ウルトラマンGATE 超人 彼の地にて、斯く戦えり 作:AGIの素
地球初の人間の力のみによる怪獣撃破。それは世界中にとてつもない衝撃を与えていた。
その一方で、作者は久し振りにやったARKの面白さと洗礼に衝撃を受けていた。
地底怪獣ゴロモスを撃破した特地派遣隊はというと、異例の大騒ぎとなっていた。
それも当然だ。
この地にいる自衛官やGGU隊員たちからすれば、莫大な被害をもたらし、未だどんな国もなし得なかった偉業を成し遂げたのだから。
各地で現れる怪獣被害には多くの自衛官の犠牲者も出ており、住宅の倒壊などによって仮設住宅に暮らす家族を持つものもいるのだ。
圧倒的で、それでいて見過ごすことのできない災害に打ち勝てる力を証明したのだから、その興奮はひとしおだろう。
今は大急ぎで報告書の作成やゴロモスの亡骸の調査や管理などに奔走し、しばらくは休まる時はないだろう。
対して、アルヌスの街も蜂の巣をつついたような騒ぎとなっていた。
何せここアルヌスの丘に怪獣が現れるのは今回が初めてのことなのだから。
これまでにもマグラーやパワードチャンドラーといった怪獣が現れたが、当時はアルヌスの街は影も形もなく、マグラーの亡骸は厳重に管理されている。
そんな訳で、念のため用意されていた緊急放送用のスピーカーやサイレンが鳴るのは初めてのことで、意味を知らない多くの旅人や商人といった者たちは未知と遠方から続く轟音に驚き、意味を知る一部の住民も怪獣の恐ろしさを目の当たりにしていたので、その脅威に震える。
殆どの人々が一斉に移動したせいもあって、火事場泥棒の取り締まりや放置された料理などの始末があったが、それは大した問題ではない。
警戒態勢が解除され、なんだったのかと戻っていく彼らの一部には、これだけのことをさせたのは一体何なのかと話題に上がっていた。
そんな訳で、特にやることもなかった人々が音のする方向へと走っていったのだ。
「あれだけの音だ。ジャイアントオーガーの群れかミノタウロスでも出たのかもしれない」
「いや、炎龍を倒したって聞くからきっと古代龍だ」
「炎龍以外の古代龍が近くにいたら耳に入ってる筈だ。きっと長く生きた無肢竜あたりだろう」
そんな野次馬精神で見に行った彼らが目にしたのは、予想を超える大きさの未知の怪物だった。
人々は見たことも聞いたこともない未知の怪物に困惑と畏怖を覚えるが、野次馬の中にコダ村の住人だった者がいたのだろう。
瞬く間に彼らに怪獣という存在は広がっていった。
もっと前から話には出ていたが、内容が内容だけに聞き流していた者も多い。だがこうして目にしたからには「あの話も真実だったのではないか?」と考えていくのだ。
どさくさに紛れて近づこうとした者もいたが、警備はいつになく厳重で、その物々しさや緊張が伝わったのか人々も次第にそれを受け止めていく。
「あの緑の人があれだけ警戒している」
「翼竜の鱗を簡単に手渡すほどの人たちが近づくことさえ許してくれない」
そんな認識が広がり始め、更に付近を警備するティタノザウラの圧倒的な存在感は噂の真実性を高めていた。
そんな噂が戻ってきた者の口で広まって、一目見たいと野次馬が連日訪れた。
怪獣の存在自体特に隠すことでもなく、見学すら困難なほどの警備をするには労力がかかる。
余計な真似をしなければ一定の距離からの見学は許されていたのだ。
そうしていつしか怪獣の存在と恐ろしさは広まっていき、それを打ち倒した緑の人の力などが知るところとなったのである。
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その一方で、この事実が知れ渡った地球は歓喜に沸き立った。
紙面やニュースはどこもこの成果を大々的に報道し、人々の注目を一身に集める。
何せ、あれだけ世界各地で大暴れをしていながら完全な討伐に至った例が一つとしてないのだ。
直接、間接問わず被害者は莫大な数にも登り、破壊された建築物や施設、それらと関連する産業なども踏まえれば、それこそ十兆ドルを優に超える損失が出ている。
それを解決できる力があると示したのだから、被害にあった者もそうでない者も諸手を挙げて喜んだものである。
無論、全員が全員そうだとは言わない。中にはGGUという組織にあるとはいえ日本が先んじて成果を上げたことを妬む者や、それだけ強大な軍事力を日本が手にしてしまったと批判する者もいた。
だが、知っての通り今はこの安全と経済活動を脅かす存在を打倒してくれるなら、誰が先とか軍事力やらと言ってられないのである。
