グリードくんのイルミナ学園奮闘日誌【完結】   作:マイマイ

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カレンの頼みで、アオイとフルバトルをする事になった。

……このバトルで、アオイも変わってくれればいいんだけど、な。


第71話 〜カレンとアオイの分岐点〜2

――ボスゴドラの身体とコジョンドの拳がぶつかり合う

 

「ボ、ガァ……」

「コジョ……」

両者のパワーは互角、互いに弾かれ距離を離す。

 

「……厄介だな」

「何がですか?」

「ボスゴドラの特性いしあたまが発動している、あれがあると反動技でダメージを受けなくなるんだ」

反動技というのは、総じて威力が高い。

その技をデメリット無しで放てるのは、やはりかなりのアドバンテージになるだろう。

 

「コジョンド、パワーは互角みたいだから、次はスピードで攪乱するぞ、ボスゴドラに向かって走れ!!」

「コジョ!!」

地を蹴り、ボスゴドラに向かって走るコジョンド。

「一気に決めろボスゴドラ、もろはのずつき!!」

「ボガァァァァッ!!」

「また反動技!?」

それも、すてみタックルより威力が高いもろはのずつきだ。

受ければただでは済まないし、下手すればコジョンドはそのまま戦闘不能になる可能性もあり得るだろう。

 

――互いの距離が2メートルにも満たなくなった瞬間

 

「跳べ!!」

「ジョッ!!」

コジョンドは身体を丸めながら前方に跳んだ。

クルクルと回転しつつ……ボスゴドラの攻撃を避け後ろに回り込む。

 

「なっ―――」

「右手ではどうだん!」

「コ、ジョ!!」

着地と同時に振り向きながら、コジョンドは右手だけではどうだんを放つ。

ボスゴドラも振り向いたが、その瞬間に顔面へはどうだんが叩き込まれた。

 

「ボ、ガ……」

怯み、隙ができるボスゴドラ。

「今だコジョンド、はどうだんからはっけい!」

「ジョッ!!」

左手ではどうだんを作ると同時に再び跳躍、そのままボスゴドラの顔面にはどうだんを添えた瞬間。

 

「ボガァァッ!!?」

ボスゴドラの巨体が、凄まじい打撃音を響かせながらフィールドの地面を削りつつ吹き飛んでいく。

そのまま止まらず、壁にめり込むボスゴドラ。

「……ボ、ガァ……」

『ボスゴドラ戦闘不能、コジョンドの勝ち』

機械の審判が、このバトル終了のジャッジを下す。

 

「いいぞコジョンド!!」

「コージョ」

にこやかな笑みをグリードに向け、コジョンドは頷きを返す。

 

「はどうだんではっけいの力を強める……こんな攻撃方法があるとはな」

「でも、はどうだんって普通片手じゃ使えませんよね?」

強力な技ほど、両手を使わなければ繰り出せないものもある。

だというのに、グリードのコジョンドは片手ではどうだんを撃つ事ができる、無論威力は低くなっているが。

「グリード達お得意の努力の結果というやつだろうさ。

 まったく……だからといってこんな事ができるようになるとは、あいつは一体ポケモン達に何をしてるんだ?」

とは言うが、アヤトとてグリードが特別な訓練をしていない事くらいわかっている。

 

――ただ信頼し、ポケモン達もそれに応えた

 

ただそれだけ、けれど間違いなく容易ではない事を、彼はいつもなんなくやってのけるのだ。

「……ちっ、使えないな」

ボスゴドラを戻しながら、アオイは暴言を吐き捨てる。

「ポケモンは道具なんかじゃない、一緒に戦う仲間や家族なんだ。

 お前がポケモン達に信頼を抱かない限り、ポケモン達は十二分に力を発揮できないぞ」

「っ、一体倒したくらいで随分余裕だな。

 確かに少しは強くなったようだが、これ以上はやらせん!!

