ウルトラマンGATE 超人 彼の地にて、斯く戦えり   作:食卓の英雄

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いつの間にか一ヶ月半近くが経っている…。書き始めたのは前回の投稿直後くらいなのに…。怖い…。



お前は誰だ?

 

 その後もGGUによるグビラ討伐作戦は着々と進められていた。

 

 列をなした74式電磁特車改による一斉砲火はグビラに直撃し、これを怯ませることに成功。

 

 第二射、三射共に明確な有効打を与えた戦車隊を主力とし、その援護に遅れて出撃したF-4が空からグビラを翻弄する。

 横合いからミサイルを叩きつけてやれば否応にも意識せざるを得ず、そうして時間を稼いではタイミングを合わせた集中砲撃による作戦は有効だった。

 

 これによりグビラをその場に留め、最大火力を叩き込む。

 

 牽引車と装置車に分かれた大型の砲台は長いチャージ時間が必要だがその分威力は絶大だ。

 

――『13式対怪獣自走粒子砲』

 

 コンテナかと見紛う程巨大な装置により加速した粒子の塊が青白い輝きとなって放たれた。

 再度放つには5分もの時間を要するが、直撃したグビラはこれに堪らず悲鳴を上げて転倒。

 

 かつてのデマーガ戦を思い出させる戦果に現場とCPの空気が明るくなる。

 

 続いて時間差でチャージを始めていたもう1台による射撃も狙いをやや逸れるも着弾。転倒はしないものの確かにダメージを与えていく。

 

 しかし流石は怪獣と言うべきか。これ程の攻撃の嵐に苛まれて尚致命傷と言える傷は負っていない。

 

 それどころか激しい痛みを与えられたグビラは怒りを露わにして凶暴化。

 粒子砲車を明確な脅威と見做したのか生半可な攻撃は無視してなりふり構わず突き進む。

 

 航空部隊や地上部隊もこの進撃を阻むべく苛烈な攻撃を加えていくものの、血走った目で暴走するグビラは力強く跳ね除けていく。

 

 こうなれば更に強力な攻撃で無理矢理押し留めるほかないが、生憎とこの場にそれが可能な威力を持つ兵装は粒子砲2台しかない。しかしこの2台は先ほど一射目を終えたばかりで次弾を放つことは不可能だ。

 

 慌てて装置車の固定を外して移動を始めるもその速度は時速にして60kmを下回る。グビラが地面を這い回っている内はまだ辛うじて距離を保つことはできるかもしれないが、あの脅威的な跳躍をされては瞬く間に追いつかれるだろう。

 

 それが分かるからこそ、彼らも必死に祈るしかないがそんな事はグビラはお構いなしだ。

 

 アシカやオットセイのような独特な助走をつけて解き放たれた弾丸は、後退する自走粒子砲をその身で圧壊させんと飛びかかる。

 

 怪獣に成す術なく圧倒されていたこれまでと異なり、今の彼らの力は怪獣を相手取ってなお引けを取るものではない。

 

 だがしかし、それでも人類と怪獣の差は未だ歴然。抵抗こそすれど、対等な存在ではない。

 

 多くの技術発展を得、見識を改め、専門の集団や専用兵器とそれを伴った戦術も考案し、人々の生活と安寧を守るために死力を尽くした。

 

 人類の生存圏に踏み入る前に捕捉し、足止めからの増援の派遣に相手の生態を利用した誘導作戦。

 

 人類もすべてを出し尽くしたわけではない。だがすべてをここに集中するのは現実的に無理な話だ。

 

 少なくとも、この場にいた彼らは死力を尽くして自分たちに出来る行動が最善であると信じてこの暴威に立ち向かったのだ。

 

 しかし現実は非情なことに、怪獣は彼らの懸命の努力と抵抗を力ずくで踏破する災害であった。

 

 彼らの命は最早風前の灯。火力における大部分を担っていたこの二機が破壊されるのは戦略的に見ても厳しい。

 

 74式電磁特車改も怪獣に通用する戦力ではあるものの、継続的な射撃を続けなければ決定打には至らない。

 

 ここを突破されれば未だ避難の住んでいない市街地へと侵入されることになる。

 そうなれば被害は人的、物的問わず凄まじいものになることは簡単に予想できる。

 

 ここから一歩も通さない。

 

 言うは易し行うは難し。

 無理難題だろうがなんだろうが、怪獣という脅威から人々を守ることが出来るのは彼らだけなのだ。

 

