ウルトラマンGATE 超人 彼の地にて、斯く戦えり   作:食卓の英雄

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禁じられた侵略:中編(5)

 

 何とか危機を乗り越えた伊丹達は、高機動車に揺られてこの区域から離脱しようとしていた。

 

 幸いにも山中にある旅館といえど、駐車場から国道へのアクセスは容易だった。

 既に避難勧告が成されているからか、1台たりとも車の存在しない暗い山道を走っていく。

 

 山間はやはりぐねぐねと曲がりくねった道が多いからか、大きな高機動車では難儀しているらしい。

 それでも専用の車体らしくパワフルに突き進んでいくのは、仮に何の勧告も成されておらず車通りもある昼間では許されない行為だっただろう。

 

 みなが周囲に目を向け、異変に対して警戒し、中央では傷ついた富田をボーゼスが看護する。

 

 伊丹は黒川がいればよかったかと一瞬人選に文句を言いそうになるが、あの命令が下った時点で様々な根回しや対策が取られていたはずで、特殊作戦群まで動員していた護衛対象達が負傷することを前提とした人員は選ばないだろう。

 

 さて、一直線に銀座へ向かうかという声が出たものの、それを伊丹は否定した。

 

「いや、真っすぐ向かうのは止めた方がいいかもな。こっちの動向が尽く潰されてるんだ。待ち伏せされたらきつい」

「じゃあ、どうします?富田ちゃんの怪我もありますし、早く見せないと……」

「……だよなぁ」

 

 もしこれが襲われただけならば、あえて回り道をしてタイミングやルートをずらすことも考えられたが、今回は富田という負傷者がいる。

 いくら応急手当はしているとはいえ、流石に長時間放置出来るものではない。

 

「…私たちの通信も途絶えている以上、特災課も何かに巻き込まれたことは把握している筈です。特に、直属の上官である村田隊長もこの任務は知っています。我々が来たルートであれば、特災課と合流することも不可能ではないかと思います」

 

 そう言ったのは高瀬隊員だ。

 特殊作戦群の配置まで知られていたのに対して、特災課がゴドラ星人に対処可能な武器を用意していることは知らなかった。

 そう考えれば、真っ当な自衛隊側の動向よりも、ある意味対怪獣異星人に特化した特災課側を頼ったほうがいいだろう。

 

「…分かった。多少の危険は伴うかもしれないが、対異星人ならそれが一番安全、か。よし、じゃあ進路を変更する」

「……伊丹隊長、今回の休暇は台無しになったんですから、後できちんと取り直させて貰いますよ」

「おうそうしろ。俺だって全然休めてないんだぜ。…こうなったら、何としても柳田にねじ込んで、12月の29、30、31日は休暇を取ってやる」

「………今の情勢なら、コスプレイヤーに混じって本物の宇宙人がいたりして」

「やめろよそういうこと言うの!折角の行きたい気分がなくなっちまうだろ!?」

 

 同じオタクであるがゆえにその内容を理解した梨沙が、フィクションの中にいる宇宙人に襲われるという状況を鑑みてボソッと呟くと、伊丹も薄々思っていたのか悲嘆に暮れる。

 

 そんな会話をしていたら、背後のピニャが詰問する様な問いをかける。

 

「少し尋ねたい。そもそも何故、妾達はこのようなウチュージンに襲われているのだ?」

「そう。わたしもそれを尋ねたいですよ隊長。予め何かあるって分かってた風な指示出してましたよね。特災課も派遣されてるし、何か分かってるんじゃないですか?」

 

 栗林にもそう問われて、伊丹は暫く考えておもむろにこう切り出した。

 

「実はな……」

「実は?」

「俺にも、よく、わからん」

「隊長?」

 

 栗林は、この期に及んで惚けるような伊丹の態度に目を細める。だが、伊丹自身も辟易しているといった風に語るのだ。

 

「俺だってよく分かんないんだよ。駒門さんの話とかで警察や人の失踪に関わってるかもって話で宇宙人の可能性は検討されてたけどさ。だけどわざわざ俺たちを狙う理由が分からない。あれだけ追っ手ごと失踪させてる手前、こっちが警戒するのは分かりきってるだろうに、油断してる他のとこじゃなくて俺たちに執着する理由が謎なんだよなぁ」

