ウルトラマンGATE 超人 彼の地にて、斯く戦えり 作:AGIの素
ヤオは意気揚々とアルヌスの街へと入り、言語の壁に当たってカツアゲ事件の参考人として事情聴取を受けているその頃。
アルヌスの丘にはある
「あれが噂の新兵器ってやつか?」
「なんてサイズだ…。最早戦車って言っていいのかよ?」
「デケェな。74式の3倍はあるぞ…?」
「だが主砲はどこだ?……いや、よくみればあるな…。あんなデカいのにチハみたいな砲塔してやがるぜ」
やはり自衛隊に入るものの性としてか、新兵器ともなれば一目お目にかかろうとするものはそれなりにいるらしい。
彼らは遠方からその姿を見て口々に感想を言い合っていく。
しかし、その感想の殆どは、その
それも当然だろう。彼らが見つめているその新兵器は戦車の形をしているものの、そのサイズはまるで異なる。
現在彼らが運用している戦車は74式戦車。
とっくに旧式ではあるものの、その配備数や汎用性の高い10式の生産が十分ではないせいで、今もそれなりの基地で主運用されている戦車だ。
もっとも、最近は旧式ということで特地に配備されることになったり、怪獣への対抗手段である電磁砲を載せるための車体としての改装などが成されており、ある意味では前線に戻ってきた戦車とも言えよう。
そんな74式戦車は全長9.41m、全幅3.18m、全高2.25m。平均的な戦車の値とも言えよう。
しかし、彼らの目にするそれはどう見ても遥かに大きい。何せ全長においても全高においても同時に並んでいる74式電磁特車に比べて3倍以上の大きさがあるのだ。
他国の戦車などはより大きなものなどもあるが、それにしたって倍すらない。世界最大の戦車とも呼ばれるマウスとて、全長においての差はそこまでなく、高さも1.5倍と少し程度だ。
「よくあんなもんを作る許可が下りたな」
「当たり前だ。あれは怪獣とドンパチやるようの専用車両だとさ」
「正にモンスター級…ってことか」
「違いねえ」
そう。この超巨大戦車は電磁特車と共に運用されていることから分かる通り、自衛隊の兵装ではない。
GGUによって開発された対怪獣用の特注品なのだ。
対怪獣用
車全長40m、全高14m、全幅18mという規格外の大きさを誇る超重戦車だ。
確かに怪獣と戦うならばこれくらいの大きさでなければ…と思う反面、その巨大すぎるそれはデメリットとしても映る。
「あれ、動くのか?」
「いや、そもそも地面が沈むでしょう」
「90式ですら生半可な路上じゃ使えねえんだ。あんなのまともに運用出来るわけがねえ。いくら何でもでかすぎる。…多分だが移動も可能な固定砲台って感じじゃねえのか?」
そう。大きいということは、即ち重く、動かすのに必要な力が多いということになる。
故に、眺めていた彼らはその規格外の巨体は専用の設備などを整えて、遠方からの砲撃用なのだろうと思った。
だが、そんな彼らの目の前で信じ難い光景が繰り広げられた。
「んなっ!?」
「はっ、走った!?」
「74式と同じ…いや、それより速いだと!?」
「何であんなのがあの速度で走行出来る…!?」
いきなり走行を開始した戦車隊からティタノザウラは置いていかれることなくその肩を並べたのである。
その巨体にも関わらず同等以上の速度を出していること、そしてそれにも関わらず地面は陥没していないことに一同は慄き、同時に何故そんなことが可能なのかと己の常識を疑った。
しかもそれだけではない。
ティタノザウラは速度を維持したまま他の特車同様に旋回行動やスラローム走まで始めたのである。
当然その巨体故にどうしても大味になる部分はあったが、それでも大きさを考えれば驚嘆すべき性能だ。
「お、おい。あれは何する気だ?」
「随伴の電磁特車が離れていくぞ!」
またしても変化は起こる。
