蛇のおっさんが幻想入り   作:幽玄ノ乱

1 / 23
この作品には、本来の喋り方と違う喋り方をするキャラがいるかもしれません。



紅魔編
第一話 闇と氷


ここは幻想郷。

外の世界からは結界で隔離されている。

が、たまに現世から人が迷い込むことがある。

今日、幻想郷に入り込んでしまった男がいた。

 

暗い森の中、ルーミアはお腹を空かせながら飛んでいた。

「最近食べる物がないなー。誰かいないかな?」

そんな空腹ルーミアは、木々の向こうに人間らしき物を発見した。

「あれは食べてもいい人間?」

近づいてみると、その男は気絶していた。身なりからして外からきた人間だろうか。

空腹が限界に近かったルーミアはとりあえず食べることにした。

「それじゃ、いただきまーす♪」

頭に噛みつこうとした瞬間、男が目を覚まし上半身を勢いよくおこした。

上半身を起こした男の頭に思いっきりぶつかり、ルーミアは倒れてしまった。

「……いったいここはどこだ?」

男はルーミアに頭突きを喰らわせたことには気付かず、周囲をみわたした。

今回幻想郷に迷い込んだ男の名はスネーク(本名はジョン)。

スネークは森でハインドに見つかり、爆風で飛ばされた。

その際、偶然幻想郷への入り口が開き、入ってしまったのだ。

当然ながらスネークにそんな事がわかるはずない。ここがどこか見当がつかないので、とりあえず先へ進むことにした。

立ち上がると、後ろにルーミアが倒れているのを発見した。

「おい、大丈夫か? こんなところで寝ると風邪をひくぞ」

体を揺すってみるが、反応はない。自分を喰おうとしていたことなど知らないスネークは、ルーミアを安全な場所へ運ぶことにした。

ルーミアを背中に乗せて歩いて行き、しばらくするとルーミアが目を覚ました。

「ん?起きたか」

「……おじさん誰?」

「俺か?俺は……スネークだ」

「おじさんは食べてもいい人間?」

何を言っているんだ、と思いながら、すぐに否定した。

「いいわけないだろう」

「そーなのかー」

ルーミアは残念そうにそう言った。

「君の名前は?なぜこんなところに?」

「私はルーミア。お腹減ったから食べ物探しにここまで」

「なるほど、腹が減っているのか」

そういうとスネークはバックパックからレーションを取り出した。ルーミアはそれを珍しそうに見ている。

「それなに?」

「これはレーションだ。少なくとも人間よりはうまいぞ。食うか?」

スネークはルーミアにレーションを渡した。

ルーミアはレーションを受け取るとすぐに平らげた。しかし、ルーミアはまだ満腹ではないようで、「もう一個ちょうだい」とスネークに催促した。

「……もうないぞ」

「そーなのかー」

それを聞いたルーミアは、がっくりと肩を落とした。少し気の毒だったので、スネークは何かないかバックパックを漁ってみた。すると、ハインドに攻撃される前手に入れた蛇があった。

「蛇ならあるが……食うか?」

「蛇って美味しいのかー?」

「ああ、戦場じゃ貴重なタンパク源だ」

スネークは蛇をルーミアに渡した。最初はどう食べればいいのかわからないようだったが、ルーミアは蛇を丸ごと食べ始めた。

年端もいかない少女が蛇を頭からかじるという、狂気ともとれる光景を見ながら、スネークは辺りを見回した。特に敵の気配はない。だが、スネークは警戒を解かなかった。

よほど美味しかったのか、それとも腹が減りすぎていたのか、ルーミアは物凄い勢いで蛇を平らげた。普通に食べたのなら頭と皮はその場に残るはずなのだが、もはや何も残っていない。

「満腹なのかー」

ルーミアはスネークにお礼を言うと満足そうに飛んでいった。

飛んでいくのを見てスネークは驚き、どうして飛べるのか聞いてみた。しかし、ルーミアにスネークの声は届かず、そのままどこかへ飛び去ってしまった。いろいろ考えてみたが、どうして飛べるのか全くわからない。

だが、ルーミアに食糧を分けてしまい、食べるものがほとんど無くなってしまった。少ない食糧でどこまで持つかわからない。スネークはあまり深く考えないようにし、再び歩きだした。

 