「それはまあ、確かに…」

 

 栗林もそれに納得したのか、やすやすと引き下がる。

 

「……妾達か?」

「考えられる理由としては一番ありえますね。でも、きっかけにはなってもその理由がわからないんだよなぁ…。どっかの国が宇宙人と共謀してるって線も考えたけど、それにしたって俺たち自衛隊と特災課は別だし、失態を攻めて優位に立とうにも、実績が他の国もないから下手なこと言って目立てる立場はないはずだしな……」

「……妾が、帝国の皇女であるがゆえに、あちらとこちらの関係性を悪化させることが狙い、という可能性は?」

「いや、それはないと思います」

「何故だ?」

「はっきり言って、他の国家による政治取引ならともかく、他所の星の宇宙人がそんなことをする必要がない。そんなことをしなくても、関わるなら技術提供を仄めかせばいいわけだし、その場合は本人たちは宇宙人とバレる危険を冒さないでしょう」

「妾達の身柄を確保して、ニホンに脅しをかける可能性は?」

「可能性としては高そうだけど、それも不自然なんだよな」

「不自然…?」

「………これをピニャ殿下に言うのはどうかと思うけど、正直言って、まだ条約も締結してない特地の皇女を脅しの材料に使うには弱いんですよねぇ…。本当に最悪の場合、門を破壊する可能性だってあるのに、そこからやってきた人のために自国を危険に晒すってのは何ともね」

「それは…一理ある」

 

 その言葉は、暗にピニャの貴重性を損なうものであったが、ピニャ自身、あくまで先に講和を申し出た形になるため、日本側がどうしても講和に踏み切らなければいけない程弱国ではないのは十分身に沁みていた。

 

「まだ色々と成り立ってない特地のお偉いさんを狙うくらいなら、さっきも言った通り、他所の国に潜り込むか、今の能力を活かして存在を悟られる前にお偉いさんを攫うなり成り代わるなりしてしまえばいい」

 

 そう言って、伊丹は頭を掻く。

 

「だから余計に謎なんだよなぁ。リスクはあるのにリターンはそこそこ。もっと取れる手段はあっただろうに、日本で仕掛ける理由……。ってなるとねえ。……先に日本を潰しておきたかった、とかかねえ?」

 

 その動きの理由が分からないとなれば余計に敵の動きを予測できないために、更に溜息をつく。これ以上は考えても余計なエネルギーを使うだけだと話を打ち切った。

 

「そういえば高瀬に浅永、あんたんとこの副隊長って何者なのよ。あの人一人でいつの間にかゴドラ星人3体倒してたぞ?」

 

 そういえばと、伊丹は新星のことについて同じ特災課の高瀬、浅永へと問う。駒門の話も相まって只者ではないと認識していたが、先程の光景を思い出して尋ねた。

 

「新星副隊長ですか?いい副隊長ですよ」

「はい。俺、まだまだあの人に1本も取れてないんで、尊敬してます!」

「……そんなに強いの?」

 

 ゴドラ星人を3体倒したという話や、あの浅永が1本も取れないということから栗林が思わず尋ねた。

 

「そりゃあもう!体術や武器術なんかは特に凄いっすよ。俺も結構自信あったのに、シュババッ!って感じでいつの間にかやられちゃいましたもん。年季の差って言ってましたけど、あの人より強い人を俺は知りません」

「へえ…」

「……そう言えば、新星副隊長にはちょっとした噂がありましたね」

「どんな噂?」

 

 興奮気味に語る浅永に若さを感じながらも、高瀬の話に注意が向く。

 

「いえ、あの若さでの新設部隊における元陸将補に次ぐ副隊長ともなると、やはり相応の実績や功績があるのではないかという話を聞きまして。……もしかしたら、銀座事件以前から、そういった問題に対処するチームにいたのではないか、という噂を聞いたことがあります」

