ウルトラマンGATE 超人 彼の地にて、斯く戦えり   作:食卓の英雄

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久しぶりの投稿にして、ウルトラマンオメガ以来初の投稿ですね!
いいですね、ウルトラマンオメガ。レキネスやコウセイとの関わりもいいし、怪獣もデタラメ過ぎないくらいの新規地球怪獣が豊富。ますます楽しみですね!
それにゲート2もアニメ化決定しましたし、時期的にこれはもう書くしかないでしょと言わんばかりでした。
ちなみに、ゲート1期のアニメは書籍版のある事件が丸々飛ばされるみたいですね。
まあ、内容が結構攻めてるところもあるので、致し方ないのかもしれませんね。ちょっとした表現で粘着されて炎上する時代ですから…。


宇宙人がやって来た

 

 まさかまさかのウルトラマン本人が登壇するという参考人招致は、人々に多くの衝撃を与えた。

 

 ウルトラマンが我々の知る作品の世界と同じものであること。別の世界から怪獣や宇宙人が現れていること。この世界に根ざした怪獣がいて、同様に暮らしていること。

 

 そして、ウルトラマンノヴァという名前。

 

 これらの情報の一つ一つが、世界各国、ひいては様々な種類の人間からすると値千金の喉から手が出るほど欲しい代物であり、現在の人類の技術力では確かめられなかった事象にも、それらしい理屈がついた。

 

 その反応は様々で、国防に関わる者としては、空想の中にある驚異的な力を持つ存在がいることが確定し、その対処と能力に戦慄し、同様にある程度の種類なら既知として情報を得られることに安堵した。

 ウルトラマンの存在が明確になったからか、今やネットではそれに関連する動画や書き込みなどがとてつもない勢いで乱立していき、大規模SNSのトレンドは今回の参考人招致のことで埋め尽くされ、アクセスが集中したせいで回線が落ちるトラブルまで発生している。

 

 ネットの掲示板やニュースサイトでは似たような見出しが1秒に10個は増える程であった。

 

 ちなみに、注目が比較的多いのは、今回明かされたウルトラマンノヴァの名前と共に、その情報をまとめたデータであったり、この地球出身の怪獣に関してが多めだ。

 

 やはり、確定はしても、数カ月前から過去作のウルトラマンをこれでもかと話題に取り上げられていたので、改めて調べる人は少なく、むしろ新しい情報の取得に忙しいようだ。

 

 さて、そんな沸き立つ世間が議論を交わす合間にも、伊丹達はそそくさと合流し、四ツ谷駅から地下鉄に乗って移動していた。

 本来であれば、送迎バスが護衛と共に迎えに来る予定だったのだが、あるトラブルによって急遽彼らだけで活動することとなったのだ。

 

 そして、地下鉄とあっては、ただでさえ慣れない土地に身を置くピニャやボーゼスも不安そうにしている。彼らにとってはそういうものだと理解しているが、途中から地下に入ったもので、何に乗ってどこへ移動しているのかも定かではない彼女たちにとっては、驚天動地の出来事なのかもしれない。

 

 途中、ロゥリィが地下を嫌って伊丹にしがみつくということもあったが、予定に変更はなく、日本らしく定刻通りに目的地へと到着した。

 

 停車した霞ヶ関駅では、駒門が手を挙げつつ乗り込んできた。

 

「どうでした?」とは伊丹。実は、今回移動手段が地下鉄へと急遽変更になったのは、本来送迎予定だったバスが何者かによる妨害を受け、到着することが困難になったためである。

 

 そして、それに対して駒門は苦い顔をして返答する。

 

「ダメですね。敵さんの影が見えてきません。市ヶ谷園からレトロパシフィカに場所を変えたことは知ってたみたいですが、それにしては行動が妙だ。……出てきた情報だけなら、容疑者を絞り込むことも不可能じゃありませんが、生憎そんな様子もない。加えて参ったことに他所の国が今こんなことをする理由は薄い。…いけませんね。そういった輩は何をしでかすか堪ったもんじゃない。今、その内の一人に切り返しをかけて、素性を割っている最中です」

 

「モンゴロイドではあるんですが…」とぼやく。

 

 切り返しとは、追跡してきた連中を逆に尾行して、『どこの誰か』を確かめることである。どうやら、今は公安が追っているらしい。

 

 そのことから関連して、ハニートラップやら防諜やらと自衛官ならではの話をしていると、駒門は部下にメールを打ち込みながら今後の予定を話した。

 

