……今の所は、なんとも言えないわ」

プレシア博士の言葉は、俺達の予想を裏切るような内容だった。

 

「えっ……!?」

「アヤト、あなたのサーナイトはとてつもない潜在能力を秘めてる。だから暴走したのよ」

「えっ……?」

「???」

プレシア博士の言葉に、俺達3人は揃って首を傾げる。

とてつもない潜在能力を秘めてる、だから暴走した。

……どういう意味だ?

 

「あなた達は、サイコパワーというもの知っているかしら?」

「サイコパワーって、エスパータイプが持つ力の総称ですよね?」

「そうよ。アヤトのサーナイトにはとんでもないくらい強いサイコパワーが秘められているの。

 だけどそれを肝心のサーナイトが制御できていない、それによって制御できないサイコパワーがサーナイト自身を苦しめる結果となり、暴走してしまったの」

「…………」

つまりは、だ。

サーナイトは自分のサイコパワーが制御できず、それによって今回の暴走が起こったというわけか。

 

「でんきタイプのポケモンにもね、体内で電気が溜まりすぎると身体に不調を来して、その苦しみから逃れようと暴れまわる事があるの。

 今回のサーナイトも、そのケースに似た症状になっているわ」

「その場合、どうやって治すんですか?」

「体内に溜まりすぎた電気を放出すれば、治るわね」

「じゃあ簡単だな、サーナイトのサイコパワーを外に出せば……」

「いいえ、それはできないのよ」

「えっ……」

「サイコパワーはエスパータイプのポケモンの力でもあり、同時に生命力でもあるの。

 それではかえってサーナイトを危険に晒す事になるわ」

「えぇー……」

「では、治療法はないんですか?」

「今の所はサイコパワーを抑える薬で落ち着かせてるけど……それも直に効かなくなる。

 なんとかして治療法を見つけないと……」

 

「…………」

「大丈夫よアヤト。必ず治療法を見つけるから」

「………はい」

フォローするプレシア博士だけど、アヤトの表情はやはり優れない。

当たり前だ、俺だってツタージャ達があんな風になったら……考えるだけでも恐ろしい。

 

「…………」

ガラス窓に手を置き、ベッドで眠っているサーナイトを見つめる。

「タジャ……」

「……サーナイト」

ごめんな、助けてやれなくて……。

いつもお前には笑顔を貰ってたのに、助けられなくて……ごめん。

 

「――すまないな、グリード」

「アヤト……」

「だがサーナイトは大丈夫だ、なにせアイツは親父のお墨付きだからな」

「親父? アヤト、お前の父親もトレーナーなのか?」

「ああ。それもとんでもない経歴の持ち主でな、きっと聞いたら絶対に驚くぞ」

「へぇ、どんな人なんだ?」

アヤトがそう言うって事は、本当にとんでもない人なんだろうな。

若干ワクワクした気持ちで耳を傾けると、アヤトはそんな俺に苦笑しつつ口を開き。

 

――その瞬間、暴走が再び始まってしまった

 

「オレの親父は―――」

「ッ、タジャ!!」

「!?」

ツタージャと同時に、後ろへ振り向く。

その視線の先には、変わらずベッドに眠っているサーナイトが……。

 

――バキンッ、と

 

サーナイトに纏っている器具達が、ひび割れ壊れていく。

それと同時に、ガラス窓にもひびが入り……音を立てて崩れ落ちた。

「なっ!?」

「これは一体……」

異常を知らせるアラームが、鳴り響く。

 

「サーナイト!!」

状況についていけない、でもこれだけは理解した。

サーナイトは、あの時のように暴走を始めてしまったのだ、と。

目は閉じたまま、浮くように起き上がるサーナイト。

そして、その瞳が開いた瞬間。

ぞくりと、全身が震え上がり。

 

「――逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

「サナァァァッ!!」

俺とサーナイトの絶叫が、部屋に響き渡った。

 

「きゃっ!?」

不思議な衝撃に襲われ、部屋の外に全員が叩きつけられる。

今のはサイコキネシス……けどなんてパワーなんだ!!

「…………」

虚ろな瞳。

生きているのかさえわからない曖昧な色を宿し、サーナイトは無言でその場から消えた。

 

「テレポート……」

「いけない! あんな状態で外に出られたら大変な事に――うぐっ!?」

立ち上がろうとするプレシア博士だが、わき腹を抑え苦悶の表情を浮かべながらうずくまってしまった。

「フウロ、お前はプレシア博士を頼む!!」

言うやいなや、アヤトは急ぎ外へと向かって走っていく。

 

「えっ?」

「サーナイトの事は俺達に任せて、フウロはプレシア博士を!!」

「わ、わかった!!」

フウロの頷きを確認してから、俺も急いでアヤトの後を追った。

走って走って……やがて外に辿り着いた時には。

 