「それって、アメリカのエリア51みたいな感じで?」

「はい。日本にもそう言った機関があっても可笑しくはない、という話が、例の事件以降増えてまして…」

「なるほどね…。……それなら駒門さんの言ってたことも納得出来るか……」

 

 宇宙軍なんてものや、宇宙人を研究する施設もあるくらいだし、絶対にないとも言い切れない。何より、現にこうして怪獣や宇宙人が現れているのだから、もっと昔にそういった現象に出くわして対処をしていても不自然ではないかと一人腑に落ちた。

 

 そう話して気を紛らわせていると、安静にしていた富田が声をあげる。

 

「…隊長、何か聞こえませんか?」

「何?」

 

 その疑問に誰もが静まり帰り、耳を澄ませて音を探る。

 

 聞こえてくるのは、寒空を切り裂く風が木を揺らす音に、規定人数を超えた数を乗せていて重みのあるメガクルーザーの走行 音。

 

 暫くそうしていると、テュカが声をあげる。

 

「…笑い声?……それも、近づいてきてるっ!」

 

 その声から遅れて、他の面々にもかすかに聞こえてきた。

 

「フ……ォ………フッ……フォッ……ォッ………」

 

「フッフォッ……ォ…フォ……!」

 

「……聞こえた」

 

 レレイがぼそりと呟いた。不気味な唸るような笑い声が迫ってくる。それに焦るような声を上げるのは、運転席の伊丹だ。

 

「おいおいおいおいっ……!」

 

「フォッフォッフォッフォッフォッ…!」

 

「た、隊長…」

「イタミ殿……」

 

 段々と迫るその声に焦りの声が車内に響く。

 曲くねった道だ。背後を確認しようにも、木や崖に阻まれて見えない。

 

「フォフォフォッフォッフォッフォッフォッフォ…!」

「この声って……。もしかして……」

 

 やがて、曲がりくねった山道を抜け、麓の直線道路へとさしかかる。

 

 その直後、背後から迫るそれがミラーに映る。

 

 ゆったりとした奇妙な歩法ながら、疾走する高機動車にも負けない速度で追いすがらんとする程の異形。

 暗闇においても明確にその存在を捕捉することのできる頭部の発光体は点滅を繰り返しており、歪に割れたような隙間からは不揃いに並ぶ目が見えた。

 

「フォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッフォッ………!」

 

「ケムール人だ!!」

「嘘でしょっ!?」

「また別の宇宙人ですか!!?」

「あ、あのような走り方なのに、振り切れぬだと…!?」

 

 迫るケムール人の不気味な姿に悲鳴が上がる。

 

「ああクソッ、点と点が繋がったぞ!例の失踪事件の犯人はこいつだな!?」

 

 真樹から聞いていた話や、姿を見せず次々にプロですら誘拐するという手法。全てケムール人の仕業と思えば、その能力の割に、帽子などの痕跡が残るという理由も納得だ。

 

 ケムール人と高機動車によるチェイスが始まる。

 

 こちらは最大人数を超えて乗っており、真っ暗な闇夜に慣れない麓道。対して相手は明確にこちらを捉えて身軽。

 

 もしかしたらスタミナ差では圧勝できるかもしれないが、今この状況に限っては、ケムール人の方が優勢であった。

 

 熟練のドライバーであったり、こういった道に慣れているドライバーであれば離せた差も、伊丹にはない。

 

 それでも事故ギリギリの動きで距離を稼ごうとハンドルを握り、悪態をつく。

 

「畜生!2020年はまだ先だってのによ!」

「言ってる場合ですか!」

 

 そうしている間にも、ケムール人は徐々に距離を詰めてきている。

 

 せめて昼間であったなら、都会のように明かりが万全なら。

 

 そう思えども、現実は変わらない。

 

「…直線のうちに、私が狙撃します」

「出来るか?」

「やるしかないでしょう」

 

 高瀬がそう発言し、弾倉を確認しながら後ろへと回る。

 

 高瀬の腕を考えれば、追ってくるケムール人を撃ち抜くのはそう難しいことではなかった。

 

 しかし、ここで全く予想外の光景が目の前に広がった。

 

「んなっ…!??」

 

