俺はツタージャ、ハクはメタモンを繰り出し、ツタージャ対決に。
けど、必殺のリーンフォースブレードが通用しなくて……。
負けてたまるか、絶対に勝ってみせる!!
「くっ………リーンフォースブレードが効かない……!?」
「当たり前だ。ツタージャのその技は今までのバトルで見てきた、そんな隙だらけな技が通用するか」
「……うわ、ハクの奴めちゃくちゃ本気になってるよ」
こんな彼を見たのは本当に久しぶりだ、驚く反面嬉しいとアリアは思う。
グリードのお陰で、もう一度昔の彼のあの表情を見れたのは、やはり嬉しい。
「だったら使わないで勝つだけだ。ツタージャ、リーフブレード!!」
「タジャー!!」
再び踏み込み右腕を振り下ろすツタージャ、しかしメタモンはそれを容易く回避し間合いを広げた。
「逃がすなツタージャ、連続でリーフブレード!!」
「タジャ、タジャー!!」
右腕だけでなく左腕を用いてリーフブレードを繰り出していく。
だがその一撃一撃を冷静に読み、メタモンは全て回避してしまう。
「速いな……パワーだけでなくスピードも互角だから、当てるのも一苦労だぞ」
「確かにそうだね。でも……ハクとメタモンの強さはまだまだこれからだよ」
「エナジーボール!!」
「たー、じゃ!!」
ツタージャとの間合いを広め、エナジーボールを発射するメタモン。
「かわせ!!」
「タジャ!!」
しかしそんなものに当たるツタージャではない、グリードの指示を聞きその場で跳躍、迫るエナジーボールを回避するが……。
「つるのムチでエナジーボールの軌道を変えろ!!」
「なっ―――」
「つた、じゃ!」
首の根元辺りから二本のつるのムチを繰り出すメタモン、しかし目標はツタージャではなく……自らが放ったエナジーボールへ。
それを見事に絡め取り、そのまま空中に逃げたツタージャに投げつける!!
「タジャー!!?」
背中にエナジーボールの直撃を受け、地面に落ちるツタージャ。
「……つるのムチに、こんな使い方が……」
「ハク君は、メタモンというポケモンを使うが故にあらゆるポケモンの動きや仕草、そして技がどういったものかを覚えている。
だからこそ、手持ちにいないツタージャの力を十二分に発揮できるのね」
「それだけじゃないよ学園長、単純にグリードがハクにトレーナーとしての力量で負けてる。
随分成長したみたいだけど……やっぱり、まだアリア達四天王クラスには届いてない」
「…………」
確かに、グリードの実力はまだまだ低い。アヤトもアリアの言葉に内心同意を示す。
しかしまだバトルが終わったわけではない、まだ彼とツタージャは戦える。
故に、勝負がどうなるかはまだわからないという事だ。
「タ、タジャ……」
「負けるなツタージャ、立ってくれ!!」
苦しそうに表情を歪ませながらも、ツタージャはどうにか立ち上がる。
しかし受けたダメージが大きいのか、荒い息をして身体も僅かに震えていた。
「グリード、このまま勝たせてもらうぞ!!」
「ツタージャはまだ負けてない!! エナジーボール!!」
「ター、ジャ!!」
胸の前に両手を合わせ、エナジーボールを生み出し即座に放つ。
「回避しながらつるのムチ!!」
「つたじゃ!!」
迫るエナジーボールを見据えながら、右に跳躍するメタモン。
回避と同時にエナジーボールをつるのムチで絡め取り、再びツタージャへと投げつける。
「そう来ると思ったぜ……! ツタージャ、かわしてリーフブレード!!」
「タジャー!!」
撃ち返されたエナジーボールをギリギリの間合いで回避しつつ、一気にメタモンとの間合いを詰めるツタージャ。
「ター、ジャ!!」
そして、上段からリーフブレードが振り下ろされ。
――メタモンの姿が消える
「タジャ!?」
「ツタージャ、上だ!!」
グリードの声に、ツタージャが顔を上げた瞬間――そこには跳躍して彼女の攻撃を回避したメタモンが。
「エナジーボール!!」
「たー、じゃ!!」
ツタージャの真上から繰り出されたエナジーボールが、彼女の頭部に叩きつけられる!!!
