蛇のおっさんが幻想入り   作:幽玄ノ乱

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第十三話 師からの最後の訓練1

ザ・ボスが突然やって来てから数時間、初対面のはずの幽々子とザ・ボスはすっかり打ち解けていた。

ザ・ペイン、ザ・フィアー、ジ・エンド、ザ・フューリー、そしてザ・ソロー達はおとなしくお茶を飲んでいる。

「ーーーーさて、スネーク。今日ここに来たのは他でもない、お前に最後の訓練をつけるためだ」

ザ・ボスはお茶を飲み終わると、スネークの方を向き、真剣な眼差しでそう言った。

「訓練? 一体何を……」

「まあ実戦訓練みたいなものだ。相手は我々コブラ部隊。この森で戦いながら訓練をつけてやる。もちろん、一人一人ではない、全員同時に行かせてもらう。殺す気で行くから、覚悟しておけ」

唐突に始まることとなったザ・ボスからの最後の訓練。しかも、今回師匠となるのは伝説のコブラ部隊だ。一度全員倒しているとはいえ、一対一の戦いをしてようやく勝てた相手だ。全員が束になって来たらスネークに勝ち目はない。

さらに死んで体力が戻ったのか、老狙撃手のジ・エンドは普通に歩いている。

「さて、今から十分間、我々はお前を迎え撃つために森で準備をする。十分後、森へ来い」

そう言うと、ザ・ボス達は立ち上がり、森へと向かって行った。それを見届けた幽々子は、お茶を一口飲んだ。

「じゃあ、お饅頭でも食べながら待ちましょうか」

幽々子がそう言うと、妖夢は、「お菓子でも取ってきますね」と言って部屋から出て行った。

しばらく待っていると、妖夢が饅頭を皿にのせて戻ってきたので、食べることになった。幽々子はすぐに饅頭へ飛びついたが、一つ饅頭を手に取ると、饅頭とにらめっこをした。

「……妖夢、これって私のおやつ用……」

「あれ?そうだったんですか?戸棚の奥に沢山あったので持って来ちゃいました」

「むー、暇な時に食べようと隠してたのに〜」

「いいじゃないですか。また買ってきてあげます」

どうやら、妖夢が隠してあった幽々子のおやつを持ってきてしまったらしい。しかし、見た感じ百個以上はあるが、これをおやつと呼ぶのだろうか。否、一般の常識からすれば呼ばないだろう。スネークは、幻想郷に常識は通用しないことを改めて思い出した。

 

 

 

〜十分後〜

 

 

 

ザ・ボス達が森へ出てから十分が経過し、その頃には皿の上の饅頭は綺麗さっぱり消え去っていた。ちなみに、饅頭を食べた割合は、幽々子148:妖夢1:スネーク1である。華奢な体付きで、よく饅頭百四十八個を平らげたものだ、とスネークは心底不思議に思いながら幽々子を見た。

幽々子はお茶をすすりながらちらりと時計を見ると、手に持っていた最後の饅頭を口に放り込んだ。

「そろそろ十分経つわね」

「ああ、行かなければ」

「頑張ってくださいね」

スネークは銀のナイフと麻酔銃を取り出し、白玉楼の庭園へ降りた。まっすぐ階段へ向かうと、小走りで降り始めた。

森に入ると、しんとした空気が相変わらず漂っていた。木が多いため、流石のジ・エンドも狙撃は難しいだろう。狙撃はあまり危険視せず、周囲を警戒しながら森の中を進むと、スネークの足に何かが触れた。次の瞬間、スネークの体は逆さになり、木にぶら下がっている状態になった。ブービートラップだ。

しかし、掛かるまで気付けない罠とは恐ろしい。このレベルの技術は恐らくザ・フィアーだろう。罠を設置し待ち伏せて攻撃するのが彼の戦術だ。空中にぶら下げられ、上から見ることで分かったが、この辺り一帯まるで蜘蛛の巣のように罠が張り巡らされている。下手に動けば命を落としかねない。

何にせよ、この無防備な状態で攻撃されたらひとたまりもないだろう。スネークは上半身を起こし、ナイフでロープを切った。スネークが落ちるのと同時に、スネークがぶら下げられていた木の一部が弾け飛んだ。スネークは立ち上がるとすぐにその木の後ろに身を隠した。発射音が聞こえなかったので、ザ・フィアー愛用のボウガンだろう。その証拠に、木に矢が一本刺さっている。

「ククク、もう一度お前に最高の恐怖を与えてやろう…」

どこからともなく声が聞こえ、矢が連続して三本木に刺さった。一本がスネークの腕をかすめるが、たいした傷にはならなかった。前に戦ったときは矢じりにヤドクガエルの毒を塗ってあったので、かすっただけでも致命傷だったが、今回は塗られていないようだった。

ステルス迷彩を常備しているため、姿を見ることができず、木や葉の動きにに集中することで、彼の位置を見出せる。

しかし、木と木の間を飛び移って移動しているにも関わらず、木の葉一枚すら動かない。見えない恐怖とはまさにこのことだ。

「どうした、撃たなければ俺は倒せんぞ?」

真後ろから声が聞こえ、スネークはすぐに銃口を向けるが、そこにはすでに何もいない。代わりに、矢が一本放たれ、スネークの足元に刺さった。

スネークは極限まで集中力を高めてみるが、何も聞こえない。攻撃を警戒しながらしゃがんで構えていると、一瞬スネークの目の前を黒い影が横切った。ステルス迷彩のバッテリーが切れたのかもしれない。そう考えたスネークは、辺りを素早く見回した。すると、ザ・フィアーが近くの木で足を止めたのが見えた。

その瞬間を見逃さず、スネークは麻酔銃の引き金を引いた。麻酔針は狙い通りザ・フィアーの首元に飛んでいき、ザ・フィアーを眠らせることができた。ザ・フィアーは地面に落下し、動かなくなり、コブラ部隊は残り四人となった。

しかし、ザ・フィアーの罠の作り方は勉強になった。これからの参考にさせてもらおう。

スネークが一安心をしたのも束の間、機関銃の発射音が森に響き、あっという間に木は穴だらけになってしまった。スネークは何とか避けれたが、あと数秒判断が遅れたらあの木と同じ状態になっていただろう。

無数の蜂に身を包んだザ・ペインが木の陰から現れ、手を前に突き出した。

「いけぇ!奴を倒すんだ!」

ザ・ペインがそう叫ぶと、蜂達は一斉に飛び上がり、スネークの方へ大群で向かってきた。スネークはショットガンを急いで取り出し、蜂に銃口を向けた。引き金を引くと散弾が飛び散り、蜂は散り散りに分散された。すると、蜂の中心からグレネードが出現し、スネークに向かって投げられた。ここまで計算して蜂を放ったのだ。スネークは横に飛び、何とか爆発を回避した。

「なかなかやるな!」

そう言うとザ・ペインはまたトミーガンを乱射し始めた。

ザ・ペインはコブラ部隊の中で一番射撃が下手らしい。そのため連射可能なトミーガンを愛用しているのだ。

木の後ろに隠れ、弾丸から身を守ったが、やはりコブラ部隊は一筋縄ではいかない。スネークはコブラ部隊の凄まじさを改めて思い出した。

 

 

 




今回は久々の更新になりました。
今までは不定期でしたが、これからは一週間に一回更新するのを目標にします。
※アンケートは締め切りました。ご協力ありがとうございました。
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