グリードくんのイルミナ学園奮闘日誌【完結】   作:マイマイ

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今日も今日とて、平和な日々が続く。

さて、今日はどんな1日になるのかね。


第74話 〜イーブイ誕生、ハクの眼力〜

「気持ちいいか、チルタリス?」

チルタリスのふわふわな羽にブラシを通しながら尋ねる。

「チル〜♪」

嬉しそうに鳴いてから、鼻歌を唄うチルタリス。

さすがハミングポケモン、綺麗な歌声だ。

 

「チラ、チラミィ!」

すると、自分もやってとばかりにチラーミィが俺の服をくいくいと引っ張ってくる。

「ちょっと待ってなチラーミィ、まだチルタリスのが終わってないから」

なかなかに忙しい、ソラネ早く帰ってきてくれないかな?

ちょうど暇だったので、俺はソラネが中庭でポケモン達にブラッシングをすると聞き、手伝いを買って出たのだ。

そして、ソラネは今自分の部屋にポフィンを取りに行っている。

 

「――よし、終わり! 次はチラーミィの番だ」

「チラミィ!!」

ちょこんと座り、準備万端なチラーミィ。

その姿に苦笑を浮かべながら、俺はブラシをチラーミィの身体に押し当て。

 

「ん……?」

「タジャ……?」

「チラ……?」

目の前の地面が、モコモコと盛り上がっていく。

何事かと思い、視線をそちらに向けると……。

 

「…………ブイ?」

穴の中から、一匹のポケモンが飛び出してきた。

 

俺達と視線を合わせたそいつは、何故かキョトンとした表情を浮かべている。

はて……野生のポケモンなのだろうか。

と。

 

「イーブイ、どこー?」

遠くから、聞き慣れた女の子の声が聞こえてきた。

「ソラネ……」

声の主はソラネ、そんでもって……地面から現れたポケモン――イーブイの所に走ってきた。

 

「はぁ…はぁ……ダメでしょイーブイ、勝手にいなくなったら……」

「ソラネ、このイーブイお前の?」

いつの間にゲットしていたのか、少し羨ましいと思ってしまう。

「違うよ。この子はアリシアさんから貰ったタマゴから孵ったの、しかもついさっき」

「ああ……」

 

そういえば、ソラネのタマゴはまだ孵ってなかったんだった。

しかし……イーブイか、ちょっといいなと思ってしまう俺は、やはりちょっと心が狭い。

 

「でも、生まれたばかりなのにあなをほるを覚えてるのか……」

普通、生まれたばかりのポケモンはたいあたりみたいな基本的な技しか使えないはずだ。

ちょっと気になり、ポケモン図鑑を取り出してこのイーブイが使える技を調べてみる事に。

 

「たいあたり、しっぽをふる、あなをほるに……おんがえし?」

これはまた、意外な技を覚えているもんだ。

「アリシアさんが持ってたタマゴだから、ちょっと特殊なのかな?」

「かもしれないな、それにしても……これでソラネはイーブイ系統を二匹持つ事になったんだな。

 なあ、このイーブイは何に進化させるんだ? それとも進化はさせないのか?」

「まだ決めてないよ、生まれたばかりだし……まずはコンテストに出場できるようにしないと」

「ブイ……?」

 

ソラネに抱きかかえられ首を傾げるイーブイ、やっぱり可愛いなぁ……。

 

「タージャ」

「いてて、叩くなよツタージャ」

背中をつるのムチで叩かれた、本当にお前は俺を叩くのが好きだな。

「ごめんねグリードくん、ブラッシング殆どやってもらっちゃって……」

「気にするなよ、他人のポケモンの世話をするのは勉強になるし……何より、ソラネの役に立てるのは嬉しいしな」

「……ありがとう、グリードくん」

 

少し頬を赤く染めながら、はにかんだ笑みを見せるソラネ。

……こうしてると、初めて会った時の彼女と今の彼女が同一人物だと思えなくなる。

初めて会った時は、悲鳴を上げながらサクラの後ろに隠れたりしたのに、今では俺やサクラ以外の人の前でも普通に接してるし。

 

「? グリードくん、私の顔に何か付いてる?」

「ああ、いや……ソラネもすっかり対人恐怖症が無くなったなって」

「……そうだね。まだ初対面の人の前だと緊張するけど、前ほど酷い状態にはならなくなったよ。

 でも、それは全部グリードくんのおかげ」

「俺の?」

「グリードくんが、初めてのポケモンコンテストで私とバトルしてくれた時、私が逃げようとした事に対して怒ってくれたでしょ?

