ウルトラマンGATE 超人 彼の地にて、斯く戦えり   作:食卓の英雄

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七夕ですね。七夕といえばそう。円谷英二氏の誕生日だね。


アルヌスは今

 

 地球の国家が協力体制を見せ、怪獣とも戦いの姿勢を取れるようになってきた頃、一方の特地側もまた大きな様変わりを見せていた。

 

 ピニャ殿下と日本国の接触から早数ヶ月。アルヌスの難民キャンプたる仮設住宅の群れは、いつの間にか一つの街のようになっていたのだ。

 

 これにはピニャを介した騎士団員達の語学研修を目的とした滞在や、同時に日本国側からの言語学習に官僚達も来ていたことで、生活インフラを最低限整えることになったのだ。

 

 また、避難民達も翼竜の鱗などにおける収入を手に入れ、ある程度の基盤が整ったことで自活を促され、この地にて商店をやることになったことで、出入りに煩雑な手続きの必要な銀座よりも気軽に立ち寄れる店として人気になったからである。

 

 避難民たちは日々の暮らしと少しの貯金さえ手に入ればいいと始められた事業だったのだが、この『PX(駐屯地購買部)』の客は増えた。

 

 アルヌスの丘に滞在している騎士団所属の貴族令嬢が訪れれば、ついでとばかりにそのメイドも訪れる。

 彼女たちには『門』の向こうから運ばれて来る日用雑貨、衣類、茶などの嗜好品、菓子類などが飛ぶように売れた。

 語学研修の外務官僚や、現地の自衛隊員も次々とやってくる。彼らには日用品だけでなく、特地の民芸品が異世界産ということで土産としてこれまた売れた。

 

 特にこの地に派遣された自衛隊員の数はそれこそ特地では小さな街の人口をも超えている程なのだ。仮に一人一つ安い土産を買うだけでも、下手な街の商店を超える客足になるだろう。

 

 そんなことがあったため、店が客で溢れかえり、スペースが足りない。増築と品数を増やせば、待っていたとばかりに販売数も同じく増える。

 そうなれば手が足りなくなるのは当然で、それを見かねた(のに加えて、自身で『門』の向こうの商品のカタログを見て発注できるという下心もあったが)貴族の従者たる女性数名が手伝いを申し出た。

 

 すると見目麗しい女性店員たちに日本国ほど暇をつぶせるものもない若い男たちを引き寄せることとなってしまう。

 またもや客は増え、手が足りなくなるというありさまだ。流石に本業を疎かにするわけにもいかない従者たちの事情もあって、僅か数日で専従スタッフを雇い入れる必要ができてしまったのである。

 

 そして、ここからが大きな発展の引き金となる。

 

 特地での人の雇い方は基本的にコネクションか直接の頼み込みによるものだ。地球のようにハローワークや人材紹介サービスもないので当たり前であるのだが、こういった場合の募集となるとやはり有力者やある程度信の置ける相手からの紹介を頼むことになる。

 

 紹介する方もされる方も信用がかかっているので、変な所に紹介出来ないし、問題有りの人物など送れない。

 

 避難民たちの自活から始まったアルヌス共同生活組合は、商取引で関係を深めつつあるイタリカのフォルマル伯爵家を通じて人を紹介して貰った。するとやってきたのは猫耳の女性達。

 フォルマル伯爵家では貧困対策として亜人をハウスメイドとして雇用しているくらいなので予想は出来ていたのだが、そうなるとやはり一目でわかる異世界感に惹かれて自衛隊員たちは訪れることになる。

 

 さらに、ここで大量放出した翼竜の鱗が更なる人を呼び込んだ。

 

 竜の鱗というのは翼竜であっても単価が非常に高く、利幅も大きい。各地の商品たちを引き寄せる魅力的な品なのだ。そのため、それを仕入れようと放出された竜の鱗の出処を辿っていけばアルヌスにつくのは当然といえる。

 

 そこで目にするのは日本から取り寄せられた珍しく貴重で便利な品の数々。

 

