ウルトラマンGATE 超人 彼の地にて、斯く戦えり   作:食卓の英雄

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2ヶ月以上お待たせ致しました。
そして前中後編を予定していましたが、思ったよりも膨らんだので前編(1)(2)のようにしました。それでも足りなかったら?…………まあ、うん。

それと匿名を解除致しました。まあ普通に触れてたりするから知ってる人もいらっしゃるかもしれませんが


禁じられた侵略:中編(1)

 

 予期せぬ合流もあったが、無事に一時の休息を得ることが出来た一行。

 山海楼閣の露天風呂にて疲れを除き、見事な夕食に舌鼓を打つ。

 

 風靡な景色と雰囲気で酒呑みし、火照った身体で寝床につく―――といきたいところであったが、今現在、伊丹達は浴衣から制服へと着替え直し、持てる物資を纏めて警戒態勢をとっていた。

 

 その理由は、伊丹が嘉納防衛大臣直々に忠告を受けたことに加えて、わざわざ予備戦力として特災課のエリートが配備されたことで、これは何かマズイ事態になっているかもしれない、という判断によるものである。

 

 実際、特災課は未だ技術もセオリーも確立されていない怪獣災害への高い権限を持っていることから、並の自衛官では入れないほどに高い壁だ。

 無論、レンジャー徽章や特戦群ほどとまではいかないものの、それとは別ベクトルでの超人や性能を持つ人員も多い。

 それも、少数での部隊指揮と対応権限を許されているこの分遣隊ともなると、更に上澄みになる。

 

 常ならば、特戦群を動かし国内での戦闘活動を許可するだけでも非常事態であると推測できるのに、それすら不安視しているのが、当の防衛大臣だと言うのだから、笑えない。

 

 もしこれがどこぞのお偉方であれば、いくら万一あるったって、過保護だねぇ。などと呟いたであろうが、嘉納の人柄をよく知る伊丹はその様な無駄な運用はしないだろう。

 

 あの短いやり取りでそれを読み取ったからこそ、栗林にも禁酒を命じ、寝る時は動きやすい服装に着替えてくれとまで厳命したのだ。

 

 一日動き回ってやや疲労の残る一行だったが、そう言われてはおちおち眠ることも出来ないと起きているのだ。

 

 そうして荷を纏めている富田がふと声を上げた。

 

「本当にこっちにまで何か起こるんですかね」

「っていうと?」

「いえ、だって今のご時世でそんな規模の大きなことしますかね?特地からの来賓だって話はもう日本中に広がってますし、ウルトラマンが現れたことで中継映像そのものの知名度も上がってます。……何とか協力関係を築こうとしてるって時に、そんなことしたら世界中から目の敵にされますよ。特地に行ったって、怪獣被害から逃れられることもないってのは既に周知されてますし」

 

 富田が語るのは、今の世界情勢を基にした、いわゆる真っ当な人間の意見であった。

 

 実際、これまでは争いや諍いも多かった国家の一部も対策会議や技術開発のための協力関係や協定を受け入れたりなどもしている。

 

 勿論、その裏での政治的なやりとりであったり、技術競争、ひいては怪獣被害による国力の推移などで密かな争いはあるが、それもまた致命的なものではない。

 

 世界どころか、地球を巻き込んだ宇宙規模の騒動は意識を一変させるには十分だった様である。……中には受け入れず、旧的な支配を続ける者もいたが、この過渡期に巻き込まれる民は溜まったものではないと支持率を落としたり、新たな頭目が立ったりとしている。

 

 詰まる所、そんな現状を大きく崩そうという人物は、余程のアドバンテージでもない限りはそれを成す必要性がないのだ。

 

 だからこそ、富田はそんな馬鹿な真似をする連中が、警察や()()特戦群の包囲網を抜けてまで特地の来賓を狙うのは一体どんなメリットがあるのか、と思ったのである。

 仮にどこぞに襲われたことにして、日本の護衛失敗と来賓の救助で恩を売るという線も考えはしたものの、肝心の恩を売る相手が攫った相手では、そう上手くいくはずもない。

 

「そりゃあ、ね。そういうことなんじゃないの?」

「そういうこと、ですか?」

 

 伊丹のうんざりしたような言葉に今一要領を掴めないとばかりに首を傾げた富田の耳に、新たな声が聞こえてきた。

 

「地球の協力体制を快く思わない勢力か……はたまた、そもそもそんなものに縛られる存在ではないか、ってことさ」

「真樹隊員」

 

 見れば、真樹の後ろにも万全の装備を整えた新星、浅永、高瀬が控えており、その装備は自衛隊としては見慣れないものだ。

 

