グリードくんのイルミナ学園奮闘日誌【完結】   作:マイマイ

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今回から、アヤトsideにに突入します。


第87話 〜平和な学園の1日、マイの挑戦〜

「サーナイト、始めろ」

庭園の中、アヤトの指示が響く。

周りにポケモンが居ないのを確認してから、サーナイトは頷き瞳を閉じて両手を広げた。

暫し経ち――やがて、サーナイトの両手に光り輝く剣が現れた。

 

――今日も、サイコセイバーをマスターする為に、特訓中である

 

剣は形を定め、サーナイトはそのままそれを握りしめる。

「いいぞ、そのまま維持しろ」

アヤトの声に頷きを返し、サーナイトはサイコセイバーの維持に努める。

体内に駆け巡るサイコパワーによって僅かに顔をしかめるサーナイトだが、それでも前のように剣が消えたりはしない。

 

「動かせるか?」

「…………サーナ」

瞳を開き、アヤトに返事を返すサーナイト。

額には汗が浮かびやや苦しそうだが、まだ余裕はあるようだ。

するとアヤトは、近くに落ちていた木片を拾い……サーナイトに投げる。

瞬間――サーナイトの腕が動く。

木片が地面に落ち、そのまま五つの破片に分かれ……アヤトは満足そうに頷いた。

 

「よし、だいぶ使いこなせるようになってきたな」

「サーナ♪」

「だがまだ余計なパワーを使っている、必要最低限のサイコパワーで使えるようにならないと永くは保たないな。

 次の課題はサイコパワーの消費を抑える事に重点を置くぞ」

頷くサーナイト、しかし……相変わらず自分の主人は妥協を許さない性格らしい。

「……サーナイト、何を笑っている?」

少しムッとしたような表情を浮かべ、サーナイトを睨むアヤト。

それが何だか可笑しくて、サーナイトは問いには答えずニコニコと笑みを浮かべ続けた。

 

「こんにちは、アヤト」

背後から自分を呼ぶ声が聞こえ、アヤトは振り向く。

 

「……マイ、か」

「なーにその言い方、わたしが来たらいけないのかしら?」

いたずらっぽい口調でそんな事を言ってくるマイ、そういうわけじゃないとアヤトは返す。

「随分と強くなったのね、心の泉でバトルした時とは比べものにならないくらい」

「どうだかな……まだまだ未熟さ、少なくとも俺は、な」

「……そうかしらね」

マイの呟きに、アヤトはああと短く返す。

そうだ、まだ自分は未熟、ポケモン達はともかく……トレーナーとしての自分は、まだ半人前でしかない。

故郷で行った、サイトとグリードのバトルで、思い知らされた。

 

「確かに超一流と言えば語弊はあるけど、あなたの実力は既に一年のレベルを大きく上回ってるわ。

 それなのに、あなたは自分に厳しいのね」

苦笑するマイ、なんとなく居心地が悪くなってアヤトは視線を逸らす。

それが可笑しくて、マイとサーナイトまでくすくすと笑みを見せた。

「……戻れ、サーナイト」

恨めしそうにサーナイトを睨みつつ、アヤトはボールに戻す。

 

――和やかな空気が流れる中

 

「………?」

近くの茂みから、ガサッという音が響き……何かが飛び出してきた。

「……………」

一瞬だけ、アヤトと視線を合わせ再び茂みの中へと飛び込んでいった。

(今のは……)

 

「待てーっ!!」

またも茂みから何かが……。

「……何だ、モモカか」

「いきなりひどい発言をされました!?」

ガーンとショックを受けたようにその場で崩れ落ちるモモカ、相変わらずこの娘のリアクションはいちいち大袈裟だ。

 

「何をしてたの?」

「はい……って、どうしてマイさんとアヤトが2人っきりになってるんですか!?」

「別に深い意味はないわよ、それより……今茂みから飛び出したポケモンを追いかけてたんじゃないの?」

マイの冷静な指摘に、モモカはハッとしたように我に返る。

「そうでした。アブソルを追いかけていたんでした!!」

(忘れるなよ……)

 