 ――ヌマクロー、バトルオン!!」

「ヌマクロッ!!」

 

「戻れ、コジョンド」

「あれ? コジョンド戻しちゃいましたね」

別にヌマクローとは相性が悪いわけではない、ダメージらしいダメージも受けていないというのに何故……。

「――ムクホーク、君に決めた!!」

「クホォッ!!」

 

「……アオイ、お前前に言ったよな?『このムックルはたいしたことない』って、けどこいつは一生懸命努力してムクホークになった。

 たとえ最初は弱くても、自分と仲間を信じて努力すればどこまでも強くなれるって事を、お前に教えてやる!!」

「……なる程、本当にあいつらしい選択だな」

ポケモンを家族と思っているグリードにとって、やはりアオイのあの言葉を許す事ができるはずもない。

 

「弱いポケモンは弱いままだ。ヌマクロー、だくりゅう!!」

「マクロッ!!」

ヌマクローが発生させた濁った水が、ムクホークを呑み込もうと迫る。

「ムクホーク、つばめがえし!!」

「クホォォォッ!!」

しかし、ムクホークは望むところだとばかりに、自らだくりゅうに向かっていく。

そして、水の中に飛び込むムクホーク。

 

「マクロォォッ!!?」

「なっ!?」

驚愕の声は、アオイの口から放たれた。

ムクホークがだくりゅうの中から飛び出し、ヌマクローに吶喊したからだ。

「ムクホーク、そのままインファイトに繋げるんだ!!」

「クホォォッ!!」

だくりゅうのダメージに顔をしかめつつ、吹き飛ぶヌマクローを追いかけ逞しい脚で蹴り上げるムクホーク。

続いて右の翼で殴り、左の翼ではスカイアッパーのように下段から振り上げる。

 

「くっ……ヌマクロー、ハイドロポンプ!!」

「ヌ、ヌマクロォ!!」

殴られながらも、ヌマクローは口を開け凄まじい水流を吐き出しムクホークを吹き飛ばした。

「クホォッ!!?」

「慌てるなムクホーク、ハイドロポンプの勢いに逆らわずに身を任せるんだ!!」

「ク、クホッ!!」

頷きを返し、力を抜き流れに身を任せるムクホーク。

そして、一瞬威力が弱まった所を見計らい、水流から抜け出した。

 

「なに―――っ!!?」

「上手い………!」

「ムクホーク、ブレイブバード!!」

「ムクホォッ、クホォォォォッ!!!」

蒼いオーラを身に纏いながら、ムクホークはヌマクローに吶喊する。

ヌマクローはまだ動けない、そして―――

 

「マクロォォォッ!?」

ムクホークのブレイブバードを受け、起きた爆発の中に消えていった。

煙の中から飛び出すムクホーク、反動ダメージが身体を襲うがまだまだ戦えるという意図を込めた鳴き声を上げた。

……煙が晴れていく。

 

『ヌマクロー戦闘不能、ムクホークの勝ち』

「―――――」

ダウンしているヌマクローを見て、アオイの表情が固まる。

信じられないのだろう、この状況が。

「……根性ありますね、グリードさんのムクホーク」

 

いくらつばめがえしを使用していたとはいえ、自分からだくりゅうの中に飛び込むなど、普通はできない。

これも、グリードを信頼しているが故なのだろう。

 

「何よ、あのアオイとかいうトレーナー、たいした事ないわね」

ルーテシアとしては、あのアオイという生徒は性格はともかく実力は高いと聞かされていた。

だというのに、これではあまりにも一方的過ぎる展開ではないか。

「……今のグリードが、それだけ強いという事だな」

「うん……そうね、アイツ……こんなに強くなってたんだ」

自分の想像以上に、グリードは強くなったとカレンは思う。

それは素直に嬉しくもあり……また、同時に悔しくもある。

 

(最初の頃はあたしが居なければ大変だと思ってたのに……今は、あたしの力なんか必要ないのよね……)

それが悔しく、寂しいと思ってしまう。

……でも、新しい目標ができたのも確かだ。

(今度は、あたしがアイツを引っ張るんじゃなくて……アイツの隣に立つのに相応しいトレーナーにならないと)

新たな決意を、そっと胸の中で抱くカレン。

 

「ムクホークごめんな、あんな無茶させて」

「クホォ」

ふるふると首を横に振るムクホーク、気にしなくていいと言っているようだ。

そんな彼にありがとうと返しつつ、グリードはアオイに向けて口を開く。

 

「アオイ、力だけじゃ限界があるって、これでわかっただろ?」

わかってほしいという願いを込めて、グリードは問う。

しかし……。

 

「――ジャノビー、バトルオン!!」

「………ジャノ」

「アオイ……」

「わたしは……わたしはもう二度と、信頼も絆も信じない!!

