グリードくんのイルミナ学園奮闘日誌【完結】   作:マイマイ

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アオイとバトルしてたら、いきなりモモカとルーテシアに止められてしまった。

なんだか切羽詰まってる様子だけど……何かあったのかな?


第76話 〜アヤトラバーズの1日〜

「ストップです、今はバトルなんかしてる場合じゃありません!!」

「そうよ、バトルは中断させてこっちに来て!」

「ど、どうしたんだ?」

いきなりなモモカとルーテシアの言葉に混乱しつつ、グリード達はポケモンを戻し彼女達の元へ。

見ると、2人は深刻そうな表情を浮かべており、ただ事ではないというのが感じ取れた。

 

「……モモカ、ルーテシア、一体どうしたんだ?」

少し緊張しつつも、グリードは2人に問いかける。

すると、モモカ達はゆっくりと口を開いた。

 

「……アヤトと、フェイトちゃんが」

「っ、アヤトとフェイトがどうかしたのか!?」

まさか、何かの事件に巻き込まれたとか……。

頭に浮かぶ嫌な想像を振り払いながら、グリードは詰め寄るような勢いで2人に問うた。

 

――しかし、彼等は知らない

 

次に2人の口から飛び出す内容が、彼女達にとっては深刻であり。

グリード達にとっては、あまりに馬鹿馬鹿しすぎる内容だという事に。

 

 

「アヤトとフェイトちゃんが―――今、デート中なんです」

 

 

「…………」

「…………」

「……………はい?」

 

なんとか言葉を発せられたのはグリードのみ、カレンとアオイは完全に固まってしまった。

いや、だって普通は意味が分からない。

深刻そうに、まるで親族が不幸が遭ったかのような雰囲気を出しておきながら。

「デート中なんです」などとほざきやがったのだから。

もしかして、新手のギャグだったのだろうか。

 

……いや、目がマジだ。

この2人は、マジのマジで言っている。

「……だから?」

至極当然と言えるような問いかけをするカレン、心なしか全身が震えているような気がする。

それを見て、グリードとアオイは理解しそそくさとカレンから離れた。

 

――あれはキレかかっている、と理解したからだ。

 

「実はですね、もう知ってるとは思いますが、タッグバトルで優勝した子がアヤトとデートできるという賭けをしていまして……」

「結局、グリードとアオイのチームが棄権したからアヤト達が優勝して……フェイトがデートする事になったのよ」

「…………だから?」

内側から溢れそうな怒りを懸命に抑えながら、カレンは話の続きを促す。

 

「まだわからないんですか? カレンさんも意外と頭が回らないんですねぇ」

「つまり、アヤトとフェイトがデートの雰囲気にやられてR18な感じにならないように、監視をしようってわけ!」

「…………まさかとは思うけど、あたし達にそれを手伝わさせる為に、バトルを中断させたんじゃないでしょうね?」

「そんなの、当たり前じゃないですか!!」

「それ以外に何があるっていうのよ?」

悪びれもなく、それが世界の常識だと言わんばかりに、モモカ達はまたも戯けた事をほざきやがりました。

 

「―――――」

ブチッと、カレンの中で切れてはいけないものが切れた。

それに気づかないアホ2人は、更に言葉を続ける。

 

「さあ、早く行きましょう!!」

「こうしてる間にも、2人がどんな状況になってるかわからないのよ!」

ああ、恋する乙女の悲しい性か、好きな人の事になると周りが見えなくなるらしい。

それだけ相手に好意を抱いている事には変わりないが……今回は、相手が悪かった。

 

「……離れるぞ」

「えっ、でもこれだけ離れてれば……」

「いいから! アイツが怒った時の恐怖は本当に凄いんだから!!」

無理矢理グリードの腕を引っ張り、更にその場から離れるアオイ。

彼女の判断は正しい、さすが幼なじみといった所か。

 

「……あのー、カレンさん?」

「何かしら……?」

「なんで……手持ちのポケモン、全部出してるの?」

目が全然笑っていないカレンが、いきなり手持ちポケモンを全て出した事に、モモカとルーテシアはいいようのない恐怖を感じつつ、問いかける。

「あら……本気でわからないのね。まあ……わかった所でやめたりしないけど」

まるで地の底から湧き上がってくるようなカレンの声に、全員が震え上がった。

 

「……あんな切羽詰まった表情を浮かべてバトルを止めさせたから、一体何があったのかと思ったのに……あろうことか、そんな事で中断させたのね……?」

「あ、いや……」

「その、えっと……」

ヤバい、早く言い訳を思いつかなければ。

そう思い思考を総動員させるが、カレンの殺気で完全に萎縮している2人では正常な考えなど思い浮かべる事はできず。

 

