蛇のおっさんが幻想入り   作:幽玄ノ乱

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第十四話 師からの最後の訓練2

スネークが白玉楼を出て、そろそろ三十分が経とうとしていた。爆音やら銃声やらは十分前ほどから一度もない。上から見ようかと思ったが、木が多すぎて、というより白玉楼はかなり高い位置にあるので見えない。

 

「あーあ、暇ねぇ……」

「ですねぇ」

 

幽々子は白玉楼の庭をしばらく見つめると、何かを思いついたのか妖夢の方をちらりと見た。

 

「な、なんですか?」

「良いこと思いついたわ」

「……幽々子様の言う良いことって絶対やばいやつじゃないですか……」

 

妖夢はため息をつき、幽々子を見た。幽々子はにっこり顏で妖夢を見つめ返す。その顔を見る限り、やはりろくでもないことをやるつもりなのだろう。妖夢はもう一度ため息をついた。

 

 

 

一方スネークは、ザ・ペインの蜂に苦戦していた。前回戦った時も、蜂を操って自分の体にまとわせ、そこいらの防弾アーマーより強固な蜂の鎧を作っていた。

おかげで弾丸が通らず、時折乱射されるトミーガンで身動きが取れずにいる。まだザ・フューリーやボスとは遭遇していないが、膠着状態が続けば遭遇する確率が高まり、不利な状況になる。

 

「早めに決着を付けなければまずいな」

 

スネークはそう言うと、ショットガンをリロードして立ち上がろうとした。しかし、トミーガンの発砲音の中、何者かの足音が聞こえたので、スネークは音のした方向に銃を向けた。スネークの背筋に緊張が走る。

木の陰から出てきたのは……

 

「…妖夢!?何故ここに…」

「すいません、実はかくかくしかじかでして」

「なるほど、幽々子が仕向けたのか」

 

スネークはため息をつくと、グレネードのピンを抜いてザ・ペインの方へ投げた。小規模な爆発が起き、ザ・ペインはもろに爆風を浴びた。

 

「ぐっ、俺の蜂が!」

 

木の向こうからザ・ペインの声が聞こえてくる。スネークのいる位置では確認できないが、蜂の鎧は破壊されたのだろう。妖夢は今の爆発を見て感嘆の声をあげた。

 

「はぁ〜、外の世界は進歩してるんですねぇ」

「ああ。ここほど平和じゃないがな……弾がもう少ない。一発も無駄にはしないぞ!」

 

スネークは言霊の力を使うことができる。これは膨大な経験で入手したスキルで、自らを鼓舞したり、仲間の体力や気力を回復させることができる。今使ったのは命中率を上げるための言霊だ。

言霊を使って木の陰から飛び出すと、滞空したままザ・ペインに麻酔銃を発射した。咄嗟のことだったので、ザ・ペインは反応できず、右腕に麻酔針が突き刺さった。

この麻酔針は相当強力な麻酔薬が塗られているので、どこに当たっても効果はあるはずだ。

 

「ちっ、小癪な!」

 

ザ・ペインはトミーガンの銃口を右腕に押し付け、トリガーを引いた。弾は麻酔針ごと腕を貫通し、ザ・ペインは痛みで麻酔薬の効果が消し飛んだ。さすがザ・ボスが訓練しただけあって、度量も人並みではない。

ザ・ペインは右腕を布できつく縛ると、目出し帽を脱ぎ捨て、その痛々しい顔を露わにした。

 

「バレットビー!!」

 

ザ・ペインはそう叫び、口を開けた。スネークはその単語に嫌な思い出しかない。

 

「まずい、早く遠くに逃げろ!」

「へ? なんでですか?」

「いいから逃げるんだ!」

 

スネークが何度も言うので、妖夢は急いでその場から離れた。妖夢がその場を離れるのと同時に、ザ・ペインの口の中から今までとは一際違う蜂が飛び出した。

蜂は獲物を探しているのかザ・ペインの周りを飛ぶと、スネークを発見して一気に向かってきた。スネークは横に飛んで避けたが、蜂が突っ込んだ木は風穴が開いている。

バレットビーは、一度放たれ獲物を見つけると、その強靭な顎で肉を食いちぎり、体内に侵入して獲物が生き絶えるまで肉を喰らい続ける恐ろしい蜂だ。幽々子に似ている、とスネークはふと思った。

スネークはバックパックからパトリオットを取り出し、高速で飛び回るバレットビーを撃った。蜂に弾幕を浴びせていると、撃ち漏らしが妖夢の方へ向かった。

 

「! まずい!」

 

バレットビーは妖夢に突撃を仕掛け、あと数センチという距離まで迫った。次の瞬間、蜂は真っ二つに両断され、地面に落ちた。

見ると、妖夢はいつの間にか剣を抜いていた。

 

「…さすがだな」

「どうも」

 

目にも留まらぬ速さで剣を振るとは、幻想郷の住民に心配はご無用のようだ。バレットビーは全て落とされ、トミーガンの弾も尽き、ザ・ペインの武器はほとんど無くなってしまった。

 

「……流石はボスの弟子だ。だが、我々も負けん!!」

 

ザ・ペインは、刃渡十五センチはあるナイフを引き抜いた。そして、一匹の蜂を掴むと、毒針から出た毒をナイフに付けた。即興の猛毒ナイフの出来上がりである。

 

「行くぞ!」

 

ザ・ペインがナイフを構えて走ってきたので、スネークも自身のナイフを取り出し、CQCの構えをとった。ザ・ペインはナイフを横に振り、スネークはそれをナイフで受けた。火花と毒が飛び散り、スネークは一旦距離を置いた。

両者が睨み合い、ザ・ペインは地面を思いっきり蹴って突進を仕掛けてきた。下からの斬り付けを、スネークは体を後ろに反らせて回避した。ザ・ペインは斬り付けた勢いを利用して一回転し、また横切りを繰り出した。スネークはザ・ペインの腕を掴んで横切りを止めたが、ザ・ペインの腕力は凄まじく、徐々に押されている。

スネークは不意にしゃがみ込み、ザ・ペインの足を払った。ザ・ペインは体勢を崩し、二メートルの巨体は地面に倒れた。

スネークはすかさず麻酔銃をホルスターから抜き、ザ・ペインの頭に向けて撃った。

流石のザ・ペインもこれは避けようがなく、麻酔針を頭に当てられ眠ってしまった。

 

「ふぅ……残るは、ジ・エンドとザ・フューリー、そしてボスか」

 

スネークはようやく一息つくと、残りの三人を探して歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




投稿ペースはあと二日で元に戻ります。と言っても、元から結構遅い更新ですがw
訓練はあと二話ぐらい引っ張るつもりです。
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