「このあとですが予定を早めて、箱根へと向かいます」

 

 だが、そこに口を挟んだのはロゥリィだった。その表情は強張っており、額に珠のような汗までかいた必死の形相である。

 

「ねぇ、すぐここを出たいのぉ」

「どうした。乗り物酔いか?」

「どうにも、気になるのよぉ。落ち着かない」

「あー、あれか。伊丹二尉。さっきの話からすれば、相当に居心地悪いらしいからな」

 

 先ほどあったロゥリィの地下嫌いを知らない駒門としてはよく分かっていない様子だったが、懇願するようなロゥリィの視線に負けた伊丹が面々を見渡すと、一同を連れて車外へと足を踏み出したのである。

 

 これに驚いたのは駒門に加えて、特災課の真樹、浅永、高瀬の4名。新星は然りげ無く後ろに続いていた。

 

「ちょっと待てって、あんた、こっちにも段取りというものが」

「おいおい伊丹二尉。仮にも自衛隊が独断専行ばっかしてると、煙たがられるだけじゃすまないぞ?…まあ、俺が言っても説得力はないがしれないが」

 

 人を掻き分けて後に続いた駒門に、「すみません、降りまーす!」と声をかけて3人分の道を開く特災課。

 駒門は予定外の行動に苦言を呈し、真樹もその経歴故か伊丹の自由奔放な行動には思うところがあるらしい。

 

「いいじゃないか。一駅くらい歩いたって」

 

 実際、銀座から東京駅は目と鼻の先だ。歩いたとしてもそう時間がかかることもないだろう。

 

 その直後だった。

 

 伊丹達が改札を出た頃、地下鉄内に響き渡る轟音。そして数秒遅れて周辺のスマホ全てからけたたましい音量のアラームが鳴り出した。

 

 特地勢はその不愉快な騒音に眉をしかめたが、その意味を理解した一行は目の色を変える。

 

『緊急怪獣災害速報:東京都中央区、銀座地下から未確認の怪獣が出現!周辺住民は直ちに避難してください!繰り返します――』

 

「怪獣警報っ!」

「銀座駅って…、まさか今の!?」

「…待て、発車直後にあの区域一帯が崩れたってことは、あの車両に乗ってた人はどうなった!?」

 

 即座に情報を確認し、姿を認識した彼らはその有様に驚愕する。

 地下鉄を突き破り、地上に現れた四足歩行の怪獣。逃げ惑う人々に対して、映像では微かに見える車両の一部が瓦礫に押し潰されてしまっている。どこまでそれが続いているのか分からないが、少なくとも運転士は最早助からないだろうことは明白だった。

 

 ざわめき立つ周囲の様子を見て、言葉が分からないなりに大変な事が起こったようだと認識したピニャらを始め、日本語を勉強している三人娘も緊迫した表情を見せる。

 

「何だ!?人々が逃げてゆく…。今の地揺れといい、一体何が起こっているのだ!?」

「この不快な音は、危険を知らせる警鐘の様なもの、ということでしょうか」

「……イタミ、今カイジューと聞こえた。もしや、あの揺れの正体がカイジューだから、ここから人が逃げている?」

「えっ!カイジューが出たの!?」

「……ホント、こんな存在が早々現れるなんてありえないわぁ…」

 

 レレイは冷静に確認を取りつつも、しかして何が起こってもいいようにギュッと杖を握り直し、テュカはあたふたと身構える。ロゥリィはこうも容易く現れる怪獣という存在にどこか呆れと諦観を滲ませた表情で呟く。

 それだけ、彼女たちに『カイジュー』が与えた衝撃は計り知れないのだ。

 

「申し訳ない。そういうことですので、我々は離れます。伊丹二尉達は一刻も早く来賓方を連れてこの場から避難を」

「あ、ああ了解。聞いたなお前ら」

「了解!」

「…それにしても、不味いですね。地下鉄がやられた上に夜の銀座に怪獣が…。この前の地底怪獣の補填も成っていないというのに…」

 

 新星の言葉を受けて指示を飛ばす伊丹。威勢よく返事をする栗林に対して、富田の表情は暗い。立て続けに首都内に怪獣が出現し、全て甚大な被害を齎しているのだから、国防を担う自衛官としてはその脅威を切に感じているのだろう。

 

「駒門さん、もう段取りどころじゃないでしょ?」

「……はぁ。全くアンタって人は…。でも、確かにこの状況じゃあしょうがないか。あたしも一度戻んなきゃなんねえ。一緒に行かせて貰いますよ。……全く、あんたは変なことに巻き込まれて敵わない」