「……覚悟、しなさいね?」

あっさりと、死刑宣告を告げられた。

『きゃぁぁぁぁっ!!』

カレンのポケモン達に制裁を加えられていくモモカ達。

 

「…………」

「……グリード、もうわかったと思うが忠告しておく。

 頼むから、カレンを本気で怒らせるようなバカな真似はしないでくれ」

切実な願いを聞き、グリードはこくこくと何度も頷きを返す。

……哀れ、ここに2人のある意味猛者の墓標ができた。

そして、残された2人は改めて思う。

 

――カレンを怒らせないようにしよう、と

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

さて、アホ2人がお仕置きをされている頃。

「お、美味しいね……アヤト?」

「ああ、そうだな」

アヤトとフェイトは、仲睦まじくイルミナシティでデートの真っ最中。

いや、アヤトとしてはデートではなく一緒に街へ来た程度の感覚なのだが……というか、デート以外のなにものでもないような……。

 

まあとにかく、フェイトにとっては嬉し恥ずかしのデートなのは間違いないわけで。

嬉しくて、先ほどから口元が緩みっぱなしなのはご愛嬌だ。

しかし無理もない、好意を抱いている相手と2人だけで街へ出掛けているのだ、恥ずかしいという気持ち以上に嬉しいと思うのは当然である。

いつもなら、モモカやルーテシア辺りが一緒に居るが……今はいない。

もしかしてつけられているかも……そう思ったが、どうやらそうでもないようだ。

……彼女は知らない、2人は今カレン達によってボコボコにされている事に。

 

「フェイト、早く食べないとクレープに乗ってるアイスが溶けるぞ?」

「あっ、はむっ……」

アヤトに言われ、慌てて手に持つクレープを口に運ぶフェイト。

(……2人には申し訳ないけど、今はこの状況を楽しもう)

せっかくのデートなのだ、今はそれだけを考えて行動しよう。

 

「……さて、これからどうするんだ? 付き合うという約束だからな、今日は最後まで我が儘を聞いてやるさ」

「えっ、うーん……」

その申し出は、舞い上がってしまうほど嬉しいものだった。

だが……フェイトとしては、アヤトと2人だけで過ごせれば充分なのである。

 

彼女はあまり欲がなく、自己主張も苦手な部類に入る少女だ。

だから、こうして2人っきりになっても……特別何かがしたい、という欲求が浮かばない。

なんとも色気がなく、モモカ辺りとは正反対な考えだが……それがフェイトという少女の考えだ。

だがしかし、やはりこの貴重なチャンスを無駄にしたくないという感情ももちろんあり、それ故に色々と考えてみるのだが……。

 

――考えて、みるのだが。

 

(………何も、思いつかない)

こう、恋人同士みたいにイチャイチャベタベタしたい……そんな考えも頭に浮かんだのだが、恥ずかしがり屋のフェイトには難易度が高いので却下された。

別に欲しい物があるわけでもないので、買い物に行くというのも却下。

ウィンドウショッピングは……アヤトがつまらないだろうから却下。

(………私、つまんない女の子だなぁ……)

自分の不甲斐なさにショックを受けるフェイト。

そんな彼女に、アヤトは首を傾げつつ……口を開いた。

 

「もしかして、何の計画もないのか?」

「うっ………!」

あんまりと言えばあんまりな問いに、正直者なフェイトはあからさまな反応を返した。

ああ、やっぱり……と、アヤトは内心苦笑する。

 

昔から、彼女はこういう所があったりしたものだ。

モモカが一緒の時は、彼女の暴走もあり自己主張をする時もあるが……こうして2人っきりになると、途端にこのような状態になる。

そこがまた彼女の魅力なのだろうが……フェイトとしては、何も思いつかない自分に自己嫌悪をしているらしい。

 

「………なら、行き先はオレが決めてもいいか?」

「えっ、あ、ぅん……」

頷くフェイトに、アヤトは行くぞと短く返し、歩き始める。

「あっ……」

「? どうした?」

「う、うん……その、手を……繋いでも、いいかな?」

「…………」

赤い顔でそんな事を言うものだから、アヤトも僅かに頬を赤く染め。

 

「………好きにしろ」

ぶっきらぼうにそう返して、左手を差し出した。

おずおずと右手で弱々しく握るフェイト。

「……ありがとう、アヤト」

ささやかすぎる行為。

だが、フェイトにとっては手を繋ぐという行為そのものに、幸せを感じてしまうのだった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