「タジャーッ!!?」
衝撃で吹き飛び、地面を転がっていくツタージャ。
何度も何度も身体を回転させながら転がっていき……ようやく止まった時には、ツタージャは起き上がれなくなっていた。
「ツタージャ!!」
「………タ、ジャ」
まだ意識はある、しかし起き上がろうとしても身体がいうことをきかないのか、起き上がれない。
「あら……これでおしまいかしらね……?」
「いえ、まだです。アイツらはまだ……」
キキョウにそう言い返すアヤトだが、彼もグリードの勝利に対して諦めの感情が見え隠れしていた。
ポケモンの能力は互角、しかし……トレーナーとしての力量はハクの方が上だ。
アドバンテージとなるリーンフォースブレードも、ハクの前では通用しない。
こうなれば、もはやグリードとツタージャに勝つ要素など皆無だ。
(どうすればいい……このままじゃ、俺達はハク達には勝てない……)
必死に勝利の手段を模索するグリードだが、現存の技が全て通用しない以上、このまま戦った所で負けるのは必至。
負けたくない、けど勝つ方法が見つからない。
焦りから鼓動は早くなり息も荒くなる。
(っ、焦るな。トレーナーの焦りはポケモン達を不安がらせる!!)
必死に自分へそう言い聞かせ、もう一度思考を巡らせようとした瞬間――グリードの腰にあるモンスターボールが勝手に開き。
「えっ………ピカチュウ?」
中から出てきたピカチュウに、グリードはバトルの最中というのも忘れ視線を彼に向ける。
相変わらず、冷たい目でグリードを見やるピカチュウ。何故出てきたのか、問いただそうとした瞬間。
「ピカァァァ……チュゥゥゥッ!!」
「なぁっ!?」
突然、ピカチュウがかみなりを放ち出した。
しかも、自分自身に向けて。
「ピ、ピカチュウ……何してんだお前?」
まったく意図が読めず、少し躊躇いがちに訊いてみるが……そこで、グリードはピカチュウの変化に気がついた。
(あれ……? 電撃が、ピカチュウを包んで……)
「ピーカチュゥゥゥッ!!」
今度は近くの木に10万ボルトを放つピカチュウ、その威力は凄まじく、先程のかみなり以上のパワーが込められていると理解する。
「って、いきなり何しちゃってんのこの子!!」
凄まじい電撃によって灰になった木を見つつ、アリアはツッコミを入れるが、ピカチュウは素知らぬ顔でグリードを見つめ。
「――ピカ」
短く鳴き、そのまま彼の元から離れていった。
「…………」
正直、ピカチュウが何をしたかったのかグリードはさっぱり理解できなかった。
無論、グリードだけでなくその場に居た全員も同じ気持ちだったが。
――でも、ピカチュウは何かを伝えようとしてくれた
態度は素っ気なく冷たいままだったけど、間違いなくピカチュウはグリードに対して何かアドバイスを送ったのだろう。
(考えろ……考えるんだ)
ピカチュウが何を伝えたかったのか、必死に思考を巡らせる。
(ピカチュウはいきなりかみなりを放った、それも自分自身に。
そうしたら、同じでんきタイプだったからか自分の身体に電撃を溜めて、次に放った10万ボルトの威力が―――)
――そこまで考え、グリードはある答えに辿り着く
「………まさか」
いや、だがそれ以外に考えられない。逆にそれを教える為だったのなら……ピカチュウの行動も理解できた。
「……グリード、続けてもいいか?」
「――ああ。悪い」
「メタモン、エナジーボール!!」
「たー、じゃ!!」
放たれるエナジーボール。
「ツタージャ、後ろにジャンプしてかわせ!!」
「タジャ!!」
それを、わざと間合いを広めるようにして回避するツタージャ。
「メタモンから離れてリーンフォースブレードを使おうと思ってるようだが……まだ甘いな。
メタモン、リーフブレードで決めろ!!」
「たじゃー!!」
グリードの真意を読み、最後になるであろう指示を出すハク。
決まったか――誰もがそう思った、次の瞬間。
「ツタージャ、右手でリーフブレード、左手でエナジーボール!!」
「なっ………」」
「は……?」
誰もが、グリードの指示に首を傾げる中――ツタージャは迷う事なく指示に従う。
左手の上に浮くエナジーボール、それを。
「右腕に吸収させて、リーンフォースブレードだ!!」
「何!?」
「タジャァァァッ!!」
リーフブレードが発動している右腕に、左手にあるエナジーボールを押し当てるツタージャ。
瞬間――右腕に変化が訪れ、エメラルドに輝く大剣が姿を現す。
それは、まごうことなきリーンフォースブレード!!
