グリードくんのイルミナ学園奮闘日誌【完結】   作:マイマイ

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ミロカロスと別れた。

やっぱり、ショックは大きいみたいで……情けないよな。

でも……しょうがないじゃないか。


第78話 〜VSティア、伝説との戦い!!(前編)〜

「―――おはよう、グリード」

寮内でグリードの姿を見つけたカレンは、いつものように挨拶を交わす。

「…………」

「……グリード?」

「ん……あ、ああ、おはようカレン」

「…………」

 

しかし、グリードからの反応は鈍く……やはり、まだ立ち直れていないのがわかり、カレンの胸がチクリと痛んだ。

……ミロカロスとの別れから、4日が経った。

グリードの表情は暗く、なんとかいつも通りの笑顔を見せようとする姿が、ただ痛々しかった。

無理もない、彼にとってミロカロスは家族だったのだ、その家族との別れは彼に大きな傷を与えたのは想像に難くない。

もちろん、カレン……いや、彼を慕う者達は元気を取り戻してほしいと思っている。

しかし、こういうものは無理矢理取り戻せるものではないし……時間に任せるという選択肢も、方法の一つだ。

 

――それでも、やはり彼のこんな表情は見たくない

 

「……今日は、どうするの?」

「んっ……どうしよう、かな……何も、やる気がしなくてさ……」

「…………」

「……ごめんな。心配ばっかり掛けて……もう少し、後もう少しで……元に戻れると思うから」

 

そう言って、のろのろと自分の部屋へと帰っていくグリード。

 

「………バカ、こんな時くらい……気を遣わなくていいのに」

自分達が彼を心配してくれている事を、グリードは知っている。

だから、無理矢理いつもの自分に戻ろうとしてるのがわかって……カレンは唇を噛み締める。

こんな時まで、他人を思い遣ろうとする彼の優しさが、ただ辛かった。

 

「カレン」

「………アオイ、それにみんな」

いつから見ていたのか、後ろを振り向くとそこにはアオイ達の姿が。

 

「グリードくん、やっぱりまだ……」

「……うん。それなのにあのバカ、あたし達に心配掛けないようにしてるんだから……本当にバカよね」

「グリードはそういう人だからね、でも……確かに僕にとってもあの態度は辛いよ」

 

なんとかしてあげたい、でもできない。

そのジレンマが、彼女達に自分は無力だと思い知らせる。

……一瞬だけ、ミロカロスが憎くなった。

でもそれは間違いだ、グリードが母親の元にあの子を返すという選択をした以上、自分達がどうこう言う権利はない。

でも、それでも……感情が納得してくれない部分もあった。

 

(……どうすれば、いいのかしらね……)

誰か、答えを知っているなら教えてほしい。

カレン達は、そう願わずにはいられなかった……。

 

…………。

 

「…………ふぅ」

情けない、それが自分に対する評価だった。

みんなに心配を掛けている、それがわかっていながら……俺は立ち直れない。

それだけミロカロスの存在が大きかった、そう言えば聞こえはいいが……結局、俺は後悔してるだけなのかもしれない。

 

――俺がまだ半人前にすらなってない頃、あの子に出会った

 

初めのうちは凄い泣き虫で、泣き声は本当に酷かった。

それでも、俺と一緒に少しずつ強くなって……泣き虫な部分はだんだんとなくなってきたけど、甘えん坊な部分はちっとも改善されなくて。

とても綺麗な肌は、触ると少し冷たくて……優しい手触りだった。

……でも、あの子はもういない。

俺が、自らの意志であの子を母親に返したのだから。

その選択は、間違ってなかったと思う。

あれが正しい選択だったと、胸を張って言える自信はある。

 

でも……情けない事に、感情がそれを納得してくれない。

離れたくないと、子供じみた自分勝手な意見が、俺を責め立てるのだ。

 

何故、ミロカロスを母親に返した、と。

 

何故、これからもずっと一緒に居ようと言えなかったのか、と。

 

くだらない、実にくだらない責め。

陳腐で、自分自身に呆れかえるような、今更な問いかけ。

……でも、そんな自問にはっきり「後悔してない」と答えられない自分が、一番許せなかった。

あの子の幸せを考えているはずなのに、自分の幸せを優先しようとした自分が……本当に許せなくて。

 