「ガバイト、バトルスタンバイ!!」

アヤトがボールからガバイトを出し、サーナイトと対峙していた。

「よしツタージャ、お前も――」

「待て、グリード!!」

「っ、アヤト!?」

「サーナイトはオレのポケモンだ、だから……オレがこいつを止める」

「けど………!」

「頼む!!」

視線はサーナイトに向けたまま、けれどその声は凄まじい勢いで俺に届いた。

……トレーナーである自分が、責任を持つと。

主人である自分が、サーナイトを助けたいと願っている。

その意志は堅く、背中越しからも気迫が伝わってきそうだ。

 

「………わかった」

「タジャ!?」

「これはアヤトがやらなきゃいけない事なんだ、他の誰でもない……アヤト自身が」

もう一度、共に戦うために。

アヤトがサーナイトを救わねば、この先そんな事はできなくなる。

それがわかったから、俺は引き下がったのだ。

 

「……すまない。恩にきる」

「気にすんなよ。けどボールには……」

「ああ。やはり戻せなくなってる、だがちょうどいい……」

「………?」

「ここでバトルをして、無理矢理サーナイトにサイコパワーの制御方法を身につけてもらう!!」

「うわぁ……」

無茶苦茶な奴……サーナイトが少し不憫だなと思ってしまった。

 

「サナァァァッ!!」

踏み込むサーナイト、その右腕は冷気に包まれている。

れいとうパンチ………!

「ガバイト、ドラゴンクロー!!」

「ガバァァァッ!!」

真っ向からドラゴンクローで迎え撃つガバイト。

ぶつかり合う両者、押し勝ったのは……ガバイトだ。

 

「す、すげえパワーだ」

今のサーナイトのパワーはとんでもないものだ、それなのに押し勝つなんて……。

「……オレ達とて、成長していないわけではないさ」

「えっ……?」

「だからこそ、オレ達でサーナイトを救いたい、これは……オレのトレーナーとしての試練だ!!」

「アヤト……」

「サナァ……サ、ナァァァァァッ!!」

雄叫びを上げるサーナイト、すると……彼女の両手に光り輝く剣が現れた。

 

「なに!?」

「こいつは……!?」

サーナイトに……いや、他のポケモンにもこんな能力はない。

 

「サナァッ!!」

踏み込み、間合いを詰めるサーナイト。

「ドラゴンクロー!!」

「ガバァッ!!」

もう一度、ドラゴンクローで相殺しようと、ガバイトは踏み込むが。

「ガ、バァ……!?」

先程のようにはいかず、ガバイトの巨体が吹き飛ばされた。

 

「くっ……!?」

「なんてパワーだ……アヤト!!」

「手は出すな!!」

「そうじゃない、あの剣はサーナイトの強大なサイコパワーで形成されてる。

 つまりあれはエスパータイプのわざだ!!」

さしずめあれはサイコセイバーといった所か、絶大なパワーを秘めているけど……欠点がないわけじゃない。

あの技は“エスパータイプ”という欠点が。

 

「――ゾロアーク、バトルスタンバイ!!」

「――きゅおん!!」

ゾロアークを場に出すアヤト、さすがだ……あれだけで何が言いたいか理解するなんて。

 

「サナァァァッ!!」

「ゾロアーク、シャドークロー!!」

「きゅおん!!」

両の爪を黒く染め、向かってくるサーナイトを迎え撃つゾロアーク。

交差する両者、すると……サーナイトの剣が粉々に砕け散った。

あの剣はエスパータイプ、すなわち相性でいい技を使えば叩ける!!

 

「サナッ!?」

「シャドーボール!!」

「きゅぉぉん!!」

左手をサーナイトの胸に翳し、ゾロアークは至近距離からシャドーボールを叩き込む。

地面に倒れるサーナイト、まともに受けた……これなら。

 

「サ、ナァ……」

「っ」

まだ動くのか……拙い、これ以上ダメージを受けたら、ただでさえ弱ってるのに………!

「りゅうのはどう!!」

「なっ!?」

「ガバァァッ!!」

エメラルド色の波導が、サーナイトに向かっていく。

しかし、すんでのところでサーナイトはテレポートで回避してしまう。

 

「アヤト、これ以上サーナイトを傷つけたら……」

「…………」

アヤトは答えず、再び指示を出した。

「ガバイト、かえんほうしゃ!!」

「ガ、バァッ!!」

「サ、ナ……」

炎に包まれるサーナイト、だがそれでも立ち上がりこちらへと歩いてくる。

 

「サーナイト、もうやめろ!! 本当に……」

「手は出すな」

「っ、アヤト……!?」

サーナイトに向かおうとする俺を、アヤトは手で制する。

「オレに任せてくれるんじゃないのか?」

「けど………!」

「これはただおとなしくさせればいいというわけではない、サーナイト自身が……あいつが、乗り越えないといけない道なんだ」

「…………」

そんな事、アヤトに言われなくても俺だってわかっている。

けど……万が一最悪な事態になったら、そう思うと冷静でいられない。

 

「サ、ナ……サナァァァァッ!!?」

炎を吹き飛ばし、頭を抱えながら絶叫するサーナイト。

……戦ってるんだ、彼女自身が自分の中にあるサイコパワーと。

負けるものかと、必死になって……。

 

「――こんなものじゃないはずだ、お前の力は」

「サ、ナ……」

「お前は自分の力に負けるような弱い奴じゃないはずだ、オレは……お前を信じている!!