「変なことにって、俺は別に望んで巻き込まれてるわけじゃないんだけど…」

 

 そんな伊丹の弁明も聞かずに、駒門は携帯電話でどこかへ連絡を取りながら、伊丹らを先導するように歩き出した。

 

「救援を要請します!先ほどの怪獣出現に伴う破壊に丸ノ内線が巻き込まれました!まだ内部に生存者が残されている可能性が!」

「怪獣の誘導は可能ですか?…はい、ええ。地底怪獣であるのなら、光や音波による刺激に反応するかもしれません。ええ、上空からソニッターによる牽制が効果的かと」

「浅永、俺は架線の方を見てくる。室内に取り残された人がいないか確認してくれ」

「はいっ!」

 

 忙しなく動き回る特災課を尻目に、人々の流れに従うようにして伊丹達は地上へと目指した。

 

 地下鉄駅から地上……夜の銀座に出て、地下という空間から解放された特地ご一行だったが、安堵する暇などない。

 

 夜の銀座の街並みは、昼間とはまた趣の異なる煌びやかさに包まれている。それもそうだろう。冬の今頃はクリスマス前ということもあって、イルミネーションによって鮮やかに彩られている。

 

 しかし、それに目を奪われている余裕はない。

 

 銀座の街は逃げ惑う人々の悲鳴やパトカーのサイレン、アラートが絶えず鳴り響いており、とても安心などできる状況ではない。

 

 銀座駅から少し距離を置いて背後を見やれば、夜の街並みに照らされた巨大な影。

 

「あいつが今回の騒動の怪獣ですか…!」

「いかにも地底に住んでますって面だな…。それで交通インフラが破壊されてんだから厄介極まりないねぇ」

 

 その怪獣は、鼻先に特徴的なドリル状の角を備え、全身は茶褐色。ゴツゴツとした岩のような質感の甲殻に身を包み、巻き貝にも見える突起が体中から生えている。

 

 即座に到着したヘリによってライトアップされ、その存在は瞬く間に周知されていった。

 

 『熱線怪獣 グライム』

 

 この地球では周知されていない怪獣の一体だ。

 

「イ、イイイ、イタミ殿!我々はどこへ行けばいい!?」

「街の中にまで、カイジューが……」

「……やはり、数種類程度では済まない数がいる?あれほど違うとなると、弱点も対処も違うはず。……何故、人間が生きていけるのか。……ジエイタイ、そしてトクサイカとは、それほどまでに強力な……?」

「………あれの相手をしなきゃいけないなんて、こっちの兵士も大変なのねぇ」

 

 特地の娘たちがグライムを見て口々に感想を言う中で、伊丹らは当初の予定通りに市ヶ谷園を目指すことにしたらしい。

 

 宛もなく逃げるよりは、上からも居場所が把握しやすい位置にいた方が素早く動くことが出来るとの判断だった。

 

「ギュアアァァァァ!」

 

 いかにも凶悪そうな眦をしたグライムが唸る。既に到着した特災課のヘリから浴びせられる音波と閃光に怯むと、虫を払うかのように顔を振り始める。

 

 ソニッターの刺激はグライムの侵攻を阻むに足るものだったらしい。

 

『ソニッターによる威嚇効果アリ!繰り返す!ソニッターによる威嚇は効果アリ!』

『よし、新星副隊長の進言通りだな。……だが、今はよくとも、直に慣れるだろう』

『はっ、しかし、今は周辺住民の避難が間に合っておりません。戦闘機による爆撃が出来ない以上、これしかないかと』

『それは十分に理解している。ただ、場所が悪い』

 

 ソニッターが初めて活躍したことに、開発チーム含めた隊員たちから歓声が上がるが、続く言葉にはみなが苦虫を噛みつぶしたような顔になる。

 

 それも当然。グライムが現れたのは銀座駅から出発してすぐの線路上。

 

 つまるところ、『門』の目と鼻の先に現れてしまったのである。

 

 当然ながら、これに焦ったのは自衛隊と政府だ。

 現在調査中の特地自体も気がかりだが、何よりも不味いのはその先に多くの自衛隊員と多くの装備があるのだ。

 

 最悪の場合、装備は捨てて退却してもよいというお達しは出ているが、無駄にしていいわけでもない。

 何より、育成に時間と資金を大量に費やす貴重な自衛官。およそ3個師団相当の6個戦闘団(2個は未編成)、2万5000人。その数は自衛隊の総員24万人の内、約10分の1に相当する。

