ダンジョンで一攫千金を狙おうと思ったらどんどん人から外れていくんだが 作:アースゴース
「はい皆さんご注目!」
ウチの声に皆が反応する。
ドン、ブロワーマン、マコト、ガーランド、グレゴール、ラプター、K2……皆そろってる。
名簿だけ見ると『海外のクラン?』と思ったのは内緒だ。
「今回攻略するんはここ、B級ダンジョン『大阪地下火山』や!」
流れるマグマ、暑い気温、火属性のモンスター。
ここは大阪の地下に存在する大洞窟『大阪地下火山』である。
もちろんダンジョンなので噴火の心配はないし、鉱石なども豊富に取れるので内部は探索者で活気づいている。
中にはお守りなるものを求めてツルハシを振るう探索者もいるとかいないとか……
「流石B級ダンジョン、モンスターからも熱い視線を感じるわ」
「単に気温が高いだけでは?」
確かにめちゃくちゃ暑い。
だが乾燥しているので日本の夏ほどでは……いや、そもそも気温が高いのでどっちもどっちか。
「K2とラプターは大丈夫か? オーバーヒートとかせぇへんよな?」
「問題ない。我々は上質な冷却機能を有している」
機械である二人も大丈夫のようだ。
こんな火山でも冷やせるなんて凄いなぁ。
「ドンもスキルのおかげで問題ないし……行くか!」
「出発だーっ!」
ウチらは、火山の奥深くへ向かって進みだした。
◇
「おお、見ろよドン。マグマに酸素送ったらめっちゃ燃えてるぜ」
「ジャア」
「何やってるんですかブロワーマンさん……」
道中、ブロワーマンがマグマにブロワーで風を送って燃やしていた。
酸素という燃料が追加され、ごうごうと火柱を上げている。もちろんただの遊びである。
「ドレスが焦げてしまうな……最近買った安物ではあるがね」
「グム……常時変身していてはどうだろうか」
「ククク……全くもってその通りだガーランド。しかし、生憎あれは安売りするようなものでもなくてね」
緊張感のない道中と思うなかれ、誰一人として警戒は怠っていない。
あんな気の抜けた世間話をするグレゴールは、現役のA級探索者なのだ。
皆は分厚い靴を履いているので問題ないが、ウチは裸足なのでマグマに焼かれつつ先を進んでいると、向こう側から何かがやってきた。
「見ろ、マグマゴーレムだぜ」
溶岩が人の形をしている。それが第一印象だった。
それはまるで動く小さな火山のようだ。こいつはマグマゴーレム。身も心も熱い熱血漢だ。
『ヴォオオオオ……』
「熱そうな奴やなぁ、火傷しそうやわ」
マグマゴーレムは
「誰が行く?」
「万が一がある。ウチから行くわ」
ウチはマグマゴーレムの前に躍り出た。
すると、奴もウチを最初のターゲットと認識したのか、拳を振り上げた。
あまりにも遅い。あくびが出そうなほどだが……そのパワーと灼熱の炎は人を殺して有り余るだろう。
「ふんっ!!!」
『ヴァアアアア』
ウチはマグマゴーレムの胸の中心をパンチで貫いた。
そこにはちょうど、モンスターによって持ってたり持ってなかったりする魔石があった。
ウチがそれを綺麗に砕くと、マグマゴーレムは溶けて単なる溶岩となった。
「お見事! ナイスパンチだったぜ」
「うぅ……」
「おお? どうしたんだよ」
ブロワーマンが近づいてくる。
「あっつ……や、火傷したわ」
「火傷じゃすまないでしょ!?」
ウチの右腕は焼け
まあ、すぐに再生しているのだが。
「取りあえず魔石の位置は胸だな」
「弱点が分かれば、アタシとK2なら安全に処理できるぜ」
「後衛の義務だな」
腕が鳴る、と言った様子の機械組。
マグマに接触するのは、ウチが証明している通り得策ではない。
だからマグマゴーレムはこの二人にまかせよう。そう思っていたところ、壁の横穴から気配がした。
「むっ!?」
「チチチ!」
ヒュン、と何かが飛んでくる。
ウチはそれをキャッチした。それは、黒いトゲのようなものだった。
「チィッ、こんな横穴に入れる奴もいんのかよ、火山アラシには」
「火山アラシ? うわ、マジでおった」
「チチチ!」
横穴を慎重に覗くと、そこにいたのは燃えるヤマアラシだった。
こいつは火山アラシ。トゲを飛ばしてくることと燃えている以外は普通のヤマアラシだ。
「えいっ」
「ヂュッ」
虎の穴が横穴に剣を突き入れる。
すると、短い断末魔と共に沈黙が訪れた。
「……え、これで終わりです?」
「まあ、火山アラシは攻撃力はともかく耐久性はあまりないからな」
突き入れた剣も、熱で溶けているとかもなかったようだ。
対処は十分可能と。ウチらは火山のもっと奥深くへと進んでいった。
【マグマゴーレム】
・マグマで作られたゴーレム。
動きは鈍いが物理攻撃の効き目がやや薄い。また、マグマと一体化して奇襲することもできる。
弱点は水で急激に冷えると岩になってしまい動けなくなるので、さっさと砕いてしまおう。
【火山アラシ】
・燃え盛るヤマアラシ。
ヤマアラシとしてはやや小型で、トゲにも柔軟性があるために小さな横穴にも入ることができる。
トゲを飛ばしてくるが、このトゲは身体から離れた瞬間に冷えて硬化する性質を持っている。つまり、火山アラシは自らの体温でトゲの柔軟性を維持しているのだ。