ウルトラマンGATE 超人 彼の地にて、斯く戦えり   作:食卓の英雄

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宇宙電磁怪獣、地球に現る!/地底怪獣、特地に現る!+α

 

 東京湾に現れた特別指定災害級生物第11号。種別名称『深海怪獣ゲードス』。

 特災課と自衛隊の連携により、損害を出しながらもこれを撃退。今までどの国もが単身では成し得なかった成果に世間は沸き立った。

 

 そして同様に、人類が怪獣の脅威に対抗できる一筋の光を照らしてくれたのだと誰もが疑わなかった。

 世界中でもこの快挙には注目が向けられ、各国の人々から自衛隊、そして今回国内初の実戦で活躍した特災課(SD3C)らの今後の活躍と、これからの展望に期待を寄せていたのであった。

 

 そんな噂の渦中にある日本はというと、その成果に驕るでもなく、むしろ頭を抱えていた。

 

 成し遂げた事自体は素晴らしいのだ。怪獣という生きた災害の与える損害は未知数で、これまでもウルトラマンが現れなければ壊滅した都市、機能停止したであろう土地はあっただろう。

 

 故に、成果自体はよい。

 

 よいのだが……。少し期待と注目が寄せられすぎてしまっていて辟易しているのが現状である。

 

 『銀座の門』『銀座事件での被害者への補償』『異世界の国との交渉』『自衛隊の派遣』『対怪獣用の技術開発』『一時的に結託した世界情勢』。そして新たに加わった問題である『特地での怪獣出現報告』『映像作品内の怪獣の確認』『特地にて新たなウルトラマンの確認』『自国から攫われた国民』。

 

 はっきり言って、一度に抱えるには深刻過ぎる問題が多過ぎる。

 この上に各国からの過度な期待を背負うのはキャパシティを超えてしまうのだ。

 

 そもそもが、ゲードス自身への攻撃は然程の効果がなく、超高水圧のウォーターカッターでコンクリート製の建物が一撃で破壊されるのを見たばかりである。

 今回はたまたまゲードス自身が陸上の適正が低く、海から上がった状態で爆発を複数受け、更に体温を維持するために露出している排気口内にミサイルやナパーム弾を直撃させられたことで、ゲードスが不快な環境になったため逃げていっただけである。

 

 これは真夏に木陰に避難するようなものであり、ゲードス自体を撤退へ追い込む程のダメージを負わせたわけではない。

 無防備な体内と比べれば頑丈で弁などがあったとしても、それでも体内に直接繋がる排気口。そこにミサイルを叩き込んだにしては薄すぎる効果だ。

 

 一部はそのことに気づいており、怪獣対処の難しさを再認識し、より一層の警戒と早急な技術開発へと勤しんでいる。

 

 これまではどの様な国や軍でも出来なかっため、組織、民間でも仕方がないも諦めがついていたものの、なまじ撃退に成功してしまったが故に、今後の失敗にはこの例を持ち出して批判してくるであろうことは間違いない。

 

 次現れる怪獣に同じ様な弱点があるとは限らない。ゲードスとの差異を事細かく説明した所で、「なら仕方がない」とはならないのである。

 

 そして、そんなブームに各国はと言うと称賛の姿勢をとったのである。正真正銘素直な驚きと感激があり、人類の力が無力ではないと示したことへの称賛のメッセージが寄せられた。

 

 ただし、これには日本を持ち上げて注目させることで、期待の高まった日本が失敗した場合のフォローに回すことで、より強く太いコネクションを結ぶことが出来るということと、国内の門奪取派や技術職の日本派遣反対派を抑え込むことにあった。仮に、このまま発展するのであれば、それはそれで敵ではなく、恩恵に預かれる立場に収まろうという魂胆である。

 

 今無理をして対抗するよりも、多少頼りないと思われたとしても、下手に対抗して失敗すれば、高まった期待の分だけ批判が寄せられることとなる。未だ決定的な技術がない今、そんな危険な博打に踏み込む者はいなかった。むしろ、逆にそれが日本への期待に向けられるのだから、どう転んでもいいよう備えていたのであった。

 

 そんな世界の情勢の中でも、怪獣は空気を読んで待ってはくれなかった。

 

 次に怪獣が出現したのは、何とその翌日だった。

 

 メキシコ、チマルワカンにて、以前より観測されていた隕石が軌道から外れて落下した。

 メキシコ時間で早朝の4時32分のことだ。

 観測されていた隕石のサイズは直径25m。大気圏突入により燃え尽きるであろうと推測されていたが、その予測に反して依然形を保ったまま迫りくる。

 

 当然何もしていなかったわけではない。

 観測は続けられていて、その軌道も計算されていた。しかしこれはあまりに急すぎたのだ。普通であれば通るはずの軌道が急激に変化し、尋常ではない軌跡を描いて地表へと迫っている。

 