「へぇ、珍しいわねアブソルがこの辺に居るなんて。

 この庭園に生息してるのは知ってたけど、アブソルは滅多に人前に姿を現さないポケモンなのに」

「そうなんです。そんな珍しいアブソルを見つけたんですから、何が何でもゲットしようと追いかけてたんですけど……どっちに行きました?」

「あっちに―――」

「よーし、待っててくださいアブソルー!!」

マイが指差した方向に、ケンタロス顔負けの勢いで向かっていった。

 

「……相変わらず、あの子も元気よね」

「そうだな……」

幼なじみとして、少し恥ずかしい。

「どうするの?」

「……放っておくわけにはいかないさ」

何をしでかすかわからない以上、手綱をきちんと掴んでおかねば危なっかしい。

大袈裟だと他人は思うだろうが、過去にモモカを放っておくてろくな目に遭った事がないという経験があるのだ。

たしかあの時は……やめよう、思い出すとダメージが押し寄せてくるから。

 

「優しいのね」

「…………」

その問いには、頷きを返せない。

(はぁ、まったく……)

見てはいけないものを見た気分になり、アヤトはため息をつきつつモモカの後を追ったのだった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「―――いた」

暫く走り、モモカを発見した時には……既に戦闘に入っていた。

「フタチマル、シェルブレード!!」

「タチッ!!」

両手にホタチを持ち、アブソルに突っ込んでいくフタチマル。

しかし、攻撃を振るった瞬間、アブソルは大きく跳躍し木の上に着地。

すかさず、身体から青白い雷を放ちフタチマルに落とす!!!

 

「タチィィィッ!?」

「ああっ、フタチマル!!」

「今のは……かみなりね」

「ああ、それにたいしたパワーだ」

「2人とも、呑気に観戦しないでくださいよ!!」

「バトルしてるのはあなたじゃない」

「ええい、戻ってくださいフタチマル!!」

ビリビリと痺れたフタチマルをボールに戻し、別のボールを手にするモモカ。

 

「ワカシャモ、出てきてください!!」

「――シャモシャー!!」

勢いよくボールから飛び出し、アブソルの姿を見た瞬間臨戦態勢に入るワカシャモ。

「スカイアッパー!!」

「シャモシャモシャモ………!」

右腕を握りしめ、踏み込むワカシャモ。

「っ」

同時に、アブソルもワカシャモに向かって走る。

下から振り上げられる拳。

瞬間――アブソルは右脚で地面を蹴り、ワカシャモの一撃を紙一重で回避。

 

「シャモ!?」

「っ、―――っ!!」

スカイアッパーが掠り苦悶の表情を浮かべるアブソルだが、すかさず至近距離から攻撃を仕掛けた。

口から放たれたのは――水色の光球。

 

「シャァモォォッ!?」

その技の名はみずのはどう、ほのおタイプのワカシャモにとって弱点となる攻撃だ。

「くぅ……強い!!」

「みずのはどうまで使えるとはな……たいしたものだ」

野生とは思えない強さを持っている、ジャローダといい……そういうポケモンに最近出会っているような気がする。

 

「ほのおのうず!!」

「シャモシャー!!」

瞬時に口から火炎を放つワカシャモ、しかしアブソルはすぐさまその場から離脱してしまう。

「ちょこまかと……メガトンキック!!」

「シャァモ!!」

今度は跳び上がり、アブソルに蹴りを放つ。

 

「っ」

口を開くアブソル、するとそこから勢いよく吹雪が放たれた。

「ッ、シャモ!!?」

(ふぶきまで使えるのか……)

空中に跳び上がっていたワカシャモでは避けられず、まともに受け地面に倒れ込む。

すぐさま立ち上がるワカシャモだが、ダメージが大きいのか表情は苦しそうだ。

 

「ワカシャモ、頑張ってください!!」

「シ、シャモ……」

「…………」

暫し、ワカシャモをじっと見つめていたアブソルだったが……突如として跳躍し、森の奥へと逃げ込んでしまった。

 

「あっ!?」

「逃げられた、わね」

「ぐぬぬ……逃がすもんですか!!」

再びアブソルを追いかけに行くモモカとワカシャモ、アヤトも追いかけようとしたが……。

「はぁ……」

さすがに付き合いきれないと判断したのか、はたまた面倒になっただけなのか、立ち止まってため息をつく。

 

