ダンジョンで一攫千金を狙おうと思ったらどんどん人から外れていくんだが   作:アースゴース

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第2話 ドラゴンの力

 

 「コモドドラゴンやんけ!!!」

 

 レアスキル『ドラゴン召喚』で現れたのがコモドドラゴンだった件について。

 いや、詐欺みたいなもんやろ! 確かにドラゴンやけど! モンスターですらなく動物!

 

 「ど、どないしよ……後ろは行き止まりやし……」

 

 人間とコモドドラゴンでどうすれば。

 そもそも、召喚したはいいが命令とか聞いてくれるのだろうか。

 ウチが思案していると、ゴブリンがじりじりと寄って来た。もう襲いかかって来る寸前だ。

 

 「ゴブゴブッ」

 「ジャアア!!!」

 「ゴブッ!?」

 「えぇっ!?」

 

 だが、それに対して先手を仕かけたのは、他ならぬコモドドラゴンだった。

 他より前に出ていた、ゴブリンの首を噛んでへし折り、そのまま頭から丸呑みにしてしまったのだ。

 いくらゴブリンの骨格が貧弱とはいえ……コモドドラゴン怖っ。

 

 「フスン……」

 「ゴブッ!! ゴブッ!!!」

 「ギャッギャギャッギャ!!!」

 

 ゴブリンは仲間を食われてお怒りのようだ。

 対するコモドドラゴンはもう腹いっぱいで食べられないだろう。そういえば、コモドドラゴンって毒と噛みつき以外に何か攻撃手段あるのかな。

 ここはウチも頑張らないと。シールドと警棒を構えて前に出る。

 

 「うおりゃああああ!!!」

 「ゴブッ!?」

 「ギャアッ!?」

 

 今ので2体殺せた。警棒で殴るのと、シールドで押しつぶしたのと

 残るは3体で、そいつらはすでにコモドドラゴンが相手をしていた。

 

 「ギャボッ……」

 「うえぇ」

 

 1体は、喉笛が食いちぎられている。

 また、もう1体は結構な大きさをほこるコモドドラゴンにのしかかられ、骨が折れて死んだらしい。

 残るは1体。逃げようとしたが、驚異的なスピードで追い付かれ、引きずり倒されて終わる。

 

 「ジャアア」

 「お前強いなぁ!?」

 

 満腹なコモドドラゴンはこちらをじっと見ている。

 その目からは、意志疎通ができるかできないか、ギリギリのラインみたいな知性を感じないこともない。

 ドラゴン召喚のスキル……これ召喚者であるウチの言うこと聞いてくれるのか? でもコモドドラゴンやしなぁ……

 

 「なあ、ウチの言ってること分かるか?」

 「ジャッ」

 「おぉ……」

 

 今、明確にうなずいた。

 どうやら、意思疎通は可能のようだ。いや、出てきたドラゴンと話しができなかったらヤバイが。その場合は送還することになるのか。恐らく永久に。

 

 「……取りあえず、ウチに従ってくれるんやな?」

 「ジャッ」

 

 そういうことになった。

 何はともあれ、これで手は増えた。2人? ならばもっと稼ぐことができる。

 

 「よっしゃ! そうと決まれば善は急げや。もっと金稼いで……ゴブリンより美味いもん食わしたるわ!」

 「ジャアア」

 

 やる気があるのかないのか分からない声を聞きつつ、魔石を拾い集める。

 そして、モンスター討伐に勤しむ……

 

 

 

 ◇

 

 

 

 「いやぁ~稼いだなぁ」

 「ジャア~」

 

 あれから数時間、ウチのリュックにはかなりの魔石と素材が入っていた。

 モンスターを倒せば身体能力が強化されるらしいが、この『初心者の洞窟』では強化もたかが知れている。

 今のウチではこれ以上は厳しいので、一旦帰ることにした。

 

 「お前はどうする? このまま協会受付までついてくるか? それやったらウチも何とか言い訳考えるで」

 

 コモドドラゴンは輸出入してはいけない。ワシントン条約にもそう書いてある。

 つまり、スキルとはいえダイレクトに輸入してしまったウチは何らかの罪に問われるかもしれないのだ。まあ、ダンジョン絡みなので、その可能性は少ないとは思うが。

 

 「ジャアア」

 「戻るんか? じゃあそうしようか」

 

 首を横に振ったので、帰りたいようだ。

 いや、こいつめちゃくちゃ賢いなぁ。ダンジョンか、スキルの影響か?

 

 「あ、そうや。いつまでもお前とかはアカンやろ。名前が必要や」

 「ジャアッ」

 「コモドドラゴンやろ? ……『ドン』とかどうや? コモドドラゴンと首領(ドン)のダブルミーニングや!」

 「ジュア~」

 

 悪くはないっぽいな。まあこれでええやろ。

 送還しようとすると、ドンが何かを伝えたそうにしている

 

 「ジャアジャア」

 「ん? なんや? ……せやな、ウチの名前言ってなかったわ。ウチは『諸星(もろぼし)蛸羅(そら)』や。覚えといてや」

 「ジャッ」

 

 ドンはそれで納得したのか、どことなく満足そうだ。

 

 「じゃ、またな!」

 「ジャァ~」

 

 魔法陣がドンの足元に現れ、消えて行った。

 どこに帰ってるのだろうか。魔法的な空間とかかな?

 

 「まあええか。よし、帰ろ」

 

 ウチはダンジョン1階層の出入り口を抜け、外に出た。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 ダンジョンから出てすぐそこの特徴的な建物。

 それはダンジョンが現れ、探索者という職業が台頭してから設立された『探索者協会』の建物だ。まあ、本部ではなく支部だが。

 

 ここではモンスターの魔石や素材を買い取ってくれる。

 中にはチラホラと防具や武器で武装した人や、ウチみたいなレンタル防具を着けた人もいる。

 幸い、買い取りの受付は人がいなかったのでそこへ行くことにした。

 

 「すいません、買い取りをお願いしたいんですけど」

 「はい、買い取りっスね。免許証の提示をお願いします」

 

 ウチは探索者免許を提出し、リュックからモンスターの素材を出す。

 免許を出すのは、無免許ではないか確認するためと、本人確認のためだ。

 

 「どわーっ! リュックが血塗れじゃないっスか……まあいいか。向こうにクリーニングがあるので、よろしければそちらもご使用くださいっス」

 「はい」

 「そしてこちらの素材が――」

 

 受付の人は素材の査定を始めた。

 

 「はぇ~ソロにしては結構な量。コツでも掴んだんスか? これが今回の査定になります」

 「コツというか……おおっ!?」

 

 魔石が13200円分と、素材が8000円分で21200円!

 半日で、しかも保険料や税金を差っ引かれてなおこの額であるとは。今のウチにとっては凄いボロ儲けだ。

 

 「この額は保険料、税金が引かれた上での額となっております。お金は口座に直接振り込まれます。ATMはあちらの個室にございますのでよろしければご利用ください。それと装備品は隣の返却口にご返却をお願いいたします」

 「分かりました」

 「ご利用ありがとうございました」

 

 更衣室で防具を脱いだ後、レンタル防具を返却する。

 結構な稼ぎだったし、今日は久しぶりに肉でも買って帰ろうかなぁ。

 

 

 

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