……その気持ちを、裏切るわけにはいかない。
だから、このバトルは必ず勝つ!!
「ツタージャ、リーフブレード!!」
「タジャーッ!!」
右腕を構え、踏み込むツタージャ。
「クォォォゥッ!!」
向かってくる彼女に、ティアは鳴きながら再びエメラルドの光球――りゅうのはどうを撃ち出す。
「っ」
ギリギリの間合いでツタージャは跳躍し、ティアの攻撃を回避。
そして、そのまま右腕を振り下ろし。
「クゥゥッ!!」
「タジャーッ!?」
はがねのつばさを展開し、その場で回転したティアによって、攻撃を弾かれてしまった。
「速い………!」
こうまで技の展開が速いのか、バトルを見守っている者達から驚愕の声をが漏れる。
「リーフストーム!!」
「ツタァァァ……ジャァァァァッ!!」
ティアに迫る葉の嵐。
しかし、彼女はその場から動こうとせず、おもむろに口を開き。
「クゥォォォゥッ!!」
そこから発射したはかいこうせんで、リーフストームを一蹴した。
「かわしてリーフブレード!!」
「タジャッ!」
迫るはかいこうせんを回避しながら、ツタージャは再び肉迫する。
ティアは動けない、はかいこうせんの反動があるからだ。
「タ、ジャ!!」
「クォゥ!?」
リーフブレードがティアの身体を吹き飛ばす。
おもわず拳を握りしめるグリード、だが。
「クォォォッ!!」
ツタージャが着地する前に、ティアは口かられいとうビームを発射する。
「タジャァァァッ!?」
その攻撃は迷う事なくツタージャへと命中し。
「……タジャ〜……」
地面に落ちたツタージャは、そのまま動かなくなった。
「ツタージャ!!」
慌ててツタージャの元に駆け寄るグリード。
小さく返事を返すツタージャだが、もうこれ以上は戦う事はできないだろう。
「……よく頑張ったなツタージャ、ゆっくり休むんだ」
労いの言葉を掛けながら、ツタージャを安全な場所に寝かせるグリード。
「………ティアって、こんなに強かったんですね」
今までティアがバトルしている姿を見ていなかったモモカは、驚く事しかできなかった。
だが、それは彼女だけでなく全員が同じ気持ち。
伝説のポケモン、ラティアスの力がどんなものなのかを思い知らされた気分だ。
「まだこれからだ。クチート、君に決めた!!」
「クチクチ〜♪」
くるくると踊りながら登場するクチート、しかしすぐさま真剣な表情でティアを見据えた。
「アイアンヘッド!!」
「クチッ、クゥゥッ!!」
突撃するクチート、ティアはそれをひょいと回避し、すかさず反撃へと移る。
「クォォォッ!!」
小さな両腕をエメラルド色のエネルギーで包み込み、クチートに向かって振り下ろす。
この技はドラゴンクロー、背中越しのクチートでは避けられない。
「てっぺきだ!!」
「クチッ」
グリードの指示を受け、クチートは少しだけ身体を屈ませる。
すると、ティアのドラゴンクローはものの見事に弾かれ。
「かみくだく攻撃!!」
「クチャーッ!!」
頭部にある巨大な牙で、ティアの身体におもいっきり噛みついた。
「クォ……!?」
苦悶の表情を浮かべるティア、エスパータイプを持つ彼女にとって、あくタイプのこの技は効果が抜群だ。
「そのままラスターカノン!!」
「クチィィィッ!!」
牙をティアの身体に食い込ませたまま、クチートはそのまま白い光線を撃ち放つ。
至近距離からのラスターカノンは、その場で爆発を引き起こし、両者を離れさせる要因となった。
しかし、かみくだくにラスターカノンをまともに受けたティアは、さすがにダメージも大きいのか辛そうだ。
一気にたたみかける、そう判断しグリードはクチートへと指示を出そうとして。
「クォォゥ……!」
ティアの身体が、淡く白い光に包まれていく。
「あれは……じこさいせい!?」
あんな技まで使えるのか、驚愕しつつも体力を回復させない為にグリードはすぐさま指示を出した。
「クチート、もう一度かみくだく攻撃だ!!」
「クチャーッ!!」
跳躍し、頭部の牙を大きく開くクチート。
まだじこさいせいを終えないティアは、回避する事は……。
「っ、クチート離れるんだ!!」
「クチッ?」
慌ててそう叫ぶグリードだが、もう遅い。
――ティアの身体から、光が消えている
それが何を意味するのかを、クチートも理解した瞬間。
「クォォォゥッ!!!」
ティアは、至近距離で口から光弾を吐き出した。
「クチッ……!」
それはクチートへと命中し――そのまま上空へと浮かび上がり、爆散する。
……この技は、りゅうせいぐん。
ドラゴンタイプの技でも屈指の破壊力を持つそれを、クチートはまともに受け。
