ダンジョンで一攫千金を狙おうと思ったらどんどん人から外れていくんだが   作:アースゴース

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第70話 賞金首『馬倉瀬壊蔵』

 エロミミックを放置して去った後のことだった。

 あれから森の中を進んでいるが、K2のナビゲートによってモンスターを避けているにもかかわらず、モンスターの襲撃が激しくなってきた。

 

 「非常に不可解な現象。統率が取れたモンスターの数が増えている」

 

 K2が複数のカメラアイの内の一つでモンスターを見ながら、正確に弱点を狙って撃ち殺す。

 なんとかって企業で作られた暗殺ロボットというのは本当らしい。

 

 「見ろよあの動き。まるで人間みてぇだ」

 

 ラプターのウィンチェスターから弾丸が放たれ、モンスター……複数のサルブレードをまとめてバラバラにする。

 襲ってきたサルブレード達だが、妙に動きが良い。だが、結局はそれまでといった感じであり、対処は可能だった。

 

 「クソッ、何だってんだ一体」

 「待て、前方に強力な生体反応を確認」

 

 ウチが無言で最後の一匹を殺す。

 すると、K2が銃を使って前方を指示した。

 その場所は、崩れ去った石造の建築物……まるで遺跡のような場所だった。

 

 「遺跡か? ダンジョンってのは妙なモンがあるんだな」

 「ダンジョンはいまだ謎が多い。それよりも、生体反応はこちらの接近に気づいているようだ」

 

 遺跡の内部に耳を澄ましてみる。

 すると、衣擦れの音と、何かが空気を切る音が聞こえてきた。

 ウチは何となくこの音を知っている。

 

 「正拳突き?」

 「あん? ジャパニーズ・カラテの技がどうしたんだよ?」

 

 そう、この音は正拳突きだ。

 遺跡の内部にいる奴は正拳突きの反復練習かなんかをしているのかもしれない。

 そんなことを考えていると、中から人の声が響く。

 

 「さっさと入ってこい。俺は逃げも隠れもしない」

 「……チィッ、舐めてやがんのかよ」

 「待て、まだ敵と決まったわけではない。同業者の可能性も存在する」

 

 ウチらは、ゆっくりと遺跡の内部に入る。

 そこでは、空手の道着を着た男が正拳突きをしていた。

 肉体は鍛え抜かれており、どこからどう見ても空手家だ。

 

 「な、何や探索者か――」

 「動くな」

 

 K2がカラテマンに銃を向ける。

 冷徹な殺意と機械的な無情。目の前の命を奪うことに何の感情も持っていない。

 そして、ラプターまでもが銃を向けている。何の考えもなくこんなことをする者達ではないのは分かっている。理由があるはずだ。

 ウチが無言で成り行きを見守っていると、K2が言った。

 

 「A級賞金首『馬倉瀬(ばぐらせ)壊蔵(かいぞう)』だな」

 「賞金首かは知らんが、俺は馬倉瀬壊蔵だ」

 「ば、馬倉瀬壊蔵!?」

 

 A級賞金首『馬倉瀬壊蔵』

 ウチもその名を聞いたことがある。

 元はB級探索者だったが、とあるスキルを手に入れてから突如として変貌。パーティーメンバーを殺害し、その後は様々なダンジョンを渡り歩きながら探索者を誘拐および殺害しているという超凶悪犯だ。

 

 そして、A級賞金首というのは単純な強さで決まるものではない。

 危険度……そう、社会や探索者への危険度、倫理的な観点によって決められるものである。

 壊蔵は、ウチらが何を聞くまでもなく語りだす。

 

 「良い素材を探してるんだ。見た目も強さも兼ね備えた素材を」

 「あぁ?」

 「機械は初めてだが、まあ大丈夫だろう」

 

 壊蔵が正拳突きをやめ、両手を挙げる。

 降参か、と思った瞬間。

 

 「おっおっあ、ああああ、ああ――」

 「なっ!?」

 「下がれ! やっ!」

 

 何かが、凄い勢いで突っ込んできた。

 ウチはとっさに二人を庇い、それを殴り飛ばす。

 そして、突っ込んできた者をまじまじと観察する。

 

 「な……」

 

 ウチも、ラプターも絶句した。

 それは、複数の人間やモンスターを無理やり融合させたかのような、悍ましい形状の怪物だったのだから。

 その中には、テレビで見たことのある行方不明者の顔も存在した。

 

 「あ、あっ、こ、こここここころしししいししっててててててて」

 「俺のスキルは【改造】。そいつは()()()で作ったパッチワークだよ。まっ、予想とは違って強くなったから嬉しい誤算だったね」

 

 怪物は悲痛な声を上げ、壊蔵が邪悪に嗤う。

 

 「デケェな。銃は効くかな」

 「流石に近代兵器を甘く見すぎだ。それに対モンスター弾頭ならば対処は十分可能であると判断」

 

 ラプターは不敵に二丁のショットガンを構え、K2は武器を変更。

 先ほどは何の変哲もないAKだったが、背負っていた機関銃『MG42』を構えた。

 何故ウチがあの銃をMG42だと分かったのか。それは、オトンが見てた映画で知ったからだ。

 

 「ヒトラーの電動ノコギリか」

 「今からお前も独裁者のように死ぬのだ」

 

 人をバラバラの肉片に引き裂いてなお有り余る威力の機関銃を前に、壊蔵は余裕綽々の態度だ。

 さりげなく怪物の後ろに隠れた壊蔵が、指を鳴らす。すると、遺跡の外から大量のクマ、メガクローが現れた。

 

 「グルルルル……」

 「ま、またクマか……」

 「多勢に無勢ってね」

 「腐れ外道が、その短小な竿と金玉みたいにグチャッと潰したるわっ」

 

 外道に堕ちたクソ野郎を叩き潰す。

 機械と人間とトカゲが手を組み、奴を殺すための戦闘が始まる。

 

 

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