スネークが妖夢に言われた通りの道を進んでいくと、それらしい建物が見えてきた。……長い階段の上にだが。地霊殿といい白玉楼といい、どうしてこうも極端な場所に建てられているんだ。他に土地はなかったのだろうか?
通常なら階段を上ること自体はそれほど苦ではないが、地霊殿からここまで一切休憩を取っていないので、だいぶ体力が削られている。今の状態でこの果てしなく長い階段を登れば、恐らく中段辺りで力尽きるだろう。
そう考えたスネークは、白玉楼へ続く階段に腰を下ろした。ただ休憩するだけなのもあれなので、ナイフの手入れをすることにした。バック
パックからナイフを取り出し、磨こうとするが、ナイフの上半分がない。スネークは、旧都で勇儀に折られたことを思い出し、一つため息をついてナイフを地面に捨てた。近接武器がなくなってしまうと、CQCが厳しくなるが、折れてしまってはどうしようもない。
仕方ないので、パトリオットの手入れをすることにした。パトリオットをバックパックから取り出そうとすると、銃ではない何かがスネークの指に当たった。それを引っ張り出してみると、それは咲夜の銀製ナイフだった。
一本拝借してから特に使っていなかったが、ついにこのナイフの出番が来たようだ。
ナイフをバックパックにしまい、改めてパトリオットを取り出した。パトリオットのマガジンを外し、薬室に入っている薬莢を手動で取り出した。ハンカチでしばらくパトリオットを拭いていると、体力はだいたい回復することができた。
スネークは立ち上がると、長い階段に足を掛けた。
「……飛べたら便利だろうな」
スネークはそう呟き、階段を上っていく。本当、飛べたらどれほど便利だろうか。
・・・数十分後・・・
「ふぅ……やっと着いたか」
スネークは何とか頂上の白玉楼へ辿り着き、白玉楼の広い庭を見回した。白い石が敷き詰められ、池が作られてある。どこからどう見ても純和風の建物だ。人の気配が全くないが、ここでどう待てばいいのだろうか。
スネークが立ち尽くしていると、白玉楼の中に人影が見えた。声を掛けようとしたが、すでに白玉楼の奥に消えてしまっていた。
人がいることは分かったので、スネークは白玉楼の中に入ることにした。玄関の扉を開け、何があるかわからないので慎重に進んで行く。
人の気配が感じられないしんとした通路を進んで行くと、右側の部屋から物音が聞こえた。
障子をゆっくりと開け、中の様子を見てみるが、部屋の中には誰もいなかった。ネズミか何かだったんだろう、と考え、部屋を離れようとすると、後ろから誰かがスネークの方を叩いた。
スネークはすぐに振り向いたが、やはり誰もいない。気のせいか、と思い前を向くと、スネークの目の前に女性が微笑みながら立っていた。
「いらっしゃい」
「……いつからそこに?」
女性に背後を取られたことに多少ショックを受けたが、ここは幻想郷。気にしないことにした。
「たった今よ」
口をモゴモゴしながら喋っている。何かを食べているのだろうか。
「何を食べているんだ?」
「人魂。美味しいわ。食べる?」
人魂らしき物を右手で握って差し出してきた。人魂は必死に逃げようとしている。
「遠慮する」
スネークは即答でこれを拒否した。まあ当然なのだが。
「あらそう?まあ座ってくださいな」
女性は座布団に座ると、スネークに座るよう促した。スネークはその場に座ると、まだに人魂を食べ続けている女性の方を見た。
「それで、今日はどんな用で来たのかしら?」
女性にそう聞かれたので、スネークは事の始終を話した。だいたい聞くと、女性はまた人魂を食べ始めた。
「ふんふん、ふはりはえれなふなっふぁほ(つまり帰れなくなったと)」
口に人魂を詰め込んで喋っているので、もはや聞き取り不可能である。噛み終わったのか、ごくんと口の中の人魂を飲み込むと、また話し始めた。
「申し遅れたわね。私の名前は幽々子。ちょっと待って、今お茶でも持ってくるから」
そう言うと幽々子はお茶を取りに部屋を出て行った。それにしても、この屋敷に幽々子以外人はいないのだろうか?
しばらくすると、幽々子がお茶を持って戻ってきた。口には人魂が咥えられている。
どれだけ食べるんだ……と思いながら見ていると、幽々子はスネークの前にお茶を置いた。
「れ?ほれふぁらほうふるふほぉりふぁお?(で?これからどうするつもりなの?)」
真面目な顔で口に人魂を詰め込んでいる。聞き取り不能だ。
食べるのを止めない幽々子は、その後も聞き取り不可能な言葉でスネークと話しを続けた。
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