また、これは余談だが怪獣の姿が広まるや、日本の一部から「ゴロモスではないか?」という情報が複数上がったことで、未知の怪獣と思われていたそれはゴロモスと判明。
実際に表皮に大量のダイヤモンドが生成され、角や爪に至るまでが巨大なダイヤモンドであったことから特徴も一致していたからだ。
更に詳しい調査によると、マグラーに近い部分や構造が見られ、DNA配列の解析などにより正式に近縁種として記録された。
討伐戦に参加した者はもとより、その状況や扱った兵装らが注目を浴びるのは当然の流れで、更に踏み込んでいけばまたしても目にする名前がある。
そう。GGU第1特地派遣隊だ。
兵装に掘り下げていけば、配備が進められている電磁特車や粒子砲車の設計開発にも携わる村崎の名が挙がり、新型兵器を用いてトドメを差したのは、少し前にもメディアを熱狂させた功労者の片割れだったのだ。
この繋がりから更に過去を掘り下げれば、初の撃退成功例であるゲードスの事例での分析、作戦指示は特災課時代の彼らによる指揮で行われていたのだ。
今のこの時勢、ポジティブなニュースの方がリスクなく稼ぎやすいという打算も大いにあったが、そんな訳で現在メディアや説明会などで第1派遣隊の名は一躍時の人となり、事あるごとに名を出されていた。
更にそれだけではない。
この怪獣ゴロモスを討伐したという歴史的快挙にして、国家の存亡を左右する災害への対応が認められ、作戦に参加した部隊全てに最低でも3級以上の賞状が贈られ、GGUの前線部隊は自衛隊という枠組みではないためそれらの叙勲はなかったが、代わりに国民栄誉賞が贈られることとなった。
ただし、それはあくまで団体のこと。
今回の怪獣討伐という実績を評価され、技術開発に携わった村崎を始めとした開発部署の数人が纏めて文化勲章を授与され、真木個人は内閣総理大臣顕彰を。第1派遣隊は国民栄誉賞と感謝状を授与される運びとなった。
異例の速さで取りおこなれたその表彰式。
その決定の速さは昨今の時勢や他国、国民感情を意識したものであったが、功績自体は口を挟めるものが存在しないために下手な茶々入れもなく速やかに進んだという。
「へえ、流石GGU…。そんなことになってるのね。まあ事が事だから当たり前か」
さて、遅れて自衛隊駐屯地に戻ってきた伊丹達が耳にしたのはアルヌスの街への怪獣襲来とその撃破という報せだった。
まさか自分たちが離れている間にそんなことになっているとは思いもしない。
園遊会に呼ばれ、ケルビムの襲来に神経を削り、戻ってみればこの報告だ。
ヘトヘトの中、第3偵察隊も事態の収拾やそれに伴って空いた業務の穴を埋めるために駆り出され、ようやく少し余裕が出てきたかといった時に小説サイトを見るためにスマホを開けば、それが書かれたニュースを見つけたのである。
「イタミ、それは?」
「んー?こっちで倒した怪獣の件で、話題になったってのと、関係者が受勲されたって話。レレイもあったことあるだろ?」
そうして写真を見せればレレイも見覚えがあるからか納得し、成程、怪獣退治の特殊チームというのは伊達ではないと感心したようだ。
「…イタミは参加できなくて不満?」
「俺が?何で?」
「こちらの世界では、龍殺しなどは多大なる栄誉と名声を得られる称号。古代龍の討伐なんて、これまで達成できた者はいなかった。炎龍を倒せる自衛隊でも怪獣の討伐は非常に困難。…となると、怪獣の討伐もまた栄誉あるもののように思えた」
「いやぁ、別に俺ってそういう栄誉とかが欲しいわけじゃないし…。むしろ今ですら色々注目されるんだぜ?七面倒臭くてね…」
「炎龍を倒したのにぃ、謙虚なことねぇ?」
いつの間に近づいていたのか、ロゥリィが肩に顎を乗せて耳元で囁く。
その蠱惑的な声と吐息に背筋をぞわつかせながら反論する。
「いや、言ってもあれは俺らだけじゃ無理だったし、半分おこぼれにとどめ刺しただけっていうか…」
「でも、あの状況下で炎龍の首を吹き飛ばしたのは事実」
「まあそうなんだけど……。あれは、その、パンツァーファウスト程度で吹っ飛ぶドラゴンが悪いんだい」
まさかの方向への責任転嫁にロゥリィとレレイは顔を見合わせてキョトンとする。炎龍は泣いていい。
そこで、ふと思い出したようにレレイが呟いた。
「そういえば、ジエイタイに用があるという者がいた」
「自衛隊に?確かにあちこちで色々してるけど、そりゃまた何で?」
「炎龍を倒した噂を聞きつけて、自分の集落を襲う水龍を倒してほしいという願いだった」