これまで同じように動いていた電磁特車が、ティタノザウラを残して散開していくのだ。
そして唯一同じ進路を進むティタノザウラは見る見る速度を上げていき、既に時速100kmを超えている。
その大きさ故に遠目に見ればそう速くは見えないかもしれないが、そんなことは重々承知している自衛官達は唾を飲み、次に悲鳴のような声が上がった。
「おい!あの速度で突っ込むつもりか!?」
「丘が潰れるぞ!?」
いかになだらかな丘陵地帯といえど、一気に突っ切ればかかる負担も変わる。何より地面に埋まってしまうのではないかという心配の声が寄せられるが、彼らは更に信じられない光景を目にする。
「「「「「は!!?」」」」」
ティタノザウラが丘を登り、そして
それは助走をつけた坂を乗り越えたという一瞬の跳躍ではなく、明確に重力に逆らった飛行だ。
「と、飛んでる…」
「嘘、だろ…」
「夢でも見てんのか…?」
彼らは余りに信じられない光景から己の目を疑い始めるが、これはれっきとした現実である。
ティタノザウラ。規格外の超巨大戦車にして、この世界では初めて作られた陸上戦艦とも呼べるモンスターマシンだが、何とこの巨体を持っていながら飛ぶことが出来る。
いや、自由な飛行性能を備えているとは言い難い。
機体各部に大量のスラスターが備え付けられており、それらを噴射することで短時間の飛行、滑空を可能としているのだ。
それは巨体ゆえの運用の難しさや移動に伴う障害を無視するための奇想天外な一手だった。
航空力学に喧嘩を売っているような光景だったが、これを可能としたのは大型の
ただでさえAMATERAS REACTORによって爆発的な推進力と重力制御能力を有していたことに加え、リバースエンジニアリングによって一部機能を再現できた反重力装置を使うことによって、これだけの巨体、重量を持つ車体の飛行と、地面を陥没させずに運用することが可能となったのだ。
無論、その技術の両方ともに最先端すぎる余りにコストは度外視されている。並の兵器に搭載することはまず不可能であろうし、それが必要とされるほどの高すぎる性能を発揮することもないだろう。
唖然とする彼らを余所に、ティタノザウラはスラスターを吹かせて軟着陸。衝撃はそれなりにあるが、精々が並の戦車より強いか程度で優しすぎるくらいだ。
「……ん?」
そんな時、上空から風を切る音が耳に届く。
見れば、それは並の戦闘機など比較にならない速度で空を自由に駆け回る巨影が一つ。
「あれは…」
「確かあれも、運び出されたっていう対怪獣用の戦闘機…」
「は、速い…」
彼らが見つめるのは、これまたGGUが特災課だった頃から開発が進められてきた特注品だ。
対怪獣用大型戦闘機【ケツァルコアトル】
全長34m、全高12m。最大巡航速度マッハ6.6。
中型のAMATERAS REACTORを2基備えたそれは、あまりの速度に振り回される者や気絶する者が後を絶たないという、こちらもまたモンスターマシンに相応しい機体だった。
「お、おい…!大丈夫なのか、アレ…!」
見れば、ケツァルコアトルは様々な軌跡を描いたかと思えばこちらに向けて降下してくる。
ここは発着場などでなく、今もこうして演習や試験が行われているだけだ。当然滑走路などない。
だんだんと近づいてくるその姿に、まさか今の軌道でパイロットが意識を失ったのかと慌てる自衛官達だったが、ある程度の高さまで降下するとバーナーを吹かせて姿勢制御。見事な技術により低空飛行を始める。
その精度に舌を巻く中、地上のティタノザウラが車体からレーザーポインターのようなものを上空に向けて照射する。
何かの合図かと見守る中、続けてケツァルコアトル側もティタノザウラの直上へと移動すると、そのレーザー誘導を互いに出し合ってその距離を縮めていく。
「まさか…」
