ウルトラマンGATE 超人 彼の地にて、斯く戦えり   作:食卓の英雄

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まさか初回投稿だけで日間ランキングに乗った上にUA2万突破&お気に入り数2000件突破&評価バー真っ赤&評価者数150人突破するとは……!
特撮でオリジナルものはあまり好まれないと思っていたのでびっくり。過分な評価痛み入ります。
やっぱ好きなんすねぇ。光の巨人。



地球で発見されたウルトラマンが引き起こした 『初めての怪獣遭遇戦』から1週間。

感想欄は、某プロダクションの人達(いろんな意味で)大丈夫か?派・怪獣への地球側の対応派・ウルトラマンがんばえー派の3つに分かれ、混沌を極めていた……。


名もなき人々の声

 

 銀座へと光の巨人が降り立つ数秒前、航空自衛隊のレーダーサイトが高速で飛来するそれを感知していた。

 

「…!何かが高速で銀座に飛来してきています!」

「何!?どこの機体だ!?」

「いえ、それが…。速すぎます!マッハ27…9261m/sです!」

 

 その言葉に誰もが信じられないと声を上げる。

 

「マッハ27だと…!!?どこかの国の最新兵器か何かか!?」

「大陸間弾道ミサイルでも、そこまでの速度のものは…!」

「それよりも、迎撃は可能なのか!?」

「現地にいる自衛隊員へ通達は!?」

 

 驚異的な速度で迫るそれに慄く者。それを成し得る存在を選考しようと考えに耽る者。そして何より、それの向かう先である銀座へ向けられる心配が木霊する。

 

「迎撃は…不可能です!」

 

 絞り出すように放たれた言葉は彼らの期待を裏切るものであった。ただでさえ、銀座に現れたというファンタジー染みた軍勢による混乱のせいで、指揮系統がズタズタにされた矢先の話だ。

 

 まして、ようやく終息を迎えた事件の直後に、巨大怪獣が現れて戦闘機すら一蹴し、挙句の果てにはミサイルでもそうは出せない速度のものが向かっているなどと、一体誰が想像出来るというのか。

 

 混乱と狂騒のままに、せめて勧告だけでもするべきだと、大慌てで通達の準備をした瞬間、それは降り立ったのだ。

 

 

●●●

 

 

 

 その光景は、皇居に避難している市民たちからも見えていた。

 何せ、怪獣は大きい。モンスターという違いはあれど、前時代的な異世界からの侵略者相手には十分耐え凌いでくれた皇居だが、あの怪獣を押し留めることなど出来るはずもない。

 

 否、あちらが大きすぎて、最早障害とすら見做されずに素通りされる程度でしかないのだ。

 

 故に、恐れる。あれ程の巨体の生物が牙を向けばひとたまりもないのだと。そして、一刻も早く自衛隊が撃退してくれることを祈っていた。

 

 そんな最中に現れた3機の戦闘機はまさしく希望だったのだろう。素人の彼らからしても、戦闘機と個人の火器ではどちらが圧倒的に優れているか理解できる。

 

 まして、戦闘機は自由に空を飛び回り、音速を超えるスピードで攻撃が出来ることを知っていた。

 

 戦車や戦艦などでは近づかれて質量のままに潰されてしまってはおしまいだろうが、同じ戦闘機や専用に特化した兵器でもない限り、音速を超えて飛び回る戦闘機には為すすべがないに違いない。と。

 

 だからこそ、みな「戦闘機なら大丈夫だろう」と興奮交じりに安堵したのである。「怪獣などはフィクションの産物。結局は生き物なのだから、ミサイルに勝てるわけがない」と。

 

 だがしかし、遠方からミサイルの直撃を見届けた彼らに強い動揺が走る。ミサイルが急所である顔に直撃したにも関わらず、まるで応えた様子もなく街を闊歩する怪獣の姿に。

 

 言葉を失った。先程までの声援がしんと静まり返る。だが、旋回して再度攻撃に移った戦闘機を見て再びざわめくも、直後のカッター光線によって二機が撃墜させられたことによって、とうとう絶望は色濃くなる。

 

 何せ、自分たちが信を置いていた、生物には過剰過ぎる火力のそれを易々と耐えられた上に、圧倒的な速度で動く戦闘機にすら追い縋り、一撃で破壊してしまう怪光線。

 

 銀座の大虐殺に始まり、それが落ち着いたかと思えば、巨大怪獣の出現。やっとの思いで逃げ、安堵した瞬間にこれだ。

 

 未知は怖い。大きいは怖い。まして、それが自分たちの知る能力で対処が不可能なものだと思えば尚更に。

 

