みんな、一緒に頑張っていくぞ!!
「キルキル〜♪」
「タジャ、タージャ!」
「キル、キルキル!!」
「……お前等、人の膝の上に座るのはいいが喧嘩はするな!!」
ってか重い、ツタージャもそうだけどキルリアも意外と重い!!
図鑑チェックすると、ツタージャは約8キロで……キルリアは20キロだと!?
いやいやいや、もし本当なら俺の足が潰れてるだろ!!
「なあアヤト、お前のキルリアってめちゃくちゃ軽いな」
「違うぞグリード、キルリアはサイコパワーで重量を制御しているんだ。だから自分の重さを操作するくらい容易いさ。
尤も、重力を操作する事ができるのは自分の身体くらいで、バトルに活用できるわけじゃないが」
「へぇ……やっぱりポケモンは凄いな」
改めてポケモンという存在に感心しつつ、二匹の頭を撫でてやる。
「キル〜♪」
「タジャ……」
キルリアは素直に喜びの声を上げ、ツタージャは顔を俯かせ顔を隠している。
しかし俺は知っている、ツタージャが嬉しがっている事に。
何故かというと、ツタージャの尻尾がフリフリと左右に揺れているから。
なんだか犬みたいだ、可愛いから別にいいんだけど。
「なあアヤト、ちょっと庭園に行くけどいいか?」
「別に構わないが、ポケモンをゲットするのか?」
「いや、ブレイブバードの練習をしようと思ってさ」
ムクバードはブレイブバードを使える、だけどまだまだ未完成なので使えるというと些か語弊があるか。
この間のサクラとのバトルの時も、未完成なのに使おうとしたから気を失ってしまったけど、あれだけの強力な技を早く習得すれば、ムクバードの攻撃力も格段にアップする。
「そうか、オレも見学してもいいか?」
「もちろん、けど見てても楽しくないぞ?」
「そんな事はないさ、他人の特訓を見るのも勉強になる」
「ふーん……」
そんなものか、俺にはよくわかんないけど。
そう思いながら、俺はアヤトと共に立ち上がり。
突然、ノックもなしに俺の部屋の扉が開かれた。
「グリードさん、アヤトは……って、ここに居たんですね!」
「げ……モモカ」
「げ、とはなんですか。まあ今はそんな事どうだっていいんです!!」
はて、何をそんなに慌てているのか。
よく見ると、モモカの息が上がっている。ずっと走っていたのだろうか。
アヤトもモモカの様子に気づいたのか、首を傾げながら問いかける。
「モモカ、何をそんなに慌ててるんだ?」
するとモモカは——驚くべき事を口にした。
「て、庭園からミロカロスが逃げ出しちゃったんですよ!!」
「ミロカロス………?」
おそらくポケモンだろうが、聞き覚えのない名前だ。
しかし、アヤトの表情に少なからず驚きの色が見えるのだから、貴重なポケモンなのだろう。
「とりあえず、行きましょう!!」
「行くって、どこに?」
「もちろんミロカロスをゲットする為に決まってます!! ほら、グズグズしてると誰かがゲットしちゃいますよ!!」
言うやいなや、モモカは再び部屋から飛び出していった。忙しい奴……。
「……ミロカロス、か」
気になったので、ポケモン図鑑でミロカロスの頁を開いてみる。
「ミロカロス、いつくしみポケモン。
虹色と言われる綺麗なウロコは、見る方向を変えると様々な色に変化する……へぇ、すごく綺麗なポケモンだな……」
「しかも驚く事に、ミロカロスはヒンバスの進化系なんだ」
「ヒンバス……?」
そのポケモンも知らないので、続いてはヒンバスの頁を開いた。
「ヒンバス、さかなポケモン。
一番みすぼらしいポケモン、水草の多い川底で大勢集まって暮らしている。身体はボロボロだがどこでも生きていけるしぶとい生命力を持つ。
……コイツって、ポケモン図鑑に嫌われてるのかな?」
しかもこのヒンバスがあのミロカロスになるっていうから、信じられない。
ポケモンって不思議だなぁと思いつつ、今度こそ外に出る。
「ミロカロスをゲットするのか?」
「いんや、ブレイブバードの練習をしようと思って」
「意外だな、お前もゲットしようとすると思ったんだが……」
「確かにミロカロスは綺麗なポケモンだけど、別にどうしてもゲットしたいとは思ってないから」
それよりも、ムクバードのブレイブバードを完成させる方が大事だ。
「……お前は本当に欲がないんだな」
「そんな事ないさ、俺だって欲の一つや二つや三つや四つくらいあるぞ。
たとえば、食堂の限定特盛りカツ丼を食べてみたいなぁとか」
毎食二十食だから、いつも食いっぱぐれてしまうのだ。
しかし……アヤトは何故か苦笑を浮かべるのみ。
はて、何か可笑しい事言ったかな……?