超低空を低速飛行する巨大戦闘機という光景に固唾をのんで見守る自衛官達は、その意図に気づくと同時に「そんな筈が…」と己の常識がそれを否定する。
そのまま互いのレーザー誘導が絡み合うや、ケツァルコアトルはゆっくりと下降し、なんと先端部や機体下部が展開して地上を征くティタノザウラの上へと覆い被さって合体したのである。
「合体した!!?」
「つまり、あの超巨大戦車は、同時にあの戦闘機の発着場ってことか…!?」
合体ロボやメカなどを創作ではよく見かけるが、まさか現実にそれを可能な技術が追いつくなど思っても見なかった彼らは興奮と困惑が混ざったような心情ながらに、それを成せるほどの力を怪獣対策へと注いでいるのだ、とその本気度を垣間見たような気がした。
ドッキングしたケツァルコアトル、ティタノザウラの二機はそのまま地上を走行したかと思うと、双方のスラスターを吹かせて再び空へと旅立ったのである。
流石に重量物を抱えたためかその速度は遥かに落ちるものの、それでもF-4ファントムと比べても遜色無い様に見える。
「え?」
「あの戦車ごと、移動ができるのか…?」
そう。ケツァルコアトルとティタノザウラは互いに運用の困難な巨大兵器だが、仮想敵は何処から現れるとも知れない怪獣や巨大宇宙人だ。
それが専門の施設がある場所でしか運用や発着が不可能となると、それはそれは扱いに困るのだ。
ということで、互いが互いの利点を補うことにしたのである。
ケツァルコアトルは困難な発着陸を移動可能な戦車型のティタノザウラの上で行うことで様々な局面で可能とし、ティタノザウラは巨体故に限られる道などをケツァルコアトルに空輸されることで迅速な展開が出来、飛行の必要性がない際にはケツァルコアトルは搭乗したまま地上を走破することも可能としていた。
つまり、この二機は最初からセット運用を前提とした対怪獣用兵器だったのだ。
単体の性能で以てみても既存の兵器の常識を揺るがし、更にはフィクションでしかあり得ないような機構を見せられては、彼らもどう反応していいか分からない。
SFオタクや一部のメカマニアならば喜ぶのではないだろうか。
だがそれはあくまで娯楽として。
現場で命を懸ける自衛官の目に、その新時代の兵器はどう映ったのか。
「すっげ…」
「これなら…」
「ああ…」
「怪獣にも、勝てるんじゃないか?」
彼らは口々にその驚異的な技術力に感嘆を覚えた。
一年ほど前に聞けば馬鹿馬鹿しいとしか思えない空想の産物だが、現にこうして目の前でそのような技術が用いられた兵器が完成している。
最近になって、ようやく怪獣への対抗手段は広まってきたものの、それでもやはり急場しのぎ感は否めないのが現状だ。
何せ主力である74式電磁特車は確かに怪獣へと通用するものの、依然として怪獣の驚異的な生命力には届かない事が多い。
原始的な弓矢を持って生身で巨像の群れに立ち向かうようなものだろう。
自走粒子砲も強力な兵器であるが、その製作コストや技術的、時間的問題から配備はあまり進んでおらず、比較的配備されている基地などでも2台が精々。首都東京や大規模な地ともなればそれ以上に配備されていることもあるが、1台もない土地とて未だ多い。
加えて対怪獣を考えれば余りに長いインターバルと、発射時には固定しなければならないという制約を抱えている。これが一撃で勝負を決する程の威力であればさしたる問題ではなかったのかもしれないが、それだけのデメリットを許容して放つ最大火力でも、二、三発では倒れてくれない。
そして、これらの新装備を整えていながら、未だ怪獣の撃破には至っていない。
無論、これまでのようにまるで歯が立たないといった状況は減りつつあるが、やはり神出鬼没の怪獣相手では満足いく布陣で迎え撃つというのは難しいのだ。
GGU発足から2ヶ月。怪獣を撃破したという実績はない。