歩を進め――辿り着いた場所は。

「心の泉……」

「のんびりする場所としては、最適だからな」

そう言って笑いながら、アヤトは寝転がりフェイトも隣に座り込んだ。

 

「クゥ……?」

という鳴き声を発しながら、ふわふわと浮かぶポケモンが一体現れる。

「こんにちは、ティア」

「クォォゥ♪」

無邪気な笑みを見せるティアに、フェイトも視線と笑みを返す。

 

「……クォゥ」

だが、周囲を見回し途端に元気がなくなってしまった。

「すまないなティア、今日はグリードは一緒じゃないんだ」

(ああ、なる程……)

ティアはグリードの事が大好きだから、アヤト達と一緒に居ないのが不満なのだろう。

 

「会いたいなら会いに行けばいい、グリードは邪険にしないだろう。

 だが、ちゃんと姿を消していけよ?」

「クォォゥ!!」

大きく頷き、一瞬でティアの姿が消えた。

 

「ふふっ……ティアは本当にグリードが大好きなんだね」

「あいつは誰にでも好かれるからな、自分の心を偽らずに接しているから……だから、信用できるんだ」

「うん……」

 

「……すまないな、フェイト」

「え?」

「オレは……お前達の気持ちは知ってる、でも……まだ答えを出す事ができないでいるんだ。

 それが……申し訳なくてな」

「ああ……」

 

その言葉で、突然の謝罪にも納得する。

……だが、それは仕方ない事だ。

フェイト達はアヤトが好きだ、もちろんそれは異性としての好意。

だが、それはあくまでフェイト達の感情であり、アヤトが同じ事を考えているわけではない。

考えてくれれば嬉しい、しかしそれは自分達の気持ちを無理矢理押し付けるようなものだ。

恋というのは、一方通行になる事だって珍しくないのだから。

だから、こうしてアヤトなりにも自分達の事を考えてくれるのは、やはり嬉しい。

 

「……焦らなくていいよアヤト、モモカもルーテシアも……もちろん私も、ずっと待ってる。

 アヤトの事、ずっと好きで居るから……」

「…………」

 

アヤトは応えない、いや……応えるべき言葉が見つからないのだ。

真正面から好意を見せてくれる彼女達に、何も返せない自分が情けなくて。

なんだかんだで楽しい日常を壊したくないから、必要以上に考える事ができない自分が酷い奴だと思えて。

けれど……そんな自分すら待ってくれると言ってくれた彼女達に、申し訳がなくて……。

 

必ず、答えを見つけなくてはならない。

どんなに大変で、その選択で自分を含める誰かが傷ついたり悲しんだりしたとしても。

いつか必ず、自分なりの答えを見つけて……彼女達に言わなくては。

そんな決意を胸に刻み、アヤトはゆっくりした時間を過ごしていく。

そして……そんな彼を、フェイトはいつまでも優しい瞳で見つめ続けていた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「……おい、何をしてるんだ?」

のんびりとした時間を過ごしたアヤト達は、ちょっとだけ仲を進展させて各々自分の部屋へと戻ったのだが……。

――何故か、アヤトの部屋にボロボロになったモモカとルーテシアが倒れていた。

一体何があったのか、知りたいような知りたくないような……そんな風に思わせるほど、2人の状態は酷い。

 

「………ん?」

やや混乱した頭で、アヤトは倒れているモモカの背中に貼り付いてる紙を見つけ、取ってみた。

すると、その紙にはこんな事が書かれていた。

 

『もう少しこのアホ達の手綱をきちんと持ってなさい、アンタ飼い主でしょうが   カレン』

 

「…………」

まず飼い主ではない……というツッコミは、やめておいた。

「………はぁ」

何だかよくわからないが、2人がカレンの逆鱗に触れてこうなってしまったというのは理解できた。

できた、が……何故自分の部屋に放置するのか意味が分からない。

 

「…………」

とりあえず、今自分がやるべき事は何なのかを考えた結果。

アヤトは――無言で自分の部屋から出て行った。

「って、手当ては!?」

「心配してくれないの!?」

これには、モモカ達もがばっと起き上がる。

 

 

……今日も、イルミナ学園は平和だった。

 

 

 

 

To.Be.Continued...




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【使えるわざ】         【使えるわざ】        【使えるわざ】
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・リーンフォースブレード  ・でんこうせっか      ・ハイドロポンプ
・かげぶんしん        ・つばさでうつ        ・れいとうビーム
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・リーフストーム        ・ブレイブバード      ・ふぶき
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・エナジーボール      ・かげぶんしん       ・アクアテール
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