 「ここに居ても大丈夫なのか…?」「もっと強いミサイルはないのか!?」「ね、ねえ、今のうちに逃げたほうがいいよね…」「ヤバいって、日本終わったって…」「いやもう、あれは無理だろ」

 

 口々に呟く人々。その声音は不安、恐怖、放心と様々だが、明るい様子は欠片もない。

 

 幸いにして現場からは避難できていたが、さりとて何だというのか。怪獣に殺されるか、あの場でよく分からないままに殺されるしかなかったのではないか。

 

 恐慌にも近い思いが舌を乾かし、胸中を掻き回す。

 

「皆さん落ち着いて!大丈夫です!あれはまだこちらに気づいていません!今のうちに裏の門から避難を続けて下さい!」

 

 この場へ人々を避難させた自衛官、伊丹耀司は声を張り上げる。

 散り散りになってしまいそうな人々に、慣れない激昂を上げて冷静にさせる。いや、出来ずとも行動指針だけは示す。

 普段はちゃらんぽらんな彼だったが、流石にこの状況では真剣にならざるを得ない。

 

 有効な武装は無し、相手は超巨大な怪獣で、戦闘機すら歯が立たない。

 ならば、最早それ以上の戦略兵器クラスの導入が真剣に検討されかねない。そんなものを日本の街中で放てば、仮に手段がそれしかなかったとしても糾弾は避けられない。

 

 まして、人がまだ近くにいるとなれば尚更に。

 

 面倒なことになったと思いつつも、今この状況でそれを顔に出してしまえば、それが伝播して不信が募るだろうことは十分に理解していた。

 

「皆さん早く!身体に不調を抱えている方や子供たちを補助し合って…」

「お、おいアレ…」

「え、嘘…。ほんとに?」

 

 途中まで口に出し、先ほどの反応がないことに気づく。まだ幼い子供を腕に抱えながらも、何事かと首を傾げる。

 市民の視線は怪獣がいる銀座に向いている。だが、その表情には先ほどの不安や恐怖は薄れ、驚愕と興奮、そして期待と困惑の感情が込められていた。

 

「何だってんだ一体…?本格的に自衛隊が出動でも……」

「あー!!」

 

 子供を抱えているために回りにくい首をぎこちなく回そうとして、その至近距離からの歓声に耳をやられる。

 

 「うごごごご…」と大げさに唸りつつも、とうとう伊丹はそれを視界に収めた。

 

「……ウッソぉ?」

 

 伊丹が見たのは、怪獣に向き直る、青と銀色の体色を持つ巨人。日本の特撮と言えばと真っ先に上がる、日曜朝のヒーローたちに並ぶ知名度の、否、知名度だけであればそれよりも高いかもしれない、巨大ヒーローの様であった。

 伊丹は特別に特撮オタクというわけではないものの、そのある意味共通認識の姿は、日本国民であれば知らない人はいないだろうと自信を持って言えるものだ。

 思わず、これは夢ではないかと頬をつねり、また上がった大声にキーンと耳をやられて現実だと確信する。

 

 誰もが、そのよく知る巨人の姿に希望を見いだし、そしてそんな事があり得るのかと困惑を浮かべていた。しかしその硬直も束の間。

 

「ウルトラマンだ!!」

 

 子供の無邪気な歓声がきっかけで、大人たちからも次々と声が上がっていく。

 

「青いウルトラマン…」「…え、嘘……本当に?ウルトラマン?」「どういうこと…?」「夢でも見てるのか…?」「何だっていいだろ!」「が、頑張れー!ウルトラマーン!!」「そのバケモンを倒してくれー!!」「とにかく、頑張ってくれー!!」

 

 怪獣を相手取って格闘戦を繰り広げる青き巨人へと、人々は一縷の望みをかけて声援を送る。

 それは生存への願いであり、恐怖を和らげる期待であり、馴染みのあるヒーローへと向ける信頼であった。

 

 

 

 

●●●

 

 

 

「―――ディアッ!!」

 

 空から、光が降り立った。

 

 否、それは輝きを内包した巨人。青と銀の巨人は、脱出した2人をビルの屋上へと預けると、特徴的な掛け声を発して怪獣と向き合ったのだった。

 

 その光景を、愕然と見つめるヘリの乗組員たち。

 

「…夢だ。夢に決まってるぜ。こんな都合よく…」

「ウルトラ、マン……」

 

 絶体絶命かと思えば、空想の存在であったヒーローが現れ、怪獣と向かい合っているのだ。平時であれば子供じみた夢だと一笑に付したであろうが、生憎とこれは現実である。

 

「グルルルルル……!!?」

「ディアッ…!」

 