 

 たかが10分の1かと思うかも知れないが、一国の防衛力がいきなり10分の1、それも高官まで含まれていると考えれば、どれほどの大事か理解できることだろう。

 

 そんな場所に現れたものだから、堪ったものではない。早急に引き離さなければならないが、今も言った様に、ここは避難の完了していない街中。これまでのように火力で誘導することは困難だ。

 

 デマーガのように、ある程度開けたスペースから侵攻してくるならばともかく、地下鉄を突き破って出てきては、何処へ誘導しようにも人がいる方向になってしまう。

 

 更に言えば、直ぐ側には皇居があり、怪獣にとっては少し動けば踏み潰すことも出来る。

 

『クソ…!ただでさえ力が足りないというのに、その力すら発揮できないとは…』

 

 そう呟く言葉に、作戦指揮所からは同意の声が漏れる。だが、弱音を吐いている暇はない。

 今こうしている間にも、果敢にグライムの気を引く特災課や、避難誘導を行う部隊が命を賭けているのだ。これ以上、その蛮行を許すわけにはいかない。

 

 一方その頃、現場では四足歩行をするグライムの顔めがけて、一定のタイミングでソニッターが浴びせられていた。

 距離を保ちつつ、けれど有効な効果範囲を見極めた歴戦のヘリパイロットによる操縦で、乗組員が牽制を果たしている。

 

 念の為小火器も保持してはいるが、最早豆鉄砲と割り切り、情報提供にあったように、ソニッターに集中している。

 

 更に、夜中というのが良かった。これが昼間であったならば直ぐに光にも慣れていただろうが、グライムにとっては稀に現れる強烈な光は刺激として十分に効果を発揮していた。

 

 のそのそと四足で闊歩するグライムの気を引きつける様に、周囲を飛び回るヘリコプター。

 

 そのたびに鬱陶しそうに顔を振り、少し経って侵攻を再開する、というその一連の流れは、決して止められないという結論を想起させたが、同時に僅かにでも歩みを遅らせることが可能なのだと、彼らを奮起させていた。

 

 そんな時だった。

 

「キュルアアァァァァ!」

 

 グライムがその前脚を高く持ち上げ、二足でもって直立したのだ。

 

『怪獣、二足歩行に変化!』

『今までのように近づきすぎるな!何をするか分からんぞ!』

 

 警告が無線機越しに繰り出され、直後、グライムの角に赤い光が灯ってゆく。

 

『対象角部に高熱源反応!警戒してください!』

 

 真紅に染まったその鼻先を狙いを澄ますようにギョロギョロと凶悪な瞳で周囲を睥睨する。

 

『距離を取れ!』

『何かする気だぞ!』

 

 その声が響き渡ったと同時、大きく舵をとって急上昇を始めるヘリコプターの群れに、それは放たれた。

 

 太く赤い熱線の束。

 硬い岩盤すら融解させる膨大な熱量を持つそれが夜の銀座の空を明るく照らしながら放たれる。

 

『躱せえぇぇぇっっっ!!』

 

 それは一瞬の放射ではない。

 熱線を放ちながらグライムは照準を合わせるように空を飛び回るヘリへと鼻先を向けようとしている。

 

 最初に放たれた熱線が遠方へと直撃し、火柱を上げる。

 

 以降は流れ弾を恐れてグライムの上空で躱すヘリ部隊だったが、機動力で戦闘機に劣るそれでは、そう長くは持たないだろう。

 

 今だって、グライムの身体構造上、放射先である角先が上部へと向けづらいがために生き残っているようなもの。

 

 さりとて、こうして安全地帯に避難しようにも、標的を見失ったグライムの興味は街中へと向かってしまうだろう。

 

 そのことに気づいた現場指揮官が忸怩たる思いで拳を握る。

 

 最早、こうなってはソニッターによる誘導は望めない。攻撃を行おうにも、あの高層ビルの立ち並ぶ現場にて、市民に被害を出さずに乱発される熱線を掻い潜れるパイロットは少ない。

 

 そうしている間にも、グライムの注意は目の前に鎮座する門を囲む一陣へと向けられていた。

 

 門発生以降、厳重な警備を敷いているとはいえ、それはあくまで対人に限るもの。

 門自体もドームで囲っているが、怪獣の熱線など耐えられるはずもない。

 