「………タジャ」

「ツタージャ……」

頬に伝う涙を、ツタージャは優しく拭ってくれた。

 

「……ごめんなツタージャ、本当に……ごめん」

「…………」

ふるふると首を横に振り、俺の胸に顔を埋めるツタージャ。

そんな彼女を、俺はぎゅっと抱きしめた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「――アヤト、大丈夫ですか?」

自室のベッドで先程から外を眺めているアヤトに、モモカは声を掛ける。

 

「………オレよりも、今はアイツの方が辛いさ」

「…………」

ぽつりと呟いた言葉に、モモカ達は言葉を詰まらせる。

彼の辛そうな顔を見て、アヤトも静かに傷ついていた。

親友だというのに、何もできやしない自分が情けなくて……支える事ができない自分自身に腹を立て、傷ついている。

そして――それはアヤトだけでなく、このポケモンも。

 

「……サナ」

「サーナイト、あなたも苦しいの?」

ルーテシアの言葉に、サーナイトはこくりと頷きを返す。

彼女は、グリードの心が見えてしまった。

その中身は痛みや悲しみに溢れ、見ているだけでこちらが傷ついてしまうような、悲しい感情しか存在していない。

 

「………仕方ないわよ、だってミロカロスを帰したのはグリード自身なのよ? それなのにいつまでも悩んで……迷惑よ」

「っ、ルーテシアそんな言い方……!」

「そうですよルーちゃん、グリードさんだって好きでミロカロスを手放したわけじゃ———」

「わかってるわよ。でも……これ以上、こんな状態が続くのは……嫌なんだから」

 

絞り出すような言葉。

……ルーテシアとて、こんな事を言いたいわけじゃない。

でも……いつものメンバーがいつも通りの日常を送れないのは、やっぱり悲しいではないか。

笑いあって、バカをやって……それがいつもの日常なのに。

それが送れないのが、ルーテシアには寂しかった。

 

「………サナ」

と、サーナイトは急に立ち上がり……部屋を出て行った。

 

「サーナイト?」

「あの子、いきなりどうしたんでしょうか?」

「…………」

サーナイトの突然の行動に、モモカ達が首を傾げる中……アヤトはベッドから抜け出し、部屋を出ようとする。

 

「アヤト?」

「……いつまでも部屋に籠もってもしょうがないしな、気晴らしに散歩でもしてくるさ」

「あ……じゃあ、私も行きます!!」

「ワタシも」

「……私も、いいかな?」

「好きにしろ、それじゃあ行くぞ」

アヤトの声に全員が頷きを返し、部屋を後にする。

 

「………グリードさん、早く元気になってくれればいいですね……」

「……アイツは強い、きっと立ち直れるさ。

 それに……アイツの傍にはアイツを大切に想う人達も居る」

だから、きっと大丈夫。

自分に言い聞かせるようにして、アヤトは目的もなく歩を進めた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

〈――ティア、わたし……どうしたらいいのかな?〉

 

場所は変わり、ここは心の泉。

そこに佇むのは、この泉の住人であるティアと。

グリードの事でいてもたっても居られず、かといって自分だけでは思いつかないので、ティアの元へとやってきたサーナイトの姿が。

 

〈わたし、グリードの心を見たの。

 凄く悲しくて、辛そうだった……ティア、どうすればグリードは元気になってくれるかな?〉

〈…………〉

〈アヤト達も元気がないし……わたし、こんなのやだよ……〉

〈……そうだね。私も……グリードが元気ないのはやだよ〉

 

けれど、明確な打開策が思いつかない。

ティアとて、何も考えていないわけでは……。

 

「……あら、あなたアヤトのサーナイト?」

〈えっ?〉

後ろへ振り向く。

そこには、サクラとソラネとアオイ、そしてカレンの姿が。

彼女達の姿を確認したティアは、すぐさま人間形態へと変わり、スケッチブックを取り出した。

 

―――どうしたの?

 

「ただの気晴らし……になればよかったんだけどね」

苦笑を見せるサクラ、やはりその表情はいつも通りのものではなく、暗く寂しそうだ。

 

―――グリード、まだ元気ない?

