さーて、今日はどんな1日になるのかな。
「サーナイト、始めろ」
「サーナ」
頷き、胸の前で両手を合わせるサーナイト。
……暫くして、両手の間から少しずつ光り輝く剣状の物体が現れる。
「いいぞ、サーナイト」
「サ、サナ……」
額に汗を滲ませながら、サーナイトは集中を続ける。
――今、サーナイトはサイコセイバーを自由に使えるように特訓中だ
レベルもそれなりに上がってきた今ならばと思い、庭園で特訓をしようと思ったのだが……。
剣状の物体が、明確に剣の形を造り上げていく。
形状としてはレイピアに近い、少しずつ焦らずにサーナイトはそれを握りしめ……。
「サナッ!?」
「…………」
その剣が、音もなくサーナイトの両手から消えてしまった。
……やはり、一筋縄ではいかないな。
「サナ……」
「今日はここまでにするぞサーナイト、無理に身体を酷使する必要はない」
「サ、サーナ」
「ダメだ。無理をする事はオレが許さん、それにお前に何かあったらグリードが悲しむぞ?」
「…………」
卑怯だ、そう言いたげな視線で俺を睨むサーナイト。
確かにちょっと卑怯かもしれないが、こう言うとサーナイトは簡単に折れてくれるからな。
「よし、戻るぞ」
そう言いながら、オレはサーナイトをボールに戻そうとして。
「……サナ?」
ぴくりと、サーナイトは何かを見つけたかのような反応を見せ、庭園の奥に身体を向けた。
「サーナイト、どうかしたのか?」
「…………」
オレの質問にも応えず、サーナイトは暫し奥にある森の中を見つめ続け。
ドーンという大きな音が、そちら側から聞こえてきた。
「今のは……?」
「サナ、サーナ!」
確かめろと言いたいのか……まったく、面倒事になりそうな気がするんだがな。
しかし気になったのは事実、オレはサーナイトと共に音が響いてきた方向へと走る。
暫く走り……やがて、木々に囲まれた広い場所に辿り着いた。
その中央では――数匹のポケモンが、一匹のポケモンを囲うように戦っていた。
三匹のバオップに一匹のバオッキー、おそらく群れなのだろう。
そして、囲まれている方のポケモンは……。
「……ジャローダ?」
そう、ツタージャ系統の最終進化系であるジャローダだった。
しかし妙だ、ジャローダはこの庭園には生息しているポケモンではない。
かといって、辺りを見回してもトレーナーらしき人物も見当たらない、どういう事だ?
「バオ、キーッ!!」
バオッキーの右腕が炎に包まれる、あれはほのおのパンチか!!
「ジャロッ!!」
一声鳴き、ジャローダが動く。
強靭でしなやかな尻尾をバネのように使い、一気にバオッキーとの間合いを詰めるジャローダ。
更に身体を回転させ、横殴りのようにリーフブレードでバオッキーの身体を吹き飛ばした。
大木に叩きつけられるバオッキー、効果が低いくさタイプの技だというのに、たいしたパワーだ。
「ジャァアロォォォッ!!!」
ジャローダの雄叫びが、その場に響く。
瞬間――バオッキー達に襲いかかる棘付きの蔦。
あれは……ハードプラントか!?
まとめて吹き飛ばされるバオッキー達。
そのまま情けない鳴き声を発しながら、バオッキー達は逃げていった。
「……これはまた、凄いものだな」
「サーナ……」
ハードプラントはくさタイプの究極技、おいそれと習得できる技なんかではない。
現に、モモカのメガニウムも苦労したと愚痴を零していたくらいだ。
やはり、あのジャローダはトレーナーのポケモンなのだろうか。
だが、戦闘が終わってもトレーナーが現れる事はなく……ジャローダの荒い息だけが辺りに響いている。
まさか……野生のポケモンなのか?
にわかには信じがたいが、それならばこの状況も納得できる。
「………ジャロ」
と、オレ達とジャローダの視線が交差する。
ちっ……あからさまに敵意を見せるか。
「ジャロッ!!」
オレ達を敵だと判断したのか、ジャローダは尻尾で跳躍しリーフブレードを繰り出してくる。
「サーナイト、れいとうパンチ!!」
「サナッ!!」
こうなってしまってバトルは避けられない、不本意だがこのまま戦っておとなしくさせるしかない。
そう判断し、外に出ていたサーナイトに指示を出す。
――ぶつかり合う両者
「サ、サナ……!?」
しかし、ジャローダに押し負け後退するサーナイト。
近距離では不利か……ならば!!