 自衛隊支給の20式5.56mm小銃も掛けてはいるものの、最も撃ちやすい位置には奇妙な銃が提げられていた。

 

 それはP90を逆にして、銃床を更に1.3倍程伸ばした様な妙な形状で、更に本来銃口がある側には着脱可能な伸縮ストックが着けられていた。

 

 富田は特別銃器に明るくなく、見ただけであらゆる銃種を言い当てることが出来る様な趣味は持ち合わせていなかったが、それでも自衛官である。

 何かと人気の高いP-90そのものは知っているが、それを逆さまにした形状の銃など見たことがなかったのだ。

 

 問いただしたかったものだが、特災課では専用装備や支援があるのは知っていたためいったん思考の外に追いやり、先の言葉を考える。

 

 こちらの政治に縛られることのない存在。銀座事件の際に潜伏した特地側の軍人や、宗教組織。過激派テロリストなど、さまざまな候補が浮かぶが、この場に特災課の中でも特殊部隊とされる人員が配備されていることから、自然とその相手に予測がついた。

 

「………もしかして、宇宙人、ですか?」

「その可能性はゼロじゃないってことさ。実際に、怪しいやつを追った公安からも何の証拠も残さないまま行方不明だ。十分警戒したプロが、何も残せなかったんだ。……それに、昨日の怪獣が出現した時に巻き込まれた電車の先頭車両には、手荷物や被り物なんかを残して人の姿はなかった。まさに怪奇現象だったよ」

「そ。真樹さんの報告があったから、時期と場所からして同一犯の可能性があるってことで、こうして忙しいはずの彼らがこんな風に護衛に回ってくれてるの」

 

 富田はゴクリ、と自然と唾を飲み込む。

 地球での怪獣出現に富田は参加していないものの、特地では目の前で見届けたそれ。そのレベルの存在が、明確な知性を持って襲いかかる姿を想像しては、不安に苛まれる。

 

 かつて自衛隊が特地の軍勢にしたように、格段に異なる技術で同じように蹂躙されるのではないかと思うのも自然なことだ。

 

「その心配も当然のことだろうさ。だがな、それでもやらなきゃいけない。……いつまでもウルトラマンの助けを待つだけじゃいけないんだ」

 

 実際に人知を超える存在相手に奮闘している組織の筆頭だ。その言葉の重みは違う。

 

「ま、何事もないのが一番だけどさ」

 

 伊丹がそう呟いた直後、ギィッ、という木造建築ならではの軋みが微かに届いた。

 

「「「っ…!」」」

 

 他の面々の耳にも届いたようで、同様に顔を強張らせた。気付いていないのは、本職ではないレレイと梨沙。そしてこの状況に対して会話をしていたピニャとボーゼスくらいだろう。

 

「……静かに。何者かが近づいてきている」

「ニイボシ殿。……もしや、敵が?」

「分からない。ですが、直ぐに動けるように備えを」

 

 だが、周囲の反応から危機を察することは出来る。ピニャが問えば、改めて状況を伝えられた彼女たちにも緊張が走る。

 

「……襖や窓の直線上には立つな。壁沿いで射線を切れ」

 

 絞り出したような伊丹の言葉に、それぞれがハンドサインと行動で以て対応する。

 

 しかし、そんな中に於いて、その命令を完全に無視して襖の前に立ち塞がる者がいた。

 

「ちょっ、おまっ、何してっ…!」

「厭よ」

 

 妖しげな笑みを深めるゴスロリ神官、ロゥリィ・マーキュリーである。

 

「だってえ、このすぐ近くで誰かが戦っているでしょぉ?」

 

 可能性はあるとは言っていたものの、そんなに分かるものか。と問おうとして、伊丹はイタリカでのロゥリィを思い出す。

 戦死者の魂は彼女の身体を通じて彼女の信仰する神の元へと召されると言う。その際、ロゥリィの身に性的な興奮にも似た反応を起こしていた。

 その艶っぽい姿に伊丹も心穏にはいられなかった程だが、今は何故だかそれとも少し異なる様子だ。

 

「それなのにぃ、明らかにおかしいのよぉ。召された気配はあるのにぃ、こっちに来ないしぃ。たまに来たと思ったら、それも断続的だしぃ…。生殺し以前に痴漢されてるみたいでイライラするのよぉ」

「…いや、だからってなぁ」

 

 そう苦言を呈そうとした時には、既に足音はすぐ近くにまで迫っていた。

 

 仕方なく、そのまま息を潜め、正面はあの人外じみた身体能力を誇ったロゥリィに任せることにする。

 

 足音が近づくたび、異様な雰囲気と緊張が高まっていく。やがて、部屋の前で立ち止まった気配に皆が臨戦態勢を整え待ち構える。

 