 横道から、何かから逃れるように人影が飛び出してきたのだ。

 突然のことにハンドルを切った伊丹らの乗る高機動車は、人影を避けて岩壁へと激突する。

 

「「「きゃあああっ!!?」」」

「ぬあっ!?」

「ぐぅっ…!?」

 

 複数の悲鳴が車内に木霊する。

 

 幸いにも高機動車の装甲の分衝撃は耐え、ぺしゃんこになる最悪の事態だけは防げたが、こうなっては発進することも出来ない。

 

 まして、今の衝撃は重かった。

 

 ただでさえ怪我をしていた富田に加え、狙撃のために腰を浮かせていた高瀬は特にダメージを受け、車での事故に慣れていないテュカやレレイ、ピニャ、ボーゼスらも復帰に時間がかかっている。

 

「くそっ、やらかした…!」

 

 打ち付けた頭を押さえ、苦々しげに零した次の瞬間。高機動車の窓が乱暴に叩かれる。

 

「な、何だ!?」

 

 顔を向ければ、そこには何やら頬がこけた男性が切羽詰まったような顔で何かを捲し立てている。

 山道を駆けてきたのだろう。土や木の葉がついた服装はカジュアルなもので、街中で見れば何も気にすることはなかっただろう。最初は衝撃によって混乱しているのかと思った言葉は、よくよく聞けば日本語ではなく中国語のようであった。

 

 何故こんな区域に中国人がいるのかと疑問に思ったものの、その中国人は車体の背後を見て顔を青褪めさせる。

 慌てた様子で体を反転させたその人物は、しかして吹き出された液体を背中に浴びてその姿を消した。

 

「ひっ」

「今のは……」

「人が、消えた…?」

 

 サイドミラーを見れば、ケムール人は直ぐそこに佇んでいた。

 近づいたことで、大きく響く不気味な笑い声だけでなく、頭部の発光体に呼応するように鳴る奇怪な電子音の様な音まで聞こえた。

 ラッパ状の頭部の突起から、消去エネルギー源という触れた対象を転送する可燃性の液体を発射する。

 その情報を詰め込み知識で得ていた伊丹は、今の中国人が消されたのもそれだと気づくことが出来た。

 

 そして、ミラー越しに見えるケムール人の頭部が高機動車へと向けられた。

 その意味を察した伊丹は声を荒らげて指示を出す。

 

「っ全員脱出しろ!!!」

 

 その鬼気迫る指示に、両側から一斉に体を投げ出す一同。

 抜け出したその直後、ケムール人の頭部から液体が放たれ、高機動車が消滅した。

 

 地面を転がりながら、伊丹は咄嗟に声をあげた。

 

「誰かいないやつは!!?」

「っ、富田ちゃんに浅永隊員!あとピニャ殿下と梨沙さんがいない!」

 

 その咄嗟の指示に見渡した栗林が叫ぶ。

 

「んなっ」

「ト、トミタ殿は私を押し出して……。で、殿下まで……」

「浅永君も、私たちを突き飛ばしたせいで……」

 

 どうやら、怪我人や皇族、一般人ということから護衛対象として中央側にいたせいで、脱出出来なかったらしい。浅永は、反応の遅れたテュカや態勢を崩していた高瀬を脱出させた為に自身の脱出が遅れたらしい。

 

「クソッ」

 

 これで足を失った上、目の前にはケムール人。

 

 状況は悪くなるばかり。

 

 そして、今乗っていた車が、内部の人間ごと一瞬で消えるという現象に、特地組は反応が追いついていなかった。

 

「き、消えちゃった……」

「イ、イタミ殿…。クルマはどうなったのだ…?中にいたピニャ殿下とトミタ殿らはっ!!?」

「……まさか、死…」

 

 自らの信を置く皇女たるピニャと、憎からず思っていた富田を目の前で消されたことから、ボーゼスが錯乱したように伊丹へと問いかける。

 

「まだ大丈夫だ!ケムール人のあれは別の場所に飛ばすだけだ!死んだわけじゃない!」

 