 ただ珍しいだけでなく、その品質の良さや利便性は商人である彼らが思わず飛びつく程。

 

 となれば訪れるのは仕入れたいという催促や、盗みに出る者まで現れる始末。

 

 年寄りと子供の集団であるアルヌス共同生活組合はこれらに対処することが出来なくなってしまった。

 

 今は特地の言語を読み書きできる者も増えてこそいるが、そういった者は優先的に他の同僚や官僚への教育に駆り出されているため、自然と嘆願が集まるのはレレイとなる。

 その窓口たる伊丹が翻訳されたそれを受け取って、東京の問屋や企業に送りつけ、届いたそれを再翻訳してまた届け…。

 その繰り返しは非常に億劫なもので、いっそのこと電話回線やWiFi環境を整えて遠隔発注をするべきとの案も出ている。

 

 そして気づいてみると経済活動の規模は大きくなっていたのだ。利益が大きくなれば、また商人が集まる。だが宿もなければレストランもないとなれば、集まった商人たちは難民キャンプの外で危険な野宿か野営となる。当然悪事を考える奴も出てくるわけで、警務隊が交代で常駐する羽目になる。

 

 そしてこの詰まりを解消するには隊商を組んで 

 こちらから商品を運ぶ必要性が出てくるが、そうなると護衛も必要になる。自衛隊には頼めないので傭兵を雇うことになり、彼らの寝起きする場所もまた求められた。

 

 ここまで来ると流石に自衛隊への仮設住宅の要請も憚られるので、自分達で大工や職人を手配して建物を建てることになった。

 

 そうして集まった職人や商人、傭兵らに食事を振る舞う場所が必要になって、簡単な食堂のようなものが出来れば、その料理や酒を目当てにまた客が増える。

 

 店が夜も稼働し始めると、自衛官たちも客として訪れるようになれば、更に従業員が必要となって掛け合えば、紹介されたのはやっぱり獣系の亜人の娘たちで…。

 

 そんな感じで、アルヌスの難民キャンプは多くの相乗効果が重なったことで爆発的に発展した。

 

 様々な種族の者が流れ込み、特地と日本の文化が混ざり合ったここは、いつしかアルヌスの街と呼ばれるようになったのである。

 

 

 

●●●

 

 

 

 さて、そんな訳で発展していったアルヌスの街には特地、日本問わず多くの者や文化が行き交っているのだが、所謂オタク趣味的なサブカルチャー等は広まっていない。

 それも当然だ。基本的な文化や価値観が違うし、日本語を特地語に再翻訳してまで一娯楽作品を、というのはあまりに優先度が低いからだ。

 

 しかし、その中に一つの例外があった。

 

 売店の中に、銀色の体を持つキャラクターが描かれた小物やタペストリーなどが大々的に置かれている。

 

 そう、我らのウルトラマンである。

 

 画面の先にしか存在しなかった怪獣とウルトラマンの出現に伴って、自衛隊員たちもウルトラマンに関する資料や情報をこぞって集めたのも今は懐かしい。

 

 それが特地に、しかも映像作品に登場した怪獣が現れたというのだから、いつでも情報を調べられる為の資料は必要だろうという判断から、ウルトラマン作品が真っ先に送られることとなった。

 

 最初は特災課が持ち込んだ少量程度だったが、ウルトラマン関連の物資の持ち込みの緩和が起こったことで、暇を持て余した隊員たちも慣れ親しんだ我らのヒーローを今一度楽しんでいたのである。

 

 殺風景な基地内の施設にあまり趣味らしい趣味を置くことも出来ないならばと、安く多く買えるソフビや、ウルトラマンに助けられたことからお守りとしてグッズを持ち歩く若い隊員まで現れる程だった。

 

 彼らは根っから作品のファンという訳ではなく、俳優の細かい事情や撮影秘話などはとんと分からなかったが、現場で命を張って、その末に助けられたという優しき巨人への敬意は十分に持っていたのだ。

 

