ウルトラマンGATE 超人 彼の地にて、斯く戦えり   作:AGIの素

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名前がAGIの素に変わりました。今後もよろしくお願いします。
とうとう原作で言う炎龍編です。
まあウチのは炎龍(故)なんですが。
こっから大幅に展開を変えていきたい…。細かいところはともかく、本格的に人物が揃い始めるのがここからだからね…。

尚、現時点で特地側の死者は連合軍とか以外は原作より結構少なく、逆に地球側の被害は何と100倍以上!
もうね。バカかと()
もっと言うと銀座事変で被害負ったとかありますが、もっと酷いことになってる上に対怪獣用の組織や装備の開発、導入を進めてるので日本は原作の10倍くらいカツカツです。
一応GGU加入によって色々と援助や支援連係などなどありますがそれでも原作の比ではないです。
これを隙と見るか、本気になったかと見るかは人それぞれです


SOSテュバ山

 

 GGUの増加要員も特地での業務に慣れ、かつての怪獣災害の爪痕も癒えてきた頃。

 

 その日、アルヌスの街に一人の女が訪れた。

 姿格好は南方の部族の様な出で立ちで、砂塵を避けるためか頭にターバンを巻きら身体はマントで覆っている。

 男好きのしそうな肉眼的な体つきと、ダークエルフ特有のボンテージ鎧。そしてダークエルフというくらいなのだから、艶めかしい浅黒の肌に、美しい相貌は男衆たちの意欲を湧きたてた。

 

 彼女の名はヤオ・ハー・デュッシ。

 

 ダークエルフの里から()()()を聞きつけて遥々やって来た旅人である。

 

 中々発展しており、人の活気もさることながら、見慣れない姿の人々や商品。治安も(特地の基準で見れば)中々に良好で、亜人種が堂々と表を出歩き店番に引っ張りだこであることを見るに妙な偏見や迫害のたぐいはなさそうだ。

 

 なんと中には珍しい精霊種のエルフを何人か見かけたりと驚くこともあったが、そんな人種入り乱れる街でもダークエルフは珍しいようで、ヤオの美貌や姿も相まって視線を集めている。

 

 そしてその一環で立ち寄った酒場にて一悶着*1あったり、折角長い旅を終えて街に着いたというのに宿屋がなく、しかも暗くなり始めた頃だったために野宿の寝床として麓の森を選んだりなどとあったものの、ヤオはようやくほっと一つ息を吐く。

 

 今までの旅でも人里に寄ったり、腰を据える場所はあったが、実際に目的地にいることと、その尋ね人の存在が確約されたのは大いに緊張を和らげたのだ。

 

 この辺りを仕切っているというエルフの集団の手が入っているからか、そこは緑と水と風の精霊の恵みが豊かで、ダークエルフとはいえ同じエルフであるヤオにとっては非常に快適なのであった。

 

 全ては明日ということで、長旅の疲れを癒し英気を養うべき。そう思って瞼を閉じれば、ここまで旅立つに至った理由を思い返した。

 

 

 

―――…

 

 

 

 始まりは数ヶ月前。

 シュワルツの森に()()が飛来したのだ。

 

 それは突然のことであったが、その時は集落に住まうダークエルフたちの殆どが祭祀で出払っていたために留守を守っていた少数が犠牲になるだけで済んだ。

 

 しかし、その程度で巨大な水龍の腹を満たすには足りるはずもない。空腹になるたびに飛来する水龍によって、多くの同胞が次々と犠牲になっていった。

 

 ダークエルフたちは、最早狩場となったシュワルツの森を捨て、周辺の荒野や渓谷、山岳地帯に分散して隠れ住むこととしたのだ。

 

 それから、水龍の襲撃から逃げ回る生活が始まった。

 

 いついかなる時も空を警戒し、小鳥にすら怯え、襲撃を知らせる角笛が響けば地に掘った穴に逃げ込んでは恐怖に身を震わせる。

 

 幸いというべきか、水龍は地面や穴蔵に潜ったダークエルフ達を執拗に追い詰めるようなことはしなかった。

 外に出ている者たちを奇襲のように襲いたて、穴蔵に籠もらないように画策することはあったものの、完全に奥まった場所にまで隠れたダークエルフを目にしながらも、忌々しそうに穴の前で睨みつけては次の獲物を探しに飛び立つ。

 

 穴蔵に潜れば助かるという事実は、ダークエルフ達の信仰対象であるハーディの加護だと言うものも多く、この危機的状況に手を貸してくれたのだと信じていた。ハーディは冥府の神であり、冥府は地の底にあるということから転じて地下を司る神ともされているからだ。

