ウルトラマンGATE 超人 彼の地にて、斯く戦えり   作:食卓の英雄

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※当作品ではウルトラマンを作っているのは円屋(つぶらや)プロダクションであります。
※それと某財団Bはバンナムです。略称じゃなくて、正式名称がバンナム。
作者には決して不当な扱いや貶める意図はありませんが、作風の問題からキャラクターに思わぬ悪態や、悪い印象を与えてしまいかねない言動が飛び出してしまう可能性を考慮して、あくまで架空のよく似た名前でお送りいたします。
じゃないと悪く言ったシーンとかでこの作品がアウト判定食らってしまうかもしれん。大丈夫だとは思いますが、念の為、というやつです。

前話の最後に使用した技
『リカバリースフィア』
光球を生み出し、治癒のエネルギーとして適切な量を分配する技。光球をそのまま与えることも、人々に使ったように分割することも可能。
ただ回復させるだけではなく、エネルギー効率がよく、人間一人一人の症状に見合った細かな分割は、ウルトラの母から見ても過剰な程繊細と言えるもので、一体何を癒すつもりの精密動作かと若干引かれていた。
が、当然ウルトラマンの活動限界のある地で、限りあるエネルギーを浪費せずに現地住民を救助するための技として開発しているので、そこまでする必要性は分からないが、注目はされている。


それは何を齎したか

 

 銀座事件から一週間。当初の興奮や混乱もようやく最盛期を過ぎたであろう頃には、すっかり狂騒といった様子は静まって、逆に様々な議論が勃発していた。

 

 それも、主題は怪獣とウルトラマンのことに関してである。

 

 それというのも、未だ銀座に繋がっている『門』は、政府の命によって安全確保できるまで完全な立ち入り禁止区域に指定されており、現在構築中の陣からでは遠目にしかみることしか出来ず、またそれ以上のリアクションもない。

 

 手に入る情報は、精々がニュースや伝聞などで伝わる堅苦しい文面か、あれ以降変化のない門の写真程度である。

 

 勿論、それでも見果てぬ世界に夢を抱き、各々その先の光景を夢想する者も少なくはなかったが、まるで何も分からない世界よりも、()()()()()に興味が移るのは当然だったのだろう。

 

 今や、テレビや新聞でウルトラマンの名を聞かない日はない程で、人同士の会話からSNS、匿名掲示板などで日夜議論が交わされているのだ。

 

 直近の話題を調べてみれば、『銀座の地にウルトラマン現る!』『ウルトラマンは今どこに?』『あの巨人は本当にウルトラマンなのか?』『青いウルトラマン特集』『今後予測される怪獣による被害』『怪獣や宇宙人はいるのか?』『特撮:ウルトラマンとは?』『怪獣は実在した!〜元自衛官に聞く対処方法とは〜』『ウルトラマンは人類の味方ではない。人類を導く救世主の降臨は近い』『故円屋氏は預言者か、遭遇者か』

 

 等と出てくる出てくる。ウルトラマンに関わるトレンドや、検索に混じって、非日常にかこつけた怪しい宗教も増えてきているらしい。

 

 とはいっても、元々がヒーローとして知られているからかあまり注目はされておらず、また乱雑に扱われているためにどこも気にしていないというのが現状なのであるが。

 

 また、熱心なファンや子供の頃に見ていた様な層からはその正体に関する議論なども寄せられており、『ティガに似た外見なので、あれはタイプチェンジによる青色ではないか』『そもそもどういった場所から来たウルトラマンなのか』『光の国があるのか、それとも古代の巨人、はたまた別の星からやってきた存在なのか』『実はこの世界が新しいウルトラマンの作中世界説』

 

 等々と、考察の域を出ないものの、熱心に語られていて、ウルトラマンに詳しくない人でもその疑惑に触れることが出来た。

 

 ただ、ウルトラマンと怪獣という要素が現れたために、他の空想の中にあった怪獣や宇宙人の存在も否定できなくなってしまったために、それらの推定脅威に不安を寄せる声もあるらしい。

 現に、銀座の怪獣には戦闘機が手も足も出ずに撃墜されている。人類の培った科学技術さえあれば、敵となりうる相手が同じ技術を持つ存在以外はいない。そんな時代に、その根底を覆す存在が複数いるかもしれないと思えば、危機感も納得だろう。

 

 また、経済的な効果も生み出しており、門、及びに銀座事件関連の情報は基より、それらから派生したファンタジー作品等も多く売れていた。となれば、明確に一つの作品として存在するウルトラマンへの集中具合は尋常ではなく、ウルトラマンや怪獣のソフビは飛ぶように売れ、玩具屋では連日完売、今やただのソフビが高額で転売される程までになっている。

