第十話 スネーク、冥界入り
勇儀によって投げられたスネークは、無事地上に戻ることができた。いや、あまり無事ではない。投げられた時のスピードがとんでもなかったので、空気抵抗によりスネークはかなりダメージを受けた。二度とこんな帰り方はしたくない。
スネークはフラフラと歩き出した。歩きながらスネークはどこへ行くかを考えたが、場所を聞かなければどこに何があるか分からない。
「また博麗神社へ行くか...いや、賽銭を入れなければ何も話してくれないだろう」
行き先を悩んでいると、スネークはさとりが能力を与える薬がどうこう言っていたのを思い出し、なんでも扱っていそうな香霖堂へ行くことにした。香霖堂の場所だったらなんとか思い出せる。スネークは行き先を香霖堂に決定し、歩を速めた。
〜スネーク移動中〜
だいぶ歩いたが、まだ香霖堂は見えてこない。というか、こんな場所は見た覚えがない。つまり、どこかで道を間違えたのだ。
どこで道を間違えたのか思い出してみる。記憶にない。どうやって道を間違えたらこんな霧の深い森に入れるのだろうか。
現在スネークのいる場所はとても静かで、生き物はどこにもいない。木がそこら中に生えているだけである。異様に人魂が飛んでいるが、まさかここはあの世なのだろうか?などと考えながら歩いて行くスネーク。引き返すという選択肢は彼にはないようだ。
鬱蒼と生い茂る木々の間を抜けながら歩いて行くと、向こうから少女が歩いてくるのが見えた。この森に入ってから初めて生きた者を見つけたスネークは、ひとまずあの世ではないことに安心した。
向こうもスネークに気付いたようで、こっちに近づいて来た。近づいて見て分かったが、背中に大きな刀を背負っている。そして少女の周りを人魂が付きまとっていていた。もしや、人ではないのだろうか。
だいぶ近くまで来たので、スネークはここがどこかを聞いてみることにした。
「すまない、ここがどこか聞きたいんだが...」
そう聞くと少女は、凛とした表情で口を開いた。
「ここは生きた者が来る場所ではありません。早く帰ってください」
見知らぬ少女からいきなり帰れと言われてしまった。少女の言動から、やはりここはあの世のようだ。そんな所に来て大丈夫なのだろうか。いや、大丈夫ではないから帰れと言っているのだろう。
「分かった。すぐ帰ることにする。ただ、一つ聞かせてくれ」
「なんですか?」
「ここからどうやって出ればいいんだ?」
スネークはどうやって入ってきたかも分からないので、出方などなおのこと分からない。
そう聞かれた少女はスネークから目をそらし、考えるそぶりをした。
「...…そういえば最近出口が見当たりませんね」
これは、まさか……?
「つまり?」
「すいません、出口が見つかるまで出られないです」
スネークの悪い予感はばっちり当たった。ここでだいぶ時間を喰いそうだ。
「私は出口を探してみるので、白玉楼でお待ちください」
「白玉楼?それはどこにあるんだ?」
「あっちに向かって真っ直ぐ行けば見えてくると思います」
少女が指をさした方を見てみた。森以外は何も見えない。まあ、この少女かあると言っているのだから、恐らくあるのだろう。
「では、私はそろそろ行きます」
「ああ、分かった。ところで名前は?」
「私は魂魄妖夢です。それでは」
妖夢はそう名乗ると、森の奥へと歩いて行った。すると、前を向いていなかったからか、木の根に足を引っ掛けて転んでしまった。妖夢はスカートだったので、当然ながらアレが見える。
「……白か」
白?白とは何のことだスネーク。君は何も見ていない。
……どこからか天の声が聞こえたが、気にしないでおこう。
妖夢は恥ずかしさを紛らわすためか、振り返らずそのまま走って行った。ここからでは見えないが、顔はたぶん真っ赤だろう。
スネークはそれを見届けると、妖夢に言われた通り歩き出した。
今回から「冥界編」になります。