 急な軌道の変化も数十分前に観測されたばかり。慌てて落着予測地点の住民に避難命令を発令はしたが、気が付かない国民も多いだろう。

 

 急ピッチで用意した迎撃システムは正常に隕石へと攻撃していくが、破壊はおろか、欠片すら落ちやしない。

 迎撃虚しく、隕石は地表へと落着した。

 落着したのだが、予想されていた衝撃はない。不審に思って確認すれば、落下地点周辺を大いに荒らしながらも、隕石は依然そこに鎮座していた。

 

 大きさから考えれば、あり得ないほどの軽微な被害に呆気にとられつつも、望外の結果に誰もが喜んだ。

 

 だが、その直後、隕石がぱかりと開かれた。

 何と隕石だと思われていたそれは怪獣が擬態していた姿だったのだ。

 

 二足歩行するヒトデの様な姿をしており、背部は青みがかった色でゴツゴツとした岩石の様で、腹部は薄めの金色。焦点の合わない3つの目のような器官を持ち、生えそろう突起はまるで全身が巨大な口のように思わせるほど。

 

 突然現れた怪獣だったが、隕石の迎撃に備えていた軍部は直ぐに対応した。

 

 未だ早朝ということもあって、その音はよく響き渡ったという。

 

 怪獣は一斉攻撃にも全く動じず、続く軍の第二波攻撃には、体内から超強力な電磁エネルギーを放出して対応した。

 

 あまりに強力なそれにミサイルは撃墜され、周囲一帯の電気設備の機能を停止させた。

 戦闘機は全て機能を失って地面へ激突し、通信機器は一切が破壊される。病院や電気を使った交通システムなんかも軒並み破壊される。

 

 チマルワカンは一瞬にして沈黙してしまったのである。

 

 その後その怪獣は進撃を続け、電磁攻撃と体を丸めての突進によって街を破壊していく。人々は不安だったことだろう。電気設備は使えず、未だ暗い街の中を原始的な照明を頼りに逃げていくのだから

 情報を手に入れることは叶わず、交通機関は麻痺して、ただ漠然とした不安に駆られながら自らの足で逃げることしか出来ないのだから。

 

 一方、その怪獣は尚も抵抗を続ける軍事基地を襲撃すると、通信基地へと覆いかぶさると、それ以上の破壊活動はせず、方向転換して新たな通信施設へと侵攻した。

 

 この行動には一部から疑問の声が上がったが、強力な電磁波を扱うことから、後にそれらの補充のためだと推測された。

 既にメキシコという国は抗う力を失ってしまったも同然であり、他の州から送られてくる航空戦力は電磁パルスに落とされ、ミサイルは体に接触する前に破壊され尽くす。

 何より、情報を握っているチマルワカン側の機器は麻痺していてその情報を伝えることが出来ない。

 

 阻む者のいないままに怪獣が闊歩し、新たに首都であるメキシコシティへと姿を現した。

 当然、情報の遅れた街はパニックになり、チマルワカンの二の舞となる。

 

 ビルの照明が怪獣の姿を不気味に照らし、大慌ての街を再び飲み込もうと、EMP発生器官である体の中央の吻を開き始めた。

 

「ディアァッッ!!」

 

 ウルトラマンが現れたのは、メキシコシティが破壊されようとするその瞬間であった。

 

 

 

●●●

 

 

 

 同時刻。特地にて。

 

 

「うおおおおおおぉぉぉぉぉ!!?」

「絶対に近づけさせるなっ!!」

「畜生!背中が硬すぎる!」

「着弾!!……効果ありません!」

 

 今現在、自衛隊駐屯地アルヌス支部は大いに騒がしくなっていた。

 

 それというのも、事は特地で初めて怪獣が確認されたことに遡る。

 地表に現れた二体は無事ウルトラマンの手によって討伐されたが、出現位置はごく近辺であった。調査はしていたが、地底奥深くから迫る怪獣のことは察知出来ていなかった。

 

 このことから、他の地底怪獣の存在を考え、アーストロンの現れた穴の調査が進められた。

 だが、それが災いしたのだろう。

 調査のための機器がたまたま付近にいた怪獣を刺激してしまったのである。

 

 だが、発見が遅れたのはそれだけが原因ではない。それというのも、この怪獣は元来臆病な性格で、見知らぬ音に警戒してより深くへと潜航し、アーストロンの穴を進む音の方向とは逆…つまり自衛隊駐屯地側へと進んでしまったのである。

 

 そして、様子を伺いに地表近くへ浮上した怪獣が、音の正体の小ささに気がついてしまった。

 

 故に、自衛隊駐屯地の目と鼻の先。僅か数キロしか離れていない場所に怪獣――『地底怪獣 マグラー』は姿を現したのであった。

 

 異変を察知した時点で、既にマグラーを止めることは出来なかった。

 

 どうやらマグラーは地上の様子を窺う内に、駐屯地での訓練で出る銃撃やヘリの音などに煩わしさを覚えたらしい。

 