 士気が落ち、混乱しかけた状況を打開すべく、声を張り上げる。それをレレイが瞬時に伝えることで、少し場は落ち着いた。

 

「ふぅん。確かにぃ、お亡くなりになった感じはしなかったけれどぉ…。だとしたら、どうしたら戻って来るの?それとも、攫われた場所まで迎えに行けばいいのかしらぁ?」

 

 その時、ケムール人と相対する伊丹の目の前にロゥリィが躍り出る。

 

「…実際に体験したわけじゃないが、あのケムール人を倒せば戻って来る筈だ」

「なぁんだ。あるじゃない。そんな簡単な方法が」

 

 そう言って、ロゥリィは腰だめにハルバードを構える。

 

 既にロゥリィの目は爛々と妖しい輝きを宿しており、その様はまるで獲物を見つけた雌豹の様。

 

「あの液体に当たるなよ!それと、頭部が弱点だ!」

「分かってるわぁ……よっ…!」

 

 言うが早いか、援護の態勢も整う前にロゥリィが跳んだ。

 放たれた消去エネルギー源はロゥリィが先ほどまでいた地面へと空振り。一瞬で距離を詰めた大振りの一撃がケムール人を捕捉する。

 

 ケムール人も、まさか人間がこれほどの速度で襲いかかってくることなど考えてもいなかったのか、反応は出来ていない。

 

(獲った――)

 

 ロゥリィ自身、その様な確信があった。

 

 目の前の存在は、身体能力と特殊な力だけを頼りにし、真っ当な戦闘技術など備えてはいないと。

 ならばこそ、その急な攻撃に意表を突かれて隙を晒していたことも理解できた。

 

 後はこのまま、弱点だという頭部に振り下ろせば終わる。

 

 ゴドラ星人の件も踏まえて、叩き潰すように全力全霊で。

 

 バネのようによくしなる強靭な筋力から、弓弦から解き放たれた矢のような勢いでハルバードが振り下ろされた。

 

「…あら?」

 

 が、ロゥリィに伝わってきたのは、肉を断つ感触ではなかった。空振りだ。

 

 その重量と勢いから、予想打にしない空振りはロゥリィの軽い身体を大いに揺らした。

 

 まさかの手応えにロゥリィ自身も呆気に取られたように目を白黒させる。

 

 ならば着地して再び戦えばいいではないかとも思われたが、ロゥリィの身体は重力に従って落下することはなかった。

 

 その身体には、赤い霧のようなものが纏わりつき、ロゥリィの身体を浮かせていた。

 

「う、浮いてる…」

 

 伊丹が呆然と呟くと、周囲も何事かと瞠目。

 

 流石のロゥリィも、支えなくしては行動はままならない。自力で空中を飛行する術がない以上、仕方のないことだった。

 

「フッハッハッハッハッハッ」

 

 そして、低い嗤い声と共に、道脇からゴドラ星人が現れる。それも6体。

 ゴドラ星人達は腕をロゥリィへと向けており、赤い霧はそのせいだと看破する。

 

 ゴドラ星人。その別名を反重力宇宙人。

 赤い霧で包んだ対象を、それこそ宇宙空間にさえも運搬するような能力を持つが故の別名だった。

 

「ケムール人、やれ」

「あぁん、もう、ちょっと!待ちなさ」

 

 ジョボジョボジョボ……。と吹き出した消去エネルギー源が、空中で身動きの出来ないロゥリィへとかかり、その肉体を消滅させた。

 

「ロ、ロゥリィ!」

 

 戦える人員は大幅に減り、有効な武装を持つ高瀬は事故で打撲し、肉弾戦が可能な栗林もダメージが残る。

 

 はっきり言おう。詰みである。

 

「は、はは……」

 

 乾いた笑みを漏らす伊丹へと、叱責する者はいなかった。

 




反重力宇宙人の名前の由来である赤い霧に包まれ、身動きの取れない状況で消去エネルギー源という、自律飛行が可能な存在以外絶対殺すマン。
尚その自律飛行も翼とかの揚力とかによるものだとろくに動けないので、浮遊やジェットの類の飛行が出来なければ即死コンボの餌食である。
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