 そうやって抵抗して抵抗して抵抗して。彼らの全霊は怪獣の歩みを僅かに遅らせただけに終わる。

 

 しかし、怪獣からすればちっぽけなその人類の抵抗に、彼が応えるには充分な時間でもあった。

 

「ディアッ!」

 

 飛びかかるグビラを真下から跳ね上げるように出現したウルトラマンノヴァ。

 真下からアッパーを食らった形になるグビラは悶絶しながら背中から地面に叩きつけられる。

 

 その重い衝撃と共に、今まで彼らを押し潰さんと迫っていた巨影が自らを背に守る頼もしい影へと変わった瞬間であった。

 

「ウルトラマンノヴァ…!」

「また来てくれたのか…!」

「っ、助かった!各員全速後退!ここでは邪魔になる!」

「「了解!」」

 

 そんな彼らの安否を確かめるように一瞥したノヴァは、下がっていく彼らにこくりと頷きを返すと、立ち直ったグビラに対して構えるのであった。

 

『ウルトラマンノヴァ出現!繰り返す、ウルトラマンノヴァ出現!敵怪獣と交戦状態に入った!各部隊は陣形を再構築し、ウルトラマンノヴァを援護せよ!』

『第3特車小隊了解した』

『第2特車小隊同じく了解』

 

 その行動をきっかけに指令が下り、電磁特車隊は後ろ弾に

ならないように配置を変え、その隙にと救助隊が前線の脱落者たちを抱えて下がっていく。

 

 そして従来の兵器しか運用出来ず、怪獣に対して目眩まし程度にしかならず決定打のなかったヘリ隊も、ウルトラマンという強力な前衛の出現によってそれらの攻撃で注意を引くことが有効になった。

 

 

 人類は抵抗する力を手に入れたとはいえ、未だウルトラマンという盾に守られている。

 

 だがその歩みを止めることはない。今はおんぶに抱っこでも、進んでいることに間違いはないのだから。道を間違えなければきっと、平和を切り開く一歩に他ならないのである。

 

 

 

―――…

 

 

 

 ウルトラマンノヴァの出現から程なくしてグビラは斃れることとなる。

 

 グビラは高い身体能力を活かした跳躍からのドリル攻撃を多用しウルトラマンノヴァと渡り合ったが、軌道を読まれて空中から叩き落とされた後、鼻先のドリルで突撃。

 しかしこれを包み込むような形状のバリアーで受け止められると、動きの止まったグビラの横顔に向けて粒子砲が放たれた。

 

 これによってドリルは根元から折れ、転倒した所に放たれた光輪状のエネルギー『クエーサー光輪』がその肉体を斬り裂いたのであった。

 

 そしてその先に待っているのは後始末だ。

 安全確認が取れ次第に周辺地域への避難指示の解除や、それに伴った報道機関への情報提供などから始まり、被害確認や使用した物資のリストアップなど、やることは多い。

 その中において、今は怪獣対策の専門組織という側面を持つGGUの科学調査班によって、怪獣の肉体や細胞などは徹底的に集められて厳重に管理、研究されるのである。

 

 旧特災課から引き継いでその職務に就く者は国際組織となったことによる各国への説明や対応、研究機関との連携などなどと門外の仕事に忙殺されてきたからか、当初は怪獣の理不尽な生命力と生態に悲鳴を上げていたものだが、今ではむしろ意気揚々と解明と研究に邁進しているのであった。

 

 

 

●●●

 

 

 

 『GGU』の創設以後、これで日本国内で二度目の怪獣災害だ。

 

 一度目は皆既日食の日に宇宙から現れた口と目が逆転したような不気味な怪鳥とも悪魔とも取れる姿をした怪獣の襲来だ。

 

 宇宙から市街地外周に降り立つや、口の中の巨大な目から怪音波を発し、範囲内にいた市民を強制的に昏睡させる能力を発揮した。

 突然都市機能そのものが麻痺したのと同時に、人々は皆魘されており、事件後にカウンセラーを受けた全員が悪夢を見ていたと証言を残している。

 

 これにGGUは出動するも、都市外周であることに加え、範囲内の市民が寝てしまったことにより避難が進まず、交通機能も停止したことで初動を大いに遅らせてしまった。

 

 唯一従来の戦闘機や一部航空部隊は対処することが出来たが、その攻撃は殆ど通用することはなく、むしろ高い空戦能力を持っていた怪獣によって撤退に追い込まれた。

 