 

 ウルトラマン特需、とでも言うのだろうか。

 

 円盤やグッズは世界的に飛ぶように売れ、この機会にとテレビでは初代ウルトラマンが一挙再放送され、ウルトラシリーズを公式配信しているチャンネルでは、似た姿を持つティガ、そして青いウルトラマンの登場する作品としてダイナ、ガイアのTDG三部作に加えてコスモス、初のM78星雲出身の青いウルトラマンの出るメビウスが一斉公開された。

 

 尚、当然ながら円屋製作所や関連作品の関係者、監督から演者にまで追求の目は向けられた訳だが、こちらはその懸念を早期に抱いた関係者や、政府からの補助もあり、円屋製作所から否定している。

 

 今では特集で当時の俳優らが呼ばれ、作品の映像と共に感想や意見を述べながら、関係性を茶化されては大慌てで否定する、という流れが散見されるようになってきた。

 

 その様な具合で盛り上がっており、その流れは海外でも行われていた。

 

 そして、銀座事件の後始末が終息し始め、それ以上のイベントもないままに時は進む。他国から日本の土地にある門への期待と、権利関係や人員派遣やらのいざこざが向き始めたその時、それは起こった。

 

 

 

―――…

 

 

 

『ロサンゼルスの海岸にて巨大生物出現!』

 

 

―――セカンドウェーブ。

 

 

 銀座による最初の遭遇例をファーストウェーブとして、2例目であるためそう呼称されるそれは、怪獣の強靭さをこれでもかと見せつけた。

 

 突如ロサンゼルス沖合に現れた怪獣は、赤褐色の鋭い甲殻を有し甲殻類と爬虫類を混ぜたような外見で、体高はおよそ50m前後。

 

 幸いにも、大気圏外から突入してきたそれを早期に発見でき、湾内に着水したために、避難勧告と軍の出動が出来た。

 

 日本へと門の処遇を巡って圧力をかけていた米国だったが、その対応は迅速。

 怪獣の出現から、足元を盤石にするために警戒態勢を続けてきた賜物と言えよう。

 

 最も近いサンディエゴ海軍基地から出航したのはミサイル巡洋艦を筆頭に計32艦。また、それに付随する攻撃機がいくつか。何と所属艦艇の実に6割近くが同時に出航したのである。それは、米国政府がそれだけ怪獣を脅威として捉えていることの表れでもあった。

 

 沖合2km地点に降り立った怪獣へと向けられる数々のミサイルや艦艇に備わった砲口。

 

 一介の生物に向けるにしては異常な程の物量でもって攻めかかったが、これは初期対応こそが被害を抑える唯一の手段と見てのことである。

 

 当然ながら、怪獣は大きい。陸地に上がるだけで、否、仮に人口密集地域や都心で暴れ回られては、被害は広まる一方。

 倒すためには膨大な火器が必要となれば、自国の市街地に向けて放つのは百害あって一利なし。時間をかければかけるほど街は破壊の限りを尽くされ、人命も脅かされるのであれば、多少過剰なくらいの攻撃も、街を破壊される被害と風評に比べれば安いものと言えよう。

 

 そんな思惑から、海上で防衛線を張り、念には念を入れて空軍の部隊も動かしたのだ。

 

 交戦開始から5分後には空に甲高い音と共に5機の空軍戦闘機が援軍に駆けつけ、更には爆撃機まで動員しての総攻撃。

 

 とても市街地では使えない程の爆弾とミサイルの雨あられは、どんな堅牢な要塞であっても突破できるのではないかと思わせ、周辺の海もろとも巨大な火柱を上げる。

 

 銀座に現れたカミソリデマーガに与えた攻撃の比ではない。カミソリデマーガは頭部に6発のミサイルを受けて尚健在であった。それと同等かそれ以上と仮定して、反撃の隙を与える間もない飽和攻撃が選ばれた。

 

 50mを超える巨体が隠れるほどの爆炎。成果を見るために一度攻撃を中止し、爆炎の中の影へと目を向ける。

 

「ギィオオオオオオオ!!!!」

 

 が、米軍による総攻撃は、怪獣の歩みを僅かに遅らせるだけに留まった。

 そして怪獣もやられているばかりではない。むしろ、その抵抗を煩わしく感じたそれは白濁した瞳をぎょろりと動かし、怒りを露わにした。

 