それにギョッとした伊丹は思わずスクロールする手を止める。
「す、水龍?」
「そう。水龍。炎龍と同じく古代龍の一種」
淡々と返されたそれに伊丹は頭を抱える。
「あー、そりゃあいるよなぁ。怪獣だって複数いるんだし、広く知られてるなら当然っちゃ当然かぁ…。……因みに、つかぬことをお聞きしますが、もしかして他に雷龍やら風龍やら氷龍みたいなバリエーションがあってうじゃうじゃいる、なんてことはあったり…?」
「何を思っているか分からないが、少なくともそういった名は聞いたことがない。古代龍は個体数が少なく、休眠期も長いからそう出会うことは無いはず」
「そうか。それならよかっ…いや、それなら少なくとも炎龍と水龍が同時期に活動してるってことだしな…」
一瞬安堵するも、あんなのがこの狭い距離感で2体確認できる時点で脅威と言えるだろう。
対怪獣へのブレイクスルーや兵器のロールアウトなどからすれば古代龍というのは大したことないようにも思えるが、元々炎龍は空飛ぶ戦車とも例えられる生物だ。
生半可な装備や備えでは通常の兵器を用いる自衛隊員にとっては危険な存在であることに違いはないのだ。
数も装備も揃わない中生身でとどめを刺せたあの状況が奇跡みたいなものである。
「そういえば、あのカイジューの情報はイタミに入っている?」
レレイが興味深そうに身を乗り出して尋ねる。
「本題はこれか…」と食いつきから判断したが、それも不思議な話ではない。
というのも、レレイ自身技官という立場を得ているものの、どうしても外部協力者である以上はその権限や知れる情報にも制限はかかる。
特に特地関連にまつわる事柄ならばレレイの力は必要とされていたが、今回は怪獣案件だ。あの囲いの中にはレレイですら入ることを許されていない。
怪獣の脅威を知り、直接目にしたからこそ気になったのだろう。
伊丹とて詳しく知っているわけではないが、最低限の情報は集まってくる。この好奇心旺盛な娘に少しばかり付き合ってあげることにした。
「えーと、あれはゴロモスって名前の怪獣だな。食性は地底の石炭で、その嗅覚は地底でも正確に石炭の位置を把握することが出来るらしい」
「ゴロモス…。それに石炭を捕食…。いったいどのような消化器官を備えていればそれのみの活動を可能にして…?」
「あー、続けるぞ。特徴として、食べた石炭を高温高圧の体内器官でダイヤモンドに作り替え、それが体中に浮き出ているとのことだ。黒い皮膚の表面につく突起や、目立つ顔の結晶体や爪なんかも丸ごとダイヤモンドだってんだから驚きだよな」
「何と言うか、豪勢なカイジューねぇ。竜の鱗が富を築くのはよく知られているけど、まさかそのままの富が身体についているなんて」
「石炭を金剛石に…?それも体内器官で…。炎龍の炎ですらそれは不可能…。見た所驚いていないようだが、日本では石炭から金剛石を作ることは知られている?」
ロゥリィはその体中にダイヤモンドという点に。レレイは現象自体への追求だ。
「おっ、これで分かるのか…。まあ、そうだね。専用の設備とか色々あるけど、人工のダイヤモンドなんかはあったりする。………とはいっても、あれだけ大きなダイヤなんて聞いたこともないけどな」
「…驚いているようには見えない」
「そりゃあ怪獣だし。何でもありって思っとかないとやってけないんだよなこれが」
その諦観した眼差しに苦労をしてきたのだろうと二人は読み取った。
「では最後に。あのカイジュー…ゴロモスは突起が目立っていたが、その体型や性質は以前現れたマグラーと似ているように見えた。何か関係がある?」
「えーと、あああったあった。そうだねぇ。確かにゴロモスとマグラーは近縁種みたいだな。他の怪獣も近縁種が疑われてるのがいるっぽいし、こりゃ暫くはまた対策映像見ることになるぞ……」
「まだ近い種類がいる?可能なら教えてほしい」
「まあいいけど、一応図鑑にも載ってる奴だぞ?」
「ニホンジンであるイタミから聞きたい。本だけでは知り得ないことも聞ける。細かいニュアンスの違いや前提知識の有無が誤解を招く可能性と、正確な取捨選択を考えれば…」
「わかったわかったって!……いいか?まずはネロンガやガボラっていう―――」
日本と特地。その双方が怪獣を知り、そして着実に経験と知識を身につけていく。
その変化は果たしてどのような結末を齎すのか。それは神ですら知り得ないのかも知らない。
ウルトラマンGATE 超人 彼の地にて、斯く戦えり
-完-
嘘です。全然これからも続きますし、むしろこれから先が一番書きたい場所です。
感想評価ください(豹変)