 当怪獣は数時間に渡って市街地周辺を縄張りと誇示するかのように滞在し、その間にGGUは怪獣への対処と未だ怪獣の能力で眠り続ける人を救うための作戦を始めた。

 

 現地の支部に残された音声データを解析し、同じ音波を当てることで影響を無力化できることが判明したことで、街中のスピーカーにこれを放送。

 

 人々を眠りから覚ますと共に避難指示と誘導を開始。人々が避難する時間を稼ぐため、別働隊は怪獣に猛攻を仕掛けることとなる。

 

 ここで初めてGGUの74式電磁特車改と13式対怪獣自走粒子砲が実戦を迎えたのだ。

 

 しかし74式電磁特車改の攻撃も大したダメージにはならず、粒子砲車による一撃ですらものともせずに進撃を始めた怪獣の目の前に、またしてもウルトラマンノヴァが立ちはだかった。

 

 怪獣はあのウルトラマンノヴァの放つ光線にも耐える外殻強度を見せ、肉弾戦に置いても渡り合った。

 そればかりかウルトラマンノヴァを吹き飛ばし、腕の触腕で首を絞めて痛烈な攻撃を繰り返すなど、これまでに現れた中でも強力な個体であることは疑いようもなかった。

 

 しかし、住民を眠らせれた音波を発しようと額の目を剥き出しにした次の瞬間、粒子砲と電磁特車の一斉砲火が正確に襲いかかる。先のガーゴルゴンの例から見て、明らかに特殊能力を発動する前兆であるのだから、分かっていれば阻止するのは難しいことではない。

 

 予想外の痛手に仰け反った怪獣は空を飛び退避しようとするも、それを追ったウルトラマンノヴァが飛行しながら放ったキャッチリングによって動きを止められ落下していく。

 

 人気のない広場に墜落した怪獣はキャッチリングから解放されるも、次の瞬間空から光の剣を振り下ろしながら迫るウルトラマンノヴァによって真っ二つにされた。

 

 この件においてその実力を疑問視する声も上がったが、街中を一瞬で制圧した音波という特性に加え、それによる交通機関の停止や住民の存在といった足枷があったことから、追及の声は非常に少なく済んだ。

 

 また、早期に音波被害を解析しての対抗案の構築とウルトラマンと互角に戦った怪獣を怯ませたという功績は評価されるべきであるといった声も上がっており、華々しい初陣とまでは言わずとも、今後の活動に期待を寄せられたのがつい先月の話だ。

 

 

―――…

 

 

「え?グビラじゃないんですか?」

 

 その解析結果を村崎から受けた浅永が素っ頓狂な声を上げる。

 

「どうもそうみたいなんです。グビラというには、作中の設定とは矛盾しまして…」

「でも、外見や攻撃方法もグビラそのままでしたよね?」

「ああ。初代ウルトラマンでも陸上で飛び跳ねたり、地面を穿孔したりといった描写はあったしな」

 

 ウルトラマンに登場するグビラの画像と見比べても、やはりどこが違うのか分からない。

 首を傾げる面々へと村崎が比較画像を用いて説明する。

 

「まず、第一に背中の模様ですね。グビラと比べては岩石状に浮き出ていているイボ状物質が頭部まで達しており、体色もグビラと比べるとやや褐色を帯びています。外見的な違いはこのくらいです」

「あー、確かに…?」

「言われてみれば…違うような…?」

「そうは言っても、相手も生き物だぞ?かさぶたやら出来ものやらで個体差はあるんじゃないのか?」

 

 村崎によって説明された違いを見れば、確かに差異はあるものの、比べている対象が人の作った着ぐるみであるため、どうにも確信を得られない。そして対象が生物であることから、多少の個体差はあって然るべきだという指摘にみなも賛同する。

 

「はい。そう思いますよね。ですがこれを見てください」

 

 そう言って指されたのはグビラが潮を吹き出す写真だ。ウルトラマンの顔に吹き付け怯ませている。

 

「これが…?」

「この通り、グビラにはクジラ等に見られる噴気孔に似た器官が見られ、ここから潮吹きをすることが可能という設定なんですが…。今回のグビラにはそれが見られません。何かで塞がっていたり機能不全といった理由でもないんです。完全に退化してて、内部からも水生には向かない完全陸生の地底生物だということが分かったんです」

「へえ…。確かにそれじゃあ同じ生き物ではないかもしれませんね」

「陸上でしか生きられない魚と考えれば、まあ別種だろうな…」

「そうなんですよ!…いやまあ、僕も門外なんで詳しいことは分からないんですけど、あの脅威的な跳躍力も地底適応において筋肉がより発達したと考えれば納得です。…姿かたちが殆ど同一なのは、恐らくグビラが陸上生活に進化する途上の姿だという結論が出たんですよ」