 

「………うん」

「グリードくん……どうしたら元気になってくれるかな……?」

「時間が経てば……そう思ってたけど、やっぱりそろそろ限界よ。

 ――アイツのあんな顔なんて、これ以上見たくない」

カレンの言葉に、全員が頷きを返す。

しかし……やはり打開策が思いつかない。

 

「ミロカロスの代わり……は無理だろうけど、新しい家族ができれば少しは元気を取り戻すかもしれないね」

「あ、あと……グリードくんが好きなバトルをするとか……」

「……どっちも難しいわね、今のアイツにバトルできる活力があるとは思えないし、新しい家族……つまり新たなポケモンをゲットすればって事でしょ?

 それも、今のアイツにできるとは思えないわ」

「確かに……あいつが自分から望まない限り、無理だろうな……」

 

無理矢理そんな事をしても意味はないだろうし、さて困った……本当に策が見つからない。

座り込み、うんうんと唸るカレン達。

と。

 

「あれ? カレンさんに皆さん、それにサーナイトまで……」

「あら、モモカ達じゃない」

「……全員、勢揃いしたわね」

「オレ達はここなら落ち着けると思ったが……カレン達は、グリードの事で話してたのか?」

「まあな……」

「それで、何かいい案は浮かびました?」

 

全然、とモモカの問いに首を振るカレン達。

それを見て、アヤト達の表情も曇る。

 

「……グリードさんが居ないと、なんだか変な感じですね」

「それだけ、グリードの存在が大きかったって事よね……」

「…………」

 

どんどん暗くなっていく場の空気。

他者の心を感じ取れるサーナイトの表情も、どんどん暗くなっていった。

「……………」

そんな中――ティアはある決心を抱き、スケッチブックに何やら書き始め……カレン達に見せる。

 

「どうしたの?」

「なになに――『グリードをここに呼んで、手持ちポケモンを連れて』?

 呼ぶのは構わないけど、どうしてわざわざ手持ちポケモンを連れてなんて……」

「…………」

サクラの言葉を、ティアは真剣な表情で中断させる。

 

「……僕は真剣な表情を浮かべるとこんな感じなんだね。わかったよティア、すぐに連れてくる」

そう言って立ち上がるサクラ、私も行くとソラネも立ち上がり泉を後にする。

カレンとアオイはついていかなかったが……気になった疑問をティアに投げかける事に。

「ティア、いきなりグリードを連れてこいだなんて……どうしたの?」

「まさか、打開策が見つかったのか?」

 

―――わからない。でもこのままじゃダメだから…邪魔しないでね?

 

「………?」

邪魔をするなというティアの言葉に首を傾げるカレン達だったが、ティアなりに考えがあると自身を納得させ、とりあえず頷きを返しておいたのだった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「――サクラ、ソラネ、どうしたんだよ?」

いきなり「ティアが呼んでる」と言われ、2人に引っ張られながら心の泉へと赴いた。

「あれ、みんな……」

そこにはみんなの姿もあり、そして。

「………ティア?」

ティアが、じっと自分を見つめていた。

けど、そんな事よりも……ティアから感じる、威圧感のようなものは一体何なんだろう?

 

「ティア……どうかしたのか? 俺に何か用があったみたいだけど――」

そう言った瞬間、ティアは無言でスケッチブックを見せてくる。

そこには……こう書かれていた。

 

――私と、バトルして、と。

 

「………えっ?」

いきなりの、ティアからのお願い。

……けど、彼女には悪いが今は。

 

―――拒否なんてさせない、無理矢理にでも……バトルしてもらう

 

「ち、ちょっと待ってくれよティア。……俺がこうしていつまでもウジウジしてるから、お前は嫌いなバトルをしてまで元気づけようとしてるんだよな?

 でも、そんな事しなくても俺は――」

 

―――行くよ、グリード

 

「ティア―――」

瞬間、ティアの身体が光に包まれる。

そして、ポケモンの姿に戻った瞬間。

「クォォォゥッ!!」

両手を胸の前に合わせ、エメラルド色の光球を撃ち出した………!

 

「なっ!?」

あれは、ティアのりゅうのはどう!?