「追いかけなくていいの?」

「面倒な事になると思ったが、さすがにこれ以上奥に行く気にはなれないさ」

「まあ、確かにね……」

頼むから、問題だけは起こさないでくれよ。失礼な事を考えつつ、アヤトはその場から踵を返し。

「…………お前」

目の前に、先程のアブソルが現れ驚きの声を上げてしまった。

 

「逃げたとみせかけて背の場に留まっていたのか……頭がいいなお前は」

「…………」

無口なのか、アブソルは一言も声を発さずにアヤトを見つめ続けている。

「安心しろ。オレはあいつと違ってお前を追いかけ回したりしない。

 まあこれに懲りたら、あまり人前に姿を現さない方がいいぞ?」

じゃあな、そう告げてアヤトはアブソルを横切ろうとして――ズボンの裾を噛まれてしまった。

 

「………?」

裾を口に含んだまま、何かを訴えるような視線を向けてくるアブソル。

しかし、ポケモンの言葉がわかるはずもないアヤトは、首を傾げる事しかできない。

「もしかしてこの子……あなたに懐いたんじゃない?」

「何でそうなる? オレがこいつと出会ったのは今回が初めてだぞ?」

「でも、何だか行かないでって言ってるような気がしない?」

「…………」

アブソルに視線を向ける。

相変わらずこちらをじっと見るだけで、何も言おうとしないので……その心中は図れない。

 

「……もし、お前がオレを気に入ってくれたとしても、オレはお前をゲットする気はないんだ」

「…………」

無言でアヤトを見上げるアブソル、心なしか……少し残念そうに見えた。

「だが、もしお前が良ければまたオレの所に来い。オレは迷惑には思わないから」

しゃがみこみ、アブソルの頭を優しく撫でる。

少しくすぐったそうに身をよじるアブソルだが、嫌がってはおらず逃げようとはしない。

 

(………随分、成長したものね)

アブソルというポケモンは、警戒心が強く滅多に他の生き物の前には姿を現さない。

そんなアブソルを、ゲットしていない状態でここまで懐かせる事は、並のトレーナーでは到底できない芸当だ。

では何故アヤトには可能なのか? その理由は彼が自分の心を包み隠さずアブソルに見せているからだ。

邪な考えも、偽善的な感情もなく、ただ真摯に接している。

ポケモンという生き物は、そういう感情には誰しも敏感に働くようにできている。だからこそ、アヤトは自分に嘘をつく事なくポケモンに接し、その結果ポケモンも心を開くのだ。

(サクラが言っていた事も、間違いじゃないみたいね……)

いや、これはもう確信だ。

彼ならば、自分の―――

 

「いたーーっ!!」

茂みの中から現れるモモカ、どうやら諦めて戻ってきたようだが……逆効果のようで。

「モモカ……」

「今度こそゲットしてみせます、いきますよワカシャモ!!」

「シャモー!!」

「…………」

サッと、アヤトの後ろに隠れるアブソル。

 

「あれ? もしかしてアヤト、このアブソルをゲットしちゃったんですか?」

「いや、そういうわけではないが……どうも、懐かれてしまったらしくてな」

確証はないが、足に頬擦りをしてくるアブソルを見ると、あながち間違いとも言い切れない。

「そんな〜……アブソルゲットできると思ったのに……」

「あー……すまん」

「いえ、別にアヤトが悪い訳じゃないんですけど……って、ちょっとベタベタし過ぎじゃないですか?」

「ポケモンに嫉妬するなよ……」

ジト目でアブソルを睨むモモカに、アヤトは呆れたようにため息をついた。

 

「ふふっ……相変わらず仲がいいのね」

「当たり前です。だって私とアヤトは――」

「運命の赤い糸で括られてるわけじゃないぞ」

「ガーン……先に否定しないでくださいよ……」

いじいじといじけ始めるモモカだが、いつもの事なので気にしないことに。

 

「アヤト、ちょっといいかしら?」

「? 何だ?」

マイへと視線を向けるアヤト、すると彼女は……いまだかつて見た事がない程の真剣な表情を浮かべ。

 

 

「――アヤト、あなたに四天王継承バトルをしてもらうわ」

アヤトに対し、そんな言葉を口にした。

 

 

「な、に……?」

「えっ……!?」

マイの言葉に、アヤトもモモカも揃って驚きの声を上げる。

だが当たり前だ、何故ならそれは……。

 