「10まんボルトで動きを止めろ!!」
「サナァッ!!」
網の目のように、サーナイトから雷が発せられ、ジャローダを囲う。
これならば迂闊に動けないはず、さあどうする?
「――ジャロッ!!」
「なに!?」
おもわず、驚愕の声を出してしまう。
10まんボルトで囲まれているというのに、ジャローダは気にせずに無理やり突破してきたからだ。
そのせいで、オレとサーナイトの対処が遅れ。
「ジャ、ロッ!!」
一気に接近され、強靱な尻尾を叩き込まれてしまった。
「サ、ナ……!」
吹き飛ばされるサーナイト、その瞬間――彼女が勝手にボールの中へと入ってしまい。
「………きゅおん?」
入れ替わるように、ゾロアークが場に飛び出してきた。
今のはドラゴンテールだ、あんな技まで使えるのか……。
「ジャァアロォォォッ!!!」
ジャローダの雄叫びが、辺りに響く。
ちっ……ハードプラントか!!
「ゾロアーク、こうそくいどうで回避しろ!!」
「きゅ!!」
まだ自分の身に何が起きたのかいまいち理解していなかったが、ゾロアークは頷きその姿を場から消す。
縦横無尽に襲いかかる蔦達。
しかし、さすがにスピードは劣るのかゾロアークを捉える事ができず。
「あくのはどう!!」
「きゅおーん!!」
背後からの攻撃に、ジャローダは地面へ突っ伏した。
「ジ、ジャロ……」
バオッキー達とのバトルでのダメージがあるせいか、辛そうに立ち上がろうとするジャローダ。
……これ以上のバトルは危険だ、そう判断したオレは空のモンスターボールを手に取り。
「モンスターボール、アタック!!」
いまだ立ち上がれないジャローダへと、投げつけた。
「…………」
ゆらゆらと揺れるモンスターボール、そして……暫くしてから、その動きも止まった。
……ゲットしたか。
しかし、ゲットできたという事はこのジャローダは本当に野生のポケモンだったようだな。
野生のポケモンにしてはレベルが高かったが……まあいいさ。
「よくやったぞゾロアーク、戻れ」
ゾロアークをボールに戻してから、ジャローダの入ったボールを拾う。
これで七体目、ポケモンセンターに行って登録をしてくるか。
おもわぬポケモンゲットは嬉しいが、こういういきなりな展開は勘弁してもらいたいものだ。
やれやれ……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「おーい、アヤト!」
ポケモンセンターでジャローダの手持ち登録を終え、治療もちょうど済んだ頃、グリードが声を掛けてきた。
「グリードか、どうしたんだ?」
「いや、散歩の途中でポケモンセンターの中にアヤトの姿が見えたからさ、サイコセイバーの特訓をやりすぎたのか?」
「無理はさせてないさ、ただ……新しいポケモンをゲットしてな」
言いながら、オレはボールから先程ゲットしたばかりのジャローダを出す。
「………ジャロ」
「タジャ!!?」
「? ツタージャ、どうしたんだ?」
ジャローダを見た瞬間、ツタージャの様子が変わりグリードの背中に隠れてしまった。
「ジャロ!?」
そしてジャローダも、ツタージャを見た瞬間目を見開き……怒ったように睨みつけている。
「ツタージャ、お前このジャローダと知り合いなのか?」
「タ、タジャ……」
「ジャロ!! ジャロ、ジャダ!」
なにやら、ジャローダがツタージャに向かって何かを叫んでいるが……あいにくと、オレ達人間ではポケモンの言葉はわからない。
こういう時、フィルの能力があればとは思うが……そう考えるのは不謹慎か。
「よし、こうなったらあの子を呼ぼう」
「あの子?」
一体誰の事だろうか、するとグリードはセンターの外へ出て、周りに誰も居ない事を確認してから。
「ティアー、ちょっと来てくれー!」
少し大きめの声で、ティアの名前を呼んだ。
……グリード、学園からティアが住む泉までどれだけ距離があると思ってるんだ。
そう思った瞬間。
「クォォォゥッ!!」
「はぶしっ!!?」
凄まじい勢いで、グリードの身体が吹っ飛んでいった。
その光景に、オレ達は唖然としてしまう。
「クゥ、クォゥ♪」
「わ、わりぃなティア……急に呼び出して。
で、でも……次からはタックルするのはやめてくれ……」
あぁ……ティアのタックルを受けたから吹っ飛んだのか。
しかしグリード、かなり勢いがあったのに……大丈夫なのか?