「……クチ〜……」
爆散し小さな光弾が地面に降り注ぐ中、戦闘不能に陥ったクチートも一緒に落ちてきた。
「………戻れ、クチート」
「強い……ツタージャだけでなくクチートまで」
「それに、今のティアはじこさいせいで体力を完全に回復してる。
……ここまで強かったとは正直思わなかった、僕のポケモン達でも勝てるかどうか」
「ええっ!? サクラちゃんのポケモンでもって……」
四天王のサクラでも適うかはわからない、その言葉は観戦している全員に衝撃を走らせる。
「………勝つさ。わたし達はそれを信じてこのバトルを見守るだけだ」
視線はグリード達に向けながら、アオイははっきりと言い放つ。
「グライオン、君に決めた!!」
「グライォォン!!」
「シザークロス!!」
「グラィッ!!」
ボールから飛び出すと同時に、グライオンは両腕を交差させティアへと向かう。
「クォォゥ!!」
真っ直ぐ向かってくるグライオンに、弱点であるれいとうビームを撃ち放つティア。
「かわせ!!」
「グラィッ!!」
それを、素早く右に避け間合いを詰める。
「グライォォン!!」
「クゥゥッ!?」
シザークロスにより、地面に叩きつけられるティア。
すぐさま顔を上げラスターカノンを放つが……そこにグライオンの姿はなく。
「ほのおのキバ!!」
「グラィッ、グライォォン!!」
地面に降り立ち、尻尾によって一気に加速したグライオンは、無防備になっているティアの身体に炎が込められた牙を突き立てる。
「クォォゥ……!」
「れんぞくぎり!!」
「グラィッ!!」
仰け反るティアに追撃を仕掛けるグライオン。
両腕を駆使したれんぞくぎりが、確実にティアにダメージを与えていった。
「次で決めるぞグライオン、ギガインパクト!!」
「グラィッ……グライォォォォン!!!」
一度空中に飛び上がり、身体に高エネルギーを纏いながら、一気に加速しティアに吶喊するグライオン。
「ク、クォォゥ……」
ギガインパクトの直撃を受け、さすがのティアも地面にうずくまったまま動こうとしない。
今がチャンスだ、そう判断したグリードは空のモンスターボールを取り出し。
「いけっ、モンスターボール!!」
それを、ティアに向かっておもいっきり投げ飛ばした。
放物線を描きながら、モンスターボールはティアの身体に当たり彼女を中へと入れる。
ゆらゆらと揺れるモンスターボール、この振動がなくなれば……ティアをゲットする事ができるはずだ。
――しかし。
「クォォォウッ!!」
ボールが開き、ティアが外に飛び出してしまった。
「くっ……失敗か」
「けどあと少しだ、頑張れグリード!!」
サクラの声を背中で聞きながら、グライオンに指示を出す。
「はがねのつばさ!!」
「グラィ……ッ!!」
翼を硬質化させ、グライオンはティアに向かっていく。
しかし、ティアは空高くに飛び上がり――身体を淡い光で発光させ始めた。
「っ、またじこさいせいか………!」
このままではまた体力を回復させてしまう、そうはさせないとグリードはグライオンに必殺の一撃を指示した。
「グライオン、もう一度ギガインパクトだ!!」
「グラィッ……グライォォン!!」
再びギガインパクトのパワーを身体に纏い、ティアに突撃するグライオン。
今度こそ、じこさいせいが終了する事はないはずだ、それだけ大きなダメージを受けたのだから。
……そう、グリードの読みは確かに当たっている。
だが、ティアとてそれはわかっており、だからこそ“わざと”じこさいせいで隙を作ったのだから。
互いの距離が数メートルにも満たなくなった瞬間。
「クォォォウッ!!」
ティアの身体から淡い光が消え、口が開かれる。
その後、口から放たれたのは……れいとうビーム。
「なっ!?」
「グラィィィッ!!?」
ギガインパクトを発動しているグライオンは急な方向転換はできない、故に向かってきたれいとうビームをまともに浴び、地面に落ちる。
「グライオン!!」
「……グラィ〜……」
弱点の技をまともに受け、グライオンは戦闘不能に陥った。
「……な、なんで?」
ソラネの呟きは、その場に居る者達の気持ちを代弁したものだった。
だがそれは当たり前だ、あの時――ティアのじこさいせいは終了していなかった。
それは断言できる、現にティアの身体には傷が残っているのだから。
だというのに、どうしてれいとうビームを放つ事ができたのか……。
「技を途中で中断させる事ができるようだね、ティアは」
「えっ……?」
「サクラさん、技を中断って……そんな事できるんですか!?」