 そして、襖が開かれた。

 

「……!」

 

 そこにいたのは浴衣を着たこの宿の仲居さんである。襖を開くや否や、目の前に立つロゥリィと、既に包みを解いていたのか剥き出しのハルバードに目を白黒とさせている。

 

「あっ、ああぁっ!すみませんすみません!ちょっとこれには訳があってですね…」

 

 慌てて、伊丹が弁明しようとロゥリィを抑えて誤魔化そうとあたふたとするが、気を抜いた一行に対して、特災課の面々はより一層顔を険しくさせ、銃口を向ける。

 

「な、何ですかっ!?」

「ちょっ、民間人ですよ!?」

 

 当の仲居は向けられた銃と囲まれた威圧感からか動揺した声を発し、その凶行に驚いた富田が声を荒げる。だが、視線を外すことなく新星は告げた。

 

「怪獣出現の可能性と被害の軽減のため、特災課の権限で避難勧告を発令、本日22時をもって周辺住民の避難は完了している。当然、この山海楼閣に勤めている人も全員確認済みだ」

 

 そう言われては、第3偵察隊一行もギョッと目を見開く。

 

「っ、まさか…!」

「隊長!」

 

 そして、今この場で最も無防備なのはロゥリィから民間人を庇うため、武器を下げて前に出ていた伊丹だった。

 

 瞬間、無意味と悟ったのか仲居の姿は空気にぼやけるように消え去り、その場には格子状の皮膚を持つ宇宙人が手を伸ばさんとしていた。

 

「ちょっ…」

「ゴドラ星人っ!伊丹2尉退くんだ!」

「ちっ、射線が…!」

 

 姿を現したゴドラ星人へと銃口を向けるも、立ち位置を崩して前に出た伊丹に射線が被ってしまっている。

 

 故に指示を飛ばしたものの伊丹も突然のことに驚き反応が遅れた。一拍遅れて、咄嗟に背後へと飛び退るものの、既に相手の突き出した鋏は伊丹の心臓めがけて一直線に―――

 

「ちょっとしつれぇい」

「おわっ!?」

 

 だが、そうはならなかった。伊丹の襟を掴んでロゥリィが背後へと投げ飛ばす。宙に浮かんでいた身体はあっさりと背後の障子をクッションにして地に落ちる。

 

 が、伊丹の安否も気にすることなくロゥリィは迫る鋏をハルバードで打ち払うと、隙のできたゴドラ星人の懐に踊るような軽やかな動きで潜り込む。

 

「姿を真似て不意打ちだなんて、無粋な輩ねぇっ…!」

 

 そのまま身体を回転させた勢いで木造の壁ごと振り抜いた。

 

「ごわっ…!」

 

 その一撃をモロに受けたゴドラ星人は、壁にめり込みながら旅館の壁を突き破って吹き飛ばされていった。

 

「マジか」

「なんて身体能力…!」

 

 話には聞いていたものの、目にするのは初だった特災課の面々が驚異的な身体能力に恐々としていると、ようやく復帰した伊丹が腰を押さえながら戻ってきた。

 

「おーいてて…。さっきはありがとなロゥリィ」

 

 伊丹が礼を述べるも、肝心のロゥリィの表情はどこか苦々しげだ。

 

「ロゥリィ…?」

「……思ったよりも硬いわねぇ…。下手したら、炎龍よりも…?」

「嘘ぉ」

「やはり宇宙人、強度も人間の比じゃないってか」

 

 実際には筋肉の厚さや重量なども踏まえれば、脅威としては炎龍の方が大きいのだろうが、それにしたって亜神ロゥリィからの評価は無視できない。あの時に追われていた立場からすれば、彼らに脅威度を認識させるには十分なものであった。

 




というわけで、炎龍よりも硬いゴドラ星人です。
ただまあ、それも外殻の話なので、重量物とかには炎龍よりも弱いって設定です。
一応、等身大同士の戦闘で、出落ちで即殺されたとは言え、エメリウム光線を受けて爆散とかもしてなかったので。
なので、近接格闘しても、仰け反らせたり抑え込むことも不可能ではありません。まあ、人間にも物理的に不可能ではないと言うだけで、普通に戦おうと思ったら虐殺されますが。
時間稼ぎならともかく、倒すなら相応の超兵器か、あるいはウルトラ世界のレギュラー隊員級の力は必要です。

デッカー映画でも見たように、対怪獣の技術が進んでいるTPU隊員に支給されているような装備を持って隊列を構えて連射しても、等身大宇宙人相手を倒せない描写がありましたが、大体そんな感じです。あと、訓練を積んだ兵士がほぼ一撃で戦線離脱してるので、筋力も相応だと思われます。
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