「そ、それでティア。ちょっと翻訳してもらいたいんだけど」
こくりと頷き、ティアはすぐさま人間の姿へと変身する。
そして、どこから出したのかスケッチブックと鉛筆を取り出し、準備は完了とグリードに視線を送った。
「ジャローダ、お前ツタージャとはどういう関係なんだ? もしかして、家族とか?」
ジャローダに視線を合わせ、グリードが問いかけると。
「…………ジャロ」
少し間を置いてから、ジャローダは話を始めた。
それを片っ端からスケッチブックに書き留めていくティア。
――暫くジャローダの話が続き、終わった瞬間ティアがオレ達にスケッチブックを渡してくる
「どれどれ………って、ええっ!!?」
「これは……本当なのかジャローダ?」
頷くジャローダ。
しかし……にわかには信じられんな。
……ジャローダはツタージャの姉。
まず第一に驚いたのはそんな事実。
更に話を簡略化させると、元々ジャローダとツタージャはイッシュ地方で人知れず暮らしていたらしい。
しかしある日、些細な事で喧嘩をしてしまい……ツタージャが家出。
ジャローダも初めはすぐに帰ってくるだろうと思っていたのだが、一向に帰ってこないので捜しに出掛け……このイルミナシティへとやってきたそうだ。
ちなみに、バオッキー達と戦っていたのは、うっかり縄張りに入ってしまったかららしい。
「……ツタージャ、ダメだろ。喧嘩したら」
「………タジャ」
グリードに怒られ、反省をしているのか俯くツタージャ。
「だけどよかったなジャローダ、家族に会えて」
「…………」
「……なに?」
グリードの顔を品定めするように、ジッと見つめるジャローダ。
やがて、グリードに向かって何か話し始め、それをティアが翻訳してオレ達に手渡してくる。
―――お前が、ツタージャの主人なのか?
「違うよ。ツタージャは俺の大事な家族さ」
はっきりと、グリードはそうジャローダに告げる。
すると、ジャローダは驚きつつも言葉を続けた。
―――なる程、人間嫌いの妹が心を開いた理由……どうやらお前にあるようだ
優しく、ツリ目を緩めながらそう告げるジャローダは、やはりツタージャの姉らしくそういった雰囲気を醸し出していた。
「そうだ! アヤト、ツタージャとジャローダでバトルしてみないか?」
「タジャ!?」
「そうだな……ジャローダ、お前は構わないか?」
オレの言葉に、こくりと頷きを返すジャローダ。
……心なしか、嫌な類の笑みを浮かべているような。
そして、ツタージャはげんなりした表情を浮かべているような……。
まあとにかく、バトルをすると決めた以上場所を変えないとな。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【ツタージャside】
最悪だ、あたしはさっきからため息ばかりついている。
別にバトルが嫌なわけじゃない、ただ……相手がお姉ちゃんというのが嫌なのだ。
「ツタージャ、姉ちゃんだからって遠慮なんかするなよ!」
グリードの能天気な声が聞こえる、今回ばかりは彼の声に苛立ちすら覚えた。
あんたはお姉ちゃんの強さを知らないから、そんな呑気な事が言えるのよ。
しかも、暫く見ない内にジャローダに進化してるし……。
〈ツタージャ、お前がどこまで強くなったのか、見せてもらうぞ?〉
そう告げるお姉ちゃんの口元には……ほら、楽しげな笑みが浮かんでるじゃない!!
お姉ちゃんはこうやってあたしをいじめるのを楽しむのだ、いや勿論手加減をしたりしてくれるけど……あたしにとっては悪魔の微笑みにしか見えない。
「こっちからいくぞ、ツタージャ、リーフブレードだ!!」
ああ、始まっちゃった。
仕方ない、かなり不本意だし戦いたいなんて気持ちは欠片も湧き上がらないけど、グリードのお願いを無碍にする事は絶対にできない。
……惚れた弱みというのは、存外に厄介なものだと思いつつ、あたしは走る。
「ジャローダ、リーフブレード!!」
〈いくぞ、妹!!〉
なんだか喜々とした楽しげな口調で、尻尾を使い跳躍し上段から攻撃を仕掛けてくるお姉ちゃん。
互いの一撃がぶつかり合い――予想通り、負けたのはあたしの方だ。
〈くっ……相変わらずアホみたいに馬鹿力なんだから………!〉
〈聞こえてるぞツタージャ、バカかアホかどっちかにしろ!!〉
お姉ちゃん、そのツッコミはどうなの?
