ウルトラマンGATE 超人 彼の地にて、斯く戦えり 作:AGIの素
ただし、あくまでやろうと思えばというだけで、色んな制限を解除したうえでなりふり構わず年間軍事費ブッパ&被害者多数&街壊滅という結果を容認できるなら、という話になります。
まあやりませんよね。これがゴジラとかみたいな極小数であればワンチャンやったかもしれませんが、めっちゃいるので。
仮に倒せたとして、そんな死屍累々の状態になれば次の怪獣には対応できないし、宇宙人はもとより他国からの介入も許容せざるを得なくなりますので…。
可能だが、現実的に考えて不可能って感じです。
尚倒せるのもそこそこくらいまでで、上澄み怪獣は普通に無理です。
「…カイジューと、ウルトラマン…?」
カイジューの恐ろしさは散々と言って聞かされたが、それに並ぶような問題が残っているのか。
そうハミルトンは疑問を呈するが、ピニャは首肯してウルトラマンという存在について語り始める。
「ウルトラマン。それは門の先に伝わる伝説の存在。遠い遠い宙の彼方より現れ、巨大なカイジューから人々を守り、対価を得ることもなく去っていくという、神の如き力と、聖人の如き高潔さを持つ巨人のことだ」
そう言って、ピニャはまた異なる本を指して、その表紙に描かれる赤と銀の光の戦士を指差した。
「これが、そのウルトラマンという存在ですか?」
「ああ。妾たちが見た者とは別だがな」
さらりと複数の存在がいると言われるが、あまりの情報量に麻痺したハミルトンは「カイジューが複数いるならそんなものか」とぼんやりと納得する。
「ウルトラマンという存在は、この本によると世界の平和とカイジューやウチュージンという存在から多くのものを守るために戦う戦士とされている。
その力は並のカイジューを超え、その皮膚はカイジューの攻撃でも貫くことは困難とされる。身の丈以上の大岩をも容易く粉砕する剛力を持ち、炎龍など比較にならない速度で空を飛ぶ。
腕からはとてつもない力を秘めた光を放ち、ジエイタイやあちらの世界の人間が倒した数とは比較にならない程のカイジューを倒しているのだとか。
その他、様々な奇跡とも呼べる力を持ち、普段は人の姿で見守り、脅威が現れた時のみ姿を現すとされている」
ピニャが語るその内容を真に受けるならば、まるで神のようではないか。いや、むしろ危機的状況にのみ駆けつけ、対価や信仰も受け取らずに立ち去るなど、その振る舞いは「弱きを助け、強きを挫く」誰もが一度は思い浮かべる理想の騎士のようではないか。
理想の騎士のような振る舞いを、神の如きスケールで行う。
彼女たちにとって、神とはそのようなものではない。
確かに実在するものであるし、圧倒的な存在ではある。だが現世には殆ど介入しない上、その殆どが自らの信者などを通したものだ。
ましてや、間接的に助けることはあれど、自ら身を挺して人を守るなど、ありえない。
無論、それはこちらの神とて世界を保つ守護者として必要なことであり、現世に肉の体を持てない故に仕方のないことだ。
だが、同じ助けるということでも、罠を張る金を援助する者と、被害をなくすために狩りに出た者とでは受け取り手の心象が異なる。
「それが、ウルトラマン…」
「…ええ。わたくしも殿下と共にその御姿を拝見しましたが、ティータイムほどの時間もかけずにカイジューを打倒してしまいました。……あまりよろしくないかもしれませんが、正直に申しますと、圧倒されましたわ」
「……そのウルトラマンが、ジエイタイ…いえ、ニホンにはついていると?」
ハミルトンが唾を呑みながら問うとピニャは微かに眉を伏せて告げた。
「確かにそう捉えることも出来よう。だが誰の味方…等という単純なものではない。かの存在は平和を守る戦士であると同時に、明確な脅威等に対抗し、人を守ることはあっても内部紛争や真っ当な戦争には介入しないとのことなのだ」
「戦争などになると、その意思決定に関わらず従う他ない現場の兵や、思想や方針の違い…。政治や待遇などによる問題が含まれますわ。そこに暮らす者ではないウルトラマンはそれに介在して世を乱す真似はしないとのことです」
その言葉にハミルトンは戦争中のニホンとの戦いにはウルトラマンは手を出さないのだなと光明を見出す。
「で、では…!」
「しかし!」
そんな僅かな道をもピニャは強く待ったをかける。