「可能だよ。現に僕はそれを行ったポケモン達を見た事がある。
でも……普通はこんな芸当はおいそれと行う事なんてできない。
実際、僕のポケモン達では技を途中で中断させて、すぐに別の技を放つなんて事はできないからね」
そんな事、この場に居るトレーナーのポケモン達ではできやしない。
伝説と呼ばれしポケモンは、やはりどこか特別な能力を秘めているのだろうか……。
「戻れ、グライオン。
よく頑張ったな、ゆっくり休んでくれ」
これで三体、ティア一体相手に三体のポケモンが戦闘不能にされた。
その事実に、グリードは悔しそうに唇を噛みしめるが……。
「……ティア、お前って凄いやつだよ」
「クォゥ?」
「技を中断させて別の技を出すなんて思いつきもしなかった。
こんな凄い戦い方ができるティアとバトルする事ができたのも嬉しいし、何が何でもお前をゲットしたくなった!!」
そう告げるグリードの瞳は、いつものようなワクワクとした子供のように輝いている。
「………クォゥ♪」
いつもの彼に戻ってくれた、それが嬉しくてティアはにこりと笑みを作ったのだった。
「次で決めてみせる。オノンド、君に決めた!!」
「――オ、ノォ」
「クォォォッ!!」
先手を仕掛けたのはティア、使用した技は――ドラゴンクロー。
「オノンド、こっちもドラゴンクローだ!!」
「オノォ……」
オノンドとティアがぶつかり合う。
互角かと思われたそれはしかし……。
「クォゥ……!」
なんと、鍔迫り合いはティアが敗北した。
「グライオン戦でのダメージがまだ残ってるから、パワーを出し切れないんだ」
「一気に行くぞ、りゅうのはどう!!」
「オ、ノオォッ!!」
エメラルドの光球を生み出し、放つオノンド。
「クゥゥゥ……!」
避けられず、まともに受けるティア。
……そろそろ限界も近い、失った体力を回復させないと。
そう判断したティアは、大技を仕掛けた。
「クォォォォゥッ!!」
雄叫びを上げ、空に向かって口を開くティア。
瞬間、彼女の口からバスケットボール大の大きさの光球が撃ち出され。
空中で爆散し、幾つもの光弾になったオノンドに襲いかかる―――!
「りゅうせいぐん!?」
本日二発目、初撃よりは威力が落ちているとはいえ……オノンドでは全てを回避する事はできない。
「オノンド、あなをほるで地中に逃げろ!!」
回避、そして相殺もできないと判断したグリードは、オノンドにそう指示を出す。
浮いているティアには効かないが、りゅうせいぐんを回避する方法が見つからない以上、こうするしか――
「クォォ……クォォォォン!!」
そう思っていたのに、ティアは苦悶の表情を浮かべながら、はかいこうせんで地面を手当たり次第に破壊していく。
すると、はかいこうせんにより地面が抉れ――地中に居たオノンドが飛び出してきた。
「しまった!?」
「オノォォォッ!!?」
オノンドが飛び出した瞬間、りゅうせいぐんによって連べ打ちにされていく。
決まったか、誰もがそう思ったが……。
「オ、ノ……」
二発目のりゅうせいぐんだったせいか、オノンドはゆっくりとした動きながらも立ち上がった。
しかし、既にオノンドは限界に近い。
はかいこうせんによって無理矢理地中からあぶり出され、更にりゅうせいぐんの追い討ちを受けたのだ、ティアのパワーを考えると無理からぬ事である。
「オノンド頑張れ、負けるな!!」
「オ、ノ……」
グリードの声を聞き、立ち上がるオノンド。
――その瞬間
「あ!」
突如として、オノンドの身体が白い光に包まれる。
すなわち、それは。
「グリードくんのオノンドが……」
「――進化、する」
「――クガァァァッ!!」
雄叫びを上げ、現れるのは――オノンドの進化系である、オノノクス。
「オノノクス……」
「クガァッ!!」
グリードへと顔を向け、ニコッと微笑むオノノクス。
「よーし、進化したお前の力を見せてやるんだ!! ドラゴンクロー!!」
「ガァァァッ!!」
踏み込み、巨腕を振り下ろすオノノクス。
ティアも、同じくドラゴンクローで応戦するが。
「クォォォッ!?」
あっさりと、オノノクスに押し負け吹き飛ばされてしまう。
「す、凄いパワー……」
「……オレのガブリアスよりも、パワーは上だな」
「クゥゥゥ……クォォォォン!!!」
口を開けるティア、はかいこうせんを放とうとしている。
「これで決めるぞオノノクス、最大パワーではかいこうせん!!」
「グガッ……クガァァァァァァッ!!!」
大口を開け、ティアとオノノクス、同時にはかいこうせんを撃ち放つ!!!