 

 そのことが周知されて犠牲者の数は減ったものの、それでも恐ろしい速度で飛来する水龍の被害をゼロにすることなど出来なかった。

 

 水龍が八つ当たりとばかりに焼き払った土地では生活などできず、襲撃されない穴蔵に籠ってはどうかという案も出たが、急遽掘っただけの穴蔵で生活資源など整うはずもない。

 

 声を交わした同胞が無残にも食い散らかされ、自身を助けた隣人が踏み潰されてペーストになる。

 

 転々と生活拠点を変えながら、水龍の脅威に怯えながら日々を凌ぐ糧を得る。しかし外に出るのは同時に水龍に見つかる恐れを増やすもので、危険を避けながら得られるものなど、量質共に高が知れていた。

 

 両親を亡くした子供や、家族を失った者たちからの呪詛の声が止むことは一日たりとてなかった。

 

 復讐の怒りから戦うことを選ぶものもいたが、精霊の加護も、神銀(ミスリル)の鏃も、水龍の鱗を貫き命に届くことはない。

 魔法の剣にわずかな可能性を見出されることもあったが、それも間合いでなければ全くの無力である。……そもそもその巨大な体躯からして、仮に接近出来たとして命に届くことなく微かな傷を与えた後に圧倒的な質量に潰されるであろうが。

 

 そもそもが、何故水龍がここに来たのか。その理由も謎であった。

 

 水龍はシュワルツの森近くに位置するテュバ山、その噴火口の岩棚に巣を構えていることが発見された。

 確かに水龍も古代龍の一種であり、炎を吐きまたその鱗も火に強いことは確かだ。

 

 だが、水龍とあるように、本来知られている生息域は水辺なのだ。

 殆どの生き物は生活のために水を求め、仮に危険であっても阻むことなどできない。

 

 水龍もそれを理解して狩場として好んでいるとされているのだが、今回はどうにも奇妙だ。

 ここシュワルツの森を含めた南部地域にも川や沢は当然あるが、周囲が荒野であることもあって、野生動物が豊富という訳でもない。

 

 少数の部族が普通に暮らす分には十分だが、水龍の狩場とは異なるのである。

 

 これが人や並の動物であれば、移動にかかる時間やリスクの高さから縮こまって生きる理由もあるのだが、相手は古代龍。

 

 その翼は1日250リーグ(約400km)を飛ぶという飛龍をも上回る飛行能力を有しており、生物としての天敵もいない。

 

 要はここに留まる理由がないのである。

 

 よく知られる古代龍の一種である炎龍などであれば、噴火口の側を巣とするのもよく分かるのだが…。

 となると、水龍からすれば何かしらここに固執する理由があるのだろう。

 

 狙われるのも殆どがダークエルフであるために、恐らく何処かで人の味を覚えたのであろうというのが一族の見解であった。

 

 ヤオ自身、あの執拗さからそのくらいしかないであろうと納得を見せたが、旅をしている最中水龍が人里を襲った等という噂はとんと聞かなかった。

 

 炎龍が斃されたという噂を信じて遣いに出たヤオであったが、そのような噂ですら森に届くのだから、今すでに襲われている証拠でもある水龍の出没も知られているものと思っていたからである。

 

 もしかすれば襲われた人物が流れの者や隠れ潜む賊などで、そこで人の味を覚えたのだと言われれば否定する材料もないのであるが。

 

 ふと、思い返してみれば水龍の身体には傷が多かった様な気もする。

 里にいたときはあまりの絶望が自分たちの手により傷をつけた錯覚を見せたものと思っていたが、さりとてあれは人の抗ったような傷には見えなかった。

 

 むしろ、あれは()()()()()()()()()()()()()()…。

 

 そう思いを馳せて、いやいやとその思考を否定する。

 

 古代龍に対して抗える生物は殆ど皆無だ。いるとすれば歳を重ねた亜龍や、同じ古代龍。もしくは武闘派亜神くらいなものであろう。

 

 その何れにしても可能性は薄い。

 歳を重ねた亜龍は格上である水龍と無闇に争う可能性は低く、長い休眠期間をもつ古代龍同士の縄張り争いなど殆ど例はない上、活動期に入った古代龍など直ぐに周知される出来事だからである。

 

 唯一情報のある炎龍は、信じられないことに緑のヒトとやらに討たれたらしい情報がある。仮にそれが眉唾物てあったとして、近くに炎龍など見る影もないからその線は薄い。

 