………。
庭園に移動し、早速ムクバードをボールを取り出す。
「ムクバード、君に決めた!!」
「ムクバードッ!!」
辺りに野生のポケモンはいない、これならおもいっきり特訓ができそうだ。
「ムクバード、ブレイブバードの特訓だ!!」
「ムクッ!!」
「よーし……ムクバード、ブレイブバード!!」
近くの大木に狙いを定め、指示を出す。
「ムクゥゥゥ!!!」
翼を折り畳み、最大加速で大木へと向かっていくムクバード。
――だが
「ムクッ!?」
「ムクバード!?」
突然失速し、きりもみしながら墜落していくムクバード。
それを慌てて駆け寄り抱き留める。
「ムクバード、大丈夫か?」
「ムク〜……」
怪我はないようだが、失敗によりしょんぼりとうなだれている。
「ムクバード、一度や二度の失敗で落ち込む必要なんかないぞ?
焦らずゆっくりとやっていけばいいさ」
「………ムクッ」
大きく頷き、再び空へと飛び立つムクバード。
「よし、もう一度だ!」
「ムクバードッ!!」
「ムクバード、ブレイブバード――」
特訓を続ける為に、俺はもう一度ムクバードに指示を出して。
――瞬間、後ろの茂みから音が響いた
「っ、ムクバード!!」
すぐにムクバードを俺の前に呼び寄せ、身構える。
野生のポケモンか……?
「…………」
……しかし、いつまで経っても何も出てこない。
だけど、確かに物音が聞こえたよな……。
不思議に思い、物音が聞こえた方向へと入ってみると……。
「あ」
「どうした? っ、このポケモンは……」
アヤトからも驚きを含んだ声が漏れた。
だけど仕方ない、何故ならそこには……傷だらけのミロカロスが荒い息を上げて倒れ込んでいたからだ。
「酷い怪我だ……」
背中に背負ったリュックからきずぐすりを二個取り出し、ミロカロスの身体に振りかける。
ブレイブバードが失敗して、ムクバードが怪我した時の為に持ってきてよかった。
だけどよっぽどダメージが大きかったのか、完全には治ってはくれない。
「………ミィ」
だけど意識を取り戻したのか、目を開け俺と視線が合わさった。
「気が付いたか? ミロカロス」
「…………」
キョトンとするミロカロス、だったが……。
「――ミィィィィィィィィィッ!!!」
「どわぁっ!?」
凄まじい泣き声が、辺り一体に響き渡った。
ていうか、なんて凄い泣き声だ!?