「っ、タジャ!!」

跳躍し、リーフブレードでりゅうのはどうを撃ち落とそうとするツタージャ。しかし――

 

「タジャーッ!?」

りゅうのはどうは破壊できたものの、ツタージャの身体は吹き飛ばされ……けれど空中で体勢を立て直し、そのまま無事に着地を果たす。

「ティア、何すんだよ!?」

「…………」

ティアは答えない、その瞳には――戦えという意志が浮かび上がっていた。

「………どうして」

 

「……グリード、ティアはね……自分をゲットしてみせろって、言ってるんだよ」

 

「……………えっ?」

そう言って、サクラは地面に落ちたスケッチブックを俺に見せてきた。

そこには……。

 

―――私をミロカロスの代わりにグリードの家族にして、私は……絶対にグリードの傍から居なくならないから。

   でも、今のグリードにゲットされたくないから、グリードらしくバトルで私に勝って私をゲットして!!

 

「――――」

心臓を、鷲掴みにされたようだ。

……ティアは、そこまでして俺の事を。

 

「グリード、ティアだけじゃない……僕達も、前の優しく強い君に戻ってほしいと思ってる」

「サクラ……」

「グリード、今のアンタを見たら……ミロカロスが悲しむわ」

「カレン……」

「グリードくん、私……グリードくんには、いつも元気で居てほしいよ」

「ソラネ……」

「グリード、わたしを変えてくれたお前の心の強さ、もう一度見せてくれ」

「アオイ……」

 

みんな、俺なんかの為にこうして元気づけようとしてくれてる。

俺、なんかに……。

 

「クォォォゥッ!!」

「―――――」

再び、りゅうのはどうを放とうとするティア。

その、瞬間。

「――タジャ」

ツタージャが、こちらに振り向き……短く鳴いた。

その瞳はただ。

 

――信じてる、と。

 

その想いのみが、込められていた。

「……………」

俺は、バカだ。

悲しんだって仕方がない、もうミロカロスは居ない。

でも、自分はこの選択を後悔してる?

否、後悔などしたくない。

だったら………!

 

「――ツタージャ、かわせっ!!」

俺の声と同時に、りゅうのはどうが放たれる。

だがツタージャはその攻撃を回避し、俺に満面の笑みを見せてくれた。

 

「………ティア、俺らしいバトルをすれば……俺は、お前に相応しいトレーナーになれるか?」

「クォォゥ♪」

はっきりと、笑みを見せて頷くティア。

よし、と俺は頬をパンッと叩き気合いを入れ直す。

 

「ティア、俺は必ずお前に勝ってゲットしてみせる!! ツタージャ、バトル開始だ!!」

「タジャ!!」

身構えるツタージャ、ティアからも笑みが消え戦闘態勢へ。

このバトルだけは、絶対に負けられない。

みんなの為にも、なにより……ミロカロスに恥ずかしくないように、前のような自分に戻る為にも。

必ず……必ず勝つ!!

 

「いくぞ、ティア!!!」

「クォォォォゥッ!!!」

 

 

 

 

To.Be.Continued...




【ツタージャ】♀        【ムクホーク】♂      【ミロカロス】♀
【使えるわざ】         【使えるわざ】        【使えるわざ】
・つるのムチ         ・はがねのつばさ     ・たつまき
・リーフブレード       ・かぜおこし         ・アイアンテール
・リーンフォースブレード  ・でんこうせっか      ・ハイドロポンプ
・かげぶんしん        ・つばさでうつ        ・れいとうビーム
・へびにらみ         ・つばめがえし       ・じこさいせい
・リーフストーム        ・ブレイブバード      ・ふぶき
・リーフブレード二段斬り ・インファイト        ・アクアリング
・エナジーボール      ・かげぶんしん       ・アクアテール
                ・はかいこうせん      ・みずのはどう


【オノンド】♂     【コジョンド】♀    【グライオン】♂
【使えるわざ】     【使えるわざ】     【使えるわざ】
・ダブルチョップ   ・みきり         ・シザークロス
・シャドークロー   ・はっけい       ・れんぞくぎり
・りゅうのいかり   ・とびひざげり     ・ほのおのキバ
・ドラゴンクロー   ・はどうだん      ・クロスポイズン
・りゅうのいぶき   ・おうふくビンタ    ・ギガインパクト
・りゅうせいぐん   ・ギガインパクト
・あなをほる     ・ドレインパンチ
・りゅうのはどう   ・ストーンエッジ 
            ・きあいパンチ

【クチート】♀     【ゴチム】♀
【使えるわざ】     【使えるわざ】
・てっぺき       ・なし
・アイアンヘッド
・かえんほうしゃ
・ねごと
・ラスターカノン
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