 信じても……裏切られるだけだ!!」

「……じゃあ、どうしてそんなに辛そうな顔をしてるんだ?」

「っ」

アオイの表情が再び固まる。

 

「本当はわかってるんだよな? カレンの言った事も、自分を誤魔化している事も――」

「う、うるさい!!」

「………戻れ、ムクホーク」

ムクホークをボールに戻し、グリードは足元に居るツタージャに視線を向ける。

 

「ツタージャ、行ってくれるか?」

「タージャ」

頷き、フィールドの中に入るツタージャ。

「進化前のツタージャが、ジャノビーに勝てるものか!!」

「勝てるさ。少なくとも今のお前とジャノビーなら」

「なんだと!?」

「お前、ジャノビーが悲しそうな顔してるのに気づいてないだろ?」

「なっ―――」

ジャノビーに視線を向けるアオイ。

すると、彼はアオイに身体を向け……今にも涙を流しそうな、弱々しい視線を送っていた。

 

「昔のお前はこんな奴じゃなかったってカレンは言ってた。

 ジャノビーも、昔のお前に戻ってほしいと思っているから、こうして訴えているんじゃないか?」

「くっ……ジャノビー、今はバトル中だ!! お前の相手はツタージャだ、そっちに向け!!」

「………ジャノ」

目を伏せ、鈍い動きでツタージャへと振り返るジャノビー。

 

「……これだけ言っても、まだ認められないか」

いや、認めるわけにはいかないと、思っているのかもしれない。

そして、その理由はおそらく……。

……もしそうなら、グリードはアオイを責める事ができなかった。

 

「……ツタージャ、悪いけど……ジャノビーとバトルしてくれ。

 ――ごめんな。俺もこんなバトルをしたいわけじゃないのに」

「タージャ、タジャタジャ」

ふるふると首を振り、優しく微笑むツタージャ。

 

……しかし、内心ではアオイに対する怒りを抱いていた。

グリードの優しさを否定する事は許さない、たとえどんな事情があったとしても。

彼は優しいから気にするなと言うだろう、だがたとえ主人の命でも納得などしてやらない。

だから――ツタージャは殺気を込めた視線で、アオイとジャノビーを睨みつける。

 

「ジャノビー、リーフブレード!!」

「ジャノッ!!」

跳び上がるジャノビー。

「ツタージャ、リーフブレードだ!!」

「タジャー!!」

尻尾によるリーフブレードを、右腕のリーフブレードで受け止める。

パワーは――互角!!

 

「なんだと!? どうしてツタージャがジャノビーに――」

「つるのムチ!!」

「かわせジャノビー!!」

至近距離からのつるのムチ、しかしジャノビーはすんでのところで回避するが。

「リーフブレード・二段斬り!!」

「タジャッ!!」

 

つるのムチを身体にしまいながら踏み込み、左手のリーフブレードでジャノビーの身体を地面に叩きつけ。

その勢いのまま身体を回転させ、尻尾のリーフブレードでジャノビーを吹き飛ばした。

 

「ジ、ジャノ……」

立ち上がるジャノビーだが、まともに受けたのかもう限界が近い。

「ツタージャ、リーンフォースブレード!!」

「ツタァァァ……ジャァァァッ!!」

相手ではなく、自分の周りにリーフストームを展開させるツタージャ。

更に右手を前に突き出し、リーフストームのパワーを吸収していく。

 

「って、今のジャノビーにあの技はやり過ぎじゃないですか!?」

如何に同じくさタイプとはいえ、リーンフォースブレードの破壊力は凄まじい。

それがわからないグリードではないはずだというのに……。

 

――ツタージャの右腕が、エメラルド色に輝く大剣へと姿を変える

 

「いけ、ツタージャ!!」

「タジャッ!!」

跳躍し、大剣を上段に構えるツタージャ。

ジャノビーは動けない、このままではまともに攻撃を受けてしまうだろう。

そして――ツタージャは地面に落下しながら大剣を振り下ろし………。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「………なん、だと?」

驚愕の声は――アオイから出された。

やられた、そう思っていたのに……。

 

 

何故、ツタージャは途中で攻撃を止めたのか。

 

 