 それがきっかけ。グリードくんが居てくれたから……私は、少しだけ強くなれたの」

「むむぅ……」

 

そう言われると少し照れるが、俺としては特別な事をしたとは思ってないから、いまいち反応に困る。

だって、ソラネが変われたのはあくまでソラネ自身が頑張ったからこそだ。

俺の言葉が影響していたとしても、あくまで後押しした程度のもの。

だから、そんな事で感謝されるとは思っていなかったから……ソラネの言葉には、変な反応をしてしまった。

 

「だから、グリードくんの為に私も何かしたい。助けになりたいって、思ってる」

「…………」

力強く、はっきりと俺の顔を見て、ソラネはそう口にする。

その言葉が本気だとわかって、嬉しいと思う反面申し訳なく思ってしまう。

俺はただ、みんなで楽しく過ごせればいいだけなんだけどな……。

 

「ブイ、ブィー」

「あっ、どうしたのイーブイ?」

ソラネに抱きかかえられているイーブイが鳴き始めた。

……もしかして、お腹が空いてるのかな?

 

「ソラネ、イーブイ用の食事、用意してる?」

「う、うん。あるけど……あっ、そっか」

俺の言いたい事を理解したのか、ソラネはモーモーミルクが入った哺乳瓶を取り出し、イーブイの口に近づける。

すると、イーブイはそれを口に含み飲み始めた。

 

「ふふっ……イーブイ、美味しい?」

一生懸命食事をするイーブイに、ソラネは優しい表情を向け微笑んでいる。

……なんか、端から見てると。

 

「ソラネ、お母さんみたいだな」

「ふぇっ!!?」

よくわからない悲鳴を上げるソラネ、そんなに驚く事か?

「お、お母さん……私が、お母さん……」

「……おーい、ソラネ?」

どうしたのだろう、顔を真っ赤にさせてなにやらブツブツと呟いている。

 

「……グリードくんとの将来の為に、なるかな……」

「???」

俺の……何だ?

よくわからないが、俺はあまり気にせずにソラネが持ってきたポケモンフーズを手に取り、他のポケモン達に食べさせようと封を切った。

各々に取り分けると、全員一気に我先にと口に含んでいく。

よっぽどお腹が空いていたのか、それともそれだけソラネが作ったポケモンフーズが美味しいのか。

 

「ツタージャ、ソラネのポケモンフーズって俺が作るのより美味しいか?」

「………タジャ」

つまみ食いをしたツタージャにそう尋ねると、少し考える素振りを見せてから……こくりと頷いた。

うーむ、やはりコーディネーターには適わないか、わかっていたけどちょっとショックだ。

と。

 

「カァビ……」

「うおっと!?」

突然現れたカビゴンが、ソラネのポケモンフーズを奪おうとしたので、慌てて避ける。

「………んぁ? カビゴン何してんだ?」

カビゴンの背中から、聞き慣れた男性の声が。

この気だるそうな声は……。

 

「……やっぱりハクか」

「ん……? よぉ、グリードか……」

欠伸混じりの声、相変わらずなハクに苦笑せずにはいられない。

それに、カビゴンに背負われてる格好は正直笑いを誘った。

 

「ところでお前等、ここで何してんだ?」

「ソラネのポケモン達にブラッシングをしてるんだよ、ハクは何でここに?」

「寝に来たに決まってんだろ、中庭は昼寝するのにちょうどいいからな」

言うやいなや、カビゴンから降りて芝生に寝転がるハク。

本当に、相変わらずものぐさだなぁと思いながら、チラーミィのブラッシングを再開した。

 

「ブイッ!!」

「おっ……?」

何を思ったのか、イーブイがいきなりソラネから離れハクのお腹に乗っかった。

「ダメよイーブイ、ごめんなさいシロミネ先輩」

「いんや、別に気にするこたぁねえよ……」

だるそうな目で、自分のお腹に乗ったイーブイを見つめるハク。

すると、思い出したかのように彼は。

 

「……こいつ、結構良いイーブイだな」

ぽつりと、そう言った。

 

「えっ……?」

「このイーブイ、普通のイーブイよりずっと良さそうだ。キチンと育てれば、いい線行くと思うぜ?」

「……何で、そんな事がわかるんだ?」

それは、俺にとって素朴な疑問で、当たり前とも言えるような問いかけだった。

けど、その問いがハクの中の何かを触発させたのか、彼は普段の眠そうな目を開き、先程とは違うはっきりした口調で話し始めた。

 

「……長い間、いろんなポケモンと触れ合ってるとよ、わかるんだ。

 そのポケモンにどれだけの才能があって、どんな性格でどんな能力があるのかが」

「…………」

 

えっと……それはマジで言ってるのか?