「……それには、例外があるのだ。ウルトラマンが手を出さないというのは、同じ星…地にて生きる同胞同士の争いや、互いが始めた戦争において、様々な措置が取られている場合に限られる」
「ど、どういう意味ですか…!?」
「……この書物に記されている、とある事件がある。……この我らの住む大地が星であるのは言うまでもないが、天上にも多くの星があるだろう?……その星にも、我らと同じく多くのことを考えるに至った人間のような種がいるのだ。……ウチュージンというそうだがな」
「ウチュージン…」
やはり事が大きくなるスケールにもはやハミルトンの狭い常識と頭はついていけない。沸騰しそうな思考にも構うことなく言葉は止まらない。
「特殊な亜人と思って聞けばいい。……ウルトラマンがいる間に、あるウチュージンがあちらの世界に現れた。理由は故郷を失ったことによる移住。……そのウチュージンとあちらの世界の人々は言葉を交わして途中までは穏便に進んだ」
「途中まで、と仰るということは…」
「そうだ。そのウチュージンは共存の提案を最終的には拒否してその場の者たちを殺害し、力付くでの侵略を働いたのだ。……無論、平和を守る戦士としてウルトラマンはそのウチュージンと対決し、撃滅された」
そしてピニャは目を血走らせてこう言うのだ。
「…我らとそのウチュージンの何が違う?……こちらとあちらが異世界同士であるのだから、同じ地に住む者という条件はなくなる。ましてや、国交や政治的勧告すらないままに奇襲を始めたのは帝国の方だ。……そう、対話など一切始めることもなくな!」
「あ……」
ここでピニャの言いたいことが分かったハミルトンは目の前が真っ暗になったかのような錯覚を覚える。
「最初に穏便な対話を取ったウチュージンも、武力での一方的な制圧に乗り出せば平和を乱す存在ということだ…!ニホンが偶々帝国の侵攻を撃退する能力があり今も攻め滅ぼす姿勢をとっていないだけで、本来はその条件に当てはまる、とは思わんか?」
「それは……」
「……否定できませんわね」
そう。ニホンだけで押し返すことが出来たから、今こうして戦争という形式は保てている。
だが、仮に帝国が侵略を進め、大損害を被っている今ですら講和などという考えの者は殆どいない。いたとして、それは平和的な考えからではなく、自分たちよりも強いからという保身によるものだ。
そんな帝国がニホンに勝つことがあればその条件や扱いは相応に酷いものになるのは言うまでもないだろう。
それはこれまでの歴史が証明している。抵抗が強ければ強いほど、辛酸を舐めさせられた帝国からの扱いは劣悪なものとなるのだから。
ニホンが勝っているからそのような光景があらわになっていないだけである、というのがピニャ達の総意だった。
「それを踏まえて聞くぞ?…勝てると思うか?勝てたとしても、神の如き存在を敵に回してまで戦う意味はあるのか?……どれだけ低く見積もろうとまず間違いなく、帝国は国としての形を保てんぞ?」
「「…………」」
ピニャの真に迫った言葉に二人は沈鬱な表情で視線を下げる。
そもそも、勝てるという希望的観測ですら、現状の情報だけても殆ど不可能だ。
何らかの問題が起こった際の奇襲か、孤立した少数ならばどうにか局所的な被害を与えられるかといったあたりだろうか。
まず勝てない。勝てても先がない。奇跡的に無事でも神の如き存在が敵となる。
どうしろというのだ。
喉元まで出かけた慟哭をピニャはすんでのところで飲み込んだ。
「……詰み、ですわね」
ボーゼスのその言葉は、本来帝国貴族に連なる者として何たる弱気かと叱責して然るべきもの。
だがその事実を何よりも理解しているからこそ、同じく項垂れるのであった。
「幸いにも、ジエイタイはこちらへの侵略戦争をよしとしていない。アルヌスで行われているという避難民の援助や、敵だった存在への寛容とも言える対応は、恐らくだが兼ねてよりウルトラマンに救われたことへの感謝と敬意からその姿に倣い、それを忘れた者がどう見られるかという教訓もあるのだろう。だが、全てを許すほど甘くもない。それはイタリカで鋼鉄の天馬を見たお前も承知のことであろうが…」
そして、既に疲れが出ていたものの、最後まで責任を果たそうとしたのか、ピニャは目を爛々と輝かせて言葉を続けた。
………同じ苦悩を味わえという理由ではないはずだ。