 亜神に至っては論外だ。単純に戦う理由も必要性もない。

 まして12使徒と呼ばれる通りに12人しかいない亜神がたまたま水龍の活動域で遭遇して迎撃したなど、一体どんな確率だ。

 

 そんなことを考えて、ヤオは思考を切り上げる。

 

 ようやくたどり着いたという安堵と、件の緑のヒトが噂の真偽はともかくとして実在するということが分かったからか、妙なことも考える余裕が出てきたのだろうか。

 

 今ここで長考して明日に影響が出ても困る。遣いに選ばれた理由の一つとして女の美貌も含まれているのだ。これでいざ本番になって寝癖やクマだらけの女など何の価値があろうか。

 

 ……それはそれで案外同情を引けるのではないかと一瞬思ったものの、考えないようにして眠りにつく。

 

 女のプライドというやつである。

 

 

 

●●●

 

 

 

 ヤオの眠りは耳を劈く轟音によって打ち破られた。

 

 旅の間も警戒は怠らなかったが、龍の雄叫びもかくやという音に驚いて飛び起きる。

 空を見上げれば、森の上空を轟音と共に剣のような鏃のような形の何かが飛んでいた。

 

 大空を切り裂くように天をめがけて駆け上がっていく翼は、F4ファントム。

 退役間近な白銀の翼は規制の多い国内と違って離陸した途端管制室より通知された『条件を守り墜落しなければ、好きに飛んで良し』という言葉に従い大空を楽しんでいた。

 

 パイロットは皆飛行時間千の単位に入る大ベテランであるものの、新鋭機の機種転換訓練を受けるには歳を取りすぎていると判断し、ファントムの退役と共に教育隊か陸へと腰を落ち着けることを選んだ40代の古参兵らであった。

 

 運び込まれたファントムも、特地に持ち込まれた装備群の例に漏れずいざとなれば廃棄される予定だ。

 

 もしかすれば怪獣災害のせいで本土に動かせる戦闘機が枯渇すれば呼び戻されることはあるかもしれないが、今現在技術革新を何度も起こしているGGUがこんな旧型をアテにするようではその時点で殆ど負けである。

 

 彼らは皆各々の腕を振るい、戦闘機動を取り始める。

 

 インメルマンターン。スプリットS。

 

 音速を突破し、音の壁を破った衝撃波が響く。

 最低限アルヌスの街の住民や駐屯地の仲間たちに配慮はするものの、空中の模擬戦ではみなが遠慮などしない。

 

 枷から解き放たれた無頼たちは、自由な空で無邪気にはしゃぐ子どものようであった。

 

 アルヌスの街から少し離れた位置にいたヤオは、丁度真上で行われるそれを視界に捉えて呆然としていた。

 まるで魚か何かのように空を舞うそれが人の操るものであることに気づいた。エルフとしての優れた視力がF4に騎乗する者の姿を捕らえたからだ。

 

「噂は、本当だった」

 

 ヤオは思わず笑みをこぼす。

 天を我がものであるかのように飛び回り大地に生活するあらゆる生き物を蹂躙する古代龍。

 翼持つ亜人も、魔道士も、同じ龍種においても並び立つもののない頂点支配者。

 

 だが、目の前のあれはなんだ。

 

 速さ、鋭さ共に水龍のそれを凌駕している。そしてそれをたった一人の人間が操っているという事実。

 

 そんなものがあるのなら、炎龍の首をもいだという鉄の大筒もきっとあるのだろう。

 

 唯一の希望として縋る気持ちでいたのは間違いない。だがそれでも半信半疑だったのが正直なところだった。

 

 何せ人の噂など必ずどこかで脚色されるし、真剣に伝えたつもりでも受け取り手の解釈や話し方でどうとでも変わって伝わるからだ。

 

 そして何より証拠がない。仮にこれが腕を吹き飛ばして撃退したという噂で、腕のない龍でも見ればそれを成した何者かがいると分かるのだが、今回の炎龍の噂ではこともあろうに討伐されたという噂だ。

 現物が動かない以上、遠方からの噂だけでは事実であるかの確認も出来ない。

 

 絶望によって膨れ上がる不安と疑心は、常に噂が間違いであった時のことを考えていたのである。

 

 そんな希望と絶望の半信半疑を抱きながら、それでも進むしかなかったヤオにとって、眼前の未知は自分の旅が無駄ではなかったことの証明であり、希望の保証となった。

 

 こうなれば使命はほとんど果たされたものと言ってもいい。ヤオは浮足立った思考でそう感じていた。

 

 このままアルヌスの街へ行き、緑の人の代表者に会いさえすればいい。

 援軍を請い説得することの難易度など、これまでの苦労に比べれば大したものではないように思われたからだ。

 

 次の瞬間、ヤオの上空を巨大な影が覆う。

 

 風を切る音に巨大な何かが側にあるという感覚。

 

 ヤオは浮かれていたと一瞬で顔を青褪める。その影の大きさはまさに水龍のそれに似ていたからだ。

 

 まさかこの地にまで!?