 戸惑うカミソリデマーガに構えるウルトラマンらしき巨人。

 

「デャッ!」

 

 先に駆けたのは青き巨人の方だった。

 

 真っ直ぐ行って突き出した拳が、カミソリデマーガの顔へと突き刺さる。響き渡る重低音。ただ殴っただけの行為が、巨体になるとこんなにも重くなる。

 

「グルゥ…!?」

「ディッ!デャデャデャデャデャデャデャデャデェアッ…!!」

 

 怯んだその隙に顔面や腹へと連続で拳を突き出し、一撃、二撃と追撃を加えていき、顎を掌底で跳ね上げる。連続攻撃に怯んだカミソリデマーガだったが、すぐに体勢を立て直すと、目の前の敵を殲滅せんと、腕のレザーエッジを振るう。

 

 振るわれたそれをしゃがみ、受け止め、横合いに手刀を叩き込むと、両腕を掴んで鉄棒の補助台のようにして蹴り上げながらバク宙、距離をとって構える。

 

「ゼアッ!」

「グラララルォ!!!」

 

 向き直る両者。睨み合いの末、今度はカミソリデマーガから仕掛けた。

 その巨体には見合わぬ動きで進撃。見て分かる通りの重量級の肉弾戦車が、勢いのままに突進する。

 

「ダアァッ……!」

 

 巨人が両腕で抑え込もうとするが、勢いを殺しきれず、僅かに後退する。

 踏ん張る巨人を押し倒さんと殴りつける怪獣だったが、殴打を食らって尚、巨人は退かない。

 

「デッ、ゼェイッ!デェァッ!!」

 

 続けて放たれた一撃を、振り切られる前に左腕で受け止め、踏ん張っていた足を引き戻して強烈なニーキックを無防備な腹へと打ち込んだ。

 

「グォッ…!?」

 

 その衝撃に怯んだ怪獣を、今度は巨人が逃がすまいと頭に組み付いた状態でニーキックを連発する。

 これには怪獣側も堪らず大暴れして拘束を解くと、巨人の胸を斬り裂いた。

 

「デュアッ…!」

 

 勢いを取り戻した怪獣はたたらを踏んだ巨人へと、続けざまに斬撃を浴びせていく。

 

 飛び散る火花。巨人も負けじと反撃するが、どうにも動きのキレが悪い。攻撃を受けながらも手刀や打撃を与えていくものの、金属の様な光沢を放つ強靭な皮膚が威力を大幅に減衰させていたのであった。

 

 怪獣の全体重を乗せたタックルを何とか抑え込むが、今度は怪獣も学習したのか、背中に並ぶ刃から続けてカッター光線を直撃させる。

 

「デュワッッ!?」

 

 だが、それでも押し留めようと縋る巨人へトドメを刺すため、先ほど見せたものとは異なる、灼けた溶鉄の如き熱線を口から放射した。

 

「ズェアァ…ッ……!!」

「グルラララァッッ……!!!」 

 

 倒れ伏した巨人を足蹴にして勝利の雄叫びを上げる怪獣。

 

 何とか立ち上がろうと手をつくも、地団駄を踏むように何度も踏みつけられてそれも叶わない。

 

 その窮地を表すように、巨人の胸に輝く光が赤く点滅し始めた。

 

 

―――…

 

 

「ああっ…!」

「ウルトラマンが…!」

 

 劣勢に陥った巨人に、救われた二人が屋上から悲鳴を上げる。が、そこでふと考えに至った。

 

「…待て、何でウルトラマンは正面からしか行ってない?」

「…え?そ、それは…狭いからとかじゃないですか?」

 

 確かに銀座の街並みは巨人たちからすれば手狭だが、映像作品ではそのような縛りがあっても大立ち回りを演じていた回も複数ある。

 

 では何故真正面からしかいかないのか。理由は一つだ。

 

「…俺たちがここにいるから、じゃないのか?」

 

 普通であれば、突然現れた未知の存在へと向けるほどの信頼ではないが、今さきほども命を救われたばかり。

 

 仮にここでウルトラマンが建物を超えて移動したり、怪獣を投げ飛ばしたりしては、まだ近くにいる隊員に被害が出る可能性が高い。

 

 何せ、怪獣側は制限など必要ないのだから。

 

「…私たちが、足枷になっている」

「……ああ、悔しいが、人間は戦闘機を撃ち落とすようなバケモンに対抗出来るようには創られてないってことだ」

 

 これは隊員たちは預かり知らないことではあるが、このウルトラマン―――ノヴァには自身の後方にある銀座の広場にて、拘束されたまま残されたゴブリンやオークといった怪異の存在を把握していた。