しばらく歩くと、巨大な湖が見えてきた。深い霧に包まれているが、それは湖の上だけだったのであまり関係はなかった。

水筒の水の補給も兼ねて、スネークは湖に近づいた。しかし、その湖は完璧に凍ってしまっていた。

「この辺りはそこまで寒くないんだが……」

この辺りの気温が氷点下を超えているとは思えない。ならば何故湖が凍っているのか、皆目見当もつかない。

すると、霧の中から声が聞こえた。氷の上に立っているのかと思いきや、声の主は霧の上の方から出てきた。

「そこのあんた!幻想郷の人間じゃないね!」

幻想郷一の⑨、チルノである。

「ここは幻想郷というのか?」

幻想郷、聞いたことはない。

「そんな事も知らないの?やっぱり人間ってバカね!」

知らない少女からバカ呼ばわりされるいわれはないのだが。それは気にせず、スネークは先ほど聞き損ねたことを聞いてみることにした。

「なぜ君は空を飛べるんだ? なんの理由もなく飛べるはずがない」

そう、さっきのルーミアといいこの少女といい、なぜ空を飛んでいるのかずっと気になっていた。深く考えるなという方が無理だった。しかし、チルノの回答は「あたいがさいきょーだからよ!」などという理解できない回答だった。何を聞いても無駄かと思ったが、一応この湖が凍っている理由は聞いておくことにした。

「……ところで、湖が凍っているのはなぜなんだ?」

「あたいが凍らせてるの。悪い?」

その言葉に嘘はなさそうだ。だとすれば、とんでもない少女である。空を飛べて、おまけにこの湖全体を凍らせることができるとは、とても理解しがたい。

「ああ、今は水が欲しいんでな」

「元に戻して欲しいなら、あたいを倒すことね!」

もう水筒の水も尽きる。

ここで水を補給しなければ、この先水源があるとは言い切れない。ここで補給できなければ非常にまずい事態になりかねない。つまり、あの少女は”敵”というわけだ。

「いいだろう、君を倒してこの湖を元に戻してもらう」

「ふん! 人間がさいきょーのあたいに勝てると思ってるの?」

そう言い放つと、チルノの周りに氷が出現した。まったくもって現実味がない。

それは次第に大きくなっていき、スネークに向かって飛んできた。

スピードは避けれないほどではないのだが、予想外の攻撃にスネークは反応が遅れてしまった。右に飛んで避けたが、飛んできた氷がスネークの足に刺さった。

あまり痛みはないが、とにかく冷たい。チルノは次弾の用意を進めている。

バックパックから麻酔銃を急いで取り出し、チルノに照準を合わせた。チルノはそれを見ると鼻で笑った。

「なにそれ? それであたいを倒せるの?」

「倒すことはできない」

「それはそうよ! なんたってあたいはさいきょー...」

「だが、眠らせることはできる」

スネークは麻酔銃の引き金を引いた。麻酔針が発射され、真っ直ぐにチルノへと向かっていった。スネークの狙いは完璧で、麻酔針はチルノの首元に刺さった。

「ふえ?」

麻酔針によってチルノは睡魔に襲われ落下し、眠ってしまった。どうやら妖精にも麻酔薬は効くようだ。

チルノが眠ると、湖の氷はだんだん解けていった。沈んでしまっては後味が悪いので、スネークは氷が解け切る前にチルノを岸へと運んだ。

本来の姿を取り戻した湖の水を水筒に入れて、水を少し飲んだ。

人を探すため、スネークは歩き出した。湖の向こう側は、また森が続いている。

あの森には動物はいるのだろうか。欲を言えば蛇がいてほしい。そんな期待をしながらスネークは森へと歩いて行った。

 

森の中でスネークはよくわからない生き物にあった。それは人でもないし動物でもない。

確か、日本にいるという妖怪に似ている。いや、恐らく妖怪だろう。

それが意味のある言葉を喋っている。人語を介する猫を見たことがあるスネークはあまり驚かなかった。

「なんで人間がこんなところに? 食ってやろうか?」

「冗談じゃない」

やはり妖怪は人間を襲う存在のようだ。スネークは12Gショットガンを取り出した。

照準をしっかりと合わせ、引き金を引いた。散弾は妖怪に向かって散らばり、その妖怪はバラバラに四散した。スネークはバラバラになった妖怪を見て、この森の危険度を察した。

「こんなのまでいるとはな……」

この幻想郷というところは常識が通用しないようだ。単独で行動していればいつかはやられてしまうかもしれない。

「早いところ人を見つけた方がよさそうだ」

だが、その前にまず腹ごしらえが先だ。水以外何も口にしていない。

そう考えていると、近くで気配がした。見てみると、そこには蛇が一匹いた。

スネークはその蛇が逃げないようすぐに蛇の首を抑えた。

装備していたナイフで首を落とし、皮をはいで身に食らいついた。

これで一応食事はできた。無論大人がこれだけの食事で満足できるはずもない。

そろそろ疲労が限界に近かったので仮眠を取ることにした。丁度良さそうな木に凭れ掛かり、装填済みのAK-47を握って眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




スネークのバックパックには結構色々入っています。
あと、日本語は分かるという設定です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。