 

 そう戦慄しながら空を仰げば、ヤオの想像はいい意味で裏切られた。

 

 そこにいたのは、先の空を駆ける銀色の剣(F4ファントム)よりも二回りは巨大で、その全長はさることながら、分厚さも段違い。

 

 羽根の生えた大きな盾の様に見える形状は、スマートな銀色の剣に比べればゴテゴテとしていて流線美などでは劣るように見えたが、それは決して機能を損なっているわけではない。

 

 ゆっくりとした速度で空を飛ぶそれに、ヤオはこれも人の操るものなのだろうかと訝しんだ次の瞬間、それは爆発的な加速で全てを置き去りにした。

 

 あまりに急な加速と音にヤオ身を震わせて驚きながらも、咄嗟にその後ろ姿を目で追う。

 

 みるみる高度を上げたそれは空を舞っていた銀色の剣に追い縋り、僅かに並んだかと思うと瞬く間に抜き去った。

 

 銀色の剣もそれを見て先ほどの追いかけっこのような機動を取りやめ、更に速度を跳ね上げていく。

 

 エルフならではの優れた視力と弓矢などに長ける戦士としての目算では、すでにその速度は倍近くにまで跳ね上がっている。

 

 先ほどの姿ですらヤオの常識を打ち砕くのに十分すぎる恐ろしい速度を発揮していたにも関わらず、直線の移動に専念すればあんなにも速いのかと、目が乾くのも気にせずにまじまじと見守る。

 

 しかし、何よりも異彩を放っているのは先の巨大な翼だ。

 

 みるみる速度を上げる銀色の剣を余所に、巨大な盾は更に加速していく。

 

 目に見えて速度が上がっていくそれは、ぐんぐんと後続を引き離していった。

 

 全力で飛ぶ銀色の剣の3倍以上の速度が出ているのではなかろうか。

 

 そう思ったヤオの視界の先で、最早影も踏ませぬ程の速度で去っていくそれに銀色の剣達は付き合いきれぬとばかりに散開していく。

 

 古代龍すら超える空の支配者が、微塵も追いつけずに(くだ)った。

 

 遥かな先をゆく巨大な盾は、速さだけが取り柄ではないとばかりに先ほどの銀色の剣の様な変則的な機動を始めていた。

 

 その光景に、一日が始まったばかりだというのに何度も己の常識を破壊されたヤオは、しかして熱に浮かされたように早足で街へと駆ける。

 

 噂は真実であった。いや、それ以上。期待も予想も置き去りにするほどであった。

 

 そう歓喜に打ち震える気持ちを発散するかのように、ヤオは風を切って走り出していた。

 

 ヤオは心を決めると街へ向かって歩き始めた。

 

*1
原作通り。酒を飲むロゥリィをガキと勘違いし、同席する伊丹へサーベルを抜く




サブタイトル元ネタ
ウルトラQ第7話「SOS富士山」

 因みに原作とのちょっとした変更点として、門の大きさが戦闘機くらいなら分解せずに運びこめるくらいなっていたりします。
 最終的に拡張するほどとまではいきませんが、戦闘機一機運び込むのに分解して…としていたら怪獣対策で割と生き来する可能性があるので、そのたびにやってたらマジで終わるからです。

 不慮の事故に遭い亡くなった炎龍ママの代わりに水龍パパがダイナミックエントリー。
 古代龍は頭が良く、新生龍も親の死を悲しむ情緒がありますので、代わりに異変を察知したパパさんが本来の狩場(捏造)から離れて子育て中です。
 役割分担したりする鳥とかも片方が死んだら代わりをするやつもいるしね。それも古代龍なんて長い休眠期間が被った時期に同じく活動期間に入った異性の個体と番う必要があり、一度の産卵で一、二頭しか生まれないので、生態的に無理はないと思います。

 因みにやろうと思えば水龍は本来の狩場と巣を往復して餌集めは可能ですが、それをせずに()()()()()()()()()()()()()()()ダークエルフを襲うある理由があります。

そしてヤオが見た巨大な盾の正体とは…?
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