その殆どが足止め中に現れたウルトラマンノヴァによって被害が広がる前に倒されている。
撃退例も探せばあるが、怪獣自体があまり攻撃的でなかったり、そもそも何かの間違いで現れたからか直ぐに去っていった例などが混在しているのだ。
何もウルトラマンを恨んではいない。むしろ感謝している。
だが、それはそれとして自分たちの身の安全すら守れないというのは関係者たちに悔しさを痛感させていたのだ。
だからこそ、これまでの兵器と比べても別格の存在感を放つそれに期待をするのだ。
怪獣から人々を守る盾となってくれ、と。
「しかしあのシルエット…。どこかで見たような…?」
「ん?そりゃ戦闘機と戦車なんだから普通じゃ…」
「いや、そうじゃなくて……。あっ!あれだ!恐竜戦車だよ!戦車の上に乗ってる姿がそれっぽいんだ!」
対怪獣用陸上戦艦【ティタノザウラ】
車全長40m、全高14m、全幅18m。
重量2万2000トン。
最大時速140km。
車全長の内訳はキャタピラ相長30m。後方スラスター5m、前方排障器5m。
陸上戦艦、とあるが正式な分類ではなく、扱いとしては超重戦車。構想のみに終わった陸上戦艦の名を持ち出したのは、その大きさと対怪獣という扱いのため。
大型のアマテラスリアクターを搭載し、重力を制御しているために地面に陥没することはない。
車体各部にスラスターを複数備え付けており、これを用いた最大速度以上の加速や、短時間の低空飛行を可能とする。
これにより、障害物や地形をある程度無視して作戦位置につくことが可能。
ケツァルコアトルの発着場代わりにもなり、逆に運搬されることで高速での空輸も可能。
装甲材質は『デマーガメタル』
デマーガの体組織や細胞と溶鉄の組成を研究することで精製された合成金属。剛性と粘り強さ、そして耐熱性は他の金属と比較しても格段に上。
製作にコストと時間と専用設備が必要だが、強度はデマーガの外皮に匹敵するとされる。
表面にはギガデロスを参考に特殊コーティングを塗布している。
武装
『6連装対怪獣誘導弾』2門装備
『省エネルギー単装速射ビーム砲』2門装備
『リアクター直結式粒子主砲』1門装備
『■■■-■■ ■■■■■■■■』現段階では使用不可
詳細は秘す
対怪獣用大型戦闘機【ケツァルコアトル】
全長34m、全高12m。
重量1万4000トン
最大巡航速度マッハ6.6km。(ティタノザウラ合体時はマッハ1.6程度)
ヤオが目にした巨大な翼の正体。
最大級の大きさを誇る戦闘機。ティタノザウラと同じく装甲材にはデマーガメタルを使用している。
機体強度故にマッハ6.6で曲芸じみた操縦をしても分解しないが、パイロットにかかる負担は尋常ではない。
現在は特殊な耐G服を装備してからの操縦となっているが、コクピット内部の重力操作による圧の軽減という案が出ている。
ティタノザウラを移動可能な発着場としても使用でき、合体時には燃料の補給や充電などが出来る。
ティタノザウラだけでなく、下部側面アームを用いることでその他の物資やコンテナなどを運ぶことが可能。
合体した姿が恐竜戦車みたいと言われる。
武装
『120mm対怪獣機関榴弾砲』2門装備
『多機能噴射システム』2門装備
『ショットレーザー』1門装備
『省エネルギー単装速射ビーム砲』2門装備
『■.■.■■■■』現段階では使用不可
『■■■-■■ ■■■■■■■■』現段階では使用不可
詳細は秘す
双方の名前の由来は
地球史上最大級の体長を誇るティタノサウルス類と、同じく最大級の翼竜であるケツァルコアトルス。
また、両者共に名のモチーフが神。
戦車や戦闘機に動物の名をつけることはよくあるため、その中でも共に最大級の古代生物をつけた。
ドラゴンなどもあるが、特地にてドラゴンは怪獣にまるで敵わなかったことや被害者がいるために使われなかった。