 そして当然、コダ村の避難民や自衛隊員達が畏敬や興奮混じりに語る存在は他所から移り住んだ人々の耳にも届くこととなり、またそのグッズ等も安価で買えることから要望が多く、いよいよもって某おもちゃ会社とも連絡を取り次いで特地へとグッズ販売が成されたのであった。

 

 特地の人々にとってウルトラマンという作品など馴染みはないが、かつての地球でもあったように、この世界においても強い生物を模した紋章や、偉大な人物、歴史ある物などを象徴として取り入れることはよくあることだった。

 

 しかも、異世界の人々からすれば、まるで本物であるかのような精巧なイラストに、様々な活躍を切り取ったシーンは英雄物語の一部などの様に映ったのだろう。

 

 怪獣のソフビも、竜や怪異という存在がいることで、そういった存在を象った民芸品などがあることで、怪獣の存在を知らない特地の人々にも受け入れられた。

 

「む、その絵画…。噂の“青色の戦士”というやつか…?」

「ああ、確かにここの住民に聞いたな。あの炎龍の噂話の最後に必ずつくという巨人の正体だとか…」

「でも、本当にそんなのがいるのか?炎龍以上の化け物って言われても、俺たちじゃよくわかんねえさ」

「そもそもそんなのがいたとして、これまで噂すら聞かなかったってのはどうなんだ?」

 

 他所から流れてきたばかりなのだろう。傭兵らしき装いの4人組が売店に売られているグッズを前にしてそんな会話をする。

 

「あんたら最近こっちに来たばっかかニャ?噂の巨人様は実在するニャ。なんたってあたしらはこの目でしかと見届けたのニャ!」

 

 そんな胡乱げな彼らに対して、それを否定するのはここの店員だ。

 彼女はここアルヌスの街にやってくる道中、突如として現れた怪獣に襲われたものの、駆けつけたウルトラマンノヴァに救われた一人だった。

 

「それはそれは…どんな様子だったんだ?」

「巨人、とは聞いたが、ジャイアントオーガーよりも大きいのか?」

「ジャイアントオーガー!?そんなみみっちいのと比べるんじゃないニャ!ジャイアントオーガーなんて掌でぺちゃんこに出来る山のような大きさニャ!」

「それは流石に言い過ぎなんじゃないか…?」

「だが、噂によると炎龍をも退けたとか…」

「ん?いや、それは緑の人の話だった筈だろう。炎龍ですら敵わない化け物を巨人が倒したっていうのが聞いた話なんだが」

「だとしたらとんでもないな…」

 

 傭兵連中が噂の中でも眉唾物としていたそれに問を投げるが、女性店員は興奮とともに食ってかかる。

 

「とんでもないなんてもんじゃないニャ!あの時現れたのは、黄金の鱗と甲殻を持つ二本の足で歩く金色の大蜥蜴ニャ。

ただの大蜥蜴じゃないニャ。そいつは炎龍よりもずっと大きくて、何にもない所から急に現れたニャ。護衛もそりゃもう大慌てで弓矢や魔法を使っても、大きすぎて顔になんか届かないし、足を狙ってもかすり傷一つつかないニャ」

 

 仕事もあるだろうに、熱心に語るその猫獣人の店員は売り物のカードなんかを持ち出して語る。

 

 傭兵たちに見せつけるように示されたカードには、「超力怪獣 ゴルドラス」と描かれていた。

 

「直ぐに駆けつけた緑の人達の魔法の筒や、炎龍を倒したっていう鉄の大筒。鉄の象が放つ要塞の城壁も簡単に壊す魔法が雨のように振り注いでもびくともしないのニャ。それどころか、魔法か何かの力で攻撃を跳ね返したりもしたのニャ。

そんな巨大な化け物が出てきて大慌てだって時に、巨人様は炎龍なんて目じゃない速さで空からやって来たのニャ!