「な、泣き止んでくれよミロカロス」
「ミィィィィィィィィィッ!!!」
「〜〜〜〜っ。う、うるせー……」
「な、なんという凄まじい泣き声だ……こんなに泣き虫なミロカロスは初めて見たぞ」
「ミィィィィィィィィィッ!!!」
「ぐぁ……み、耳が壊れる……」
「ぐっ……こ、こうなったらバトルで黙らせるか……」
「ま、待てよアヤト……怪我してたんだぞ、可哀想だろ……」
「だ、だが……このままでは鼓膜がどうにかなるぞ!!」
「そ、それはそうかもしんないけど……ミロカロス、頼むから泣き止んでくれよ〜」
ピーピー泣き続けるミロカロスの頭を撫でながら、宥めていくが……泣き止んではくれない。
「……ミロカロス」
可哀想に、よっぽど恐い目に遭ったんだな……。
そんなヤツに泣き止めなんて……無理な話か。
「――ミロカロス、気が済むまで泣いていいぞ。俺が、傍に居てやるから……」
泣きたい時は、とことん泣いた方がいい時もあるからな。
「…………ミィ」
「ミロカロス……」
「どうやら、泣き止んでくれたようだな」
「よかった……スッキリしたか?」
「ミィ……ミィ」
コクコクと頷くミロカロス、だけど……またジワリと瞳に涙を浮かべ始めた。
……このミロカロス、本当に泣き虫なんだな。
それに……随分小さなミロカロスだ、ポケモン図鑑では六メートル以上と書かれているのに、この子は二メートルくらいしかない。
「まさか……子供のミロカロスなのか?」
「子供?」
「この小ささなら納得できるだろう、しかし……子供のミロカロスが居るなんて聞いた事がない……」
「へぇ……貴重なミロカロスなのかな?」
「かもな。それにおそらくこのミロカロスがみんなが捜してるミロカロスだろう」
「そっか……」
でも、怪我はトレーナーに追い回されて負ったんだよな……そう思うと、可哀想だ。
必死になって逃げたのも、ゲットされたくなかったからだし……。
「……なあアヤト、このミロカロス……逃がせられないかな?」
「そう言うと思ったが……それは難しいぞ」
「えっ、何で?」
「モモカの話を聞く限りでは、このミロカロスをゲットしようと沢山の生徒が動いている。
それなのに「可哀想だからゲットするな」と言った所で素直に聞くとは思えん」
「ええー……でも、可哀想だし……」
「ミィィ……」
ほら、ミロカロスも追いかけられた時の事を思い出して泣き出しそうになってるし。
「居たぞ!!」
「げっ……!?」
ミロカロスをゲットしようとしてる生徒達だろう、でもポケモンを出してないなら………!
「ムクバード、かぜおこしだ!!」
「ムックーッ!!」
凄まじい風を起こし、視界を塞ぐ。
よし、今のうちに……!
「ミロカロス、今のうちに逃げるぞ!!」
「ミィ……?」
「今は俺を信じてくれ、頼むミロカロス!!」
「ミ、ミィ!!」
頷き、俺達の後ろをついていくミロカロス。
とりあえず、ここから離れないと………!