 臆病ではあるものの、それはあくまで怪獣基準。自身と同等程度か、それ以下の相手だと判断したならば、排除にかかるのは不思議な事ではない。

 

 こうして、駐屯地は一斉にマグラー迎撃作戦を開始したのであった。

 

 上官から下士官に至るまでが大慌てで基地内を往復し、使える武装や必要な物資を掻き集める。

 

 保有する戦車は一列に並べられ、目標が射程に入るのを今か今かと待ち望み、更に後方から155mm榴弾砲が雨あられとマグラー目掛けて飛んでいく。

 

 上空では対空攻撃を持たないマグラーに対して、十分に警戒しながらAH-1コブラやUH-1Jヘリが飛び回りながら対戦車ミサイルを次々と撃ちまくる。

 

 有線で誘導されるミサイルは旧式であるが、これだけ大きな地を歩く相手であれば問題はない。一発たりとも外すことはなくその背中に吸い込まれていく。

 

 夜空を一瞬茜色に染めるほどの爆炎が上がり、もくもくと白煙が立ちこめるも、マグラーは健在。

 多少爆音や衝撃に怯みこそしたものの、きっかけとなり得る怪我も負っていない。

 

 既に、この時点での火力は連合諸王国軍に放った攻撃を優に超えている。

 

 航空自衛隊からの出向組はF-4ファントムIIを乗りこなし、高速でマグラーの周囲を回りながら、有効な箇所を定めてミサイルやバルカン砲を撃ち続けている。

 

 しかし、これもまたマグラーからすれば鬱陶しい程度のものでしかなく、振り回される尻尾に掠りかけ、慌てて距離を取る。

 

「クソッ!ウルトラマンじゃナパーム弾で倒されてた癖に…!」

「科特隊のナパーム弾ですからね。ゼットンを倒せるとことじゃ基礎技術が違いすぎるってことです!」

「そこぉ!いいから運べぇ!そろそろ撃ち尽くしたヘリが戻ってくるぞ!」

「半装填よしっ!」

「五、四、三、二、一…!」

「発射!」

「弾着!……被害軽微!敵怪獣健在です!」

 

 それらの搭乗物に乗っていない自衛官も、基地内で必死に足を回す。

 湯水のように放たれる弾幕やミサイル。それらが撃ち尽くされれば、補給のために一端戻るのだ。それをスムーズに済ませるために何名もの特殊な資格を持たない自衛官が動き回り、少しでもダメージを与えようと、ずらりと並べられた迫撃砲から重榴弾を装填しては放ち、再び装填しては放つ。

 

 一見無駄な足掻きに見えるかも知れないが、その効果ははっきりと出ている。

 

 まず、マグラーの進行速度が遅くなってる。そして、いかに強固な皮膚に身を包んでいるとは言え、こうも集中砲火を立て続けに浴びせられては、弱い部分や疲労が集中する部位も現れる。

 

 少しずつ、本当に少しずつではあるものの、マグラーの体力を削ることに成功しているのである。

 

 それが分かっているからこそ、自衛隊もここで攻撃の手を緩めることが出来ない。

 

 マグラーが逃げの姿勢を取ったのであれば別だが、依然こちらへ向かう意思を見せている。否、むしろ想定外の反撃に怒っているともいえよう。

 

 ここで緩めてしまえば、たちまち駐屯地は怒り狂ったマグラーによって壊滅させられる。

 

 だがしかし、こうもバカスカと撃ちまくっていては、残弾数が気になってくる。怪獣出現報告から数日しか経っていないせいか、未だ装備の増量も僅かずつしか済んでおらず、特地という土地に運んでいる資材と、想定される敵対戦力などの関係から、その量は多いとは言えないのだ。

 このまま押し切れればよいが、途切れてしまっては、抵抗する力を失う。

 

 どうにか本土からの支援が間に合うようにと願った所で、予想外の一報が寄せられた。

 

『現在渋谷区に巨大怪獣出現。総力で持って対処に当たっている。支援をすることは困難を極める。申し訳ないが、そちらでの対処を求む』

 

 集められていた幹部自衛官はその一報に目を剥き、そんな馬鹿なと言いたげに項垂れる。

 

 まさかの状況だ。こうもタイミング悪く出現してしまうとは。

 

 特地と日本…それも渋谷区とを比べれば、当然渋谷区の防衛が優先される。

 

 頼みの綱が切れたと悲観する彼らの頭の片隅に、撤退の2文字が過る。

 

 歴戦の自衛官もあまりの状況に意見が割れる中、狭間陸将は静かに目を伏せて、寄せられる報告に耳を傾けながら険しい顔つきで拳を握りしめたのであった。





メキシコ、渋谷、アルヌスの丘に怪獣同時出現!
皆様が危惧していた状態になっておりますね…。ノヴァの身体は一つしかないというのに…。
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