 怒りの咆哮と同時に海老のような触覚を下から上向きへと変えると、その鋭い手甲にある、四つの穴から青白い光弾のような針を射出したのだ。

 

 カミソリデマーガの一件から遠距離からの攻撃手段を持っていることは警戒していた米軍であったが、その速度と速射性は予想を遥かに超えていた。

 

 針の直径は200mm程。それもたかが針だと侮るなかれ。並の金属以上の強度を誇る怪獣の甲殻と同じ素材で出来ているそれは、折れることなく対象へ痛打を与える。

 

 そんなものが、片側だけで秒間100発以上とバルカン砲もかくやという連射速度で放たれるのだ。

 

 それでいて、生物ならではの柔軟性と旋回速度で弾幕を張ったそれは、最早一つの帯のように空間を支配していく。

 

 真っ先に、水平に薙ぎ払われた針が軍艦を蹂躙していく。ここで災いしたのが、怪獣相手に狙いを絞らせないため散開していたことから、恐ろしい速度で速射される針に対応できずに巨大な爆炎を上げて轟沈していく。

 

 その悪夢のような光景を直視した上空の航空機達はその危険度を直ぐに理解して回避に移る。

 

 両手を上に向けたまま追い込むそれの無茶苦茶な軌道に振り回され、エドワード空軍基地より出立した3機が無惨にも撃墜される。

 

 辛うじて回避した他の機体も、二の舞にはなるまいと高度を上げていく。

 直後、彼らの避けた針が一斉に爆発し、空を覆い尽くす。先に高度を上げていた小隊の内半分が直接巻き込まれロスト。

 

 残る半分は爆風に煽られながら操縦桿をぐっと握りしめるが、誰が口にすることもなく、皆浮き足立っていくのがわかった。

 

 同様に、事態を見守っていた司令部にもヒリつくような緊張感と、若干の恐れが混じっていた。

 

 敵の新兵器、戦略兵器ならばまだいい。それは己たちと同じ土俵で、規模の違う武器を使われただけ。同じステージに立つことは出来る。

 そして、ただの生物であっても、待機中にやられたのならば仕方がない。何せ、武装している人間もその身は一つ。不意に熊にでも襲われては一溜まりもない。

 

 だが、これは違う。

 己達の知る攻撃手段ではなく、柔な生身で挑んだわけでもなく、本来ならば一方的に駆逐出来る筈の生物に、あらゆる攻撃も効かないどころか、軍艦の防御も、戦闘機の飛行速度も破られてしまった。

 

 「この怪獣を、我々では倒すことができないのではないだろうか…?」そんな恐怖が静かに伝染していった。

 

 中には、戦略兵器を使えば効果は出るはずだと主張する者もいたが、その声音には不安が隠しきれていない。

 

 あれ程の猛攻で目立った効果は得られていないのだ。仮に戦略兵器を用いたとして、そのリスクに見合った成果を得ることが出来るのだろうか。

 

 その様な板挟みの苦悩に陥りながらも、最終手段として提示しようとしたその瞬間、空に立ち煙る爆煙を切り裂いて青白い光線が怪獣へと突き刺さった。

 

 ()()()()の怪獣を巻き込んで。

 

 空から落下したもう一体の怪獣が、交戦中の怪獣へと衝突すると、流石の質量に大きく姿勢を崩した。

 

 これに動揺したのは現在進行系で飛行中の航空団は当然として、状況を伺っていた司令部も目を剥いた。

 

 それも当然。通常の兵器による攻撃の効果が薄く、あわや上陸か、核を使うかという瀬戸際に陥った際に、そんな存在がもう一体人知れず接近していたのだというのだから驚きだろう。

 

 ()()()()()()()()()

 

 大気圏外から突入してきた時点までは固まって動き、突入後に空中で別れたのだろう。

 そして何よりも、この怪獣がこれまでの交戦中に一度も地表に現れていないことから、この怪獣に飛行能力があることが分かり、司令部は冷や汗を流す。

 

 この巨体と見た目からでは到底飛ぶことなど想像出来ず、あれだけの殲滅能力を持つ存在が、警戒網をすり抜けて飛行していたのだから肝が冷えるのも当然と言えよう。

 

 そして驚愕が焦りになり、その脅威を理解したことで、次に訪れるのは疑問。

 

 はて、ミサイルや砲撃にも耐える圧倒的な防御力を誇り、あまつさえ高高度を飛行する、誰もが気づいていなかった怪獣の存在をいち早く把握し、あまつさえ叩き落とすことが出来る存在は一体何だと。

 

 彼らの脳内に、銀座での映像が蘇る。

 

 それは空から降ってきた。

 