「――ツタージャ、戻るんだ」

「タージャ」

リーンフォースブレードを解除し、グリードの元に戻るツタージャ。

「…………」

「……何故だ。何故攻撃を止めた!! わたし達に情けでも掛けたというのか!?」

「…………」

アオイの怒声にも反応せず、グリードはそのまま彼女の元に歩いていく。

 

「質問に答えろ!!」

「…………」

グリードは答えない。

そして、アオイの前に立ち。

 

「……もう、やめろよ」

ゆっくりと、言葉を選ぶようにそう言った。

 

「な、に……?」

「お前を見てると、心が痛いんだ。

 ――本当はポケモン達が大好きでしょうがないのに、どうして自分を偽るんだ?

 そんな奴と、これ以上バトルしたくない」

「な、ん……」

「わかるよ。だって俺もポケモン達が大好きで大切にしたいと思ってるからさ。似てるよお前、俺に」

「な、な……」

 

ふざけるな、と言ってやりたい。

そんな事ありえないと、言い返してやりたい、のに……。

どうして、言葉が出てこないのか。

 

「アオイ」

「っ、カレン……」

観客席からフィールドにやってきたカレン、その表情は……今にも泣きそうなくらい、弱々しい。

「……ごめんなさい、アオイ」

「えっ……?」

「なに……?」

突然カレンは頭を下げ、謝罪の言葉を口にした。

これには、グリードだけでなくアオイすら困惑の表情を浮かべている。

 

「グリード、あたしの我が儘を聞いてくれてありがとう。

 でも、やっぱりグリードに甘えたままなんてできない。ちゃんと……話さないと」

「…………」

自分の腕を、ギュッと掴んでいるカレンを見て、グリードは彼女の方に優しく手を置く。

 

「俺は、甘えたままでも構わなかったけど……カレンがそう言うなら、後は任せるよ。

 ――その話は、俺達も聞いていいのか?」

「………うん」

「わかった。それじゃあバトルはここまでにして場所を変えるか。

 ポケモン達もちゃんと治療してやりたいし、ポケモンセンターに行くとしよう」

「ちょっと待て、まだバトルは――」

「行くぞ」

言いかけるアオイの腕を掴み、引っ張っていく。

 

「お、おい!!」

「アヤト、みんな、悪いけどバトルは終わりだ。

 これからポケモンセンターに行くぞ!!」

「わかった。いくぞモモカ、ルーテシア、フェイト」

「放せ!!」

「黙ってろアオイ、さっさといくぞ」

喚いているアオイを完全に無視しながら、グリードはカレン達と共にポケモンセンターへと向かう。

……カレンの表情が、少し曇っている事に気づかないフリをしながら。

 

 

 

 

To.Be.Continued...




【ツタージャ】♀        【ムクホーク】♂      【ミロカロス】♀
【使えるわざ】         【使えるわざ】        【使えるわざ】
・つるのムチ         ・はがねのつばさ     ・たつまき
・リーフブレード       ・かぜおこし         ・アイアンテール
・リーンフォースブレード  ・でんこうせっか      ・ハイドロポンプ
・かげぶんしん        ・つばさでうつ        ・れいとうビーム
・へびにらみ         ・つばめがえし       ・じこさいせい
・リーフストーム        ・ブレイブバード      ・ふぶき
・リーフブレード二段斬り ・インファイト        ・アクアリング
・エナジーボール      ・かげぶんしん       ・アクアテール
                ・はかいこうせん      ・みずのはどう


【オノンド】♂     【コジョンド】♀    【グライオン】♂
【使えるわざ】     【使えるわざ】     【使えるわざ】
・ダブルチョップ   ・みきり         ・シザークロス
・シャドークロー   ・はっけい       ・れんぞくぎり
・りゅうのいかり   ・とびひざげり     ・ほのおのキバ
・ドラゴンクロー   ・はどうだん      ・クロスポイズン
・りゅうのいぶき   ・おうふくビンタ    ・ギガインパクト
・りゅうせいぐん   ・ギガインパクト
・あなをほる     ・ドレインパンチ
・りゅうのはどう   ・ストーンエッジ 
            ・きあいパンチ

【クチート】♀     【ゴチム】♀
【使えるわざ】     【使えるわざ】
・てっぺき       ・なし
・アイアンヘッド
・かえんほうしゃ
・ねごと
・ラスターカノン
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