「イルミナ学園の校則にはこんなものがあるわ。

 『四天王と呼ばれる生徒は、卒業する前に自分の後を継げる生徒を見つけ、継承バトルを行わなければならない』というのがね」

「……そんな事は知っている、だが何故オレなんだ?」

「あなたと知り合って半年近くが経ったけど、こんなにも急成長を遂げた生徒は見たことがないわ。

 それにこの間のタッグバトルでも、素晴らしいバトルを見せてくれた。四天王としての素質は充分所有してるわよ」

「…………」

「す、凄いですよアヤト!! 一年で四天王になるなんて……」

「まだ気が早いわよ。まずは継承バトルでわたしとバトルしないと」

「……だが、オレは」

「拒否権はないわよ。別の校則に『継承バトルを申し込まれた生徒は、必ず現四天王の挑戦を受けなければならない』知ってたわよね?」

「…………」

「もちろん、たとえわたしに勝っても必ず四天王にならなくちゃいけないわけじゃない。

 でも、継承バトルだけはしてもらうからね?」

「………ああ、わかった」

頷きを返すアヤト、そんな彼にマイは笑みを返した。

 

「バトルは明日、6対6のフルバトル。ポケモンの編成をじっくり考えておきなさい」

明日を楽しみにしてるわ、そう告げてマイはその場を後にする。

「す、凄いですよアヤト。早速準備にとりかかりましょう!!」

「…………」

「アヤト……?」

どうしたのだろう、彼の反応がない事を怪訝に思い、モモカは視線を向けるが……アヤトはその場に立ち尽くしたまま、微動だにしない。

 

「アヤト、一体どうしたんですか?」

「……なんでもない、行くぞ」

短く返し、歩き出すアヤト。

「…………」

おかしい、いつもの彼らしくない。

四天王継承バトルを申し込まれたのだ、いつもの彼なら少なからず喜びの表情を見せるはず。

だというのに、あの時見せた彼の表情は―――迷い。

 

(どうして、ですか? どうしてあんな顔を……)

何を迷っているというのだろう、彼は。

「モモカ、行かないのか?」

「あ、いえ……待ってください!」

アヤトに呼ばれ、慌てて彼の元に急ぐモモカ。

しかし……一度浮かんだ疑問が、消える事はなかった……。

 

 

 

 

To.Be.Continued...




【ツタージャ】♀        【ムクホーク】♂      【ミロカロス】♀
【使えるわざ】         【使えるわざ】        【使えるわざ】
・つるのムチ         ・はがねのつばさ     ・たつまき
・リーフブレード       ・かぜおこし         ・アイアンテール
・リーンフォースブレード  ・でんこうせっか      ・ハイドロポンプ
・かげぶんしん        ・つばさでうつ        ・れいとうビーム
・へびにらみ         ・つばめがえし       ・じこさいせい
・リーフストーム        ・ブレイブバード      ・ふぶき
・リーフブレード二段斬り ・インファイト        ・アクアリング
・エナジーボール      ・かげぶんしん       ・アクアテール
                ・はかいこうせん      ・みずのはどう


【オノノクス】♂     【コジョンド】♀    【グライオン】♂
【使えるわざ】     【使えるわざ】     【使えるわざ】
・ダブルチョップ   ・みきり         ・シザークロス
・シャドークロー   ・はっけい       ・れんぞくぎり
・りゅうのいかり   ・とびひざげり     ・ほのおのキバ
・ドラゴンクロー   ・はどうだん      ・クロスポイズン
・りゅうのいぶき   ・おうふくビンタ    ・ギガインパクト
・りゅうせいぐん   ・ギガインパクト    ・はがねのつばさ
・あなをほる     ・ドレインパンチ
・りゅうのはどう   ・ストーンエッジ 
・はかいこうせん   ・きあいパンチ
・かみなりパンチ

【クチート】♀    【ラティアス(ティア)】♀    【ゴチミル】♀
【使えるわざ】    【使えるわざ】         【使えるわざ】
・てっぺき      ・ラスターカノン          ・ねんりき
・アイアンヘッド   ・じこさいせい          ・ひかりのかべ
・かえんほうしゃ  ・はかいこうせん         ・サイケこうせん
・ねごと       ・りゅうのはどう
・ラスターカノン   ・りゅうせいぐん
・かみくだく     ・れいとうビーム
            ・ドラゴンクロー
            ・はがねのつばさ
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