見ただけでポケモンの能力がわかるなんて……にわかには信じられない。

確かに、俺だってある程度見ただけで強いかもしれないとかはわかる。

しかし、それはあくまで「かもしれない」程度のもの、実際にそれが合っているかは自信も保証もない。

 

「これ……自分で手に入れたタマゴか?」

「あ、いえ……アリシアさんから貰ったタマゴです……」

「アリシア……トップコーディネーターのアリシア・フリージアか?」

「は、はい……」

「そうか……それなら納得だ、あれだけの実力者が持つタマゴなら、これだけのポケモンが生まれるか」

「……すげえな、本当にわかるのか?」

「これでも四天王なんて呼ばれてるんだ、たとえ四天王一の落ちこぼれでもな」

 

皮肉めいた口調でそんな事を言うハク。

 

「……ハクって、真面目なのか不真面目なのかわかんないな」

「不真面目だよ、現にいつもチビ助達に怒られてるしな」

……ああ、なる程。

 

ようやくわかった、ハクはただ不真面目ってわけじゃない。

そりゃあ四天王なのに昼寝ばっかりしてるのはどうかと思うし、実際サクラ達からハクに対する愚痴を聞いた事だって一度や二度じゃないけど。

でも、ハクはただ自分に正直で自由に生きているだけなのだ。

空に流れる雲のように、ただ自分の望むままに過ごし……人生を目一杯謳歌してる。

ただそれだけ、ちょっと……いやかなり他人には理解されないかもしれないけど、俺にはなんとなくわかり……そして、羨ましいと思えた。

俺には、そんな生き方はできない。

もちろん今は自由に生きてる、自分の思うままに時を過ごしてる。

でも……いずれは、その自由も無くなる時が来るだろう。

俺が“エグフィードの人間”である限り、逃れる事などできはしない。

 

――だから、せめて今だけは。

 

「ハク、俺も寝ていいかな?」

「当たり前だろ。ここはみんなのだからな」

とは言いつつ、いつも独占しているような気もしたが、気にしない事にする。

 

「チラミィ!!」

「わかってるよチラーミィ、お前のブラッシングが終わってから寝るよ。

 ソラネ、お前はどうする? 一緒に寝るか?」

「い、一緒に寝る!?」

「………?」

何故か、顔を真っ赤にして慌て出すソラネ。

……何かおかしな事を言っただろうか。

そう考えつつブラッシングを終わらせてから、俺は芝生に寝転がる。

既にハク達は眠っていて、イーブイも彼の上ですやすやと眠りの世界に旅立っていた。

 

「ソラネ、それでどうするんだ?」

「ふえっ!? あ、えっと……うん、優しくしてください……」

「? おぅ……」

なんだかよくわからないけど、とりあえず頷いておいた。

そして、おずおずと俺の隣に寝転がるソラネ。

ツタージャは、既に俺の上に乗って寝ようとしている。

 

「おやすみ、ソラネ、ツタージャ」

「う、うん……おやすみグリードくん」

「タージャ……」

目を閉じると、暖かい陽気のせいか、すぐさま意識が遠のいていき。

俺は、どこか暖かな気持ちと……抗えない何かを抱えながら、意識を夢の世界へ落としていった。

 

あー……平和だなあ。

 

 

 

 

To.Be.Continued...




【ツタージャ】♀        【ムクホーク】♂      【ミロカロス】♀
【使えるわざ】         【使えるわざ】        【使えるわざ】
・つるのムチ         ・はがねのつばさ     ・たつまき
・リーフブレード       ・かぜおこし         ・アイアンテール
・リーンフォースブレード  ・でんこうせっか      ・ハイドロポンプ
・かげぶんしん        ・つばさでうつ        ・れいとうビーム
・へびにらみ         ・つばめがえし       ・じこさいせい
・リーフストーム        ・ブレイブバード      ・ふぶき
・リーフブレード二段斬り ・インファイト        ・アクアリング
・エナジーボール      ・かげぶんしん       ・アクアテール
                ・はかいこうせん      ・みずのはどう


【オノンド】♂     【コジョンド】♀    【グライオン】♂
【使えるわざ】     【使えるわざ】     【使えるわざ】
・ダブルチョップ   ・みきり         ・シザークロス
・シャドークロー   ・はっけい       ・れんぞくぎり
・りゅうのいかり   ・とびひざげり     ・ほのおのキバ
・ドラゴンクロー   ・はどうだん      ・クロスポイズン
・りゅうのいぶき   ・おうふくビンタ    ・ギガインパクト
・りゅうせいぐん   ・ギガインパクト
・あなをほる     ・ドレインパンチ
・りゅうのはどう   ・ストーンエッジ 
            ・きあいパンチ

【クチート】♀     【ゴチム】♀
【使えるわざ】     【使えるわざ】
・てっぺき       ・なし
・アイアンヘッド
・かえんほうしゃ
・ねごと
・ラスターカノン
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