「つまり、グビラではないが、陸に適応したグビラの亜種……ということか?」

「ええ。となると、新しい名前をつけなきゃいけなくてですね…。どういうわけか僕らに一任されちゃったんですよね……。まあ、そう変に考えなくていいとは言われてますけど…」

 

 何故そうなったのかと言われれば、手が空いていたからに他ならない。

 他の部隊は今もグビラの件での後始末や研究に追われ、政治家達は他国への説明や対応にかかりきり。

 その中において、特地分遣隊の面々は特地での活動もあることに加えて、GGU発足のきっかけになった事件から一定の信頼を得ている様なのだ。

 

「えーと、じゃか陸生に進化したグビラだから……リクグビラとかですか?」

「いや、それじゃ語呂が悪いし安直すぎやしないか?」

「じゃあ、地底に穴を掘るからアナグビラ!」

「いやいやいや、本物のグビラも穴掘るでしょう!」

「……うーん…。地底のグビラでドリルだから……ランドグビラーは?」

「いやぁ、それは……」

「グビラの亜種ということですので、固有名称であるグビラに変更は成さず、差異を出すためにグビラ・アースというのはどうでしょう?」

「何か大物感が強くなったな」

 

 気軽な任務であることに加え、命名権が与えられたからかやいのやいのと言い合っている。

 中々纏まりそうにない空気をみてか、新星は一つため息をこぼして告げた。

 

「オカグビラでいいだろう」

「オカグビラ…。ああ、何だかしっくりくるような…」

「陸はリクともオカとも読みますし……。いいんじゃないでしょうか?」

「変に凝った奴よりは分けやすくていいかも…」

「リクよりは語呂もいいしな。何かすとんと腑に落ちた感じがするな」

「……皆さん納得みたいですし、この個体の名称はオカグビラに決定ということで異論はないですか?」

「ええ」

「ああ」

「はい!何か最初からそうだったみたいな感覚がありますし!」

「グビラっていう元があるから変えすぎても面倒だし、それでいいんじゃないか?」

 

 新星が出した意見に満場一致で、改めてこの個体は「オカグビラ」として公表されることになるのであった。




「古代地底獣 オカグビラ」
ウルトラマントリガー第4話「笑顔のために」にて初登場。
陸生に適応したグビラであり、その進化した亜種と思われる怪獣。外見的な差異は黒い部分の色や瘤の範囲など、そして身体が土に汚れているかなどくらいで、現実的に見たら個体差で済まされそうな違いしかない。
原点のグビラ同様に角がドリルのように回転し、地底を潜航する。原種は地上でも跳躍により短距離の飛行じみた突進が可能だと知られているが、オカグビラは地底から雲近くまで飛び出すほどの脅威的な跳躍力を見せている。

ということで、このグビラは実はグビラじゃなくてオカグビラでした!というお話。
意見の出し合いで一向にオカグビラが出てこなかったので新星が決めました。


「悪夢魔獣 ナイトファング」
ウルトラマンタイガ第7話「魔の山へ!!」にて初登場。 
GGU発足後、初めて日本国内に現れた怪獣。
位置が逆転した口と目。胴体に浮かぶ赤い目の巨大な髑髏のような模様、体の各所に生えた何本もの触手、巨大な黒い翼など、悪魔の様な姿をしている。
口の奥にある目から放つ催眠音波「ナイトメアウェイブ」は聴いた人間に強制的に悪夢を見せ、その悪夢をエネルギーに変換して吸い取り糧にするという生態を持つ。
現にウルトラマンタイガ本編ではナイトメアウェイブによって街中の人々が眠らされる描写があり、これでは避難もままならない。
この催眠音波は同じナイトファングの音波をぶつけることで無効化することができる。描写されていないが、特地分遣隊の解析班や、危険を冒して現地の支部に乗り込んだ部隊員などがいる。
火球でウルトラマンフーマを圧倒し、代わったタイガのアクアブラスターが直撃しても意に介さず飛び去る程の頑強さを誇る。
ナイトメアウェイブはウルトラマンにも効果があり、純粋なフィジカルも高い。
何気に登場した個体は全て強化形態以外には倒されていない強豪だったりする。

GGUは相手が悪かった。とはいえナイトメアウェイブの対処や牽制の攻撃が認められ、バッシングなどはあまりなかった。
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