ぶつかり合う光線、閃光と熱が辺りに散っていく。
「クゥゥゥ……」
当初は互角だったが、だんだんとティアが圧されていき……。
「クォォォゥッ!?」
オノノクスのはかいこうせんが、ティアの全身を呑み込んだ。
「よし、いけっ、モンスターボール!!」
地面に倒れたティアに、二個目のボールを投げつけた。
再びボールの中に入っていくティア、ゆらゆらと暫し揺れてから……。
――ボールの振動が、消える
その瞬間、伝説のポケモンであるラティアスをグリードがゲットした瞬間へと変わった―――
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ごめん、みんな!!」
ティアとのバトルが終わって、俺はみんなをボールから出して……土下座した。
「ちょ、ちょっとグリードくん……」
「俺、ウジウジと悩んでみんなに迷惑かけて……だから、謝りたくて」
「ストップ!」
「えっ……?」
カレンの遮るような声が、俺の言葉を途切らせる。
「あたし達はね、アンタが元気になってくれればいいの。だから、謝るよりも言ってほしい事があるんだから」
「…………」
謝るより、言ってほしい事……。
……そっか、そうだよな。
俺だって、カレン達と同じ立場なら……こう言ってほしいから。
「………みんな、ありがとう」
謝罪より、感謝の言葉を。
そう告げると、全員が満足そうに笑みを浮かべた。
「クォォゥ♪」
「わっ、くすぐったいよティア」
すり寄るようにしてくるティア。
「タジャーッ!!」
「サーナ!!」
すると、ツタージャとサーナイトがいきなり怒り出しティアに詰め寄ってきた。
「おいおい、喧嘩するなよ」
もみくちゃにされてちょっと苦しいけど、何だか嬉しい。
「……まったく、子供みたいにベタベタベタベタして……ティア達もまだまだ子供ね」
「カレンさん、拳を握りしめながら言っても説得力ないですよ」
「うっ……」
「しょうがないよ、ティア達とグリードくんは仲良しだもん……」
「ソラネ、眉がピクピク震えてるんだけど?」
「あぅ……」
「2人とも、ポケモンに嫉妬するなんて……」
「とか言いながら、頬を膨らませるのやめなよサクラ」
「むっ……」
「…………」
「黙ってても、羨ましそうな顔してたら台無しですよ、アオイさん」
「べ、別にそんな顔などしていない!!」
「ん? みんなどうかしたのか?」
『なんでもない!!』
「そ、そうか……」
なんか理不尽に怒られた、俺なにかしたかな?
まあいいか、今は……新しく家族ができた事を喜ぶ事にしよう。
――ミロカロス
俺、もう大丈夫だからな。
次に会ったら、精一杯の笑顔で出迎えるから。
だから……次に会う日を楽しみにしてるよ。
To.Be.Continued...
【ツタージャ】♀ 【ムクホーク】♂ 【ミロカロス】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・つるのムチ ・はがねのつばさ ・たつまき
・リーフブレード ・かぜおこし ・アイアンテール
・リーンフォースブレード ・でんこうせっか ・ハイドロポンプ
・かげぶんしん ・つばさでうつ ・れいとうビーム
・へびにらみ ・つばめがえし ・じこさいせい
・リーフストーム ・ブレイブバード ・ふぶき
・リーフブレード二段斬り ・インファイト ・アクアリング
・エナジーボール ・かげぶんしん ・アクアテール
・はかいこうせん ・みずのはどう
【オノノクス】♂ 【コジョンド】♀ 【グライオン】♂
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・ダブルチョップ ・みきり ・シザークロス
・シャドークロー ・はっけい ・れんぞくぎり
・りゅうのいかり ・とびひざげり ・ほのおのキバ
・ドラゴンクロー ・はどうだん ・クロスポイズン
・りゅうのいぶき ・おうふくビンタ ・ギガインパクト
・りゅうせいぐん ・ギガインパクト ・はがねのつばさ
・あなをほる ・ドレインパンチ
・りゅうのはどう ・ストーンエッジ
・はかいこうせん ・きあいパンチ
【クチート】♀ 【ラティアス(ティア)】♀ 【ゴチム】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・てっぺき ・ラスターカノン ・なし
・アイアンヘッド ・じこさいせい
・かえんほうしゃ ・はかいこうせん
・ねごと ・りゅうのはどう
・ラスターカノン ・りゅうせいぐん
・かみくだく ・れいとうビーム
・ドラゴンクロー
・はがねのつばさ