化け物が角から雷撃を放つニャ。それもエルフが使う精霊術とは比べ物にならない威力だったニャ。でも巨人様も負けたもんじゃないニャ。こう、手を前に翳して光の盾を作り出して完璧に防ぐと、腕から光の剣を生やして。どんな騎士や傭兵とも比べられない剣技で化け物と撃ち合ったのニャ!…そう、ちょうどこの戦士みたいにニャ!」

 

 ウルトラマンを見たと語る従業員の話に耳を傾ければ、指し示された(カード)には青い体の戦士(ウルトラマンアグル)光の刃(アグルブレード)を出現させて怪物と戦っている様子が描かれていた。

 

「戦うたびに大地が揺れて、余波だけで地面が割れて大岩が粉々になる凄まじい戦いだったニャ。最後は大蜥蜴の尻尾を掴んで空まで投げ飛ばした所に、巨人様の腕から光の束が放たれたニャ。空にいる大蜥蜴は避けられずに直撃。跡形もなく消え去ったニャ。それだけに留まらず、巨人様のそれが空の雲を消し飛ばして見事な晴れに変えてしまったのニャ」

「て、天候を変えたというのか…!?」

「それは最早神の…!」

「流石にそれは盛りすぎだとは思うが……。まあ、とんでもない存在ってこったろう」

 

 傭兵たちもその真に迫った語りにごくりと喉を鳴らしていたが、とはいえ見てもいない常識外の存在は過小評価しがちだ。

 何せ、よく知られている炎龍の存在やその撃破すらいつの間にか無肢竜の撃退程度にすり替わっている地域まである。それ以上などと想像したことすらないのだろう。

 

 口ではそう言うが、半信半疑といった様子の男たちに、店員は少し不満げに息を吐く。

 

「ま、信じられないのも無理はないニャ。あたしだって話だけならどっかの妄想か作り話だって決めつけてただろうしニャ。……でも、巨人様に助けられたって人は店員にも緑の服の人にもいるから、あんまり馬鹿にするようニャことは禁句にしたほうがいいニャ」

 

 その目が笑っていないことに気付いた男たちは気圧されながらも、そのことを肝に銘じてアルヌスの街で職を探すのであった。

 

 

 尚、後日酒の席にてハメを外して総スカンを食らってしまうことになることは今は誰も知り得ないことである。

 




というわけで、アルヌスの街には助けられた人や自衛隊員がウルトラマン系の商品を買ったり持ち歩くことで、よく知られるようになりました。
尚滞在者で信じている人は全体で見れば少数派だが、それでも決して少なくはない。
あと助けられた人からは神格化されている。避難民が炎龍に襲われた際に助けてくれない神には祈らないと言っていたが、超常的な存在が助けてくれるので、好感度は高いのである。

こんな感じで色々と変化は起きているらしい。



「超力怪獣 ゴルドラス」
ウルトラマンティガ第36話「時空をこえた微笑」に初登場。
特地の時空界から門が原因である歪みに興味を持って近づいてきた。
尚放置していると時空界が広がり、時空界に飲み込まれた存在は空間の歪みにより消滅。僅か一ヶ月で地球全てが飲み込まれる程で、何もせずとも普通に世界が滅ぶ。

全然普通にアポクリフ現象より早く滅ぶ。何なら門と空間が繋がってるせいで地球にも伝播して滅ぶ。ついでに言うと星ごと塗り替えられるので亜神や神にとってもすごい困る。流石に時空界に飲み込まれても神や亜神は死なない。が、あくまで肉を持つ生命で精神体のみの活動ができない亜神はブラックホールに巻き込まれた様な状態で陞神するまで過ごすことになる。
時空界への耐性を持つような怪獣や宇宙人ならともかく、全然普通に全滅しかねない。
もし開門した瞬間に異変を嗅ぎつけて姿を現していた場合、ノヴァが異変に気づけず両世界が時空界に飲み込まれていた可能性が高い。尚ノヴァが気づいた時点で時空界の拡大を抑制することが可能なので、観測さえすれば問題はない。
何故門という空間の乱れが発生したままであったのに数ヶ月以上経ってようやく現れたのか。それは何かに怯えて現実世界への移動を怖がっていたらしいが…?
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