………。
「はぁ、はぁ……」
「……とりあえず、辺りに人はいないな」
走って走って、水エリアにまで辿り着いた俺達。
「ミロカロス、大丈夫か?」
「ミィ……」
「大丈夫、そうだな……よかった」
「ミィ、ミィ……」
またまた泣きそうになるミロカロス、何がそんなに悲しいんだ……。
しかしよく見ると、今度は悲しいが故の涙ではないようだ。
「ミロカロス、なんで涙目なんだ?」
「お前に感謝してるんじゃないか?」
「ミィ!!」
嬉しそうに一鳴きするミロカロス、どうやらアヤトの言う通りらしい。
なる程、悲しいんじゃなくて感動してくれていたのか……。
「そういえば、この水エリアには海に繋がる湖があるんだよな……」
ここに居たら、また他の生徒達に狙われるだろうし……海に帰してやれば、他のトレーナーに狙われるけど危険性は低くなる。
「お前……ミロカロスをわざわざ逃がすのか?」
「だって、ここに居たらまた狙われるだろ?」
「なら、お前がゲットすればいいんじゃないか?」
「ダメだよ、ミロカロスはゲットされたくないんだから」
「……お前、勿体ないとは思わないのか?」
「ミロカロスが嫌なら仕方ないさ。さあミロカロス、あの湖を潜れば海に行けるぞ?」
「ミィ……」
「お前だって追いかけ回されるのは嫌だろう? でも海に逃げれば恐い思いは――」
「――なる程、やっぱり君がミロカロスを保護してたのか」
「えっ……?」
後ろから聞こえた声に、振り向く。
「サクラ………」
「今日は大騒ぎだよ、ミロカロスは珍しいポケモンだからね。
けど今は他の四天王達と協力して騒動は鎮圧したから、もう大丈夫だよ」
「ってことは……もうミロカロスを狙う奴は居ないんだな?」
「そうだね。このミロカロスはゲット禁止にするよう手配するよ。
このミロカロスはゲットを嫌がってるし、それにまだ子供だしね」
やっぱり子供なんだ、このミロカロス。
でも、これで一安心だ。
「よかったなミロカロス、それじゃあ……元気でな」
「ミィ……?」
俺がそう言うと、何故かミロカロスは首をちょこんと傾げてしまった。
……俺の言った事、わからないのかな?
「ミロカロス、お前はもう誰にもゲットされずに済むんだぞ? だから、ここで静かに暮らす事が――」
「ミィ………」
あれ? なんでそんな悲しげな声を……。
「―――ミィィィィィィィィィッ!!」
「ぐぁ………!」
「うぉ………!」
「な、何このミロカロス……凄い泣き声」
「ミ、ミロカロス……何で泣くんだ」
「ミィ……ミィィィ」
「お、おい……」
泣きながら俺の身体にすり寄ってくるミロカロス。
まるで何かを嫌がるように……。
「……そのミロカロス、グリードと一緒に居たいんだよ」
「俺と……?」
「ミィ!!」
サクラの言葉に頷くミロカロス。
……どうやら、俺と一緒に居たいのは本当らしい。
――だけど
「今の俺じゃあ、お前を充分に扱える力はないよ」
「ミィ……?」
「俺と一緒に居ても、苦労するだけだし――」
「ミィィィィィィィィィッ!!!」
「ぐぁ……わかった、わかったから!!」
「……ミィ!」
す、すぐに泣き止むとは……まさか嘘泣き?
「でもサクラ、このミロカロスはゲット禁止に」
「まだ手配してないよ、それに……ミロカロスは君と一緒に居たがっているからね」
「……うん、じゃあミロカロス、このモンスターボールに」
「ミィ」
「あ……」
言い終わる前に、ミロカロスはモンスターボールに自ら入っていった。
「……うーん、ミロカロスって凄く強くて珍しいポケモンだろ?
それなのに、素人の俺なんかがゲットしてもいいのかな……」
「もちろんだよ、他ならぬミロカロスが君と居たいんだ。なら、それで構わないと思うよ」
「そっか……よーし、ミロカロス、ゲットだぜ!」
「よかったな、グリード」
「グリード、後でミロカロス用のポケモンフーズとポフィンレシピを持っていくよ」
「サンキューサクラ、でも俺のポケモン達のポケモンフーズとポフィンは自分で作るよ。
そうじゃなきゃ、意味ないからな」
「そっか、グリードならそう言うと思ったよ」
こうして、俺はミロカロスという貴重なポケモンをゲットできた。
コイツの力を十二分に扱えるトレーナーに、早くならないとな!!
「ミロカロス、よろしく!!」
「ミロォッ!!」
To.Be.Continued...
【ツタージャ】♀ 【ムクバード】♂
【使えるわざ】 【使えるわざ】
・つるのムチ ・たいあたり
・リーフブレード ・かぜおこし
・たいあたり ・でんこうせっか
・かげぶんしん ・つばさでうつ
・へびにらみ ・つばめがえし
・グラスミキサー ・ブレイブバード(未完成)