 再び、首都を荒らされるしかないのか。そう誰もが思ったその時、走り出した人物がいた。

 

「高瀬君!真樹君達が市民を連れてきたら地下鉄経由で霞ケ関駅まで歩くように指示を!」

「歩いて!?…副隊長は!?」

「私は地上に出て怪獣誘導に加わる。任せたぞ!」

「って、ああもう!」

 

 言葉を待たずして、新星が地上へと上がる。

 暴れるグライムの姿を間近に捉え、大急ぎで近くの建物の影へと姿を隠す。

 

「ふっ!」

 

 懐から取り出したのは、スティック状のアイテム。

 ノヴァスパークを開き、輝きを灯すそれを大きく振りかぶると、勢いよく天へと突きかざした。

 

「ノヴァーーーッッ!!」

 

 光の巨人、ウルトラマンノヴァが現れ、両手を翳すと光の盾が出現し、グライムの放った熱線を食い止める。

 

「ディアッ!」

 

 突如現れたウルトラマンノヴァに、グライムが警戒の唸り声を上げた。 

 

 

 

 

 

●●●

 

 

 

 

 

 地上を暴れ回るグライムを食いとめるべく、ウルトラマンノヴァが現れたと同時、地下では真樹が救助活動を行なっていた。

 

 グライムの出現に巻き込まれた丸ノ内線は先頭車両を潰され、無残な状態と成り果てているが、それでも全車両に人が残っていないなんてことはありえない。

 

 今も残された人のために真樹は動く。

 

 案の定、ある程度走った先には停車した電車が鎮座していた。

 その衝撃で線路からは外れ、横転したり、斜めに傾いたまま停まっている車両もあったほどで、操作も上手くいかないのか、扉などは閉まっていた。

 

 取り残された人々を救うため、携帯していた銃器と道具で窓を割り、中の人々を次々に外へ出して誘導していく。

 

「あ、ありがとうございます…!」

「おじちゃん、ありがとう」

「おう、よく頑張ったな。えらいぞ」

 

 瓦礫の影響の少ない車両の人を解放すると、へたり込んでいた一人が声をかけてきた。

 

「あ、あの!自衛隊の人ですよね!?な、何があったんですか!?」

「私は特災課の者です。ここ、銀座に怪獣が出現しました。この電車はその拍子に巻き込まれた様です」

「そ、そんな…」

「落ち着いてください。それよりも、歩ける方は怪我をした方や子供、お年寄りをフォローしてあげてください。線路伝いに歩けば、私の仲間がいます。そこで指示に従って避難をお願いします」

「わ、わかりました。あなたはどうするんですか?」

「まだ残された人がいるかもしれません。先頭車両の様子を見てきます」

 

 そう言って、真樹は崩れた天井の瓦礫に足をかけて、先頭車両を目指す。

 

「怪獣め…。やってくれたな…」

 

 恨み言を呟きながら、縫うように先を進むと、どうにか人が通れそうなスペースに窓を見つけた真樹は、周囲が崩れないかを確かめると窓へと張り付いた。

 

「何…?」

 

 その惨状から、既に凄惨な現場すら想定に入れていた真樹だったが、その予想は裏切られた。

 

「どういうことだ…?」

 

 確かめるべく、窓を割って内部に忍び込んだ真樹が目にしたのは、無人の車両。

 

 それも、カバンや傘、紙袋やマフラーなど、まるで手にしたものすべてが散乱している様子には不気味な何かを感じたものだ。

 

「誰か!いないか!返事をしてくれ!」

 

 しかし、真樹が大きなよく通る声で呼びかけても、安堵の声はおろか、うめき声一つない。

 

「っそうだ!運転手なら…!」

 

 流石に、そこならばたまたま人がいなかった、というわけもない。

 

 というよりも、グライム出現の状況を考えれば、逃げようがないはずである。

 

 そう思い、瓦礫が突き破り、最早人の潜むスペースなどないであろう運転席へと向かう。しかし、そこには運転席を貫く瓦礫に、それに潰された形跡もなく、かつて運転手が身につけていたであろう帽子だけが瓦礫の下に鎮座していたのだった。




ハッハァー!

オメガ怪獣をもう出すとは思わなかっただろ!


「熱線怪獣 グライム」ウルトラマンオメガ第1話「宇宙人がやって来た」にて初登場。

地下鉄を突き破って銀座の街に出現しました。門を死守しないと特地の自衛官と設備全部ロストするとかいうクソゲー

おや?このタイトルは何故か同じですね…?
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