「妾が何故ここまで講和に拘るか、分かったであろう?」
コクコクと頷くハミルトン。人形のようなその動作に些かの滑稽さを覚えながらも、一息ついたピニャは言葉を重ねた。
「講和を結ぶ理由は他にもある」
「まだあるんですか!?」
「カイジューという脅威は、最早あちらの世界だけのものではない。先ほど見せたカイジュー、マグラーの亡骸はアルヌスの丘にある」
「そ、それは本当です…?」
驚きからか妙な口調になっているハミルトンに、肯定するボーゼス。
「……ええ。わたくし自身目を疑いましたが、事実です。……何より、その場に生きたカイジューも空より現れましたから…。殿下の言う鋼鉄の天馬がなすすべもなく破壊される様もこの目で見ましたわ」
「門の大きさから、あちらの世界から現れたわけではないだろう。だがカイジューやウチュージンの中には世界を超える手段を持つものもいるという。……理由は分からぬが、とにかくカイジューはこの世界にも現れた。考えても見ろ。古代龍をも超える厄災が地の下から、空から、海から次々と現れる様子を」
「それは…」
控えめに言って地獄だ。
こちらの攻撃は効かず、堅牢な城塞は文字通り素通りされ、更には出現も予測できない。
そんな存在が、一体や二体どころの話ではないとなると厄介どころではない。
「そこで、講和なのだ。妾達はカイジューに対して無知であり無力だ。ニホンからカイジューへの備えを学び、最悪の場合はその力に頼ることも考えなければならない。……そうでなければ、帝国は力量差も立場も分からずに滅んだ愚かな国と歴史に残されるであろう…!」
「殿下……」
講和とは言うものの、その実態は実質的な対策を委託するようなもの。そもそもが戦争を仕掛けた側が庇護を求めるなど、受け入れるにはその扱いは相当に悪いものとなる。
握りしめられた拳は微かに血が滲んでおり、その悔しさが窺える。
だが、そうするしかないのだ。
数で負け、質で負け、その上で相手の度量によって生かされている。そんな中で未曾有の災害が迫ってきており、帝国は数ある内の一つにすら歯が立たない。
二人にはまだ話していないが、ピニャは降伏をしてもいいとすら思っていた。
このまま戦争を続けるのは愚策だ。勝てるわけがないし、ニホンからの印象も交戦状態を長引かせる程に悪くなる。カイジューが出てから泣きついても、頑なに敵扱いしてくる帝国を守る義理などニホンにはないのだから。
むしろ、変に策を弄したり反抗的、差別的な振る舞いを見せて扱いを悪くされるくらいなら、いっそのこと徹底的に敗者であると分からせてしまって、強大な力の庇護にあるという実感を湧かせて機嫌取りをしなくてはならないとも考えているほど。
ニホンに渡って入手した情報は、ピニャにそう決意させる程の衝撃だったのだ。
「…このことは言うなよ。……いや、むしろ妾の騎士団にならば共有してもいいかもしれない、か」
「ピニャ様、それは…!」
「分かっている。信のおける者で口の堅く、そして此度の戦争に身内の関わっていない者を厳選するつもりだ。……ハミルトン、頼めるか?」
「わたっ、私ですか!?」
ハミルトンは突然の無茶振りに何度目か分からない悲鳴を上げた。
「仕方ないだろう。このことを知る者は妾たちの他いないのだから。妾は園遊会や講和に向けての調整がある。ボーゼスにはジエイタイやニホンへの印象や噂、そしてカイジューの疑いのある話を集めさせているからな」
そう言って、解散の令を出すとどうしていいか分からず立ちつくすハミルトンを一瞥してこう念を押したのであった。
「くれぐれも慎重にな?そなたの選んだ者によって帝国の
「そ、そんなぁ……」
重大な任を負ったハミルトンは、しかしてその内容が内容なために拒否することも出来ず、慎重に団員の顔色や話題の食いつき、身辺関係を洗い出すことになるのであった。
原作との違いとして、仮に門を塞いだりしたとしても、怪獣はもうこっちにいるので対抗するにはニホンの力を当てにするしかないというのがあります。
勘違いと情報の過不足が原因でピニャ殿下は原作より遥かに悲観的です。
まあ大体あってるのが困るんですが。その分地球側にもすごい被害()出てるのでトントンです。
ピニャ達に伝わっている情報と、その解釈などを細かく描写させていただきました。
尚賠償金とかがこれからさらなる絶望を与えてきます
これにて総集編は終わりです。