「だったら……リーフストーム!!」
あぁもう、こんな攻撃じゃお姉ちゃんには届かないわよ!!
「グラスミキサー!!」
〈はぁぁぁっ!!〉
……ほらね?
威力で劣るはずのグラスミキサーで、あたしのリーフストームを相殺するお姉ちゃん。
……前から化け物じみた強さだったけど、ますますパワーアップしているような。
〈ふむ……なかなか成長しているじゃないか、主人の元で努力を怠っていないようだな〉
当たり前じゃない、そう言いたいけど……お姉ちゃんにはまるで歯が立たない。
半ばわかっていた事だけど、やはり悔しいという気持ちはある。
〈そう悲観するな、これでも私は全力でお前と戦っている。
前では半分程度の力の私にすら手も足も出なかった事を考えると、たいした進歩と言える〉
そりゃどーも……。
まったく、こういう教育者じみた所も変わってないんだから。
〈しかし、そろそろ終わりにしようか……〉
お姉ちゃんの身体が低くなり、次の一撃の溜めに入った。
「リーンフォースブレード!!」
っ、やっぱり使うのねアレを!!
リーフストームを自分の周りに撃ち出し、すかさず右腕のリーフブレードにそのパワーを集中させていく。
〈ほぅ……面白い〉
お姉ちゃん、これならいくらお姉ちゃんでも受け止められないでしょ!!
いつも負けてばかりじゃいられない、この技で今度こそ………!
「ハードプラント!!」
〈悪いが、これで終わりにしてやる!!〉
お姉ちゃんがそう言った瞬間。
あたしの足元から、棘付きの蔦が現れあたしの身体を連べ打ちにしていった。
嘘……お姉ちゃん、ハードプラントを使えるようになってたの!?
なす術なく、あたしは空中へと投げ出され……受け身もできないまま、落ちていき……。
「ツタージャ!!」
けれど、あたしは地面にぶつかる事はなかった。
……グリードが、あたしの身体を受け止めてくれたから。
〈ほぅ……〉
お姉ちゃんの口から、感心したような声が聞こえた。
「さすがツタージャの姉ちゃんだな、まさかこんなあっさりやられるとは思わなかったよ」
〈まだまだだな。と言いたいが……本当に強くなったものだ。
前は、リーフブレードすら使えなかったというのに、な〉
一体いつの話をしてるのよ。
……はぁ、お姉ちゃんと再会した事に対しては嬉しいとは思うけど。
なんだか、あたしの気苦労が多くなるような気がするなぁ。
そう思いながら、あたしは再びため息をついたのだった。
はぁ……。
To.Be.Continued...
【ツタージャ】♀ 【ムクホーク】♂ 【ミロカロス】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・つるのムチ ・はがねのつばさ ・たつまき
・リーフブレード ・かぜおこし ・アイアンテール
・リーンフォースブレード ・でんこうせっか ・ハイドロポンプ
・かげぶんしん ・つばさでうつ ・れいとうビーム
・へびにらみ ・つばめがえし ・じこさいせい
・リーフストーム ・ブレイブバード ・ふぶき
・リーフブレード二段斬り ・インファイト ・アクアリング
・エナジーボール ・かげぶんしん ・アクアテール
・はかいこうせん ・みずのはどう
【オノンド】♂ 【コジョンド】♀ 【グライオン】♂
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・ダブルチョップ ・みきり ・シザークロス
・シャドークロー ・はっけい ・れんぞくぎり
・りゅうのいかり ・とびひざげり ・ほのおのキバ
・ドラゴンクロー ・はどうだん ・クロスポイズン
・りゅうのいぶき ・おうふくビンタ ・ギガインパクト
・りゅうせいぐん ・ギガインパクト
・あなをほる ・ドレインパンチ
・りゅうのはどう ・ストーンエッジ
・きあいパンチ
【クチート】♀ 【ゴチム】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】
・てっぺき ・なし
・アイアンヘッド
・かえんほうしゃ
・ねごと
・ラスターカノン