「デァーッ!」

「キィオオオンンッッ――!?」

 

 落ちてきた方が上空を警戒するように顔を上げると、青と銀色の巨人が流星のような軌跡を描きながら怪獣の頭部へと蹴りかかる。

 

 立ち直ったばかりの怪獣は頭部にクリーンヒットし、鼻先を圧し折られながら海上へと倒れ伏す。

 

 突然の乱入者に、最初にいた方の怪獣が驚き、同族が押されていることから脅威と見たか、即座に両腕の火力を全て巨人へと集中させる。

 

「デュアッ」

 

 しかし、それも両手で四角を描くように囲った空間に発生したバリアによって阻まれる。

 

 全力での射撃を続けるものの、全く意に介した様子はなくバリアを展開したまま距離を詰めた巨人は、無防備なその鼻頭に強烈なチョップを決め込んだ。

 

 初めての有効打に一瞬たじろぐ怪獣だったが、怒りに支配された瞳が動き、針が通用しないならばと、尖った手甲で突きを放った。

 

「デュアッ、デッ、デアァァァッッ…!」

「ギィオオオオオン!!!?」

 

 一突き、二突き。放たれた突きは両脇に挟まれ、抜こうと藻掻いた怪獣の腹を踏み台にして手甲を引き千切る。

 

 最大の武器を失い、痛みに悲鳴を上げる怪獣へと追撃を仕掛けようとしたところで、もう一体が背後から攻撃を仕掛ける。

 

 巨人の体を挟み込み、ヘッドバッドで攻撃を与えようとするも、振りかぶった首を掴まれそのまま背負投の要領で投げ飛ばされる。

 

「ディアッ!」

「ギュアオオオオオオン!!!」

「ギィアオオオオオンッ!!」

 

 距離を取って構えた巨人は、起き上がって威嚇する怪獣を一瞥すると、銀座で見せたように手を胸の前でクロスさせる。両手を起こし、右から左へと斜めになるように手を組むと、右手を軸にL字に起こし、左手を握り拳にして、手首から十字を組むように構えて光線を照射した。

 

「ギュィォォォォォッ……!!!?」

 

 狙われた二匹目の怪獣が悲鳴を上げながら爆散するや、もう一方は不利と見て即座に空へと飛び立った。

 

 進行方向は陸地。既に防衛線はなく、このままでは生活圏にまで進行しかねない。

 

 空のファイターが慌てて妨害しようとする中、巨人は静かに左腕の側面を上に向け、真っ直ぐ伸ばすとその手首からくの字状の光の刃が現れる。

 

 そして右の手首からは銀座と同じ様に光の剣を顕現させると、左手を弓、右手の剣を矢として番えると、剣は青い稲妻を螺旋状に纏わせ、細く鋭い形へと変形していく。

 

 よく狙いを定めた一撃が、飛行する怪獣の後ろ姿を捕らえた。

 

「デュア!!」 

 

 発射された光の矢は飛行する怪獣の速度を上回り、そのまま背後から到達。抵抗すらないかのように怪獣の分厚い甲殻を穿ち、そのまま貫通するや、怪獣は悲鳴を上げる暇すらなく散ったのであった。

 

 二匹の怪獣が完全に死んだことを確認すると、巨人は空の彼方へと飛び去っていった。

 

 残された彼らは呆然としながら、その圧倒的な力と希望に、小さく声を漏らしたのである。

 

『あれが、日本のウルトラマン…』

 

 後に回収された甲殻の破片から、宇宙空間から生身でやってきたことが判明。宇宙基地への資金や仕事が世界中で増えることとなり、脅威はこの星以外にもあるのだと深く実感することとなる。

 

 米軍に大きな被害をもたらしたこの事件は世間にも取り沙汰され、各国はより一層怪獣への警戒を続けていくことになるのだった。

 

―――そして更に数日後。世界中で危惧されていた第三第四の怪獣が出現してしまうのであった。

 





この話にでてくる怪獣の名前はわかったかな?わかったなら別名まで含めた名前を感想欄で書いてみよう!(露骨な催促)

『スペシウム光線』
M78星雲のウルトラ戦士の基本技。空中で戦っていた怪獣が落ちてきたのはこれによるもの。

『流星キック』
墜落した個体への追撃に使われた。

『アローレイ・スパイラル』
左腕の弓形エネルギーから撃ち出す螺旋状の光の矢。飛んで逃げる怪獣を仕留めるために使われた。アローレイ・シュトロームの撃ち方に、矢がスパイラルバレードの様に渦巻いているのが特徴。
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