「タ、ジャァッ!!」
向かってくるメタモンに、大剣を振り下ろすツタージャ。
その威力に気づいたメタモンが、右腕で防御の体勢に入るが……。
「たじゃぁぁっ!!?」
呆気なく、リーフブレードごと吹き飛ばされてしまった。
「やったぜ!!」
「あれは……リーンフォースブレードか!?」
「あらあら、なる程……そういう方法で欠点を解消したのね」
「欠点?」
「みんなはもう知ってると思うけど、あの技には幾つかの欠点があるわ。
膨大なエネルギーの消耗、そして発動時間の長さ。その2つの欠点を克服しない限り、あの技は完成しない。
でも、グリード君はリーフストームではなくエナジーボールで代用する事によって、その欠点を克服したのね」
エナジーボールならば、リーフストームほどの展開時間は必要ではなく、更にエネルギーの消耗も少なくて済む。
しかし、よもや左手だけでエナジーボールを生成できるとはさすがのキキョウも予想できなかった。
おそらく、あれは出力を抑えたエナジーボールなのだろう、そうでなくては片手で作れるわけがない。
とはいえ――一見全ての欠点を克服できたように見えるが……新たな問題も発生している。
――バキンッ、という音が場に響く
そちらに視線を向けると、ツタージャの右腕が元に戻っていた。
「ギリギリの出力に落としたエナジーボールで代用したから、瞬時に展開できるようになったけどその分発動時間が短くなったみたいね」
「リーフストーム!!」
「つたぁぁぁ……じゃぁぁぁっ!!!」
「畳み掛けるぞツタージャ、リーンフォースブレード!!」
「タジャ!!」
自ら迫るリーフストームに向かって走りながら、ツタージャはもう一度左手でエナジーボール、右手でリーフブレードを発動させる。
再び現れる大剣、それを一文字に振るい――リーフストームを一撃で破壊した。
しかし、それと同時に大剣も砕け散る。
「なんだと!?」
「リーフブレード・二段斬り!!」
「タジャ、タ、ジャァッ!!」
「たじゃぁぁっ!!?」
右腕の一撃をメタモンの頭部に、回転しながらの二撃目をわき腹に突き刺し吹き飛ばす。
「メタモン!!」
「た、じゃ……」
メタモンは立ち上がれない、そして――
「決めろツタージャ、最大パワーで……リーンフォースブレード!!」
「タジャァァァッ!!」
今バトル三度目となるリーンフォースブレード、ツタージャは己が限界を超え技を発動。同時にメタモンに向かって跳び上がる。
「いけぇぇぇぇっ!!」
動けないメタモンに狙いを定め、ツタージャは大剣を振り上げ………すんでのところで、その一撃は止まってしまった
「なっ……」
何故ツタージャは攻撃を止めたのか、ハクを筆頭に全員が訝しげな表情を浮かべる中。
「………よく頑張ったぞツタージャ、本当によく頑張った」
グリードはツタージャにそう告げ――彼女の身体が地面に倒れ込んだ。
「ツタージャ戦闘不能、メタモンの勝ち。よって勝者、ハク」
「あっ……」
「……限界だったのね、いくら出力を抑えてもあの技は二発が限度だったのよ」
「……戻れ、メタモン」
メタモンをボールに戻し、ツタージャを抱きかかえるグリードへと近寄るハク。
「やっぱり強いなハクは、それにメタモンも凄かったよ」
「いや、最後の追い上げでどうなるかわからなかった。たいしたもんだな」
「でも、最後のあれはピカチュウのおかげだよ。アイツが教えてくれなかったら、リーンフォースブレードの欠点を見つける事はできなかった」
ありがとなピカチュウ、こちらに近寄ってきたピカチュウに、グリードは感謝の言葉を口にしながら頭を撫でようとして。
「いだだだだっ!!?」
おもいっきり、その手を噛まれてしまった。
「あらあら……」
「はぁ……まだ完全に心を開くまでは至ってないか……」
それとも、あの噛みつきはピカチュウなりのコミュニケーションなのかもしれない。
グリードのバトルを見て、少しは心を開いたのは確かなようだが……。
「ハク君、貴方のバトル見せてもらったわ」
「学園長……」
『…………』
固唾を呑んで見守る一行、その視線を一身に受けながらキキョウは……。
「――いいバトルだったわ。トレーナーの力量、ポケモンに対する的確な指示と信頼。
貴方がまだ望むなら……四天王の資格剥奪は無効と致します」
にこりと微笑み、優しくそう告げた。