 

 それも完全な把握というわけではなく、あくまで地上に人型の生物が残されている。程度の認識ではあったが、事態が終息した後にカミソリデマーガが現れたように、ノヴァもまた異世界の軍勢が現れ、市民を虐殺したことも、残されているものが怪異と呼ばれる生物であることも理解していない。

 

 故に、逃げ遅れたか逃げられない状態にある市民の可能性を考え、退くことが出来ないでいる。

 

 当然、光線や投げ技もアウトだ。光線を撃とうにもカミソリデマーガの背後の隊員を気にかけねばならず、逆にカミソリデマーガにはどちらに行かれても困る。

 

 だからこそ、周辺を巻き込まず、相手の攻撃も全て体で受け止め正面からの肉弾戦を余儀なくされていたのだった。

 

 踏みつけにされる恩人の姿をただ見つめることしか出来ないでいることに無力感を募らせながらも、脱出時に腰をやられた当人には避難することすらままならない。

 

「くそっ、自分の身も国も守れないで、何が自衛隊だ…!」

 

 悔しそうに呻く彼の姿を見て、もう一人の隊員がその肩を支えた。

 その瞬間、聞き馴染みのある音と共に彼らの頭上に影が差す。

 

『ただいま現場に到着した。これより脱出したパイロット2名の救出を行う』

「あれは…陸上自衛隊の」

 

 彼らの元に訪れたのは、銀座で起こった暴徒へ対応するため出動した多用途ヘリコプターUH-1J。

 怪獣出現からは離れて様子を伺っていたが、残された二人と怪獣とウルトラマンの戦闘の経緯を見て注意が向いていると判断して接近してきたのだ。

 

「降下する!」

 

 救助用ウインチからホイストを伸ばし、隊員が素早く降りてくる。時間的余裕はない。だが、そのために来たわけではないとはいえ、彼らは両者共にプロ。抵抗も説明の時間もなく手早く固定されていく。

 

「こいつから先に頼む」

 

 すんなりと装着したパイロットを先に行かせ、彼も準備を進めるが、いざ上昇の為に抱えたタイミングで激痛が走り苦悶の声を上げる。

 

「ぐうぁっ……!!」

「…!腰を負傷したんですね。今担架を…」

「いや、いい。このまま上げてくれ」

「しかし…」

「いいから早くしてくれ。ここで時間を使ってウルトラマンは負け、みんな揃って死ぬよりはマシだ」

「………分かりました。出来るだけ負荷をかけないよう尽力します」

 

 宣言の通りに丁寧に抱えられたが、やはりそれでも痛みは走る。彼は腰の骨を折っていたが、鋼の精神力で押し殺し、不動を貫いた。

 

「2名の救助完了しました」

『了解、直ちに現場を離れるように』

 

 言葉は短い。ヘリのパイロットを見れば、その頬には汗が伝い、極度の緊張感に晒されているらしい。

 

 高度を上げ、その場から退避するヘリの中からその一幕を見つめ、最後に大きな声で叫んだ。

 

「俺達はもう大丈夫だ!立ってくれウルトラマン!」

 

 遠い上空から地上へ。ヘリの羽音にも、怪獣の攻撃にも阻まれるその小さな声が、ノヴァへ届いたか定かではない。むしろ、やかましく音を立てて飛び立つヘリの存在にカミソリデマーガは気が付き、足蹴にしている巨人への追撃を止め、背部のカッター光線を放とうと青いエネルギーを迸らせる。

 

 だが、それが致命的な隙を生んだ。

 

「デュアッッ!!」

「グギャオッッ!??」

 

 渾身の力を込めて立ち上がったノヴァに足を掬われたカミソリデマーガは、姿勢を崩し地面に叩きつけられる。

 

 巨人の反撃が、今始まる。




一話で終わらせるつもりだったんですけど何か続きました。

最初からカラータイマーが鳴るという具合です。はい。
一応理由があって、まずカミソリデマーガが上に向かって光線を撃った通り、ノヴァは地球に到着したと同時にそのまま戦っています。
まさか怪獣や宇宙人も暴れていないのにそのまま地球に現れるわけにも行かないので、この世界の宇宙空間に一度出て、そこから駆けつけたのと、途中で地球襲撃を企てているバルキー星人&マグマ星人&ナックル星人&ツルク星人の連合と一戦交えた後そのまま来たので疲労があります。
そのうえで光線や投げを封印してブルー族なのに殴る蹴るしか出来ないという色々な制限の結果、初戦で床ペロする事態となりました。まあカミソリデマーガも結構強めだしね。
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