 サーナイト、自分の力に負けるな、自分自身から逃げるな!! 己の力に、打ち勝つんだ!!」

 

必死に叫ぶアヤト、サーナイトもその声を耳に入れつつ、立ち上がった。

「タジャ、タジャー!!」

「頑張れサーナイト、負けるな!!」

俺もツタージャも、そんな事しか言えない自分を歯がゆく思いながらも、必死になって声を出す。

この力を抑えるか暴走させるかは、あくまでサーナイト自身に懸かっている。

でも、俺達だってこうやって彼女の応援くらいはできる!!

 

「サーナイト!!」

「負けるな!!」

「タージャ!!」

「サナァ……サ、ナ」

バチバチと、プラズマが彼女の周りに走る。

あと少し……あと少しなんだ!!

 

 

「負けるな……サーナイトーーーーっ!!」

 

 

一際大きなアヤトの叫びが、周りに木霊する。

………すると。

 

「―――サナァァァァァァァァァァッ」

その声に応えるように、サーナイトの声が響き渡り。

溢れ出したサイコパワーが、辺りを真っ白な光に包み込んだ―――

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「……うっ……」

気絶していたのか、少し頭がズキズキするけど、他の所に異常はない。

けど、なんだろう……誰かに、頭を撫でられているような……。

「………あっ」

顔を上げる、すると俺の隣には同じように顔を上げたツタージャとアヤトの姿があり。

俺達3人は、涙を流し震えているサーナイトを、視界に捉えていた。

 

「……サーナイト」

「…………」

びくっと身体を震わせ、サーナイトは俯く。

……当たり前か、自分が何をしたのかわかれば、この反応だって充分理解できる。

けど――そんな恐がらなくていいんだぞ、サーナイト。

 

「――よくやったな、サーナイト」

 

「サナ……?」

顔を上げるサーナイト、そこには確かな戸惑いと疑問の色が。

「よくサイコパワーに負けずに暴走を止めた、さすがだ。

 ――だがお前はオレだけでなく、友人であるグリードにまで迷惑を掛けた。

 だから罰として、これからバトルで結果を見せてもらうぞ」

「……素直じゃねえの」

ここは普通に無事で良かったって言えばいいのに、アヤトらしいというかなんというか。

 

「サナ……」

「お前が少しでも周りに迷惑を掛けていると思っているのなら、その償いはバトルで示せ。

 オレはこれからもお前の力が必要だ、世界一のトレーナーになるためにも……な」

優しく、暖かな口調でそう言いながら、サーナイトを見つめるアヤト。

大丈夫だと、お前は何も悪いことなどしていないと。

サーナイトのトレーナーとして、優しく彼女を許してあげた。

 

「サナァ……」

あらら、また泣き出しちゃった。

けど、これは嬉し涙だから止めなくてもいいだろう。

「サーナイト、お前が完全によくなったら、バトルやろうぜ!」

「タジャタージャ」

「サナ……サーナ」

ポロポロと涙を流しつつも、嬉しそうにサーナイトはこくりと頷いた。

さてと……プレシア博士達の所に戻って、ちゃんと謝らないとな。

アヤトも同じ事を考えていたのか、サーナイトと共に立ち上がる。

 

「すまなかったな、勝手な事を言って」

「気にすんな、俺がお前だったら同じ事言ったからな」

それより行こうぜ、そう言って俺はツタージャを肩に乗せてから歩を進める。

わかった、そう返しアヤト達も俺の後に続く。

 

 

――サーナイトの件は、これで一件落着かな

また一つ、人とポケモンの絆を見る事ができて、俺は幸せ者だ。

本当に……幸せ者だな。

 

 

 

 

To.Be.Continued...




【ツタージャ】♀        【ムクホーク】♂      【ミロカロス】♀
【使えるわざ】         【使えるわざ】       【使えるわざ】
・つるのムチ         ・はがねのつばさ      ・たつまき
・リーフブレード       ・かぜおこし        ・アイアンテール
・たいあたり         ・でんこうせっか      ・ハイドロポンプ
・かげぶんしん       ・つばさでうつ       ・れいとうビーム
・へびにらみ         ・つばめがえし
・リーフストーム      ・ブレイブバード
・リーフブレード二段斬り   ・インファイト
・エナジーボール       ・かげぶんしん
・???

【キバゴ】♂      【コジョンド】♀
【使えるわざ】     【使えるわざ】
・ダブルチョップ   ・みきり
・シャドークロー   ・はっけい
・りゅうのいかり   ・とびひざげり
・ドラゴンクロー   ・はどうだん
・りゅうのいぶき   ・おうふくビンタ
           ・ギガインパクト
           ・ドレインパンチ
           ・ストーンエッジ 
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