「…………ありがとう、ございます」
「やっっったぁぁぁっ!!」
頭を下げるハク、隣ではアリアが本当に嬉しそうにピョンピョンととび跳ねている。
「やったな、ハク!!」
「ああ……ありがとなグリード、お前のおかげで俺はまた」
「ふふっ、頑張ったのはグリード君だけじゃないわ。アリアちゃんも貴方の為に今まで一生懸命フォローしてたのよ?」
「うふぇっ!!?」
「……そうなのか?」
ハクとしては、かなり意外な言葉だった。不思議そうな顔でアリアにそう尋ねると。
「あ、う……べ、別にアンタだけの為じゃないわよ!! ただ、そんな理由で四天王を辞めさせられたなんて言われたら、アリア達も迷惑するっていうか……」
「…………」
「う、あ……」
「…………」
「〜〜〜〜〜っ、ああそうよ、アンタの為に頑張ったのよ!! け、けど勘違いしないでよ!!」
「はいはい……感謝してますよちび助」
ポンポンとアリアの頭を軽く叩くハク、その光景はどう見ても子供扱いそのものだ。
「うがーっ、ちびって言うな!!」
案の定怒り出すアリア、しかし悲しきかな、身長が足りないので簡単に押さえつけられてしまった。
相変わらず変わらないなあの2人は、そう思いつつグリード達は暫しその光景を眺めながら笑みを浮かべていたのだった……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
――それから、数日が過ぎたある日のこと
「グリード!!」
「うおっ!?」
「タジャ!?」
部屋でのんびりと過ごしていたグリードとツタージャに、いきなりカレンとフウロの大声が響き渡った。
「ど、どうした!?」
「ちょ、ちょっと来なさい。今すぐに!!」
「おっ……?」
ただならぬ雰囲気の2人に、グリードは驚きつつも頷きを返し部屋を出る。
一体どうしたんだろう、そう思いながらおとなしくついていった先は……学園の校門前。
そこには、アオイとソラネ、そしてサクラの姿と。
「なっ!?」
「お久しぶりです、グリード様」
恭しくグリードに頭を下げる1人の女性、短めな紫の髪がよく似合う美女。
かつて、シェイミを巡って戦った相手――セリーヌが。
グリード達の前に、何食わぬ顔で現れていた……。
To.Be.Continued...
【ツタージャ】♀ 【ムクホーク】♂ 【ミロカロス】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・つるのムチ ・はがねのつばさ ・たつまき
・リーフブレード ・かぜおこし ・アイアンテール
・真・リーンフォースブレード ・でんこうせっか ・ハイドロポンプ
・かげぶんしん ・つばさでうつ ・れいとうビーム
・へびにらみ ・つばめがえし ・じこさいせい
・リーフストーム ・ブレイブバード ・ふぶき
・リーフブレード二段斬り ・インファイト ・アクアリング
・エナジーボール ・かげぶんしん ・アクアテール
・はかいこうせん ・みずのはどう
【オノノクス】♂ 【コジョンド】♀ 【グライオン】♂
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・ダブルチョップ ・みきり ・シザークロス
・シャドークロー ・はっけい ・れんぞくぎり
・りゅうのいかり ・とびひざげり ・ほのおのキバ
・ドラゴンクロー ・はどうだん ・クロスポイズン
・りゅうのいぶき ・おうふくビンタ ・ギガインパクト
・りゅうせいぐん ・ギガインパクト ・はがねのつばさ
・あなをほる ・ドレインパンチ
・りゅうのはどう ・ストーンエッジ
・はかいこうせん ・きあいパンチ
・かみなりパンチ
【クチート】♀ 【ラティアス(ティア)】♀ 【ゴチミル】♀
【使えるわざ】 【使えるわざ】 【使えるわざ】
・てっぺき ・ラスターカノン ・ねんりき
・アイアンヘッド ・じこさいせい ・ひかりのかべ
・かえんほうしゃ ・はかいこうせん ・サイケこうせん
・ねごと ・りゅうのはどう
・ラスターカノン ・りゅうせいぐん
・かみくだく ・れいとうビーム
・ドラゴンクロー
・はがねのつばさ
【ピカチュウ】♂
・10まんボルト
・アイアンテール
・ボルテッカー
・でんこうせっか
・かみなり